マイナビ キャリアリサーチLab

2024年卒大学生活動実態調査 (6月15日)


2024年卒業予定の大学生・大学院生の内々定率は76.4%(前年比2.3pt増)。
就職先で給与のデジタル払いが導入された場合「選択したい」という学生は1割程度。「セキュリティー面が不安」など慎重な意見も。

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、2024年卒業予定の全国の大学生、大学院生を対象に実施した「マイナビ 2024年卒大学生活動実態調査 (6月15日)」の結果を発表しました(調査期間:2023年6月10日~6月15日)。

目次

調査概要

内容

マイナビ 2024年卒大学生活動実態調査(5月)

調査期間 2023年6月10日~6月15日
調査対象 マイナビ2024会員のうち「2024年春」に卒業予定の大学生・大学院生
調査方法 マイナビ2024会員にメール告知・WEBフォームにて回答
有効回答数 3,645件

内々定率・平均内々定保有社数

内々定率は76.4%、平均内々定保有社数は2.4社で、ともに前年比増

2024年卒業予定の大学生・大学院生の6月10~15日時点での内々定率は76.4%(前年比2.3pt増)、平均内々定保有社数は2.4社(前年比0.1社増)であった【図1】【図2】。企業の採用意欲の高まりを受け、5月同様、内々定率・平均内々定保有社数ともに前年比増で推移している。

内々定保有率の推移/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)
【図1】内々定保有率の推移/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)
平均内々定保有社数/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)
【図2】平均内々定保有社数/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)

入社予定先の決定状況(内々定保有者)

入社予定先を決めた学生は67.8%で前年並み。決めた理由は「その企業の社員の雰囲気や人柄が自分に合っていると感じたから」などが増加。

内々定を得たことがある学生のうち、現時点で入社先企業を決定していると回答した割合は67.8%で、前年とほぼ同じ割合となった。【図3】 入社先を決定した学生にその理由を聞いたところ、最も多かったのは前年同様「説明会で興味を持ち、選考を経て志望度が上がったから」(50.5%)で、前年からもっとも増加幅が大きかったのは「その企業の社員の雰囲気や人柄が自分に合っていると感じたから」(40.9%)で前年比1.8pt増となった。【図4】2024年卒の学生は企業選択のポイントにおいても社風や社員の雰囲気を重視している(※)が、入社予定先の決定に関しても同じような傾向が見られる。
一方、「その企業の業務内容をやってみたいと思うから」や「その企業に将来性を感じたから」などの項目も増加している。社員の雰囲気や人柄という要素は非常に重要ではあるものの、接した社員の態度や学生自身の受け取り方に寄る部分の大きい、捉えづらい要素でもある。業務内容などの具体的かつ仕事に直結した要素などと合わせて、複合的な視点で企業を見て入社予定先を決定することは、入社後に働き始めた際自身の仕事のやりがいを複数の軸で持てることにもつながり、それは入社後に受けるリアリティショックを分散させる効果も期待できる。

※マイナビ2024年卒大学生活動実態調査 (3月1日)

入社先の企業を決めたかどうか(内々定保有学生限定)/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)
【図3】入社先の企業を決めたかどうか(内々定保有学生限定)/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)
入社先の企業を決めたか理由(内々定保有かつ入社予定先を決めた学生限定)/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)
【図4】入社先の企業を決めたか理由(内々定保有かつ入社予定先を決めた学生限定)/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)

面接におけるコロナ禍の影響

面接においてコロナ禍の影響で答えようがなかったと思うものは「サークル活動」「部活動」が前年より増加。入学初年度にコロナ禍を迎えたことが影響か

コロナ禍の影響について、面接で聞かれたことの中で答えようがなかったことを聞いたところ、最も多かったのは「サークル活動について」(26.4%)で、前年より10pt以上増加した。【図5】「海外留学について」や「部活動について」も前年より5pt以上増え、「特に答えようがなかったことはない」と答えた割合は減少した。2024年卒の学生は大学入学直後にコロナ禍を迎えたこともあり、サークルや部活動に参加する機会が減少したことが背景にあると考えられる(※)。「特に答えようがなかったことはない」と答えた割合が2023年卒の学生よりも減っていることなどからも、コロナ禍から受ける影響がコロナ禍発生から時間が経過するにしたがって徐々に少なくなっていくというものではなく、入学年度によって受ける影響の度合いや内容が異なっている様子がわかる。

※マイナビ 2024年卒大学生のライフスタイル調査

コロナ禍の影響で、面接において聞かれたが答えようがなかったこと(複数回答・面接を受けたことがある学生限定)/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)
【図5】コロナ禍の影響で、面接において聞かれたが答えようがなかったこと(複数回答・面接を受けたことがある学生限定)
/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)

会社員の給与に関する一般的な知識(マネーリテラシー)

「額面と手取りの違い」や「固定残業代の仕組み」などを知っている学生は多い一方で、「昇給の仕組み」や「財形貯蓄」、「社会保険料の決定方法」などの認知度は低い。

一般的な会社員の給与に関する知識についての選択肢を提示し、知っているものを回答してもらった。最も多かったのは「額面の支給額から、税金と社会保険料などを差し引いたものが手取りとなる」(88.7%)で、次いで「差し引かれる税金には、主に所得税と住民税がある」(58.6%)、「固定残業代とは、毎月一定の時間外労働分の残業代が支給され、実際の時間外労働がその一定の時間を下回っていても支給される」(56.1%)など、額面と手取りや残業代に関する選択肢が上位になった。【図6】
一方、回答が少なかったのは「昇給には毎年行われる定期昇給のほか、会社の業績や個人の成績に応じて行われる考課昇給などがある」(32.6%)、「毎月の給与から一定額を自動で天引きして積み立てる「財形貯蓄」という仕組みがある」(28.9%)、「民間の保険(生命保険、火災保険など)に加入して支払った保険料の一部は、年末調整で還付される」(17.4%)、「社会保険料は、3月~5月の給与等支給額によって決定される」(17.3%)などだった。企業による初任給の増額や賃上げといった動きや、政府による社会保険料の増額などが報道で取りざたされる中、入社後の昇給や資産形成、そして給与から天引きされる社会保険料の決定方法といった項目に関しては、まだまだ認知度が低い状況であることがわかった。

一般的な会社員の給与について知っていること(複数回答)/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)
【図6】一般的な会社員の給与について知っていること(複数回答)/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)

キャッシュレス決済の利用状況

キャッシュレス決済で利用割合が多かったのは「電子マネー」、「QRコード決済・バーコード決済」などで6割以上が利用と回答。「利用しない」という学生は8.4%。

電子マネーやQRコード決済・バーコード決済、クレジットカード決済のような各種キャッシュレス決済の利用割合について聞いたところ、「電子マネー(交通系、流通系のICカードなど)」を利用した経験があるという回答が最も多く(73.3%)で、「QRコード決済やバーコード決済」(69.4%)、「クレジットカード決済」(65.1%)などが続き、いずれも6割以上の学生が利用経験があると回答した。「キャッシュレス決済をほとんど行わず、現金での支払い・決済が中心」という回答は8.4%と少なく、学生の間でキャッシュレス決済が浸透している様子がわかる。【図7】

キャッシュレス決済に関する立場として当てはまるもの(複数回答)/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)
【図7】キャッシュレス決済に関する立場として当てはまるもの(複数回答)/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)

給与のデジタル払いに対する学生の意向

就職先での給与のデジタル払いについて「選択するかはわからないが興味はある」が最多。次いで「選択しないと思う」が多く、慎重な意見が多い。

給与に関する知識に付随し、この2023年4月より順次された給与のデジタル払いについて、就職先で導入されていると仮定した場合に選択すると思うかどうかを聞いた。最も多かったのは、デジタル払いを「選択するかどうかはわからないが、興味はある」(40.3%)で、「選択しないと思う」(33.2%)が続き、「選択したいと思う」は10.3%であった。キャッシュレス決済の利用率の高さに比べて、給与のデジタル払いに対しては慎重な姿勢の学生が多いことがわかる。

就職先で給与のデジタル払いが導入された場合、選択するかどうか/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)
【図8】就職先で給与のデジタル払いが導入された場合、選択するかどうか/マイナビ 2024年卒 大学生 活動実態調査 (6月15日)

【選択したいと思う理由】「ポイントがつく」「現金を持ち歩かなくてすみ、銀行でお金を下ろさなくても良くなる」

「選択したいと思う」と答えた理由としては、「現金を持ち歩かなくてすみ、銀行でお金を下ろさなくても良くなるなどのメリットが大きいからである」のように振り込まれた給与を銀行から引き出す手間がないことをメリットとしてあげる声や、「現金をほぼ使っていない、クレジットやQR決済を頻繁に使うため」のように現金払いをしていないからというもの、また「ポイントがつくから」というメリットをあげるものもあった。

【表1】就職先で給与のデジタル払いを導入していた場合「選択したい」と回答した理由(自由回答)
属性 内容
文系女子 ポイントがつくから。
理系男子 現金を持ち歩かなくてすみ、銀行でお金を下ろさなくても良くなるなどのメリットが大きいから
文系男子 現金をほぼ使っていない、クレジットやQR決済を頻繁に使うため。

【興味はあるという理由】「もしデジタル決済システムに不具合が生じたら…」「口座振替の支払いがあるので、全額デジタル払いだと困る」

最も多かった「選択するかどうかはわからないが、興味はある」と答えた理由としては、「日常生活のほとんどでデジタル決済を利用しているためデジタル払いの方が便利ではあるが、もしデジタル決済システムに不具合が生じた際、また携帯電話が壊れてデジタル決済が利用できなくなった際などに困るかもしれない」などのように、デジタル払いの利便性を理解しつつも通信環境やシステムの不具合などの影響を懸念する声があった。また「現状は光熱費やクレジットカードなどの口座振替の支払いがあるので、すべての金額が直接キャッシュレス決済アプリに入ると困る」のように口座振替との兼ね合いを心配するものや、「初任給が通帳に記帳される、という経験をしたい」というものなど、ざまざまな意見があった。

【表2】就職先で給与のデジタル払いを導入していた場合「選択するかどうかはわからないが、興味はある」と回答した理由(自由回答)
属性 内容
文系女子 デジタル以外で給与の支払いをされた方が記録が実際にきちんと残る上に、文字で確認できるため安心できると思います。一方、デジタル払いだとより便利であるというメリットもありますが、情報管理やデータの損失が不安になる上に、本当にお金が振り込まれているのかという実感がないこともデメリットであると思います。
文系女子 日常生活のほとんどでデジタル決済を利用しているためデジタル払いの方が便利ではあるが、給与が実際に目に見えないことや、もしデジタル決済システムに不具合が生じた際、また携帯電話が壊れてデジタル決済が利用できなくなった際などに困るかもしれないと考えるため
理系男子 セキュリティ面がしっかりしていればありうる選択肢だと思う
文系女子 デジタル払いについて、詳しく知らないのですが、やはりお金は現金の方が貰えた感があるので好きです。また、あまりデジタル機器に頼りすぎると、停電や災害が起こった時に大変なことになるので、デジタルにしなくてもなんとかなる業務は、デジタル化せずこのままの方が良いと考えています。
理系男子 詳細を見て利便性が高ければ選択したい。ただ現状は光熱費やクレジットカードなどの口座振替の支払いがあるので、すべての金額が直接キャッシュレス決済アプリに入ると困る。
文系女子 初任給が通帳に記帳される、という経験をしたい。デジタル払いの便利さと危うさを天秤にかけると、まだ知らないことが多いので不安の方が大きい。

【選択しないと思う理由】「セキュリティー面などで不安がある」「現金化の手間が大きいから」

「選択しないと思う」と答えた理由でも、「現金と比べて、セキュリティー面などで不安があるため」や「大きな額のため、デジタルだと信用できないから」のようにセキュリティ面の不安をあげるものや、「銀行が直接運営していないデジタルマネーでは、運営終了などの危険性を孕んでいる」や「特定の企業に依存した給与のデジタル払いは危険だと思うから」のように民間事業者が運営する電子マネーがどこまで保証されるのかという制度的な不安をあげるものもあった。

【表3】就職先で給与のデジタル払いを導入していた場合「選択しないと思う」と回答した理由(自由回答)
属性 内容
文系男子 現金と比べて、セキュリティー面などで不安があるため
文系女子 銀行口座にあることで、しっかりと貯金がしやすいから。
理系男子 銀行の残高は銀行が倒産したとき保障されるが、電子マネーは保障されないのではないかと不安だから。
理系女子 銀行が直接運営していないデジタルマネーでは、運営終了などの危険性を孕んでいるため。
理系男子 現在では現金からデジタル払いへの移行は容易であるが,デジタル払いから現金への換金が困難なため.可能な限り,選択の余地のある選択肢を持っていたい.
文系男子 田舎すぎてキャッシュレス非対応の場所が多いから
理系女子 バーコード決済のアプリは、普段の買い物の支払いで使用していますが、そのアプリに入れている金額は1万円以下です。給与のような高額をアプリに入れることに対してはまだ不安があるので、デジタル払いは選択しないと思います。
文系男子 デジタル支払いの場合現金化の手間が大きいから。
文系女子 特定の企業に依存した給与のデジタル払いは危険だと思うから
理系男子 大きな額のため、デジタルだと信用できないから。

【調査担当者コメント】
6月15日時点で入社予定先を決定した学生は67.8%となりました。決定した理由としては「社員の雰囲気や人柄が合っている」という答えが最も増加し、年々増加傾向にありますが、入社先決定についてはどれか1つの要素に偏ることなく、仕事内容への関心や将来性などの複数の要素からバランスよく検討していくことが重要です。給与に関する知識も同様で、初任給の額だけでなく給与の内訳や入社後の昇給の仕組みを知ることは、自身のマネーリテラシーを高め、入社後のキャリアやライフプランを考えるうえでの大切なヒントになります。入社後に自分が納得のいく働き方が出来ることを目標に、多角的な視点で入社予定先を検討してほしいと考えます。

学生の属性データ

有効回答数内訳文系男子文系女子理系男子理系女子総計
人数7831,6086086463,645

2024年卒の調査結果はこちら▼
3月1日調査
3月調査
4月調査
5月調査

前年(2023年卒)調査結果はこちら▼

3月1日調査
3月調査
4月調査
5月調査
6月15日調査
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