- 勤務時間外に業務連絡がくる正社員7割、管理職ほどその割合は高い。勤務時間外の連絡は“連絡する・受ける”ともに管理職に集中している傾向【詳しくはこちら】
- 正社員の6割以上が勤務時間外の業務連絡については「拒否したい」。一方、「気にしない」「外資系企業は時差があるので当たり前」という声も【詳しくはこちら】
- 上司へ勤務時間外の連絡をする場合の約6割が「緊急度が高い」と認識。一方、部下から受ける連絡の緊急度認識は3割未満と、立場による緊急度認識にギャップが【詳しくはこちら】
- 企業の68.4%が勤務時間外連絡の発生を認識。3社に1社は高頻度の発生を把握。企業の「つながらない権利」に関するガイドラインの策定、41.8%が未着手【詳しくはこちら】
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:粟井俊介)は、2025年に転職した20-50代の正社員と、2025年に中途採用業務を担当した人事担当者を対象に実施した、「“つながらない権利※”をめぐる個人の本音と企業の実態調査」の結果を発表しました。
※労働者が勤務時間外(休日や深夜など)に、仕事のメール・電話・チャットなどの業務連絡に対応しなくてもよいと選択できる権利
つながらない権利の詳細
2026年の労働基準法改正に向け、勤務時間外の業務連絡(メール・電話・チャット)への対応を拒否できる「つながらない権利」のガイドライン策定が検討されています。これは、テレワーク普及に伴うプライベートな時間の確保と、労働者のメンタルヘルス保護を目的とし、企業に社内ルールの整備を促すものです。
休日や勤務時間外に上司や同僚からの業務連絡に応答しないことを理由に、人事評価や待遇で不利益な扱いをされない権利であり、デジタルデバイスの普及により「いつでも働けてしまう」環境を改善し、労働者の休息を確保してメンタルヘルスを守る目的で策定されます。
勤務時間外連絡の実態
勤務時間外連絡が”くる”割合
- 20~50代正社員のうち勤務時間外にも業務連絡がくる割合は7割
- 特に管理職ほど割合が高く、部長職では9割を超える
20~50代の正社員に「勤務時間外に業務連絡がくることがあるか」を聞いたところ、70.0%が「連絡がくることがある(計)」と回答しており、「上司・部下の両方から連絡がある」が60.3%で最多だった。
役職別では、部長職が90.3%で最多で、次いで課長職89.8%、係長・主任85.7%に対し、非管理職では55.5%に留まった。いずれも「上司・部下の両方から連絡がある」が最多となる。【図1】
【図1】社内の人から勤務時間外に業務連絡がくることがあるか(単一回答)
勤務時間外連絡を”する”割合
- “連絡をする”同様に約7割の正社員が勤務時間外に業務連絡をすると回答
- 連絡をする割合も管理職で高く、部長職では9割を超える
また、勤務時間外に「連絡をすることがある」も69.6%に達し、「上司・部下の両方に連絡する」が61.0%で最多、部長クラスが90.3%で最も高く、非管理職は43.7%で最も低い。
勤務時間外の業務連絡については、“連絡する・受ける”の双方が管理職に集中している傾向にあるようだ。【図2】
【図2】社内の人に対して勤務時間外に業務連絡をすることがあるか(単一回答)
勤務時間外連絡に対する本音
時間外連絡は拒否したい?
- 正社員の6割以上が勤務時間外の業務連絡については「拒否したい」
- 一方、「気にしない」「外資系企業は時差があるので当たり前」という声も
勤務時間外の業務連絡を拒否したいと思うかを聞くと、64.3%が「そう思う(計)」と回答した。
年代別では20代(68.1%)が最多となり、40代(65.3%)、30代(64.4%)と続き、50代は52.7%と他年代より低く、年代によって勤務時間外連絡の拒否感には差がみられた。【図3】
【図3】勤務時間外の連絡を拒否したいと思うか(単一回答)
また、勤務時間外連絡について率直な気持ちを聞いたところ、「通知を気にしてしまい、心身ともに十分に休めていないと感じる」「正社員でも人権として休暇中に対応する義務と責任はないと思う」など、拒否感を示す声や、「ある程度仕方ない面もあり、逆に自分が連絡しなければいけない立場の時もあるのでお互い様」といった、場合によっては許容している意見が多かった。
一方で、「問題は先延ばしにせずすぐに終わらせるべき」「外資なら時差があるので当たり前」など、業務上仕方ないと割り切っている、仕方ないという声もあがった。勤務時間外連絡については、個人や仕事内容、企業の特性によってとらえ方の差があるようだ。【図4】
【図4】勤務時間外連絡の率直な気持ち(自由回答)
勤務時間外連絡の緊急度認識
- 上司へ勤務時間外の連絡をする場合の約6割が「緊急度が高い」と認識
- 一方、部下から受ける連絡の緊急度認識は3割未満で立場により緊急度認識にはギャップが
勤務時間外にする業務連絡の緊急度について聞くと、「上司への勤務時間外連絡」の60.9%が「緊急度が高いことが多い(計)」となった。一方で、「部下から受ける勤務時間外連絡」においては、「緊急度が高いことが多い(計)」と回答した割合は29.9%に留まった。
上司・部下間においては、勤務時間外連絡内容の “緊急性”において認識のズレが生じている可能性がうかがえる。【図5】
【図5】勤務時間外連絡の緊急度認識(単一回答)
企業の状況
時間外連絡の発生頻度
- 企業の68.4%が勤務時間外連絡の発生を認識。3社に1社は高頻度の発生を把握
企業の中途採用担当者に、自社における「勤務時間外連絡の発生有無」を聞くと、68.4%が「発生したことがある(計)」と回答し、中でも「頻繁に発生している(13.6%)」と「定期的に発生している(20.0%)」と合わせた高頻度発生割合は33.6%であった。
上場有無別でみると、上場企業では「発生したことがある(計)」割合は76.4%と、未上場企業(計:61.6%)を上回った。
つながらない権利ガイドラインの策定状況
- つながらない権利に関するガイドラインの策定、2025年12月時点は41.8%が未着手
「つながらない権利※」に関するガイドラインの策定の対応状況では、「未着手(計)」の企業が41.8%となり、上場企業の「未着手(計)」は未上場企業より15.4pt低いなど、事案の発生割合が対応状況の差に繋がっていることも考えられる。【図6】
【図6】勤務時間外連絡の発生率/つながらない権利ガイドライン策定の対応状況(単一回答)
総評
今回の調査では、勤務時間外の業務連絡が常態化している実態と、できれば拒否したいという本音、企業側の対応の遅れが明らかになりました。また、勤務時間外の業務連絡においての「緊急度の定義」には個人差があり、行動基準が揃いにくい状況が見られます。
時間外連絡による心理的プレッシャーは、休息の質の低下など生産性や協働関係にも影響する可能性があります。さらに、企業側では、3社に2社が時間外連絡を把握しながら、「つながらない権利」に関するガイドラインの策定は4割以上が未着手という実態も判明しました。
すべての連絡を一斉に禁止するのは現実的に難しいのかもしれませんが、「緊急度の定義」や翌営業日対応を原則とする「返信の期待ルール」を明確化し、必要な連絡を適切なタイミング・手段で行うための合意と仕組みを整えることが現実的かつ有効だと考えます。
今後、ガイドラインの明確化と現場運用の具体化を同時に進め、従業員の休息と企業の機動力の両立を図ることが求められます。
マイナビキャリアリサーチLab主任研究員 関根貴広
調査概要
| 内容 |
マイナビ つながらない権利をめぐる個人の本音と企業の実態調査 |
| 調査期間 |
個人:2025年12月16日(火)~12月25日(木) 企業:2025年12月17日(水)~12月22日(月) |
| 調査対象 |
個人:正社員として働いている20代~50代の男女のうち、2025年に転職した方
企業:従業員数3名以上の企業において、直近(2025年1~12月)に中途採用業務を担当し、「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者
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| 調査方法 |
インターネット調査 |
| 有効回答数 |
個人:1,446名、企業:1,500名 |