<転職者>
- 退職後にSNSや口コミサイトに前職企業のことを投稿する転職者は51.3%。年代別では20代が61.4%で最多、年代が高くなるほど投稿割合は低い
- 投稿内容は「ポジティブな情報」「ネガティブな情報」の両方を発信する割合が最多
ネガティブな情報のみを投稿する転職者も一定数存在し、投稿内容は待遇不満や職場の人間関係の悪さ、上司・経営者に対する不安感など
<中途採用担当者>
- 中途採用担当者の3人に2人が、口コミサイトで退職者によるネガティブな投稿をみかけた
口コミサイトに「嘘を書かれ、面接がしにくくなる」など、採用活動に支障もでている
- 4割を超える中途採用担当者が、採用活動と並行してSNSや口コミサイト上の不適切な投稿を「定期的に確認」し、半数程度は「訂正・削除依頼」も実施
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、正社員として働いている20代~50代の男女のうち2024年に転職した方を対象に実施した、「転職動向調査2025年版(2024年実績)」と、従業員数3名以上の企業において、2024年に中途採用業務を担当し、「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者を対象にした、「企業の雇用施策に関するレポート(2025年版)」の結果から、「転職者のSNS発信と企業対応に関する実態調査」を発表しました。
調査の目的と背景
転職市場が活発化する昨今、マイナビの調査によると五月病の影響で転職をしたことがある人が5人に1人にのぼるなど、大型連休前などの時期は転職を考え始める人も多い時期です。そのような中、世間では2025年4月に「情報流通プラットフォーム対処法」が施行され、より一層個人にも「情報発信者」としての「リテラシー向上」が求められるようになりました。
「令和5年版 情報通信白書」によると、日本のソーシャルメディア利用者数は1億200万人にのぼり、日本の総人口から推計すると、日本国民の8割超はSNSを利用していることになります。SNSによる情報発信の増加は転職市場においても例外ではなく、企業による採用広報での利用、転職者同士の情報交換など多岐に渡ります。
転職活動におけるSNSの利用が一般化する一方で、有害な情報や偽・誤情報の拡散、情報の偏りなどのリスクもあり、転職市場においても個人・企業ともに情報リテラシーが問われる時代になっています。特に最近では「リベンジ退職」とも言われる、退職後にSNSで前職企業の内情を暴露するなどの、攻撃的なSNS利用も問題視されており、転職者が増える傾向にある大型連休前などの時期は、特に転職者によるSNSなどの投稿も多くなるのではないかと推察されます。
本調査では、SNSや口コミサイトへの投稿が映し出す”転職者の声”の実態と、企業への影響について分析・考察していきます。
転職者のSNS発信
前職企業についてのSNS投稿の有無
- 退職後にSNSや口コミサイトに前職企業のことを投稿する転職者は51.3%
- 年代別では20代が61.4%で最多、年代が高くなるほど投稿割合は低い
「転職動向調査2025年版(2024年実績)」によると、2024年に転職した正社員の51.3%が、退職後にSNSや口コミサイトに前職企業について「投稿したことがある」と回答した。
年代別では20代が61.4%で最も多く、次いで30代が54.2%と、年代が高くなるほど投稿割合は低く、50代では30.4%だった。【図1】
【図1】退職後における前職情報の投稿有無
SNSで発信する投稿の種類
- ポジティブ・ネガティブ両方の投稿が最多、一方ネガティブな情報のみの投稿も一定数存在
- ネガティブな投稿内容は待遇不満や職場の人間関係の悪さ、上司・経営者への不安感など
投稿の種類では、「ポジティブ・ネガティブな内容の両方を投稿した」が47.8%で最も高く、次いで「ポジティブな内容のみ投稿した」が43.4%だった。「ネガティブな内容のみ投稿した」は1割以下となり、ポジティブな内容の投稿が多い傾向にある。
転職者が投稿した具体的な内容をみると、ポジティブな投稿では「成長機会が豊富」がSNS、口コミサイトともに最も高く、給与待遇が良い、会社の将来性、安定性への安心など、前職の会社に対する心理的安全性の高さがうかがえる投稿が上位となった。
反対に、ネガティブな投稿では、SNSで「職場の人間関係の悪さ(9.3%)」、口コミサイトで「休日や残業時間などの待遇面での不満(10.5%)」が最も高いなど、前職の会社の待遇や人間関係の不満、ほかには上司や経営者・会社への不安感なども上位にあがった。【図2】
【図2】SNS・口コミサイトへの投稿内容
企業の対応
元社員の投稿を見かけたことはあるか?
- 中途採用担当者の3人に2人が、口コミサイトで退職者によるネガティブな投稿をみかけた
- 口コミサイトに「嘘を書かれ、面接がしにくくなる」など、採用活動に支障も
「企業の雇用施策に関するレポート(2025年版)」によると、中途採用担当者の65.9%が、SNSで「自社の仕事をほのめかす投稿」や口コミサイト上に「自社のネガティブな情報」をみかけたことがあると回答した。
中途採用担当者に、口コミサイトでみかけた自社のネガティブな投稿の内容や、感じた課題感を自由回答できくと「ありもしない嘘を書かれて、面接がしにくくなった」「ハラスメントがあったと書かれたが内部調査してそんな事はなかった」など、会社への誹謗中傷をはじめ、度を超えた投稿により、会社のイメージダウンだけではなく中途採用活動にも支障をきたしていることがわかった。【図3】
【図3】元社員による投稿を見かけた経験/口コミサイトで見かけたネガティブな書き込み
SNS投稿に対する対応
SNSや口コミサイト上の自社に関する投稿を「日ごろから目視で確認している」中途担当者は4割を超えた(「SNSの不適切投稿がないか日ごろから目視で確認している:41.7%」「口コミサイトの投稿を定期的に目視で確認している:41.4%」)。
人手不足や転職の一般化により近年の転職市場は売り手市場となっており、企業の中途採用担当者も採用が容易とは言えない中で、SNSや口コミサイトの投稿内容の確認や、訂正・削除依頼など、採用業務と直接的な関連が薄いタスクの並行は、負荷にもなるだろう。【図4】
【図4】SNSや口コミサイトへの投稿に対する企業の対応
調査担当者コメント
今回の調査では、転職者はSNSや口コミサイト上で、前職の企業についてポジティブな情報を多く発信している傾向が見受けられました。しかし、残念ながらネガティブな情報が一定数発信されているケースもあります。
中途採用においては「リファレンスチェック」を行う企業もあり、4割強の中途採用担当者がSNSや口コミサイトの投稿を日ごろから確認していることから、退職後に前職企業について度を超えた内容の投稿をすることで、自身のキャリア形成にネガティブな影響を与える可能性も考えられます。
また、中途採用活動を行う企業においては、退職者の投稿が企業のイメージダウンにつながる可能性があるだけでなく、採用業務と並行してSNSや口コミサイトへの投稿の確認や訂正・削除依頼の実施など、採用活動には直接的に関係のない負荷が生じている様子がわかりました。
SNSが普及する昨今、個人の発信を根本的に止めることは難しいですが、企業は出来る限り退職者によるネガティブな投稿がされないよう、従業員のエンゲージメントを高めるため定期的に満足度調査の実施や従業員とのコミュニケーションの場をつくるなど良好な関係性を築く努力を行うことが解決の第一歩になるのかもしれません。
マイナビキャリアリサーチLab主任研究員 関根 貴広
調査概要
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調査名
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転職者のSNS発信と企業対応に関する実態調査 |
| 調査期間 |
<転職動向調査2025年版(2024年実績)> 2024年12月16日~25日
<企業の雇用施策に関するレポート2025年版> 2024年12月18日~25日(企業の雇用施策に関するレポート2025年版) |
| 調査対象 |
<転職動向調査2025年版(2024年実績)> 正社員として働いている20代~50代の男女のうち、2024年に転職した方
<企業の雇用施策に関するレポート2025年版> 従業員数3名以上の企業において、2024年に中途採用業務を担当し、「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者 |
| 調査方法 |
インターネット調査 |
| 有効回答数 |
<転職動向調査2025年版(2024年実績)> 本調査 1,600サンプル
<企業の雇用施策に関するレポート2025年版> 本調査1,500サンプル |