- 企業選択のポイントで「安定している会社」が51.9% で初めて5割を超える。7年連続で最多
- 「給料が良い」も4年連続の増加
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は「マイナビ 2025年卒大学生就職意識調査」の結果を発表しました。本調査は、学生の就職意識や就職活動全体の動向を把握することを目的に、1979年卒より毎年実施しています。調査結果の概要は以下の通りです。
トピックス
- 就職観は「楽しく働きたい」が最多。「個人の生活と仕事を両立させたい 」は3年連続、「収入さえあればよい」は5年連続で増加
- 中小企業志向が増加。初任給引き上げが中小企業に波及したことが影響した可能性。大手企業志向は2年連続で半数を超えるも前年比微減
- 学生が行きたくない会社は「ノルマのきつそうな会社」が今年も最多。「転勤が多い会社」も5年連続で増加し、3割を超える
調査詳細
就職観
- 「楽しく働きたい」が最多
- 「個人の生活と仕事を両立させたい 」は3年連続、「収入さえあればよい」は5年連続で増加
就職観について当てはまると思うものを答えてもらったところ、これまでと同様に「楽しく働きたい」が最多で37.4% (前年比1.5pt減)となった。【図1】
【図1】就職観の推移 ※数字は上位3項目のみに記載 / マイナビ 2026年卒大学生就職意識調査
もっとも増加幅が大きかったのは「個人の生活と仕事を両立させたい」で、前年比1.1pt増の25.6%。3年連続で増加となり、学生のワークライフバランスへの意識の高さがうかがえる。一方で、「収入さえあればよい」(8.4%)も増加傾向にあり、5年連続での増加し、10年前と比べると3倍以上となった。
近年の物価上昇の影響として、「食費」「家賃」「学食・生協の値段」など上昇を感じる学生が増加しているほか(※1)、「お金に対する不安」を感じる学生が増加傾向にある(※2)ことなどから、学生にとって経済的な負担や不安が増している状況が続いていると考えられ、そうした状況から収入に特に強いこだわりを持つ学生が増加を続けていると推測される。
※1:マイナビ2026年卒大学生のライフスタイル調査/2024年11月~12月調査
※2:マイナビ大学生低学年のキャリア意識調査(27・28年卒対象)/2024年12月調査
企業志向
- 中小企業志向が増加。初任給引き上げが中小企業に波及したことが影響した可能性。
- 大手企業志向は2年連続で半数を超えるも前年比微減
大手企業志向(「絶対に大手企業がよい」と「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」の回答の合計) は51.8% で、前年比1.9pt減となった。【図2】
【図2】企業志向(大手志向/中堅・中小志向)の推移 / マイナビ 2026年卒大学生就職意識調査
中堅・中小企業志向(「やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でもよい」と「中堅・中小企業がよい」の合計)は43.0%で、前年比0.1pt増となった。詳細を見ると、もっとも大きく増えていたのは「中堅・中小企業がよい」(7.7%)で、前年比1.9pt増となった。 【図3】
【図3】企業志向(回答項目詳細) / マイナビ 2026年卒大学生就職意識調査
企業による初任給引き上げ予定
「マイナビ2026年卒企業新卒採用予定調査」によると、初任給を引き上げ予定とした企業は2025年卒より増加しており、特に非上場企業においてその増加幅が大きかったことから、初任給引き上げの動きが上場企業以外にも波及していることが推察される。
従業員規模別に見ると、従業員数300人未満の企業の方が、より従業員数の多い企業に比べて、初任給を引き上げる予定と回答した割合が前年より大きく増加している。【図4】
【図4】企業による初任給引き上げ予定(従業員規模別) / マイナビ 2026年卒企業新卒採用予定調査
これまで上場企業・大手企業による初任給引き上げが社会的に注目を集めていたが、非上場企業や中小企業でも初任給引き上げの動きが活発化し、給与等の待遇面の条件が見直されたことが、中小・中堅企業志向の学生が増えた背景の1つと考えられる。
企業選択のポイント
- 「安定している会社」が51.9%。初めて5割を超える
- 「給料が良い」が4年連続の増加
企業を選択する場合にどのような企業がよいか(あてはまると思う項目を2つまで選択)を聞いたところ、「安定している会社」が51.9% (前年比2.0pt増)で7年連続で最多、初めて5割を超えた。【図5】
【図5】企業選択のポイント(上位3項目) / マイナビ 2026年卒大学生就職意識調査
「給料の良い会社」も4年連続で増加し、前年比1.6pt増の25.2% となった。「就職観」【図1】における「収入さえさればよい」という回答を増加と同様に、物価高に伴う経済面への不安や、初任給引き上げ・賃上げといった動向の影響が考えられる。
行きたくない会社
- 「ノルマがきつそうな会社」が最多
- 「転勤が多い会社」が今年も3割を超え、5年連続で増加
行きたくない会社(あてはまる項目を2つ選択)を聞いたところ、「ノルマのきつそうな会社」が前年に続き最多で38.2%(前年比0.7pt減)であった。2番目に回答が多い「転勤の多い会社」は31.0% (前年比0.7pt増)で、今年も3割を超え、5年連続での増加となった。【図6】
【図6】行きたくない会社(上位3項目) / マイナビ 2026年卒大学生就職意識調査
結婚後の仕事に関してどのように考えているか
「転勤の多い会社」が増加している背景の1つとして、近年の学生の共働き志向の高さが考えられる。「マイナビ 2026年卒大学生のライフスタイル調査」(調査期間:2024年11月~12月)によれば、結婚後の仕事に関してどのように考えているかという質問に対して「共働きが望ましい」と回答した学生は全体で72.1%、男子学生で約7割、女子学生で8割となっており、男女ともに共働き志向が高い傾向にある。
ライフスタイルの変化、特に結婚後の仕事のあり方に関する考え方の変化に伴い、転勤により勤務地が頻繁に変更になることに対して抵抗を感じている学生が多いと考えられる。
【図7】結婚後の仕事に関してどのように考えているか / マイナビ 2026年卒大学生のライフスタイル調査
2026年卒の就職活動についての関連記事
マイナビキャリアリサーチLabでは、2026年卒新卒採用・就職活動の展望について、3月1日の広報活動開始時点までの調査データをまとめた以下の記事を公開している。こちらもあわせて参照してほしい。
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2026年卒就職内定率(内々定率)の状況
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調査概要
内容 |
マイナビ 2026年卒大学生就職意識調査 |
調査期間 |
2024年10月1日~2025年3月25日
|
調査対象 |
2026年3月卒業見込みの全国大学3年生、大学院1年生(調査開始時点) |
調査方法 |
WEB入力フォームによる回収 |
有効回答数 |
36,311名 |
有効回答数内訳 |
文系男子 |
文系女子 |
理系男子 |
理系女子 |
総計 |
人数 |
11,044 |
14,946 |
6,495 |
3,826 |
36,311 |
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