- 20代正社員の約2人に1人が「推し活」をしている
- 推し活に使う金額は30代が最も高く平均1万4,692円
- 推し活をしている人ほど「仕事と私生活がどちらも充実している」傾向
株式会社マイナビは、20~59歳の正社員2万人を対象に実施した「推し活※1と仕事」に関する意識調査の結果を発表した。推し活と仕事に関する意識調査はマイナビでは今回が初めてとなる。
※1)「推し活(おしかつ)」とは、有名人やアニメ、ゲーム等のキャラクターや鉄道等、応援する対象にお金を使う消費形態のことを指す。若者の特徴的な消費形態であることや、市場規模の大きさから近年注目されている
トピックス
- 20代正社員の約2人に1人が「推し活」をしている。30代は推し活に使う平均金額が高い傾向。“推し”はどの年代でも「アイドル」が目立つ【図2、3】
- 推し活をしている人の7割以上が「推し活は自分の人生において重要」。推し活をしている人はしていない人と比べて「仕事と私生活がどちらも充実している」傾向【図4、5】
- 正社員の6割以上は、勤め先を選ぶうえで「私生活の充実に繋がる」時間や収入額が重要。推し活をしている人は特に「私生活の充実に繋がるか」が重要である傾向【図6】
- 約4割の中途採用担当者が「私生活充実を支援する制度がある」と回答。制度の具体例は「休暇制度」「祝い金」など【図7】
調査詳細
正社員の「推し活」状況
推し活をしている割合
20~50代の正社員約2万人のうち、「推し活をしている」割合は28.5%だった。【図1】
【図1】正社員の推し活をしている割合/正社員2万人に聞いた「推し活と仕事」に関する意識調査
年代別にみると、20代では「推し活をしている」割合が49.2%と全年代で最も高く、若年層ほど推し活をしている傾向にあることがわかった。【図2】
【図2】年代別に見た正社員の推し活をしている割合/正社員2万人に聞いた「推し活と仕事」に関する意識調査
推し活に使う平均金額と推し活内容
- 30代は推し活に使う平均金額が高い傾向、“推し”はどの年代でも「アイドル」が目立つ
推し活に使う1カ月あたりの「平均金額」を年代別にみると、30代が平均1万4,692円で最多、20代(平均1万4,026円)、40代(平均1万3,093円)、50代(平均1万2,540円)と続いた。20代は他の年代と比べて年収が低い傾向※2にあることを鑑みると、収入に対して推し活にかける金額は他年代と比べて大きい可能性がある。
また、すべての年代共通で「推し」として多く挙げられていたのは「アイドル」で、活動内容はライブやグッズ購入等だった。年代別では、30代40代ではスポーツ選手、30代ではYoutuberがやや目立っていた。【図3】
※2)厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
【図3】推し活に使う金額と活動内容/正社員2万人に聞いた「推し活と仕事」に関する意識調査
推し活についての考え
- 推し活をしている人の7割以上が「推し活は自分の人生において重要」
- 推し活をしている人はしていない人と比べて「仕事と私生活がどちらも充実している」傾向
推し活についての考えを聞いたところ、「推し活をすることで私生活が充実した」と回答した人は79.4%、「推し活は自分の人生において重要な活動だと思う(74.1%)」「推し活のために仕事を頑張っていると思う(61.7%)」と続いた。推し活は仕事のモチベーションにも影響している可能性がみられ、人生において重要な要素だと認識している人が多数派だった。【図4】
【図4】推し活についての考え/正社員2万人に聞いた「推し活と仕事」に関する意識調査
仕事と私生活の充実度合いを比較すると、推し活をしている人はしていない人に比べて「仕事と私生活がどちらも充実している」割合が5pt以上高く、「仕事と私生活がどちらも充実していない」は10pt以上低かった。この結果からも、推し活は仕事と私生活双方の充実に寄与していると考えられる。【図5】
【図5】推し活と仕事・私生活の関係性/正社員2万人に聞いた「推し活と仕事」に関する意識調査
勤め先選びと「推し活」のしやすさ
- 正社員の6割以上は、勤め先を選ぶうえで「私生活の充実に繋がる時間や収入額」が重要
- 推し活をしている人は特に「私生活の充実に繋がるか」が重要である傾向
勤め先を選ぶ際に「私生活の充実に繋がる要素」の有無が影響するかを聞いたところ、「私生活の時間が確保しやすいかどうか」では、「そう思う(「そう思う(28.0%)」+「どちらかと言えばそう思う(37.7%)」)」が6割を超え、「思わない(「そう思わない(2.3%)」+「あまりそう思わない(5.0%)」)」を大きく上回った。推し活の実施有無別にみると、推し活をしている人はしていない人に比べて「そう思う」が9.4pt高かった。
「私生活が充実する収入額かどうか」でも、「そう思う(「そう思う(29.9%)」+「どちらかと言えばそう思う(39.8%)」)」が約7割となり、「思わない(「そう思わない(2.3%)」+「あまりそう思わない(5.0%)」)」を大きく上回った。推し活をしている人は、していない人に比べて「そう思う」が10.5pt高く、私生活における時間の確保のしやすさに加え、「私生活が充実する収入額かどうか」も勤め先を選定するうえで重要視しているようだ。
勤め先の選定は複数の要素を踏まえて行われることが考えられるが、推し活をしている人は特に、私生活を充実させるための時間と収入の両方を重視する傾向がある。【図6】
【図6】勤め先選びへの影響/正社員2万人に聞いた「推し活と仕事」に関する意識調査
企業の制度導入状況
- 約4割の中途採用担当者が「私生活充実を支援する制度がある」と回答
- 制度の具体例は「休暇制度」「祝い金」など
中途採用担当者に「従業員の私生活の充実を支援する制度」があるかを聞くと、39.5%があると回答した。
制度の具体例では、「リフレッシュ休暇」、「誕生日休暇」、「時短勤務」など私生活の時間の確保につながる制度や、「祝い金」など収入増加につながる制度、「スポーツ観戦チケット配布」など趣味や推し活の支援にもつながるような制度など、多様な取り組みが見られた。【図7】
【図7】企業側に私生活充実を支援する制度があるか/正社員2万人に聞いた「推し活と仕事」に関する意識調査
調査担当者コメント
今回の調査では、20代正社員の約2人に1人が推し活をしていることがわかった。若年層が中心ではあるが、30代では3人に1人以上、40代でも5人に1人以上と幅広い年代で「推し活」が行われている。そして推し活をしている人の7割以上が「推し活は自分の人生において重要」と回答したことから、推し活への熱量の高さがうかがえた。
また推し活のために仕事を頑張っているという回答も6割を超えていたことから、推し活は仕事へのモチベーションにもつながっていると考えられ、企業を選ぶうえでも、私生活が充実できそうかどうかという観点は少なからず重要である可能性がみられた。
企業側では今後も、人材獲得・定着のために、さらに多様な制度の導入が検討されると予想される。マイナビが実施している正社員のワークライフ・インテグレーション調査※3によると、仕事と私生活どちらも充実している人は働くモチベーションが高い可能性があるとわかっている。従業員の私生活の充実支援を企業が行うことは、企業にとってもメリットがある可能性がある。
※3)マイナビ正社員のワークライフ・インテグレーション調査2025年
キャリアリサーチLab研究員 朝比奈あかり
調査概要
| 調査期間 |
企業:2025年10月1日~10月5日 個人:2025年10月1日~10月3日 |
| 調査方法 |
インターネット調査 |
| 調査対象 |
企業:2025年1~6月に中途採用業務を担当し、募集活動をしており、採用費用の管理・運用に携わっている人事担当者 個人:従業員数3名以上の企業に所属している全国の20‒50代の正社員 |
| 有効回答数 |
企業:800件 個人:20,165件 |
※調査結果は端数四捨五入の関係で合計が100%にならない場合がある
※n=30以下は参考値