企業の雇用施策に関するレポート2026年版(2025年実績)

関根 貴広
調査担当者
キャリアリサーチLab主任研究員
TAKAHIRO SEKINE
  • 企業は「新規人材の確保」より「人材の定着」を課題視する傾向詳しくはこちら
  • 2025年の賃上げ実施率は約8割、若い年代ほど4%以上の高水準詳しくはこちら
  • 従業員への教育投資をする企業は8割超、投資額は前年比40万円以上の増額詳しくはこちら
  • 転職せず現職に留まる”ビックステイ”到来を予想する企業は8割超詳しくはこちら

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:粟井俊介)は、中途採用業務を担当する企業の人事担当者1,500名に実施した、「企業の雇用施策に関するレポート2026年版(2025年実績)」の結果を発表しました。

企業の人事課題

新規人材の確保か?人材の定着か?

  • 企業は「新規人材の確保」よりも「人材の定着の難しさ」に強い課題感がある
  • さらに「若手の早期戦力化」より「シニア人材の活用が進まない」ことに強い課題感

企業の中途採用担当者に、自社の人材課題として「新規人材の確保の難しさ」と「人材の定着の難しさ」のどちらに強い課題感を持っているかを聞くと、「人材の定着(50.9%)」が「新規人材の確保(25.8%)」を25.1pt上回った。「外部から確保する」ことよりも「内部で定着させる」ことに課題感があるようだ。

また、「若手の早期戦力化」と「シニア人材の活用」における課題の比較では、「シニア人材の活用が進まない(44.2%)」が「若手の早期戦力化が進まない(28.7%)」を15.5pt上回り、若手育成以上にシニア活用が課題になっている。

企業の人材課題は、新規採用数の確保に加え、在籍人材・採用人材の「定着」「活用」「戦力化」へと広がりつつあるようだ。【図1】

【図1】企業が持つ人材関連の課題感(一部項目抜粋) マイナビ 企業の雇用施策に関するレポート2026年(2025年実績)
【図1】企業が持つ人材関連の課題感(一部項目抜粋)

企業の人材定着施策

賃上げによる定着

  • 2025年に前年度より賃金を上げたとする「賃上げ実施率」は全年代で約8割
  • 4%以上の高水準の賃上げは若手ほど手厚く、年代による賃上げ水準にはギャップが

2025年の企業の賃上げ実施率(「前年度より上げた(計)」)は20‐50代の全年代において約8割程度となった。年代別では「30代」が81.7%で最も高く、次いで「20代(80.8%)」、「50代(76.9%)」だったが、年代間の差は5pt未満にとどまる。

一方で、賃上げ率の詳細をみると、4%以上の“高水準”とされる賃上げの割合は「20代(27.1%)」が最多、次いで「30代(24.5%)」となった。「40代・50代」は各20.8%にとどまり、「20代」との差は6.3ptとなった。賃上げ自体の実施率には年代差が少ない一方、賃上げの水準で見ると、若い年代ほど“高水準”である傾向がみられた。

元々の賃金水準や年功による賃金体系の影響も考えられるが、賃上げ自体は広く行われる一方で、「賃上げすること」よりも「賃上げの水準」に差が出始めている可能性が考えられる。【図2】

【図2】2025年の賃上げ実績(年代別) マイナビ 企業の雇用施策に関するレポート2026年(2025年実績)
【図2】2025年の賃上げ実績(年代別)

※厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査

リスキリングなど教育投資による定着

  • リスキリングなど従業員への「教育投資」をする割合は、前年より増加し8割超え
  • 平均投資額も前年比40万円以上の増額、企業規模による投資額に200万円以上の差

従業員への教育投資状況について聞くと、2025年にリスキリングを含む従業員の教育訓練費に「1万円以上投資した(計)」企業は83.5%と、前年(79.2%)より4.3pt増え8割を超えた。従業員数別では「301~1000名」、「1001名以上」で9割を超える一方、「3~50名」では63.2%にとどまり、企業規模により投資状況の差がみられた。

また、教育に関する年間の平均投資額も全体で208.6万円と前年(165.0万円)より43.6万円増加した。
企業規模別にみると、従業員数「1,001名以上」は431.1万円となり、中小企業や準大手を200万円以上も上回り、投資額についても企業規模による差が顕著な結果となった。

技術革新が進み教育投資の重要性が注目されつつある中、教育に対する投資額の差が、採用や人材定着の課題感にも影響する可能性が考えられる。【図3】

【図3】リスキリングを含む2025年の従業員教育訓練費 マイナビ 企業の雇用施策に関するレポート2026年(2025年実績)
【図3】リスキリングを含む2025年の従業員教育訓練費

ビッグ・ステイ(Big Stay)

ビッグ・ステイは日本にも来るのか?

  • 企業の8割以上が、今後日本にも「ビッグ・ステイ」の流れが到来すると予想
  • 2025年に賃上げをした企業ほど、3年以内の早期日本到来を予想

日本では転職率の増加により「大転職時代」とも言われているが、アメリカでは同じ会社に留まる労働者の年間賃金上昇率が、転職する労働者の賃金上昇率を上回る「ビッグ・ステイ(Big Stay)」と呼ばれる現象が見られている。【図4】

【図4】ビッグステイ(Big Stay)とは? マイナビ 企業の雇用施策に関するレポート2026年(2025年実績)
【図4】ビッグステイ(Big Stay)とは?

企業の採用担当者に、「ビックステイ」について、日本でも同様に到来すると思うかを聞いたところ、84.8%が「来ると思う(計)」と回答し、「3年以内に来ると思う(計)」割合は52.0%と半数を超えた。
また、2025年に賃上げを実施した企業では、「来ると思う(計)」が88.3%、「3年以内に来ると思う(計)」が55.7%となり、賃上げしていない企業よりいずれも20ptほど高かった。【図5】

【図5】ビッグステイ(Big Stay)の日本到来予測 マイナビ 企業の雇用施策に関するレポート2026年(2025年実績)
【図5】ビッグステイ(Big Stay)の日本到来予測

日本にもビックステイが来ると思う理由には、「日本独自の雇用慣行・人手不足・働き方改革が主因になり得る」「同じ会社に永く勤めた方が退職金も含めて多く稼げるから」「企業が離職率を下げる目的で、ある程度の期間、就業している社員に対し給与を上げていく可能性がある」などの意見が見られた。【図6】

【図6】ビッグステイの流れが日本にも来ると思う理由(自由回答) マイナビ 企業の雇用施策に関するレポート2026年(2025年実績)
【図6】ビッグステイの流れが日本にも来ると思う理由(自由回答)

総評

労働市場では人手不足による採用難が続く一方、企業は「新規確保」よりも「定着・活用」に課題を感じていることが分かりました。また、賃上げの動きが広がる中でも、企業規模によって賃上げ水準や教育投資額には差がみられました。こうした“手厚さの違い”が、人材の定着や制度改革にどう影響するかが今後の焦点となりそうです。

さらに、中途採用担当者の多くが、アメリカで起きた「ビッグ・ステイ」が日本にも到来する可能性があると見ています。ただし、企業が求めているのは、賃金要因による単なる留まりではなく成長を伴う定着です。企業では評価や配置も含めた処遇・育成の見直しを伴う“日本版ビッグステイ”が来る可能性も考えられます。

今後は人材定着を考える企業にとっても、転職もしくは定着を検討する働く個人にとっても、「成長が伴えているか?」が重要な焦点になっていくと考えられ、企業には若手に限らずシニア層の活用も含め、処遇や育成のあり方を見直し、「ただ残る」のではなく「戦力として定着する」人材を増やしていく取り組みの重要性が、さらに高まっていく可能性があります。

一方で、働く側も自身をアップデートし続けることで、成長を伴った定着や転職となっているかが、今後のキャリア選択において、より重要になってくるのではないでしょうか。

キャリアリサーチLab主任研究員 関根 貴広

調査概要

内容 企業の雇用施策に関するレポート2026年版(2025年実績)
調査期間 予備調査・本調査一体型:2025年12月17日(水)~12月22日(月)
調査対象 従業員数3名以上の企業において、直近(2025年1~12月)に
中途採用業務を担当しており、「採用費用の管理・運用」に携わっている
人事担当者 1,500名
調査方法 インターネット調査
有効回答数 1,500名
元山春香
担当者
キャリアリサーチLab研究員
HARUKA MOTOYAMA

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