「タイムパフォーマンス(タイパ)」とは?言葉の意味や取り組むメリットについて解説
目次
タイムパフォーマンスとは
「タイムパフォーマンス」とは日本語で「時間対効果」と言われ、費やした時間と得られた満足度の相対性を意味する言葉である。
「タイパ」と略されることが多く「タイパが良い」ということは、短い時間で大きな満足を得られた場合を指し、逆に「タイパが悪い」ということは、費やした時間に対して小さな満足しか得られなかった場合を意味する。
時間を効率的に使うことで、より自分がやりたいことをするという行動スタイルにもつながっており、Z世代を中心に「どうやって短い時間でより多くの満足を得るか」という考え方が広まっている。
タイパが浸透した背景
デジタル社会化による環境の変化
現在、スマートフォンやパソコンをはじめとする電子機器が普及したことで、誰でも簡単にインターネットにアクセスができるようになった。
これにより、一個人が得ることができる情報量も大幅に増えた。しかし、それらの情報すべてを精査する時間はないため、短時間で効率的にインターネット上の求める情報にアクセスする必要がある。結果としてタイパを意識する人が増えた。
このような背景もあり、調べたい言葉に関連するWebサイトを瞬時に探し出すことができる検索エンジンや、自分が興味のあるコンテンツだけを表示させるフォロー機能など、ITツールを活用する人も増えてきている。
個人の価値観の変化
Z世代だけではなく、ビジネスパーソンの間でもタイパを意識している人は多い。それではなぜタイパが注目されているのか?それは労働者一人ひとりの価値観が変化したことが大きい。
まず、デジタルネイティブと呼ばれるZ世代の存在が挙げられる。彼らは子供の頃からITツールを使い慣れているため、短時間で必要な情報を見つけること、つまりタイムパフォーマンスを意識した行動をすることはごく自然である。
さらに、労働者を取り巻く環境も変化したことも挙げられる。今までは一つの会社に長く勤めることが一般的とされていたが、キャリアアップやより良い待遇を求めて転職するケースも珍しくない。
これらの要素が重なり、仕事をなるべく早く切り上げて、浮いた時間をスキルアップやプライベートにあてたいという労働者は増えてきているのだ。
個人がタイパを意識して働くメリット
限られた時間でできるだけ多くの成果を得ようとする「タイパの良い行動」はビジネスにとっても欠かせない要素の一つだ。では、個人がタイパを意識して行動するとどんなメリットがあるだろうか?詳しく見ていこう。
生産性の向上
これまでと同じ成果をより短い時間で出すためには、一度業務を見直す必要がある。具体的には「どの工程に時間がかかるのか」「どうすればより短時間にできるのか」など、各工程をブラッシュアップすることで、時間や労力を抑えることができ、結果的に生産性が向上する。
また、生産性の高い仕事ができれば、高い評価を得ることができ、昇進や賞与などのチャンスも生まれるかもしれない。
ワークライフバランスの向上
効率的に仕事が終わらせることができれば、残業をする必要はない。これまで残業をしていた時間をスキルアップや勉強、子育てといったプライベートの時間にあてることで、結果として社員のワークライフバランスは向上するだろう。
企業がタイパを意識して業務改善に取り組むメリット
生産性の向上・業務の効率化
作業フローの見直しやITツールの導入によって業務効率化を進めることができる。たとえば、チャットの利用回数を増やすことで会議の時間を削減させることや、業務管理システムを導入し、顧客情報や商談履歴などを一元化させることで、情報管理をより簡単にすることができる。
これらの取り組みにより、限られた労働力でも従来通りの成果、またはそれ以上の成果を得ることができるようになる。
優秀な人材の確保
業務改善が進められれば、労働時間も削減されるため、企業側も社員のライフスタイルに合わせた働き方を整える余裕が生まれる。そして、多様な働き方が促進されれば、今までは会社勤めが難しかった労働者にも働くチャンスが生まれるのだ。
たとえば、時短勤務ができる職場であれば、育児や介護、病気などでフルタイム勤務ができなかった社員も働くことができる。加えて、採用の幅を広げたことで、企業と優秀なスキルを持つ人材が出会う確率が高くなるだろう。
まとめ
このようにタイパを意識することで得られるメリットは、企業と労働者のどちらにもあり、タイパを高めるためには、タスクに優先順位をつけたり、ITツールを活用したりするなどが挙げられる。
ただ、いずれにしても限られた時間の中で、すべてを完璧にこなすのは難しい。計画倒れに終わらないためにも、ある程度のクオリティで見切りをつけることもタイパには必要である。
また、あまりにタイパを重要視し過ぎると『時短』がすべてとなり、かえって仕事のパフォーマンスを落としてしまうこともある。
たとえば、結果までの過程で得られるはずの学びの機会を逃したり、物事の理解が浅いまま作業を進めてしまったりと、本末転倒になってしまう恐れもある。業務の重要性や難易度に応じて、うまくタイパを使い分けることが働く上で重要になってくるだろう。