企業の雇用施策に関するレポート(2022年版)
- 5割を超える企業が「新規採用者の賃上げを予定」「教育訓練費を増やす予定」と回答
- 人材投資への意欲は高く、賃上げ予定の水準は「前年度より10%以上」が最も多い
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、全国の民間企業等を対象に、中途採用業務のうち「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者を対象に実施した「企業の雇用施策に関するレポート(2022年版)」の結果を発表しました。
トピックス
- 【賃上げ】2022年度に新規採用者の賃上げ予定がある企業は56.0%。賃上げ予定の水準は「前年度より10%以上」が最も多い。業種別では「不動産・建設・設備・住宅関連」「メーカー」が6割を超える。【図1、2】
- 【教育訓練費】「増やす予定」と回答した企業は50.9%。DX化・リスキリングへの対応が目的で、人材育成への意欲が高い。一方、「従業員数50名以下」「サービス・レジャー」は3割台に留まる【図3、4】
- 【高年齢者の雇用】「定年を65歳までにしている」企業が最も多い。再雇用後の就労時間・業務量・給与はいずれも減少するが、特に給与の減少が顕著に。【図5、6】
- 【企業の副業・兼業者の受け入れ職種】企業の副業・兼業者の受け入れ実績がある職種は「営業」「企画・経営」「管理・事務」が7割から8割程度でTOP3。いずれの職種も受け入れている雇用形態は「正社員」が半数以上【図7】
調査詳細
新規採用者の賃上げ予定
- 2022年度に新規採用者の賃上げ予定がある企業は56.0%
- 賃上げ予定の水準は「前年度より10%以上」が最も多い
- 業種別では「不動産・建設・設備・住宅関連」「メーカー」が6割を超える
2022年度の新規採用者の賃上げについて、前年度より「上げる予定※」の合計は56.0%だった。内訳をみると、賃上げ予定の水準は「前年度より10%以上」が22.4%で最も多く、次いで「前年度より1.5%以上~4%未満」が15.6%、「前年度より4%以上~10%未満」が14.4%となり、新規採用者の賃上げを行う予定の企業においては、高水準の賃上げ実施が期待できる回答結果となった。
業種別では、「不動産・建設・設備・住宅関連(63.1%)」「メーカー(61.4%)」で「上げる予定」の合計が6割を超えた。「商社」では「上げる予定」は50.0%と半数に留まるが、賃上げ水準は「前年度より、10%以上の水準で上げる予定」が28.3%となり、最も水準が高い。【図1】
【図1】新規採用者の賃上げ予定[前年度比](単一回答)
※「前年度より10%以上の水準で上げる予定」「前年度より4%以上~10%未満の水準で上げる予定」「前年度より1.5%以上~4%未満の水準で上げる予定」「前年度より、1.5%未満の水準で上げる予定」の合計
新規採用者の賃上げを行う理由
新規採用者の賃上げを行う理由(自由回答)としては、「これから新規採用を積極的に行いたいと考えている(金融・保険・コンサルティング)」「政府の意向を聞き入れ、税制優遇を考慮して(メーカー)」などの回答がみられた。賃上げ促進税制の影響や、企業の新規採用意欲の高まりが表れている。【図2】
【図2】新規採用者の賃上げを行う理由(自由回答)
教育訓練費の増減予定
- 教育訓練費を「増やす予定」と回答した企業は50.9%
- DX化・リスキリングへの対応が目的で、人材育成への意欲が高いが、「従業員数50名以下」「サービス・レジャー」は3割台に留まる
教育訓練費の増減について、前年度より「増やす予定※」の合計は50.9%。従業員数規模別では、「301名以上」の企業で6割を超えたが、「50名以下」の企業では32.2%に留まった。業種別では、「不動産・建設・設備・住宅関連」で前年度より「増やす」が56.3%で最も高く、次いで「メーカー」56.1%、「IT・通信・インターネット」55.9%と続く。
反対に「サービス・レジャー」では前年度より「増やす」が35.5%と最も低く、TOP3の3業種と比べ20%以上の差がでる結果となった。【図3】
【図3】教育訓練費の増減予定[前年度比](単一回答)
※「前年度より10%以上の水準で増やす予定」「前年度より4%以上~10%未満の水準で増やす予定」「「前年度より1.5%以上~4%未満の水準で増やす予定」「前年度より、1.5%未満の水準で増やす予定」の合計
教育訓練費を前年度より増やす理由
教育訓練費を前年度より増やす理由(自由回答)としては、「リスキリングの必要性を感じている(メーカー)」「IT、ネット、PC、AI、ロボットなどに掛かる技術習得が必要なため(流通・小売り・フードサービス)」などの回答があり、DX推進に対応できる人材などの育成・リスキリングを、企業主体で行う意欲の高さを感じさせる。【図4】
【図4】教育訓練費を前年度より増やす理由(自由回答)
高年齢者雇用と再雇用
- 高年齢者の雇用について、「定年を65歳までにしている」企業が最も多い
- 再雇用後の就労時間・業務量・給与はいずれも減少するが、特に給与の減少が顕著に
高年齢者の雇用について、「定年を65歳までにしている」が38.2%で最も多く、次いで「65歳までの再雇用制度を導入している」が19.8%となり、65歳をひとつの区切りとした企業が多い。
一方で、「定年制を撤廃している」は全体で13.1%に留まったが、従業員数別でみると「50名以下」の企業で24.9%と、従業員数が少ないほど定年制を撤廃している傾向にある。【図5】
【図5】高年齢者雇用の対応種類(単一回答)
再雇用制度を導入する企業に対し、再雇用後の1週間あたりの就労時間、業務量、給与(賃金)の増減についてきいたところ、いずれも再雇用前より減少する企業が多かった。
特に顕著に減少していたのは給与で、「(給与が)定年前より減っている(定年前より-2割以上)」と回答した割合は40.5%にのぼった。再雇用契約後の給与は、就労時間・業務量に比べ減少幅が大きく、再雇用者の働く意欲の低下が懸念される。【図6】
【図6】再雇用者の就労時間・業務量・給与の定年前比較(単一回答)
副業・兼業者の受け入れ実績
- 企業の副業・兼業者の受け入れ実績がある職種は「営業」「企画・経営」「管理・事務」が7割から8割程度でTOP3
- いずれの職種も受け入れている雇用形態は「正社員」が半数以上
副業・兼業者を受け入れている企業において、受け入れ実績がある職種は「管理・事務」が79.9%で最も多く、次いで「営業」77.0%、「企画・経営」74.2%となった。また、受け入れ実績のある職種別に、最も多く受け入れている雇用形態をみると、「管理・事務」「営業」「企画・経営」のすべてで「正社員」が5割を超えた。
一方で、非正規社員としての受け入れが多い職種は「保育・教育・通訳」が60.6%で最も多く、次いで「販売・フード・アミューズメント」58.4%となり、職種によって受け入れる雇用形態に違いがあることがわかる。【図7】
【図7】<職種・雇用形態別>副業・兼業者の受け入れ実績(単一回答)
調査概要
内容 | 企業の雇用施策に関するレポート(2022年版) |
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調査期間 | 2022年1月21日(金)~1月24日(月) |
調査対象 | 従業員数3名以上の企業において、直近(2021年1~12月)に中途採用業務を担当しており、「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者 |
調査方法 | インターネット調査 |
有効回答数 | 1,400件 |
レポート内目次
- 実施済みの施策・今後実施予定の施策
- 副業・兼業について
- 早期・希望退職制度の実施、今後の実施予定
- 高年齢者の雇用について
- 【賃上げ・教育訓練費】の増減予定
詳しくは下のPDFデータをご覧ください