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企業の雇用施策に関するレポート(2024年版)

7割以上の企業が2023年に賃上げを実施し、2024年にも予定している
~4社に3社が2024年度の従業員教育(リスキリング)費を上げる予定~

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、全国の民間企業等を対象に、中途採用業務のうち「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者を対象に雇用施策の導入傾向や今後の意向を明らかにすることを目的とした「企業の雇用施策に関するレポート(2024年版)」の結果を発表しました。

調査概要

調査期間 2023年12月15日~12月18日
調査方法 インターネット調査
調査対象 従業員数3名以上の企業において、直近(2023年1~12月)に中途採用業務を担当し、
「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者
有効回答数 1,400件

※調査結果は、端数四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります。
※n=30以下は参考値としております。

TOPICS

  • リスキリングなどの従業員教育費の平均は344.5万円。7割以上の企業が2024年度の従業員教育費を上げる予定。
  • 2023年に賃上げを行った企業は78.2%。2024年に賃上げ予定がある企業は73.9%で、持続的な賃上げ実現への期待感が高まる
  • 中途採用担当者の約3割が「人材の管理」「人材の評価」でAIを利用
  • 中途採用担当者が想定する、直近1年間に採用した中途社員の在籍期間は平均4年。流通・小売・フードサービスでは3年未満

調査詳細

従業員教育(リスキリング)費用と今後の増減予定

リスキリングなどの従業員教育費の平均は344.5万円。7割以上の企業が2024年度の従業員教育費を上げる予定

2023年に企業が従業員に使った教育訓練費(リスキリング費用含む)は年間平均344.5万円。金額別では「1~49万円」が45.5%と最も多かった。業種別では、金融・保険・コンサルティングが554.1万円で最多。一方、医療・福祉・介護は128.9万円で最も低かった。【図1】

リスキリング費用を含む企業の教育訓練費
【図1】リスキリング費用を含む企業の教育訓練費

2024年度の増減予定を聞くと、73.2%の企業が上げると回答し、2023年の教育訓練費の金額が高いほど、10%以上の高水準で教育訓練費を増加させる予定となった。【図2】

2024年のリスキリング費用を含む教育訓練費の増減予定
【図2】2024年のリスキリング費用を含む教育訓練費の増減予定

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賃上げ実績と、今後の賃上げ予定

2023年に賃上げを行った企業は78.2%。2024年に賃上げ予定がある企業は73.9%で、持続的な賃上げ実現への期待感が高まる

2023年に現従業員の賃上げ(賃金のベースアップ)を行った企業は78.2%で、そのうち「前年度より、10%以上の水準で上げた」は24.2%となった。
業種別にみると、「メーカー」「金融・保険・コンサルティング」「IT・通信・インターネット」で、「上げた」が8割以上と高い。また、「環境・エネルギー」では前年度より10%以上の水準で上げたが、3割を超えた。
今後2024年の賃上げ予定では、「上げる」が73.9%、そのうち「前年度より、10%以上の水準で上げる予定や検討がある」は25.8%となり、持続的な賃上げ実現に期待が持てる結果となった。【図3】

2023年の賃上げ実績と今後2024年の賃上げ予定
【図3】2023年の賃上げ実績と今後2024年の賃上げ予定

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人事業務でのAI利用率

中途採用担当者の約3割が「人材の管理」「人材の評価」でAIを利用

中途採用担当者が人事業務でAIを利用した割合は「人材の管理(31.9%)」が最多で、「人材の評価(29.4%)」が続いた。4社に1社以上が人事業務でAIを利用しており、今後の利用についても全項目で7割程度が肯定的としている。
AIにより感情の伴わない客観的な判断や業務の効率化を実現することはできるが、AIも人も完璧ではないことを認識し、バランス良く業務に取り入れることが重要だと考える。【図4】

人事業務でのAI利用率と今後の利用の賛否
【図4】人事業務でのAI利用率と今後の利用の賛否

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中途採用担当者が想定する「中途社員の在籍期間」

中途採用担当者が想定する、直近1年間に採用した中途社員の在籍期間は平均4年。流通・小売・フードサービスでは3年未満

中途採用担当者が想定する、2023年1年間に採用した中途社員の平均在籍期間は約4年(47.5カ月)となった。業種別にみると、「メーカー」は4年9カ月(57.0カ月)で最も長く、反対に「流通・小売・フードサービス」では約2年6カ月(30.2カ月)となり、在籍期間3年未満を想定して中途社員を採用している。【図5】

中途採用担当者が想定する中途社員の在籍期間
【図5】中途採用担当者が想定する中途社員の在籍期間

想定在籍期間の理由について、3年未満を想定する人事担当者からは「転職が当たり前の時代だから」、5年以上を想定する人事担当からは「5年以内には採用に掛けた労力を回収できるから」などのコメントが挙がった。
企業側でも転職の一般化が認識され、中途採用者の再転職も見越した採用活動を行っている様子がうかがえる。【図6】

中途社員の想定在籍期間-その理由
【図6】中途社員の想定在籍期間-その理由

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調査担当者のコメント

政府では「物価高を上回る所得増」を掲げ、賃上げを実現した企業への税制優遇を行うなど、企業の賃上げに注目が集まっています。
今回の調査では2023年に賃上げを行った企業、今後2024年に賃上げを予定する企業ともに7割を超え、持続的な賃上げ実現に期待の持てる結果となりました。また、賃金アップの一因ともなるリスキリングなどの従業員の教育訓練費について、7割以上の企業が今後2024年に教育費を上げる予定としています。しかし、業種間でギャップもあり、課題は様々であることもうかがえます。
今後はテクノロジーの活用に合わせ、従業員の定着のためにも積極的なリスキリングなどの教育訓練と賃上げをバランスよく推進していくことが、企業に求められるのではないでしょうか。

マイナビキャリアリサーチLab 主任研究員 関根 貴広

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INDEX

  1. 実施済みの施策・今後実施予定の施策/人的資本経営の情報開示
  2. 教育訓練(リスキリング)費用・賃上げについて
  3. リスキリングの実施、リスキリング内容
  4. 人事業務におけるAIの利用
  5. 高年齢者雇用安定法(定年延長)について
  6. 副業・兼業について
  7. 中途社員の想定在籍期間など

詳しくは下のPDFデータをご覧ください

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