多様な働き方とは?メリットや課題、制度の種類、調査結果を紹介

キャリアリサーチLab編集部
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働く時間や場所、雇用形態の選択肢が広がり、働き方の多様化が進んでいる。理由としては、少子高齢化による生産年齢人口の減少や、価値観・ライフスタイルの変化などが挙げられる。

多様な働き方にはさまざまなメリットがあり、人材確保や生産性向上の鍵を握ると言われている一方、管理の複雑化や評価の難しさなど、課題もある。本記事では、多様な働き方とは何か、制度の種類やメリット、課題点、そしてマイナビが行った各種調査結果をわかりやすく解説する。

目次

多様な働き方とは何か?

多様な働き方とは、働く時間や場所、雇用形態にとらわれず柔軟に働き方を選択できる状態を指す。これまでの日本では、出社前提のオフィスワーク、長時間労働や年功序列、終身雇用といった「均一で画一的な働き方」が主流であった。

しかし近年は、価値観や技術の変化、働き方改革の推進などを背景に、テレワークやフレックスタイム、副業・兼業の解禁など「多様で自律的な働き方」へと大きくシフトしている。働く人々の価値観やライフスタイルが変化し、育児や介護と仕事の両立や副業兼業など、それぞれがワークライフバランスを実現しながら働くことのできる環境が求められている

多様な働き方が求められる背景

それでは、なぜ多様な働き方が求められているのか。その背景を見ていく。

少子高齢化・生産年齢人口の減少

日本では少子高齢化が急速に進み、生産年齢人口(15歳〜64歳の働く可能性のある人口)の減少が社会課題となっている。

多くの業界で慢性的な人材不足が発生しており、従来のようなフルタイムや定時出社ができる人のみを採用していく仕組みでは人材の確保が難しい。そのため、育児や介護と両立したい人や高齢者、地方在住者など、多様な背景を持つ人が働き続けられる環境づくりが不可欠になっている。

働き手の価値観・ライフスタイルの変化

働き手の価値観の変化により、働き方の多様化が求められている背景もある。特に若手世代や子育て世代を中心に、「働く場所や時間の自由度」「自分のライフスタイルに合わせた働き方」を重視する傾向が強まっている。

マイナビが行った調査では、大学生に対し「就職先に求める福利厚生制度」を聞いた。(「2026年卒 大学生キャリア意向調査3月<就活生のワークライフバランス意識>」)もっとも多かった回答が「交通費支給制度(57.0%)」、次いで「住宅手当・家賃補助制度(53.6%)」と費用に関するものが上位にくるなかで、「在宅ワーク・リモートワーク制度」が42.7%と希望している学生が4割以上いる。【図1】

【図1】就職先に求める福利厚生制度/「2026年卒 大学生キャリア意向調査3月<就活生のワークライフバランス意識>」
【図1】就職先に求める福利厚生制度/「2026年卒 大学生キャリア意向調査3月<就活生のワークライフバランス意識>

そのほか、「時間単位で有給が取得できる制度」が32.2%、「短時間勤務制度」が28.1%、「週休3日制度」が26.6%という結果になっており、少なくない数の学生が多様な働き方ができる環境を望んでいることが見て取れる。

社会人においては、転職した・する予定の正社員に対して「どんな企業に応募したいか」を聞いており、「給与が良い(24.2%)」「休日や残業時間が適正範囲内で生活にゆとりができる(10.6%)」に次いで「リモートワーク・在宅勤務が可能(7.9%)」となった。(「2025年12月度 中途採用・転職活動の定点調査」)【図2】

【図2】どんな企業に応募したいか/「2025年12月度 中途採用・転職活動の定点調査」
【図2】どんな企業に応募したいか/「2025年12月度 中途採用・転職活動の定点調査

これらの結果から、仕事中心の生活ではなく、自分らしい働き方や生き方を大切にしたいという価値観が広まっている様子がうかがえる

ワークライフバランスについてはこちらの記事でも解説している。

政府の働き方改革と企業の人材戦略の転換

政府は2019年の「働き方改革関連法」の施行以降、長時間労働の是正や待遇格差の改善、年休取得促進など、働き方に関する制度改善を進めている。これにより、企業は制度面だけでなく、働き手の多様なニーズを満たす労働環境を整えることが義務的な課題となっている。

働き方改革についてはこちらの記事でも解説している。

また、企業の人材戦略として、採用活動が難しくなるなかで「どのように人材を確保し定着させるか」が重要になっている。ここで、マイナビが正社員に向けて行った「正社員のワークライフ・インテグレーション調査2025年版(2024年実績)」の結果を見る。仕事とプライベートの双方を充実させて、人生を豊かにするという考え方である「ワークライフ・インテグレーション」を実現できている人は仕事も私生活も満足しており、働くモチベーションも高い傾向にあるという結果が見えた。

そして、ワークライフ・インテグレーションの実現には「働く時間や場所の柔軟性」が影響していることも明らかになった。

調査の詳細は以下ページをご覧いただきたい。

また、ワークライフ・インテグレーションとは何かについては以下の記事で解説している。

このことからも、従業員の多様な働き方に関するニーズに対処できないと人材定着が厳しくなる可能性が高まっているといえるだろう。

コロナ禍によるテレワーク普及と加速

2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大は、多様な働き方の普及を一気に加速させた。外出自粛や感染対策の必要性から、リモートワークやオンライン会議が一般化し、「出社しなくても業務ができる」働き方が大きく浸透した。

これを機に、働き手のワークライフバランスに対する意識も変化し、柔軟な働き方を求める声がより強まったといえる。

日本におけるリモートワークについては以下の記事で解説している。

多様な働き方の種類(代表的な制度一覧)

それでは、ここからは多様な働き方にはどのような制度があるのかを紹介する。

テレワーク(在宅・モバイル・サテライト)

テレワークとは、ICTを活用してオフィス以外の場所で働く制度のこと。代表的な形態としては、自宅で業務を行う「在宅勤務」、移動中や外出先で働く「モバイルワーク」、専用の外部拠点を利用する「サテライトオフィス勤務」がある。

コロナ禍をきっかけに急速に普及し、場所に縛られない働き方が一般化した。通勤ストレスの軽減や、遠隔地に住む優秀な人材の活用など、多くのメリットがある。

フレックスタイム制・スーパーフレックス

フレックスタイム制は、従業員が勤務時間を総労働時間の範囲内で柔軟に調整できる制度。フレックスタイム制には、必ず勤務しなければならない「コアタイム」があるが、生活スタイルに合わせた働き方がしやすく、生産性向上にもつながるとされている。

また近年は、コアタイムを設けないスーパーフレックスタイム制を導入する企業もあり、時間の自由度がさらに高まることで集中できる時間帯に業務を行える点が特徴だ。育児や介護との両立もしやすく注目されている。

フレックスタイム制については以下の記事で詳しく解説している。

時差出勤・勤務間インターバル

時差出勤は、始業・終業時刻を定時の前後に調整し、通勤ラッシュを避けたり生活事情に合わせたりできる制度である。通勤ストレスの軽減や感染症リスクの低減などの効果がある。

また、勤務と勤務の間に一定時間以上の休息を確保する勤務間インターバル制度も注目されている。これは、過重労働を防ぎ、従業員の健康管理や生産性維持に役立つ仕組みである。

短時間勤務・短時間正社員制度

短時間勤務制度は、育児や介護、健康上の理由などによりフルタイム勤務が難しい従業員に対し、所定労働時間を短縮して働ける制度である。

なかでも短時間正社員制度は、フルタイムと同じ正社員としての安定性を保ちながら、無理のない労働時間で働ける点が特徴。多様な人材の活躍を促し、離職防止にもつながる。厚生労働省の「多様な働き方の実現応援サイト」でも、短時間正社員や勤務地限定正社員などの「多様な正社員」制度導入支援について紹介している。

副業・兼業(複業)

副業・兼業は、本業以外の業務に従事する働き方である。所得の増加やスキル習得、人脈形成など、働く個人にとって多くのメリットがある。また、企業側にとっても、副業で得た知識や経験が本業に還元される「シナジー効果」が期待され、人材の定着にもプラスとなり得る。

副業の解禁は義務化されているわけではないが、政府としても「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成するなど推進する動きがある。

なお、副業と同じ読み方で「複数」の字をあてる「複業」は、字の通り複数の業務を持つことで、「パラレルワーク」とも呼ばれる。複数の仕事を本業として担うこともあり専門性が求められるが、収入増だけでなくリスク分散などのメリットもある。

ジョブ型雇用・業務委託・フリーランス活用

ジョブ型雇用は、職務内容を明確に定義し、その職務に最適なスキルを持つ人材を採用・配置する雇用形態のこと。成果が明確化されやすく、専門性を生かしやすい。

ジョブ型雇用については、以下の記事で解説している。

さらに、業務単位で外部に発注する業務委託や、フリーランス人材の活用も広がっている。企業は必要なスキルを柔軟に確保でき、従業員は副業として業務委託やフリーランスで働くというように、多様な働き方を選択できる。

週休3日制・その他の新しい勤務体系

労働時間や休日体系を見直す取り組みとして、週休3日制や勤務間インターバル、時間単位の有給休暇制度など、より柔軟な勤務体系の導入が進んでいる。

週休3日制は、働き手のワークライフバランス改善だけでなく、企業にとっても生産性向上や採用力強化につながる施策として注目されている。

週休3日制については、以下の記事で解説している。

また、その他の休暇制度についてはこちらの記事で紹介している。

多様な働き方が企業にもたらすメリット

企業が多様な働き方を推進することで、どのようなメリットがあるのか。以下に紹介する。

人材確保・採用競争力の向上

多様な働き方を導入することは、企業の採用力を高めることにつながる。育児中や介護中の人、地方在住者、転勤が難しい人など、従来の「出社前提かつフルタイム勤務」では採用できなかった人材が働きやすくなるため、人材プールが拡大する。

また、働き方に柔軟性がある企業は「働きやすい会社」として評価されやすく、若年層や専門職の応募増加にも寄与するだろう。

マイナビが行った「転職活動実態調査(2025年)」(直近1年間(2024年7月~2025年6月)に転職活動をした正社員を対象)では、「転職活動でこだわった点」を聞いた。

結果を見ると、「福利厚生が整っていること」にこだわりがあったと答えた人は67.7%、「柔軟な働き方ができること(リモートワーク・フレックスタイム等)」にこだわりがあったと答えた人は55.0%であり、いずれも半数以上の人がこだわりを持って転職活動をしている。【図3】

【図3】直近の転職活動でこだわった点/「転職活動実態調査(2025年)」
【図3】直近の転職活動でこだわった点/「転職活動実態調査(2025年)

このことからも、多様な働き方ができる施策を行うことで、採用競争力の向上が見込めるといえるだろう。

従業員のモチベーション・満足度向上

多様な働き方は、従業員のワークライフバランスを改善し、心理的・身体的負担を軽減できる。また、自分の生活や価値観に合った働き方が選べることで、職場に対する満足度が高まり、エンゲージメント向上にもつながる。

エンゲージメントについては以下の記事で詳しく説明している。

生産性向上と業務効率化

多様な働き方は、生産性の向上や業務効率化の観点でも効果的である。テレワークやフレックスタイム制度は、通勤時間の削減や集中できる時間帯での勤務を可能にし、業務効率の向上に直結。

前項の従業員エンゲージメント向上により、仕事に対するモチベーションが上がることで生産性のアップにもつながる。

企業イメージの向上・離職防止

多様な働き方を積極的に推進する企業は「従業員を大切にする会社」としてのブランド価値が高まり、対外的なイメージの向上が期待できる。

特に若い世代は、働きやすさや柔軟性を重視する傾向が強いため、企業イメージ向上は採用力にも直結する。また、従業員が自分に合った働き方を選べることで、離職率の低下にもつながる。

マイナビが新卒採用を行っている企業に対して行った「2026年卒企業新卒採用活動調査」では、「入社後の社員の長期定着に効果を感じているもの」として「給与(初任給・基本給)引き上げ(39.3%)」に次いで31.7%が「福利厚生の拡充」と回答した。【図4】働きやすさを整えることで、人材の定着にも効果がありそうだ。

【図4】入社後の社員の長期定着に効果を感じているもの/「2026年卒企業新卒採用活動調査」
【図4】入社後の社員の長期定着に効果を感じているもの/「2026年卒企業新卒採用活動調査

イノベーション創出と組織活性化

多様な働き方は、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍する機会を生み、結果として社内に多様な視点が集まる。その結果、新しいアイデアが生まれやすい土壌がつくられ、企業のイノベーション創出につながる。

多様な働き方の課題

働き方の多様化は多くのメリットがある一方、課題もある。企業は以下に紹介する課題を考慮しながら、制度設計や運用ルールを工夫して多様な働き方を進める必要がある。

管理職の負担増とマネジメントの難しさ

多様な働き方が導入されると、従業員の勤務形態や働く場所がそれぞれ異なるため、管理職の業務が複雑化しやすくなる。特にテレワーク環境では、「仕事の進捗が見えにくい」「コミュニケーションの頻度が低下する」などの課題が生じ、マネジメントの難易度が上がり管理職の負担が増えるおそれがある。

対策としては、評価基準を明確化することや、ICTツールの活用で進捗を「見える化」すること、またリモートマネジメントや心理的安全性を高めるコミュニケーション方法といった管理職向けの研修を実施することが有効であると考えられる。

心理的安全性については以下の記事で詳しく解説している。

制度定着までの時間・組織文化とのギャップ

多様な働き方を導入しても、「出社している人が評価される」「長時間労働の方が頑張っている」といった旧来型の価値観が残っていると、制度がうまく浸透せず形骸化するおそれがある。

このような課題に対しては、制度の目的を繰り返し発信して誤解を防ぐ、段階的に制度を拡大して無理なく文化を変えるなどの方法をとり、長期的な目線での運用が求められる。

情報セキュリティ面でのリスクも

テレワークや外部委託が増えると、情報漏えいや不正アクセスなどのセキュリティリスクが高まる。多様な働き方の導入には実務的な運用課題が伴うため、セキュリティポリシーの策定やツールの統一、アクセス管理などの対策が必要となる。

多様な働き方に関する調査を紹介

マイナビでは、ここまで紹介した以外にも多様な働き方に関する調査を多数行っている。以下に紹介するので、気になる情報を探してみてほしい。

マイナビ ライフキャリア実態調査 2025年版

リモートワークの実態や副業兼業などについて聞いている。

転勤と転職に関する調査レポート(個人・企業)

転勤に関する施策において「リモートワーク」や「地域限定正社員」の実施状況を聞いている。

2025年12月度 中途採用・転職活動の定点調査

「どんな企業に応募したいか」「現在の勤め先に決定した理由」を聞いた結果、リモートワークやフレックスが選択肢になっていることがわかる。

中途採用実態調査2025年版

多様な働き方のための実施雇用施策について聞いている。

正社員のワークライフ・インテグレーション調査2025年版(2024年実績)

導入済みの従業員向け施策と、利用して満足度が高い従業員向け施策を聞いている。

企業の雇用施策に関するレポート(2025年版)

「従業員施策および採用者向け施策」や「副業・兼業者受け入れサービス」について聞いている。

2026年卒 大学生キャリア意向調査9月<学生のテレワーク意向>

学生にとって理想的なテレワーク日数と入社予定先の勤務体系を聞いている。

2026年卒 大学生キャリア意向調査3月<就活生のワークライフバランス意識>

就職先に求める福利厚生を聞いている。

2026年卒企業新卒採用活動調査

「人事制度等の取り組みについて」や「採用広報で学生に対してアピールしているワークライフバランスの内容」を聞いている。

本記事は新しい調査や記事を公開次第更新していく。

矢部栞
担当者
キャリアリサーチLab編集部
SHIORI YABE

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