- 2024年のマイナビ転職の求人件数は2019年平均比174.6%
- 2024年の正社員の転職率は前年から微減。転職後に年収が上がった割合は約4割
株式会社マイナビは、2024年における中途採用・転職市場を3部構成でまとめた、「中途採用・転職総括 レポート2025年版(2024年実績)」を発表した。第1部は「雇用市場の概況」、第2部は「企業の中途採用状況」、第3部は「求職者の動向」についてまとめている。
トピックス
雇用市場の概況
有効求人数・有効求職者数および有効求人倍率の推移
2024年の有効求人倍率は1.25倍(前年比0.06ptマイナス)。前年と比べ求人数が減少し、求職者数が増加したことで有効求人倍率は上昇した。【図1】
【図1】有効求人数、有効求職者数および有効求人倍率の推移
出典:厚生労働省 一般職業紹介状況 パートタイム含む実数
雇用人員 判断D.I.
2024年は業種問わず「人材不足」の状態で推移している。不足感は変わらず高い様子が見られ、前年から人材不足がさらに加速したといえるだろう。
業種別で見ると特に「宿泊業,飲食サービス業」で人材不足の傾向が強まっており、インバウンド需要や個人消費の堅調さがうかがえる。【図2】
【図2】雇用人員 判断D.I.(「不足」-「過剰」)ー正社員等 5月時点の年推移
出典:厚生労働省「労働経済動向調査」
企業の中途採用状況
マイナビ転職の掲載求人件数推移
2024年の求人掲載数は前年を上回り、企業の正社員採用活動はさらに活発に実施されていた。2025年以降は200%以上の高水準で推移している。【図3】
【図3】マイナビ転職 掲載求人件数推移(2019年平均を100%とした)
出典:マイナビ「正社員求人の掲載数・応募数推移レポート」
2024年の中途採用の見通し
今後の企業の中途採用活動はさらに活発化する見通し。業種別で見ると、「経験者採用に積極的計」は「運輸・交通・物流・倉庫」が最も高く、「未経験者採用に積極的計」は「サービス・レジャー」が最も高かった。【図4】
【図4】今後(2025年)の中途採用の見通し
出典:マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」
中途採用の賃上げ予定
2024年に中途採用者の賃金を上げた企業は約8割。2025年に賃上げ予定の企業は約7割。業種別で見ると、「メーカー」が最も「上げる予定」の割合が高く、次いで「IT・通信・インターネット」「商社」となった。「 IT・通信・インターネット」では「前年より、10%以上~20%未満の水準で上げる予定」が高く、大幅な賃上げを予定している企業が多いことがうかがえる。【図5】
【図5】中途採用の賃上げ予定
出典:マイナビ「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」
転職者の動向
正社員の転職率
2023年の正社員の転職率は、前年から0.3pt減少の7.2%となり、前年から微減した。直近2年間減少しているが、コロナ前の2019年(7.0%)より高い数値となっている。【図6】
【図6】正社員の転職率(20-50代)
出典:マイナビ「転職動向調査2025年版(2024年実績)」
転職前後の年収差
転職前後の年収はともに「300~349万円」が最も多かったが、転職後は300万円未満が減少し、650~849万円の回答数が増加してる。単一回答をもとに平均年収を求めると、転職前は平均487.3万円、転職後は平均509.3万円となり、22.0万円の差となった。
年収が上がった割合は全体で39.4%で下がった割合を上回った。性年代別にみると、年収が上がった笑いが最も高かったのは男性30代で49.5%だった。【図7】
【図7】転職前後の年収
出典:マイナビ「転職動向調査2025年版(2024年実績)」
2024年の中途採用のまとめ
企業
- 2024年のマイナビ転職の求人件数は前年を上回って推移。さらに活発な採用活動が行われていた
- 企業の人手不足感は高まっており、中途採用の印象は「厳しかった」が8割となっている
- 「組織の強化・活性化」「年齢など人員構成の適正化」等の今後を見据えた採用活動が多く行われ、採用基準は前年と比べて厳しくした企業が多かった
- 2025年以降の中途採用はさらに活発化する予定。特に経験者に力を入れる企業が多い見通し
- 中途採用の賃金を上げる企業は7割以上。優秀な人材を獲得するための賃上げをする企業がさらに増加するだろう
転職者
- 2024年の正社員の転職率は前年から微減しており、直近2年間は減少傾向にある
- 内定獲得数は増減がない一方で、応募数・面接数はやや増加傾向にあり、企業が選考を厳しくした影響が応募数・面接数の増加に表れている可能性がある
- 転職活動を始めた理由トップは「給与が低かった」。入社を決めた理由トップも「給与が良い」となっており、前年から引き続き、物価高を受け給与を理由に転職活動や転職を決意した人が多かったようだ
- 転職後に年収が上がった割合は約4割となっており、すべての性年代で「年収が上がった」が「下がった」を上回った
レポート内目次
- 第1部:雇用市場の概観 ・・・ P.4~7
- 第2部:企業の中途採用状況 ・・・ P.9~15
- 第3部:転職者の動向 ・・・ P.17~23
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