コロナ禍でも人手不足感は続く。
コロナ禍でも採用・転職に満足したグループの共通項は「多様な手法」「コロナ対応」「WEB 面接」
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:中川信行)は、2020年における中途採用・転職市場を4部構成でまとめた、「中途採用・転職総括 レポート2021年版(2020年実績)」を発表した。第1部は「雇用市場の概況」、第2部は「企業の中途採用状況」、第3部は「求職者の動向」、第4部は「今後の中途採用市場の展望」についてまとめている。
目次
◆ TOPICS
■雇用市場の概況
- 2020 年にかけて非正規雇用を中心に雇用環境は悪化。但し、正社員領域の雇用者数は前年を上回って推移しており、底堅さもうかがえる【図1】。
- 有効求人倍率はリーマンショック後の 2009 年は 0.47 倍だったが、2020年は 1.18 倍と 1 倍以上を保つ結果となった【図2】。
- 雇用人員 判断 D.I. 実績をリーマンショック時と比較してみると、リーマンショック時は「余剰」に転じたのに対し、コロナショック時は「余剰」には転じなかった。不足感は弱まりつつあるが、依然「人員不足」は続いている【図3】。
【図1】雇用形態別雇用者数(対前年同月増減)

※非正規の職員・従業員=「パートまたはアルバイト」「派遣社員」など、正規の職員・従業員以外
【図2】有効求人数、有効求職者数および有効求人倍率の推移

【図3】雇用人員 判断D.I.

■企業の中途採用状況
- コロナの影響について、「悪い影響があった」が41.6 %で、悪影響が出た企業が多い傾向【図4】。社員に求める能力についても「変化が生じた」が36.1 %【図5】。
- 求人企業数については業界によって差はあるものの、有効求人数は2020年1~6月にかけて減少した【図6】。しかし、その中でも求人活動を行っていた企業については、一企業当たりの応募数・受験者数が前年から増加している【図7】。
- WEB面接を実施した割合は 6 割近く存在。実施企業のほうが採用者に対して「質に満足」と答える傾向にあった【図8】。
- 採用満足度「質量ともに満足」が24.4 %で、「質量ともに不満」の19.9 %を上回った【図9】。 また、採用満足度「質量ともに満足」と答えた企業は、「多様な働き方ができる制度」に自信を持っている傾向があり、在宅勤務制度などコロナ対策にも積極的であるとみられる。
【図4】中途採用活動における新型コロナウイルスの影響

【図5】新型コロナウイルスの影響で正社員に求める能力に変化があったか

【図6】コロナショック前後の有効求人数、有効求職者数、有効求人倍率

【図7】採用を実施していた企業の「応募数」「面接数」「採用数」

【図8】WEB面接の実施率

【図9】採用者に対する満足度

■転職者の動向
- コロナの影響について、「転職に積極的になった(やや含む)」が36.9 %で、転職活動を行う要因に【図10】。
- 有効求職者数は増加しており、求職者一人当たりの求人閲覧数や応募数は増加した【図6】。一方、求職者の「面接数を受けた中で内定を得た割合」は減少した【図11】。
- WEB面接の経験割合は前年の 2 倍以上に増加。若い世代ほどWEB 面接実施企業への受験意欲は高まる傾向【図12】。
- 転職後の仕事満足度については「満足している」が48.5 %で、「満足していない」の14.9%を上回った【図13】。また、転職後の仕事への満足度が高かった求職者は、企業選択において、コロナ対策要素を含め、多様な働き方を選択する傾向が高く、WEB 面接に肯定的だった【図12】。
【図10】転職活動における新型コロナウイルスの影響

【図11】求職者一人当たりの求人閲覧数や応募数

【図12】WEB面接の経験率

【図13】転職後の変化

■今後の中途採用市場の展望
2021年の雇用市場は、人手不足感は続き緩やかな売り手市場へと移行すると考えられる。求職者意識については、新型コロナウイルスの影響でさらに多様化していくだろう。
「企業」「求職者」の2020年における動向のポイントとして、満足度の高いマッチングのためには「多様な制度の導入」「コロナ施策」「WEB 面接」が共通項として挙げられた。


◆ INDEX
第 1 部.雇用市場の概観 ・・・ P.3~18
└就業者数や雇用人員の過不足感についてリーマンショックとコロナショックを比較
第 2 部.企業の中途採用状況 ・・・ P.19~48
└中途採用担当者に聞いた 2020 年中途採用の状況
第 3 部.転職者の動向 ・・・ P.49~74
└2020 年に転職した個人に聞いた転職理由やコロナの影響
第 4 部.今後の中途採用市場の展望 ・・・ P.75~83
└雇用市場の概況、企業・転職者の動向を踏まえた未来予測