2024年9月度 中途採用・転職活動の定点調査
- 20代の2人に1人以上が採用活動でAIを使っている企業に対して「応募/入社意欲が高まる」と回答
- 理由は「新しい技術導入への好感」「感情ではなく公平に評価してくれそう」が上位
株式会社マイナビは、全国の企業・個人を対象に実施した、「中途採用・転職活動の定点調査」の結果を発表した。調査の詳細はページ末尾に記載している。
目次
トピックス
- 2024年9月の企業の中途採用実施率は43.7%、個人の転職活動実施率は3.4%。年代別では直近5カ月間、30代の転職活動実施率が最も高い結果に【図1、2、3】
- 20代の2人に1人以上が、採用活動でAIを使っている企業に対して「応募/入社意欲が高まる」。理由は「新しい施策/技術を導入していることに好感が持てる」「感情でなく公平に評価してくれそう」が上位【図4、5】
- 中途採用担当者の約5人に1人は「採用活動でAIツールを活用している」と回答。活用場面は「適性検査」や「採用要件・ターゲット設定」【図6、7、8】
調査詳細
企業の動向
- 9月の企業の中途採用活動実施率は43.7%(前月比︓0.9pt増、前年同月比︓0.7pt増)
企業の中途採用活動実施率
2024年9月に中途採用活動を行った企業は全体で43.7%。前月比0.9pt増、前年同月比0.7pt増であった。調査を開始した2021年9月からの推移を見ると2023年にかけて緩やかに増加していたが、直近1年間の推移はほぼ横ばいであった。【図1】
企業の中途採用活動実施率(業種別)
業種別にみると、中途採用実施率が高かったのは、「IT・通信・インターネット」で55.6%、次いで「メーカー」が48.0%となった。【図2】
個人の動向
- 9月の正社員の転職活動実施率は3.4%(前月比︓0.2pt減、前年同月比︓1.2pt減)
個人の転職活動実施率
2024年9月に転職活動を行った個人は全体で3.4%。前月比0.2pt減、前年同月比1.2pt減であった。月次推移を見ると、2023年10月から2024年1月にかけて転職活動実施率が減少したのち、その後は微増しながらも直近3カ月は微減傾向で推移している。【図3】
個人の転職活動実施率(年代別)
転職活動実施率を年代別にみると、2024年9月は30代がもっとも高く4.5%、次いで20代で4.1%だった。年間平均をみると2022年、2023年ともに転職活動実施率は20代がトップとなっていたが、直近5カ月間は、30代の転職活動実施率がトップとなっており、転職活動を行う年齢層が引きあがっている可能性を示唆している。【図4】
月次トピック【採用活動におけるAIツール使用について】
- 20代の2人に1人以上が、採用活動でAIを使っている企業に対して「応募/入社意欲が高まる」
- 理由は「新しい施策/技術を導入していることに好感が持てる」「感情でなく公平に評価してくれそう」
個人向け調査
2024年9月に転職活動を行った・または今後3カ月以内に転職活動を実施する予定の正社員に対して、企業が採用活動でAIを使うことは応募/入社意欲にどう影響するか聞いた。
最も多い回答は「変わらない(54.5%)」、次いで「応募/入社意欲が高まる(37.0%)」となり、「応募/入社意欲が下がる」は8.5%と少数派となっている。「応募/入社意欲が高まる」割合を年代別にみると、20代の53.8%が最も高く、30代(44.8%)、40代(29.9%)と続いた。年代が低いほど「企業が採用活動でAIを使うこと」にポジティブであることがわかる。【図5】
応募/入社意欲が高まる理由は、「感情でなく公平に評価してくれそう(55.3%)」がもっとも多く、次いで「興味がある(53.5%)」となった。また20代は、意欲が高まる理由として「新しい施策/技術を導入していることに好感が持てる(58.1%)」が最多になった。
個人は、AIが公平に評価してくれることに期待を寄せており、特に20代では新しい施策/技術を導入している企業の柔軟性に魅力を感じているようだ。【図6】
企業向け調査
- 中途採用担当者の約5人に1人は「採用活動でAIツールを活用している」と回答
- 活用場面は「適性検査」や「採用要件・ターゲット設定」
企業の中途採用担当者に対して、採用活動でAIツールを活用しているか聞いたところ、「既に活用している」は19.6%だった。「活用したいと思っており、検討している(31.3%)」「活用したいと思っているが、検討できていない(25.9%)」と合わせて約8割が、採用活動でAIツールを活用することに対して前向きであることがわかった。
従業員規模別にみると、規模が大きいほどAIツールの活用に前向きである。特に従業員規模301名以上では、「既に活用している」が32.0%、検討している割合も40.2%となっており、AIツールの導入が進んでいる様子がうかがえる。【図7】
すでにAIツールを活用している企業に、活用場面を聞いたところ、「適性検査(51.8%)」が最も多く、次いで「採用要件・ターゲット設定(51.2%)」「求人票の作成(48.8%)」と続いた。【図8】
また、活用ツールは「生成AI(71.1%)」が最多だった。2022年から急速に普及しており、採用活動の中でもさらなる普及が予想される。
調査担当者コメント
直近3カ月間における企業の中途採用実施率は増加しており、採用意欲は高い状態が続いている。
人材不足が続くなか、中途採用にどのような変化が起きているのか把握するため、今回は「採用活動におけるAIツールの活用」について調査した。
AIツールの中でも特に「生成AI」は急速に普及しており、誰でも気軽に使えるツールとなりつつある。こうした背景もあってか、個人は「企業が採用活動でAIを使うこと」に対して肯定的な傾向が見られた。
近年、AIを使った様々な採用ツールが登場している。AIツールには生産性向上など複数のメリットがある一方で、取り扱いには十分な注意が必要だ。AIツールを扱う際には、使われているデータセットやメカニズムなど、信頼性や透明性が担保されている必要があるだろう。
また人生の転機である採用において、企業がどのようなAIツールを使っているのか、個人は知る権利があるのではないだろうか。個人、特に若手は「企業が採用活動でAIを使うこと」に対して肯定的な傾向があるため、企業による積極的な情報開示は、企業・個人双方にとってのメリットとなると考えられる。
キャリアリサーチラボ 研究員 朝比奈あかり
調査概要
内容 | 中途採用・転職活動の定点調査 |
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調査期間 | 2024年10月1日~6日 |
調査対象 | <企業調査> ・スクリーニング調査:従業員数3名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員で、中途採用業務を担当している人 ・本調査:上記のうち、前月採用活動を行った人、今後3か月で採用活動を行う予定の人 <個人調査> ・スクリーニング調査:従業員数3名以上の企業に所属している全国の20-50代の正社員 ・本調査:上記のうち、前月転職活動を行った人、今後3か月で転職活動を行う予定の人(3か月以内に中途入社した人を除く) |
調査方法 | 外部パネルによるインターネット調査 |
有効回答数 |
<企業調査> <個人調査> |
レポート内目次
【TOPICS】
・企業・正社員の動向概要
【企業調査】
・中途採用活動を行った企業の動向
・今後3か月以内に中途採用活動を行う企業の動向
・中途採用活動を行わず、今後も予定のない企業の動向
・中途入社者がいた企業の動向
・月次追加トピック
【個人調査】
・転職活動を行った正社員の動向
・今後3か月以内に転職活動を行う正社員の動向
・転職活動を行わず、今後も予定のない正社員の動向
・中途入社した正社員の動向
・月次追加トピック
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