マイナビ キャリアリサーチLab

2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査

企業が6月に中途採用を実施した割合は41.8%で前月から増加
正社員が転職活動を実施した割合は3.5%で前月から微増
約3人に1人は「過去やめた会社に戻りたいと思ったことがある」

株式会社マイナビは、全国の企業・個人を対象に実施した、「中途採用・転職活動の定点調査」の結果を発表した。調査の詳細は以下の通り。

トピックス

  • 6月の企業の中途採用活動実施率は41.8%(前月比:1.1pt増、前年同月比:0.9pt減)【図1】
  • 6月の正社員の転職活動実施率は3.5%(前月比:0.1pt増、前年同月比:1pt減)【図3】
  • 約3人に1人の正社員が「過去やめた会社に戻りたいと思ったことがある」と回答。理由は「ライフステージの変化」や「退職後に会社の良い面に気づいた」など【図8、9】

調査詳細

企業の動向

6月の企業の中途採用活動実施率は41.8%(前月比:2.7pt減、前年同月比:0.8pt増)

24年6月に中途採用活動を行った企業は全体で41.8%。前月比1.1pt増、前年同月比0.9pt減であった。調査開始からの推移をみると、緩やかな増加が続いていることがわかる。24年1月からはほぼ横ばいで推移している。【図1】

【図1】企業の中途採用活動実施率/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査
【図1】企業の中途採用活動実施率/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査

業種別にみると、中途採用実施率がもっとも高かったのは「医療・福祉・介護」で57.5%、次いで「IT・通信・インターネット」が53.7%となった。【図2】

【図2】業種別 企業の中途採用活動実施率/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査
【図2】業種別 企業の中途採用活動実施率/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査

個人の動向

6月の正社員の転職活動実施率は3.5%(前月比:0.1pt増、前年同月比:1pt減)

24年6月に転職活動を行った個人は全体で3.5%。前月比0.1pt増、前年同月比1.0pt減であった。23年12月以降3%代で推移している。【図3】

【図3】個人の転職活動実施率/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査
【図3】個人の転職活動実施率/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査

転職活動実施率を年代別にみると、24年6月は30代がもっとも高く4.7%、次いで20代で4.4%だった。転職活動実施率は20代の減少が目立っており、年代別の構成比に変化が見られている。【図4】

【図4】年代別 個人の転職活動実施率/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査
【図4】年代別 個人の転職活動実施率/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査

月次トピック【人材の流動性】

「人材の流動性促進」について、6割以上の採用担当者が「プラスの印象」と回答
約3人に1人の正社員が「過去やめた会社に戻りたいと思ったことがある」と回答

企業向け調査

企業の中途採用担当者に「人材の流動性促進」についての印象を聞いたことろ、「プラス計(プラスの印象+どちらかといえばプラスの印象)」は65.1%だった。従業員規模が大きいほど、人材流動性促進に対する印象はプラスの傾向にある。【図5】

【図5】人材の流動性促進についての印象/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査
【図5】人材の流動性促進についての印象/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査

プラス・マイナスの印象である理由を自由回答で聞いたところ、プラスの理由は「欲しい人材を採用できる可能性が増える」「ミスマッチが少なくなり効率的」など人材獲得に対するメリットを挙げる回答が目立った。

マイナスの理由は「辞めることで人材が不足して負担が増える」など人手不足についての言及が目立ったが、中には「技術面など長期の教育が必要な仕事であるため」など、業界や職種の特性上マイナスの印象を持つ意見もあった。【図6】

【図6】人材の流動性促進に対する印象の理由/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査
【図6】人材の流動性促進に対する印象の理由/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査

個人向け調査

過去転職をしたことがある人に、退職した会社の人と連絡をとっているか聞いたところ、もっとも多かったのは「基本的に連絡はとっていない」で42.5%だった。【図7】

【図7】過去退職した会社の人と連絡を取っているか/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査
【図7】過去退職した会社の人と連絡を取っているか/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査

「過去退職した会社に戻りたいと思ったことがあるか」を聞いたところ、全体では、32.9%が「ある」と回答した。また、退職した会社との連絡有無別に「ある」と答えた割合をみてみると、「頻繫に連絡をとっている(65.6%)」人と「連絡はとっていない(15.8%)」人とで4倍以上の差がみられた。【図8】

【図8】過去退職した会社に戻りたいと思ったことがあるか/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査
【図8】過去退職した会社に戻りたいと思ったことがあるか/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査

戻りたいと思ったことがある人に、その理由を自由回答で聞いたところ、「育児などの家庭の事情で転職したが、環境が変わった」などライフステージの変化に関するものや、「退職前に気がつかなかった良い面に気づいたから」など一度職場を離れたことにより、前職の良さに気づいたといった理由も見受けられた。【図9】

【図9】戻りたいと思った理由(自由回答)/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査
【図9】戻りたいと思った理由(自由回答)/2024年6月度 中途採用・転職活動の定点調査

【調査担当者コメント】 
企業の人材獲得難が予想される中、今回は「人材流動性」について調査を行った。 調査によると、採用担当者の6割以上が「人材の流動性促進」に対してプラスの印象を持っていることがわかる。 個人の「過去に退職した会社に戻りたいと思ったことがある」割合は約3割で、特に、退職後も頻繁に連絡を取っている人の場合、その割合は6割以上にのぼった。 

今後、人材の流動化はさらに進むと予想され、その中で人材不足に困らないために、出戻り(アルムナイ)採用の重要性を感じる企業は増加するのではないだろうか。企業は、退職者が戻りたいと思うような環境を整えることが求められるが、まずは、退職者と連絡が取れる環境をつくることだけでも、プラスの影響があるのではないだろうか。 

キャリアリサーチラボ 研究員 朝比奈あかり

調査概要

内容 中途採用・転職活動の定点調査
調査期間 2024年7月1日~6日
調査対象  <企業調査>
・スクリーニング調査:従業員数3名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員で、中途採用業務を担当している人
・本調査:上記のうち、前月採用活動を行った人、今後3か月で採用活動を行う予定の人
<個人調査>
・スクリーニング調査:従業員数3名以上の企業に所属している全国の20-50代の正社員
・本調査:上記のうち、前月転職活動を行った人、今後3か月で転職活動を行う予定の人(3か月以内に中途入社した人を除く)
調査方法 外部パネルによるインターネット調査
有効回答数 <企業調査>
スクリーニング調査5,221件 本調査825

<個人調査>
スクリーニング調査35,174件 本調査1,383件

レポート内目次

【TOPICS】
・企業・正社員の動向概要
【企業調査】
・中途採用活動を行った企業の動向
・今後3か月以内に中途採用活動を行う企業の動向
・中途採用活動を行わず、今後も予定のない企業の動向
・中途入社者がいた企業の動向
・月次追加トピック
【個人調査】
・転職活動を行った正社員の動向
・今後3か月以内に転職活動を行う正社員の動向
・転職活動を行わず、今後も予定のない正社員の動向
・中途入社した正社員の動向
・月次追加トピック

詳しくはPDFデータをご覧ください

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