マイナビ キャリアリサーチLab

2024年4-6月総評
「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」

2024年4-6月の平均初年度年収は465.8万円
求人件数は2019年比167.0%、前年同期比+24.4ptで大幅増
前年からの初年度年収の上げ幅は、[IT・通信・インターネット]が最多で23.0万円増

本調査は、総合転職情報サイト『マイナビ転職』(https://tenshoku.mynavi.jp/)に掲載された求人の「平均初年度年収(未経験・経験者求人別)」「求人件数・応募数」の推移を調査したものである。

トピックス

  • 2024年4-6月の平均初年度年収は465.8万円(未経験者:433.0万円、経験者:532.3万円)。求人件数は2019年比167.0%で、前年同期から24.4pt大幅増【図1、2、3】
  • 2023年から平均初年度年収の上げ幅が最も大きかった業種は[IT・通信・インターネット]で23.0万円増(2024年4-6月平均:541.4万円、2023年平均:518.4万円)【図4、5】
  • 未経験者募集求人の比率が高かった業種は[運輸・交通・物流・倉庫]が84.0%で最多経験者募集求人の比率が高かった業種は[IT・通信・インターネット]が54.8%で最多【図6】

調査詳細

2024年4-6月 全体の傾向

2024年4-6月の平均初年度年収は465.8万円(未経験者:433.0万円、経験者:532.3万円)
求人件数は2019年比167.0%で、前年同時期から24.4pt増

2024年4-6月の全国平均初年度年収は465.8万円(未経験者求人:433.0万円、経験者求人:532.3万円)で、前年の2023年平均と比較すると、9.2万円増(未経験求人:6.2万円増、経験者求人:14.0万円増)だった。

2024年1-3月と比較すると5.9万円増(未経験求人:5.0万円増、経験者求人:1.6万円増)で、正社員求人全体で初年度年収が増加している。【図1】

【図1】正社員の平均初年度年収推移/2024年4-6月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
【図1】正社員の平均初年度年収推移/2024年4-6月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」

求人件数は、コロナ禍前の2019年平均比167.0%で前年同時期の2023年4-6月から24.4pt増と大きく求人件数を増やしている。【図2】

【図2】正社員の求人件数推移(2019年基準)/2024年4-6月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
【図2】正社員の求人件数推移(2019年基準)/2024年4-6月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」

また、求人の経験者/未経験者の募集比率は、未経験者求人が67.0%、経験者求人が33.0%だった。少子高齢化による生産年齢人口の減少や、業種によっては2024年4月より始まった残業時間の上限規制適用の影響などもあり、今後も企業の積極的な採用は続くと予測される。【図3】

【図3】正社員の募集条件比率推移/2024年4-6月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
【図3】正社員の募集条件比率推移/2024年4-6月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」

2024年4-6月平均業種別の初年度年収

2023年から平均初年度年収の上げ幅が最も大きかった業種は[IT・通信・インターネット]で23.0万円増
(2024年4-6月平均:541.4万円、2023年平均:518.4万円)

2023年から平均初年度年収の上げ幅が最も大きかった業種は、[IT・通信・インターネット]の23.0万円増(今回:541.4万円、2023年平均:518.4万円)で、次いで[金融・保険]の22.7万円増(今回:538.8万円、2023年平均:516.1万円)、[環境・エネルギー]が13.6万円増(今回:449.6万円、2023年平均:436.0万円)となった。【図4】

【図4】<全体>業種別の平均初年度年収/2024年4-6月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
【図4】<全体>業種別の平均初年度年収/2024年4-6月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」

未経験者求人に絞っても上位3業種の入れ替わりはなく、[IT・通信・インターネット]が67.2万円増(今回:488.8万円、2023年平均:421.6万円)で最も上げ幅が大きく、[金融・保険]が55.2万円増(今回:473.0万円、2023年平均:417.8万円)、[環境・エネルギー]が21.4万円増(今回:415.6万円、2023年平均:394.2万円)と続いた。

IT業界は市場拡大が続いているため、初年度年収を上げるなど採用に関して積極的に投資をしていると考えられる。【図5】

【図5】<未経験者求人>業種別の平均初年度年収/2024年4-6月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
【図5】<未経験者求人>業種別の平均初年度年収/2024年4-6月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」

2024年4-6月平均 業種別の経験者・未経験者求人比率

未経験者求人の比率が高かった業種は[運輸・交通・物流・倉庫]が84.0%で最多
経験者求人の比率が高かった業種は、[IT・通信・インターネット]が54.8%で最多

未経験者募集求人の比率が高かった業種は、1位が[運輸・交通・物流・倉庫]で84.0%、2位が[サービス・レジャー]で82.1%、3位が[流通・小売・フード]で80.2%だった。

運輸・物流業界では4月以降も、引き続き「2024年問題」の解消に向け、未経験者募集を積極的に行っている様子がうかがえた。

経験者募集求人の比率が高かった業種は、1位が[IT・通信・インターネット]で54.8%、2位が[金融・保険]で41.8%、3位が[メーカー]で38.7%だった。【図6】

【図6】業種別の募集条件比率/2024年4-6月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
【図6】業種別の募集条件比率/2024年4-6月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」

調査担当者コメント

2024年4-6月の平均初年度年収は、前回に引き続き増額傾向がみられましたが、上げ幅には、業種間のギャップがあるようです。

[IT・通信・インターネット]業界は今回も経験者募集の求人比率が最も高い結果となりました。生産年齢人口の減少が進む中、企業はDX化やRPA※1、AIへの対応などを行っており、ITエンジニアなど専門職の不足感が高まっています※2

今回の調査からは[IT・通信・インターネット][金融]など、専門職が多い業界において、経験者・未経験者ともに大幅な初年度年収の引き上げがみられました。経験者採用の難易度が上がり、中途採用市場全体で専門職の未経験採用が今後より積極的に行われていくのではないかと考えます。

マイナビキャリアリサーチラボ 研究員 嘉嶋 麻友美

※1 RPAとは、パソコンで行っている事務作業を自動化できるソフトウェアロボット技術のことを指します。 
※2 中途採用実態調査(2023年) 

調査概要

調査期間 2024年4月1日~2024年6月30日
集計対象 該当月における、総合転職情報サイト「マイナビ転職」に掲載開始された求人情報から、下記除外対象データを除き集計
※除外対象:雇用形態が正社員以外
※厚生労働省「国民生活基礎調査 所得の分布状況」を元に、所得金額上側1%を本レポートでは外れ値として設定
計算方法 マイナビ転職では、初年度年収は各求人ごとに幅をもって記載されている。当レポートでは各求人に掲載されている初年度年収の下限と上限の中間の値を平均値として「初年度年収」を算出した。(例:マイナビ転職上で初年度年収が400万~550万円だった場合、当レポート上の1案件あたりの初年度年収は475万円と計算)
未経験者・
経験者募集求人
の区分方法
マイナビ転職内で設定されたコードに基づいて、以下のように区分した。
未経験者募集求人:職種・業種ともに未経験OKの求人
経験者募集求人:職種・業種いずれか、または両方の経験を問う求人
本社所在地
設定方法
マイナビ転職の求人内において、本社窓口として設定された県をもとにエリア区分を行った(不明分を除く)。
エリア区分 全国47都道府県
関東:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、茨城県、群馬県
近畿:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県
東海:愛知県、静岡県、岐阜県、三重県
北海道・東北:北海道、宮城県、青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県
甲信越・北陸:新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県
中国・四国:広島県、岡山県、鳥取県、島根県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県
九州・沖縄:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

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