- 2025年7-9月の平均初年度年収は496.6万円で過去最高額
- 掲載求人数・応募数ともに増加傾向で採用市場は活況
- 業種別では[IT・通信・インターネット]が572.1万円で最高額
本調査は、総合転職情報サイト『マイナビ転職』(https://tenshoku.mynavi.jp/)に掲載された求人の「平均初年度年収(未経験・経験者求人別)」「求人件数・応募数」の推移を調査したものである。
トピックス
- 2025年7-9月の平均初年度年収は、496.6万円で過去最高額を更新
- 2025年7-9月の平均求人件数は2023年比で164.6%と高水準で推移。求人件数・応募数も増加傾向で採用市場は活況
- 2025年7-9月業種別の初年度年収では[IT・通信・インターネット]が572.1万円で最も高い。2023年平均比の求人件数・初年度年収の増加率もトップに
調査詳細
2025年7-9月 全体の傾向
平均初年度年収推移
- 2025年7-9月の平均初年度年収は496.6万円で過去最高額を更新
正社員の平均初年度年収は496.6万円で、前年同時期比で27.1万円増加し、過去最高額を更新した。
【図1】
【図1】正社員の平均初年度年収推移/2025年7-9月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
未経験者求人の平均初年度年収は448.2万円(前年同時期比12.5万円増)、経験者求人は560.2万円(前年同時期比25.5万円増)だった。
未経験者求人と経験者求人の平均初年度年収の差は112.0万円で、前年同時期(99.0 万円)から13.0万円増加しており、調査開始(2018年)以降で最高額となった。
経験者求人の平均初年度年収は増加傾向が続いており、企業は即戦力人材の獲得を目的に、引き続き給与待遇の改善を進めていると考えられる。【図2】
【図2】未経験者・経験者求人の平均初年度年収推移/2025年7-9月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
求人件数推移
- 2025年7-9月の平均求人件数は2023年比で164.6%と高水準で推移
- 求人件数・応募数も増加傾向で採用市場は活況
正社員の求人件数は2023年平均比164.6%で、前年同時期(115.8%)から48.8pt増加した。
求人件数は、2024年10-12月から特に高水準で推移しており、企業の人材獲得競争は厳しい状態が続いているようだ。【図3】
【図3】正社員の求人件数推移(前年同時期と比較)/2025年7-9月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
募集条件比率推移
- 経験者の募集比率は43.2%で、2期連続で4割を超える
掲載求人の募集条件比率は、未経験者向けの求人割合が56.8%、経験者向けの求人割合が43.2%だった。特に2024年4-6月から経験者向けの求人比率が増加傾向にあり、募集比率の推移からも経験者の採用ニーズの高まりがうかがえる。【図4】
【図4】正社員の募集条件比率推移/2025年7-9月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
応募数推移
- 応募数は2023年平均比125.3%。前年同時期から7.2pt増加
また、求人への応募数も2023年平均比125.3%で、前年同時期(118.1%)から7.2pt増加しており、企業・転職者ともに動きが活発化していることがわかった。【図5】
【図5】正社員の応募数推移/2025年7-9月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
業種別の傾向
- 2025年7-9月の業種別初年度年収は[IT・通信・インターネット]が572.1万円で最高額
- 2023年平均比の求人件数・初年度年収の増加率もトップに
平均初年度年収を業種別にみると、[IT・通信・インターネット]572.1万円で最高額となり、次いで[金
融・保険]が560.5万円、[コンサルティング]が545.4万円となった。【図6】
【図6】業種別の平均初年度年収ランキング/2025年7-9月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
未経験者向け求人のみでも[IT・通信・インターネット]が513.1万円と業種トップとなったが、経験者向けの求人のみでは[金融・保険]が654.7万円でトップとなった。
上位4業種は、全体・未経験者向け・経験者向けの求人において共通しており、平均初年度年収が高水準の業種であることがわかる。【図7】
【図7】(未経験求人・経験者求人)業種別の平均初年度年収ランキング/2025年7-9月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
業種別の初年度年収増加率と求人件数増加率がともに全体平均を上回った業種は[IT・通信・インターネット][コンサルティング]の2業種だった。一方で全体平均を下回った業種は[公的機関・その他][サービス・レジャー]など5業種だった。【図8】
【図8】業種別の平均初年度年収・求人件数の増加率/2025年7-9月総評 「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
特に[IT・通信・インターネット]や[コンサルティング]では、専門人材のニーズが高く、採用難易度も高いため、採用ターゲットを広げて高年収の求人を展開していることが、こうした傾向の背景にあると考えられる。
調査担当者コメント
今回の調査では、未経験者向け求人と経験者向け求人の平均初年度年収の金額差が拡大していることが明らかとなりました。どちらも年収水準は上昇しているものの、経験者向け求人の上昇幅が大きいことが金額差の拡大に繋がっているようです。
中途採用にかかる費用は年々増加傾向にある中※1、未経験者の採用においては、育成コストや育成期間の懸念などから、初年度年収の上昇は経験者と比較して限定的であると考えられます※2。
また業種別では[IT・通信・インターネット]の平均初年度年収が最も高く、2023年平均と比較して、求人件数や平均初年度年収の増加率がいずれも高い結果となりました。AIやテクノロジーを活用して経営課題を克服しようとする社会的な動きが、需要を高めていると考えられます。
[IT・通信・インターネット]は在宅勤務比率が高い傾向にある業界ですが、一部企業では出社回帰のニュースもあります。働き方が変化していくことも考えられる中、今後のIT 業界の求人数や応募数、初年度年収に影響を与えるかについても注視していきます。
マイナビキャリアリサーチラボ 研究員 嘉嶋 麻友美
※1 マイナビ「中途採用状況調査 2025 年版(2024 年実績)」
※2 マイナビ「企業人材ニーズ調査 2024 年」
調査概要
| 調査期間 |
2025年7月1日~2025年9月30日
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| 集計対象 |
該当月における、総合転職情報サイト「マイナビ転職」に掲載開始された求人情報から、下記除外対象データを除き集計 ※除外対象:雇用形態が正社員以外 ※厚生労働省「国民生活基礎調査 所得の分布状況」を元に、所得金額上側1%を本レポートでは外れ値として設定 |
| 計算方法 |
マイナビ転職では、初年度年収は各求人ごとに幅をもって記載されている。当レポートでは各求人に掲載されている初年度年収の下限と上限の中間の値を平均値として「初年度年収」を算出した。(例:マイナビ転職上で初年度年収が400万~550万円だった場合、当レポート上の1案件あたりの初年度年収は475万円と計算) |
未経験者・ 経験者募集求人 の区分方法 |
マイナビ転職内で設定されたコードに基づいて、以下のように区分した。 未経験者募集求人:職種・業種ともに未経験OKの求人 経験者募集求人:職種・業種いずれか、または両方の経験を問う求人 |
本社所在地 設定方法 |
マイナビ転職の求人内において、本社窓口として設定された県をもとにエリア区分を行った(不明分を除く)。 |
| エリア区分 |
全国47都道府県 関東:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、茨城県、群馬県 近畿:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県 東海:愛知県、静岡県、岐阜県、三重県 北海道・東北:北海道、宮城県、青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県 甲信越・北陸:新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県 中国・四国:広島県、岡山県、鳥取県、島根県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県 九州・沖縄:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
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