2024年総評
「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
- 2024年の平均初年度年収は468.0万円で前年から11.4万円増加
- 求人件数は2019年比174.6%で4年連続の増加
- 平均初年度年収が最も高い職種は「ITエンジニア」で570.6万円
本調査は、総合転職情報サイト『マイナビ転職』(https://tenshoku.mynavi.jp/)に掲載された求人の「平均初年度年収(未経験・経験者求人別)」「求人件数・応募数」の推移を調査したものである。
目次
トピックス
- 2024年の正社員の平均初年度年収は468.0万円で前年から11.4万円増加【図1、2、3】
- 平均初年度年収が最も高い業種は「IT・通信・インターネット」で544.5万円。5位の「メーカー(461.2万円)」より80万円以上高く業種間での年収差がみられる【図4、5】
- 平均初年度年収が最も高い職種は「ITエンジニア」で570.6万円。企業の採用ニーズが高い「営業職」は478.9万円で5年連続増加【図6、7、8】
調査詳細
2024年平均 全体の傾向
- 2024年の正社員の平均初年度年収は468.0万円で前年から11.4万円増加
正社員の平均初年度年収
正社員の平均初年度年収は468.0万円で、調査開始(2018年)以降で最高額となり、前年比で11.4万円増加した。未経験者求人では434.1万円(前年比7.3万円増)、経験者求人では534.4万円(前年比16.1万円増)となり、経験者求人年収が平均初年度年収を押し上げている。
また、2024年の3カ月ごとの平均初年度年収も、未経験者求人と経験者求人ともに右肩上がりで推移している。【図1】
【図1】正社員の平均初年度年収

求人件数推移
求人件数はコロナ前の2019年平均比174.6%で、前年より27.2ポイント増加した。3カ月ごとの推移では、年間を通じて求人件数は継続的に増加し、直近10-12月平均は2019年平均比207.2%と大幅増となった。【図2】
【図2】正社員の求人件数推移(2019年基準)

求人の募集条件比率推移
求人の経験者/未経験者の募集比率は、未経験者求人が65.8%、経験者求人が34.2%だった。前年と比べると、経験者求人の比率が1.6ポイント増加しており、在職期間の短期化傾向※1や人材流動性※2の高まりを受け、企業は短期間での成長や業務成果を労働者に求め、即戦力となる経験者の採用にも力を入れていることが一因と考えられる。【図3】
【図3】正社員の募集条件比率推移

※1マイナビ 転職活動における行動特性調査 2024年版
正社員の20代~50代男女のうち、直近1年間(2023年6月以降)の転職者・転職活動者に対し調査を実施。転職者の前職での勤続年数は1年未満が20.1%となり、2021年の統計開始以来初めて2割を超えた。
※2総務省の「直近の転職者及び転職等希望者の動向について」
就業者(従業者と休業者をあわせたもの)のうち、転職者は6期連続で増加し、転職等希望者数は10期連続で増加している。転職等希望者の就業者に占める割合は15.3%で過去最高となっており、働き手が1つの企業に依存しない柔軟な転職を希望し、行動に移している様子が見られる。
2024年平均 業種別の初年度年収・求人件数
- 平均初年度年収が最も高い業種は「IT・通信・インターネット」で544.5万円
- 5位の「メーカー(461.2万円)」より80万円以上高く業種間での年収差も
初年度年収が高かった業種
正社員の平均初年度年収が高かった業種は、1位が「IT・通信・インターネット」で544.5万円(前年比26.1万円増)、2位が「金融・保険」で539.2万円(前年比23.1万円増)、3位が「コンサルティング」で511.9万円(前年比10.4万円増)となり、「公的機関・その他」を除くすべての業種で平均初年度年収が増加した。また、前年から上位5業種の順位に変動はなかった。【図4】
【図4】初年度年収が高かった業種(上位抜粋)

求人件数が対前年比で増加した業種
前年からの求人件数の増減を業種別に見ると、1位が「コンサルティング」が前年比127.7%でトップとなり、2位が「運輸・交通・物流・倉庫」が125.5%、3位が「金融・保険」が124.5%だった。特に「金融・保険」は前年も2位と2年連続で上位に位置し、求人件数が増加傾向にあることがわかる。
ITエンジニアや金融アナリストなど専門的な職業者が多い「IT・通信・インターネット」「金融・保険」「コンサルティング」業界では専門職採用などを行う場合が多いため年収差に繋がっているものと考えられる。【図5】
【図5】求人件数が対前年比で増加した業種(上位抜粋)

2024年平均 職種別の初年度年収・求人件数
- 平均初年度年収が最も高い職種は「ITエンジニア」で570.6万円
- 企業の採用ニーズが高い「営業職」は478.9万円で5年連続増加
初年度年収が高かった職種
正社員の平均初年度年収が高かった職種は1位が「ITエンジニア」で570.6万円(前年比16.6万円増)だった。ビッグデータやIoT、人工知能、ロボットなどの最新技術の需要増加や政府のDX推進の推奨等を背景に「ITエンジニア」の需要が高まる中、高いスキルをもつ「ITエンジニア」の採用と優秀な人材の引き留めを目的として賃金待遇は高い水準を継続している。【図6】
【図6】初年度年収が高かった職種(上位抜粋)

求人件数が対前年比で増加した職種
前年と比較し求人件数が増加した職種は1位が「電気・電子・機械・半導体」で133.8%だった。IoTや5Gの普及、EV市場の拡大など様々な技術革新に伴い半導体や電気部品の需要が増加している。さらに新しい半導体関連工場が建設され、稼働開始にむけ動いていることから「電気・電子・機械・半導体」では、求人件数が増加したと考えられる。【図7】
【図7】求人件数が対前年比で増加した職種(上位抜粋)

営業職の初年度年収推移と応募数・求人件数の推移
また「営業職」の応募数を見ると2022年以降は2019年と比較し90%前後に留まっているが、求人件数は2021年以降右肩上がりで増加し、2024年は2019年比で177.8%だった。
企業ニーズと求職者ニーズのギャップは広がりつつあるため、今後平均初年度年収は上がっていく可能性が高いと考えられる。【図8】
【図8】営業職の初年度年収推移と応募数・求人件数の推移

調査担当者コメント
2024年の平均初年度年収と求人件数はともに前年以上に増加しており、企業は賃金を上げて積極的な中途採用をしています。『マイナビ転職』に掲載された正社員求人の平均初年度年収は、調査開始(2018年)以降で最高額となり、年間を通して上がり続けています。
2024年春季生活闘争(春闘)では、33年ぶりの5%台の賃上げが実現しましたが、物価高などによる影響を受け実質賃金は、夏季賞与の押し上げ効果があった2024年6月と7月を除いてマイナスが続いています。連合は2025年も5%以上の賃上げを目指しており、平均初年度年収もさらに上がることが考えられます。
求人件数についても増加が続いており、2024年は2019年の約1.7倍の求人件数となりました。 特にIT業界では、企業の老朽化、複雑化したブラックボックス的なシステム(=レガシーシステム)を2025年までに刷新し、経済産業省が危惧する「2025年の崖」の回避が急がれており、刷新の中核を担うITエンジニアの需要拡大と待遇引き上げがみられました。引き続き、ITエンジニアのニーズは高い状態を維持すると予測されます。
調査概要
調査期間 | 2024年1月1日~2024年12月31日 |
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集計対象 | 該当月における、総合転職情報サイト「マイナビ転職」に掲載開始された求人情報から、下記除外対象データを除き集計 ※除外対象:雇用形態が正社員以外 ※厚生労働省「国民生活基礎調査 所得の分布状況」を元に、所得金額上側1%を本レポートでは外れ値として設定 |
計算方法 | マイナビ転職では、初年度年収は各求人ごとに幅をもって記載されている。当レポートでは各求人に掲載されている初年度年収の下限と上限の中間の値を平均値として「初年度年収」を算出した。(例:マイナビ転職上で初年度年収が400万~550万円だった場合、当レポート上の1案件あたりの初年度年収は475万円と計算) |
未経験者・ 経験者募集求人 の区分方法 |
マイナビ転職内で設定されたコードに基づいて、以下のように区分した。 未経験者募集求人:職種・業種ともに未経験OKの求人 経験者募集求人:職種・業種いずれか、または両方の経験を問う求人 |
本社所在地 設定方法 |
マイナビ転職の求人内において、本社窓口として設定された県をもとにエリア区分を行った(不明分を除く)。 |
エリア区分 | 全国47都道府県 関東:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、茨城県、群馬県 近畿:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県 東海:愛知県、静岡県、岐阜県、三重県 北海道・東北:北海道、宮城県、青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県 甲信越・北陸:新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県 中国・四国:広島県、岡山県、鳥取県、島根県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県 九州・沖縄:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |