副業は、近年急速に広がる働き方の一つとして注目されている。かつては一部の人が行う収入補完の手段というイメージが強かったが、現在では正社員の約5人に1人が副業収入を得るなど、その一般化が進んでいる。さらに、若者や学生の間では、就職後も副業を行うことを前提にキャリアを考える意識も広がりつつある。
本記事では「副業とは何か」という基本的な定義を整理したうえで、マイナビキャリアリサーチLabの調査データをもとに、副業の現状や収入、理由、そして若者・学生の意向までを解説する。
副業とは?兼業との違いも解説
副業とは、本業とは別に、継続的または一時的に行う収入を伴う仕事を指す。正社員やパート・アルバイトなどの企業に雇用される形で行うものだけでなく、自ら起業して行うもの、請負や委任といった形で行うものなど、さまざまな形態がある。
近年では、生活費の補完だけでなく、スキルの獲得やキャリア形成を目的として副業に取り組む人も増えている。とくに若者や学生の間では、就職後も副業を行うことを前提にキャリアを考える意識が広がりつつある。
あわせて使われる言葉に「兼業」がある。副業と兼業の違いは、法的に明確に定義されているわけではなく、「副業・兼業」のようにまとめて扱われることが多い。
一般的な使い分けを説明すると、副業が本業の傍らで行う仕事を指すのに対し、兼業は就業時間内に複数の企業で働く場合のように掛け持ちで仕事をすることを指す。
では実際に、副業や兼業はどれくらい広がっているのだろうか。以下では、マイナビキャリアリサーチLabが実施した各種調査データをもとに、副業をめぐる現状と若者・学生の意向を整理する。
副業は本当に増えているのか?
2018年に厚生労働省が「モデル就業規則」を改訂し、「副業禁止」の項目を削除するなど、政府でも副業推進の動きがある。まずは、副業をしている人が増えているかどうかをデータから確認する。
副業経験者の割合の変化
マイナビが行っている「マイナビ ライフキャリア実態調査」の2021年版と2025年版を比較する。副業経験がある割合(副業・兼業をしたことがある割合)は、2025年調査では26.1%であった。2021年調査では18.1%であり、4年間で8.0pt増加していることが分かる。
この増加は直近に限った動きではなく、JILPTと比較した分析においても確認されていて、長期的なトレンドとして確認できる。前出の2021年調査の結果と、JILPTが2007年に行った「副業者の就労に関する調査」の結果を比較して考察したコラムもある。両者の条件をなるべく近づけて考察した結果、「副業を実施している人の割合は増加しているといっても差し支えない結果となっている」とした。
以上二つの結果から、副業経験者の割合が増加しているといえそうだ。
副業をしたい人の割合の変化
次に、同じく「マイナビ ライフキャリア実態調査」の2021年版と2025年版における「副業意向」についても見ていく。
2025年調査では「副業・兼業を今後したい」割合は47.7%、2021年調査では40.4%であり、4年間で7.3pt増加している。
2025年調査で、就業者(正規)・就業者(非正規)それぞれを年代別に見ると、若者と現役世代のほうが副業・兼業意向が高く、シニア世代は意向が低いことが分かった。【図1】
【図1】副業・兼業の意向(就業者・非就業者の年代別)/「マイナビ ライフキャリア実態調査 2025年版」
副業収入、金額はいくら?調査データから解説
次に、「マイナビ ライフキャリア実態調査 2025年版」では、副業をしている人に対していくらくらいの収入を得ているかを聞いた。
副業・兼業からの見込み年収は、5万円未満が20.9%ともっとも多く、5万円~10万円が19.2%、11万円~30万円が16.6%、31万円~50万円が10.2%、51万円~100万円が12.2%という結果であった。 【図2】
【図2】副業・兼業における見込み年収/「マイナビ ライフキャリア実態調査 2025年版」
「副業」という言葉が持つ意味合い通り、あくまでサブとして年間100万円以下の収入を得ている人が多い一方、副業・兼業で101万円以上の収入を得ている人も20.9%いることが分かった。
副業をする理由―お金・キャリアの観点から
それでは、ここからは副業をする理由を見ていく。
副業をするのは「お金のため」が最多
副業というと、「収入を増やすための手段」というイメージが強い。しかし実際の調査データを見ると、その動機は単純な金銭目的だけにとどまっていないことが分かった。
とはいえ、副業を始める背景として大きいのは、やはり金銭的な理由だ。
「マイナビ ライフキャリア実態調査 2025年版」では、副業・兼業をした理由として「生活費や学費など生計維持のため(39.8%)」「生計維持以外の、貯蓄や自由に使えるお金を確保するため(34.5%)」と、金銭的な理由を挙げている人が7割以上である。 【図3】
【図3】副業・兼業をした理由/「マイナビ ライフキャリア実態調査 2025年版」
物価上昇や将来不安といった社会環境の変化を背景に、本業収入だけでは十分な生活基盤を築くことへの不安が広がっていることがうかがえる。
前出の「マイナビ ライフキャリア実態調査」は、就業者・非就業者問わず15歳~79歳の男女を対象(中学生は除く)に行ったものであるが、ここで調査時点の直近1年間に転職活動をした正社員に対して行った「転職活動実態調査(2025年)」の結果もあわせてみてみる。
副業をしている理由を尋ねると、「本業の収入が不十分のため」が50.2%でもっとも高く、こちらも金銭的な理由が挙げられた。
金銭的理由以外では、新たな知識や経験を求める人も
ここまで見てきたように、副業をする理由は金銭的要因が大きい。しかし、副業の意義はそれだけにとどまらないことは確認しておきたい。
前出「マイナビ ライフキャリア実態調査 2025年版」では、【図3】で示したように、副業を行った理由として「将来の転職や独立準備のため(9.3%)」「新たな知識や経験を得るため(16.6%)」「自分自身の知識や能力を試してみたい(16.2%)」と結果となっている。単なる副収入の手段ではなく、本業では得られない経験を積む場としても活用されていることが分かる。
また、「転職活動実態調査(2025年)」の結果も見ると、すでに紹介した「本業の収入が不十分のため(50.2% )」に次いで、「時間を有効活用するため」が29.5%、「スキルを磨くため」が22.5%、「好きな仕事で自己実現するため」が20.8%であった。
副業経験者9名に対し、副業を始めたきっかけなどのインタビューを行った際にも、9名中6名がリスキリング目的と答えていた。
収入面だけでなく、自己成長の実感やキャリアの広がりが、副業をする大きな動機になっていると考えられる。
副業経験が転職時に役に立った実感
では、実際に副業における経験が転職などキャリアの広がりに役立ったかどうかを考える。
「転職動向調査2026年版(2025年実績)」では、「この1年間(2025年1〜12月)で副業・兼業を行ったか、また行った方は転職の際に、副業・兼業で身につけたスキル・経験が役立ったか」という質問をした。
全体のうち「副業・兼業を行った」人は61.2%で、「転職の時に役に立った」と回答したのは43.1%であった。この数字は副業・兼業を行っていない人も含むため、副業・兼業を行った人のうち役立った実感があるのは約7割ということになる。
副業の目的がどんなものであっても、スキルや経験を積むことで次のキャリアに活かすことができるといえるだろう。
若者・学生が考える副業とキャリア
副業に対する意識の変化は、社会人だけのものではない。学生の段階から、副業を前提としたキャリア観が広がりつつある。
ここからは、若者・学生の副業に対する価値観を見ていく。
就職後に副業をしたい学生は約6割
マイナビが学生に対して行った「2026年卒 大学生キャリア意向調査10月中旬<就職後の副業・投資意欲>」の結果を見ると、大学生のうち約6割が「就職後に副業をしたい」と考えていることが分かった。
この数字からは、副業が特別な働き方ではなく、将来の選択肢の一つとして自然に受け止められていることが読み取れる。
副業を希望する理由は金銭不安が大きい
同調査では、副業を希望する理由も聞いており、全体では「貯蓄や自由に使えるお金の確保のため(55.0%)」という回答がもっとも多く、次は「生計維持のため(43.5%)」と金銭的な不安から副業意向があることが分かった。
一方で、「新たな知識や経験を得るため(31.5%)」「自分の知識や能力を試してみたい(19.9%)」という回答者も一定数おり、キャリア形成の一環として副業を捉える意識も広がっている。
副業にまつわる調査の紹介
マイナビキャリアリサーチLabでは、ここまで紹介した以外にも副業に関する調査を多数公開している。以下に紹介するので、気になる情報を探してみてほしい。
中途採用状況調査2026年版(2025年実績)
中途採用業務を行う企業の担当者に、副業社員の採用数を聞いている。
2027年卒 大学生公務員のイメージ調査
2027年卒業予定の全国の大学生・大学院生を対象に、公務員に対するイメージを聞いた調査。どのようにすれば公務員になりたい気持ちが高まると思うか聞いたところ、「副業が認められれば」は13.3%だった。
中途採用実態調査2025年版
中途採用業務を担当している人事担当者に向けた調査で、企業の自社社員への副業認可や副業人材の採用について聞いている。
2026年卒企業新卒採用活動調査
企業の新卒採用活動に関する調査。入社後の社員の長期定着を見据えて取り組んでいるものとして、副業解禁をしている企業の割合は7.0%であった。
まとめ-副業は特別な働き方ではなくなった
調査データから見えてくるのは、副業がすでに特別な働き方ではなくなりつつあるということだ。
収入不安を背景とした生活防衛の手段であると同時に、キャリア形成や自己成長の機会として、副業は多くの人にとって現実的な選択肢となっている。
2025年に行われた「第8回学生が選ぶキャリアデザインプログラムアワード」のなかで実践女子大学人間社会学部准教授である初見康行氏の講演があり、そこでも以下の内容が示された。
- 働く目的が「お金を得る」のみの人はワーク・エンゲージメントがもっとも低い結果であること
- 「お金を得る」目的を含んだとしても、働く目的が多様であるほどワーク・エンゲージメントが高まること
詳細は以下のコラムで紹介しているので、あわせてご覧いただきたい。
今後は、個人がどのように副業を活用するかだけでなく、企業が副業をどのように位置づけるかも重要なテーマとなるだろう。副業は、「本業の外側にあるもの」ではなく、働き方そのものを捉え直す視点となりつつある。
本記事は新しい調査や記事を公開次第更新していく。