マイナビ キャリアリサーチLab

2023年1-3月総評
「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」

2023年1-3月の平均初年度年収は455.9万円。2018年平均から27.7万円の増加
求人件数は2018年比148.4%と企業の人材獲得競争はさらに激しく

本調査は、総合転職情報サイト『マイナビ転職』(https://tenshoku.mynavi.jp/)に掲載された求人の「平均初年度年収(未経験・経験者求人別)」、「求人件数・応募数」の推移を調査したものである。

調査概要

調査期間 2023年1月1日~2023年3月31日
集計対象 該当月における、総合転職情報サイト「マイナビ転職」に掲載開始された求人情報から、下記除外対象データを除き集計
※除外対象:雇用形態が正社員以外
※厚生労働省「国民生活基礎調査 所得の分布状況」を元に、所得金額上側1%を本レポートでは外れ値として設定
計算方法 マイナビ転職では、初年度年収は各求人ごとに幅をもって記載されている。当レポートでは各求人に掲載されている初年度年収の下限と上限の中間の値を平均値として「初年度年収」を算出した。(例:マイナビ転職上で初年度年収が400万~550万円だった場合、当レポート上の1案件あたりの初年度年収は475万円と計算)
未経験者・
経験者募集求人
の区分方法
マイナビ転職内で設定されたコードに基づいて、以下のように区分した。
未経験者募集求人:職種・業種ともに未経験OKの求人
経験者募集求人:職種・業種いずれか、または両方の経験を問う求人
本社所在地
設定方法
マイナビ転職の求人内において、本社窓口として設定された県をもとにエリア区分を行った(不明分を除く)。
エリア区分 全国47都道府県
関東:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、茨城県、群馬県
近畿:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県
東海:愛知県、静岡県、岐阜県、三重県
北海道・東北:北海道、宮城県、青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県
甲信越・北陸:新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県
中国・四国:広島県、岡山県、鳥取県、島根県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県
九州・沖縄:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

TOPICS

  • 2023年1-3月の平均初年度年収は455.9万円。求人件数は2018年比148.4%と、企業の人材獲得競争はさらに激しく【図1、2、3】
  • 23年1-3月で最も初年度年収の増加額が高かった業種は「金融・保険」で17.2万円増。次いで「IT・通信・インターネット」が7.6万円増、「マスコミ・広告・デザイン」は4.5万円増となった【図4、5、6】

調査概要

2023年1-3月 全体の傾向

正社員の平均初年度年収は455.9万円(未経験者求人:427.1万円、経験者求人:517.0万円)。調査を開始した2018年平均と比較すると、全体では27.7万円増、未経験者求人は17.7万円増、経験者求人は29.1万円増となった。特に経験者求人の給与待遇が上がっており、企業が即戦力採用に注力している様子がうかがえる。【図1】

【図1】正社員の平均初年度年収

正社員の平均初年度年収

求人件数は2018年平均と比べると148.4%で、2022年1-3月平均(130.2%)から18.2pt増加した。また、3カ月ごとにみると、2022年から増加した求人件数は高止まりしており、昨今の人手不足を背景に、企業の人材獲得競争は今後も激しいものになると予想される。今後は給与待遇の改善やオフィス環境整備など、人材への投資を重要視する企業がさらに増えると考えられる。【図2】

【図2】2018年の年間平均を100%とした求人件数推移

2018年の年間平均を100%とした求人件数推移

求人の募集比率は、未経験者求人が67.9%(2022年平均比1.6pt増)、経験者求人が32.1%。未経験者求人比率は2021年まで減少傾向にあったが、2022年では増加に転じた。人手不足感の高まりから、募集の条件を未経験にまで広げる企業が増加していることがわかる。【図3】

【図3】求人の募集条件比率推移

求人の募集条件比率推移

2023年1-3月 業種別の傾向

正社員の平均初年度年収を業種別にみると、「IT・通信・インターネット」が最も高く521.4万円、次いで「金融・保険」が518.9万円、「不動産・建設・設備」が490.1万円となった。2022年平均と比較すると12業種中8業種で増加している。
2022年平均と比較し増加額が最も高かったのは「金融・保険」で17.2万円増。次いで「IT・通信・インターネット」が7.6万円増、「マスコミ・広告・デザイン」は4.5万円増となった。【図4】

【図4】業種別 正社員の平均初年度年収

業種別 正社員の平均初年度年収

求人件数は2018年平均と比較しすべての業種で増加した。最も増加している業種は「環境・エネルギー」で180.6%、次いで「商社」「メーカー」で167.4%だった。企業の採用活動が活発化している様子がうかがえる。【図5】

【図5】業種別 2018年の年間平均を100%とした求人件数推移

業種別 2018年の年間平均を100%とした求人件数推移

業種別でみると、未経験者求人の割合が半数以上となったのは12 業種中 11 業種だった。そのうち、未経験者求人割合が高い業種は「運輸・交通・物流・倉庫」で84.4%、「サービス・レジャー」「環境・エネルギー」「商社」でも80%を超えた。
未経験者求人割合が最も増加した業種は「商社」で5.8pt増、次いで「環境・エネルギー」が5.2pt増、「IT・通信・インターネット」が3.6pt増となった。一方、未経験者求人が少ない業種は「IT・通信・インターネット」「金融・保険」「メーカー」だった。特に「金融・保険」は2022年平均から経験者求人が3.8pt増加した。経験者獲得は未経験者獲得よりも競争が激しいことが予想され、その影響もあって平均初年度年収が大幅に増加していると考えられる。【図6】

【図6】業種別 正社員求人の未経験募集割合

業種別 正社員求人の未経験募集割合

調査担当者コメント

2023年1‐3月は前年同時期に比べて求人件数が大幅に増加し、企業の採用意欲に高まりが見られました。未経験者求人の増加と平均初年度年収の増加が共に起こっていることから、企業は給与待遇改善をはじめとした人材への投資を進め、人材獲得競争が激化していると推察されます。特にこの傾向が見られる業種は「IT・通信・インターネット」で、人材獲得に積極的な企業が多いと考えられます。
求職者は動いているものの、企業の採用意欲はそれ以上に高まっている傾向にあります。そのため今後も企業の人材獲得競争は高まり、特に経験者の採用が難しくなると予想しています。また、未経験者も即戦力に近い人材を獲得するために、人材要件の棚卸に注力する企業が増えていくと考えています。

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