学生が感じる「初バイト」の不安~経験蓄積による自分軸形成の可能性~

嘉嶋麻友美
著者
キャリアリサーチLab研究員
MAYUMI KASHIMA

はじめに

職業選択の幅が広がる中で、「自分が本当にしたい仕事は何か」「自分に合う仕事は何か」を考え、模索していくことは、豊かなキャリアを築くうえで重要である。その一歩として、多くの学生にとってアルバイトは、実際に「仕事」を経験する最初の機会となる。

加えて、2026年2月に実施した「高校生のアルバイト調査(2026年)」「大学生のアルバイト調査(2026年)」では、春休みや夏休みといった長期休暇に、現在アルバイトをしていない高校生・大学生の就業意向が高まる傾向もみられている。

長期休暇は時間的なゆとりが生まれやすく、アルバイトを始める契機の一つとなり得ることから、今後控える夏休みなどの機会にも新たに初めてのアルバイトに踏み出す学生が一定数いることが考えられる。【図1】

図1 非就業の学生におけるアルバイトの就業意向/「高校生のアルバイト調査(2026年)」「大学生のアルバイト調査(2026年)」から作成
図1 非就業の学生におけるアルバイトの就業意向/「高校生のアルバイト調査(2026年)」「大学生のアルバイト調査(2026年)」から作成

しかしながら、初めての経験には不安が伴うものである。初めてアルバイトを始める学生は、どんなことに不安を抱いているのだろうか。

本コラムでは、2026年3~4月の新年度前後に初めてアルバイト探しを行った学生に着目し、初バイトに対して抱く不安について整理し、そこから企業がどのようにアルバイト経験がない(浅い)人を組織に受け入れるべきかのヒントを探る。

【学生の定義について】
本コラムでは、学生を高校生および大学生に限定して操作的に定義している。なお、それぞれの調査における学生の定義は以下の通りである。

  • 「高校生のアルバイト調査(2026年)」では、「高校1~3年生(15~18歳)」を対象としている。
  • 「大学生のアルバイト調査(2026年)」では、「大学1~4年生(18~23歳)」を対象としている。
  • 「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(2026年3-4月)」では、「高校生」「大学生」に自身があてはまると回答した人を対象としている。

学生のアルバイト就業率

まず、高校生・大学生(以下:学生)を対象にアルバイト就業状況をみていく。「高校生のアルバイト調査(2026年)」によると高校生のアルバイト就業率は25.2%となり4人に1人程度となった。また、アルバイト就業経験率(アルバイトをしている+現在アルバイトはしていないが、これまでにしたことはある)は39.6%となった。

アルバイトは、労働基準法により「満15歳に達した日以降の最初の3月31日が終了した後(中学卒業後の4月1日)」から可能とされている。この点を踏まえると、高校入学後、卒業するまでの3年間に約4割が初めてのアルバイトを経験していると考えられる。

さらに、「大学生のアルバイト調査(2026年)」によると、大学生の就業率は74.0%、アルバイト就業経験率は91.1%と9割を超えており、大学生になると多くの学生がアルバイトを経験している状況となっており、高校生~大学生の期間において初めてアルバイトを始める層が多いことが考えられる。【図2】

【図2】学生(高校生・大学生)のアルバイト就業率/「高校生のアルバイト調査(2026年)」「大学生のアルバイト調査(2026年)」から作成
【図2】学生(高校生・大学生)のアルバイト就業率/「高校生のアルバイト調査(2026年)」「大学生のアルバイト調査(2026年)」から作成

初バイト求職者の動向と特徴

次に2026年3~4月にアルバイト探しを行った人を対象に2026年5月に実施した「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(2026年3-4月)」の結果から、初バイト求職者の動向と特徴をみていく。

初めてアルバイト探しをした割合

2026年3~4月にアルバイト探しをした学生のうち、「初めてのアルバイト探し」であった割合は46.0%であった。求職者全体(19.0%)と比較して、学生は初めてアルバイトを探した割合が高かった。

3~4月は春休みなどの長期休暇に加え、新年度が始まる時期でもあり、学生が新たに労働市場に参入しやすいタイミングと考えられる。そのため、学生においては他の属性と比べて、初めてアルバイトを探す人の比率が相対的に高くなっている可能性が考えられる。【図3】

【図3】(2026年3~4月にアルバイトを探した学生)アルバイト探しを初めてする割合/「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(2026年3-4月)」
【図3】(2026年3~4月にアルバイトを探した学生)アルバイト探しを初めてする割合/「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(2026年3-4月)」

初めてのアルバイト探しで重視するポイント

次に、初めてアルバイト探しをした学生が、仕事を探す際にどのような点を重視しているのかをみていく。重視するポイントでは、「通いやすさ」と「交通費の支給」が同率33.3%でもっとも高く、次いで「シフトの融通」(30.2%)であった。

また、過去にアルバイト探しを経験している学生と比べると、初めての学生は「学業や育児への理解」(25.4%)や「設備・就業環境の充実度」(22.2%)などを重視する傾向が強い一方で、「通いやすさ」や「シフトの融通」を重視する傾向は相対的に弱かった。

こうした結果から、経験者は、通いやすさやシフトの融通など、条件面を踏まえて仕事を選択する傾向がみられる一方で、初めてバイト探しをする学生では企業側がどれだけ寄り添い、初めてでも安心して始められる環境であるかを重視する傾向があると考えられる。【図4】

【図4】(2026年3~4月にアルバイトを探した学生)アルバイトを探す際に重視するポイント/「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(2026年3-4月)」
【図4】(2026年3~4月にアルバイトを探した学生)アルバイトを探す際に重視するポイント/「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(2026年3-4月)」

学生が感じる初バイトにおける不安の実態

初めてアルバイト探しをした学生に対して、「アルバイトを探す中で不安を感じることがあったか」を聞いたところ、82.5%が「不安を感じることがあった」と回答しており、初めてのアルバイトにおいては、多くの学生が不安を抱えている様子がうかがえた。

また、不安を感じたことがある学生のうち、71.2%がその不安によって「応募を見送ったことがある」と回答している。このことから、「初めて」であることに伴う不安は心理的な負担にとどまらず、仕事探しの行動そのものにも影響を及ぼしている可能性が示唆される。【図5】

【図5】(2026年3~4月にアルバイトを初めて探した学生)アルバイト探しをする中での不安と応募見送りの経験/「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(2026年3-4月)」
【図5】(2026年3~4月にアルバイトを初めて探した学生)アルバイト探しをする中での不安と応募見送りの経験/「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(2026年3-4月)」

新しくアルバイトを始める際の不安

初めてアルバイト探しをした学生が思う「始める際に感じる不安」は、「職場の雰囲気との相性」が38.1%でもっとも高く、次いで「シフトの融通性」(36.5%)、「自分の適性・能力への不安」(34.9%)となった。

また、過去にアルバイト探しをしたことがある学生と比較すると、「仕事の責任の重さ」「自分の適性・能力」「未経験業務への適応」などに対する不安が特に高い傾向がみられた。

このように、初めてのアルバイトにおいては、自身の能力やスキルと仕事内容とのマッチングに対する不安が特徴的であった。これまでに仕事の経験がないことから、自身がどの程度働けるのか、どのような責任を担うことになるのかといった点について具体的なイメージを持ちにくく、その不確実性が不安の高さにつながっている可能性が考えられる。【図6】

【図6】(2026年3~4月にアルバイトを探した学生)アルバイトを始める上での不安/「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(2026年3-4月)」
【図6】(2026年3~4月にアルバイトを探した学生)アルバイトを始める上での不安/「非正規雇用に関する求職者・新規就業者の活動状況調査(2026年3-4月)」

まとめ

経験による「自分軸の形成」

ここまでの結果から、初めてアルバイト探しをする学生は、重視項目の中でも「学業や育児への理解」や「設備・就業環境」など、就業のしやすさや企業側の配慮に関する項目への関心が相対的に高く、安心して働き始められる環境であるかどうかを重視する傾向がみられた。

また、不安に関する結果をあわせてみると、初めてのアルバイトでは仕事内容や自身の適性に対する不安が高く、仕事に対する見通しを持ちにくい状況にあることがうかがえる。こうした状況では、具体的な条件の比較に基づく選択というよりも、まずは安心して働き始められる環境かどうかといった観点が重視されやすい可能性がある。

その一方で、アルバイト探しや就業の経験を重ねる中で、仕事内容や自身の適性に対する理解が進むことで、「何を重視するか」が徐々に明確となり、賃金やシフト条件といった条件面に着目したうえで、自分自身の判断に基づき、就業後の働き方も見据えながら仕事を選択する視点へと移行していく可能性が示唆される。

初バイトの不安解消に向けて

初めてのアルバイト探しに対して学生は、高い割合で不安を抱えており、その不安が応募行動の抑制につながっている傾向もみられている。

こうした結果をふまえると、企業側には職場の雰囲気や働き方の実態を具体的に発信するとともに、未経験者の不安を把握し、安心して応募できる環境やフォロー体制の整備が求められる。

キャリアリサーチLab研究員 嘉嶋麻友美

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