モチベーションとは?仕事で重要な理由と上げる方法、理論も解説

キャリアリサーチLab編集部
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「やる気」や「意欲」をあらわすときに、「モチベーション(モチベ)」という言葉を使うことも多いだろう。従業員のモチベーションが高いか低いかは、仕事において重要となる要素だ。普段何げなく使っているこの言葉について、ビジネスでの意味や理論も交えながら詳しく解説していく。

モチベーションとは?ビジネスにおける意味

モチベーションとは、「人が行動を起こす際の内面的なエネルギー」や「行動する理由・動機」を指す言葉である。ビジネスの場面では、従業員が前向きに仕事へ取り組む力を高める要素として注目されており、生産性やエンゲージメントに大きく影響するとされている

仕事におけるモチベーションは、単なる気分の問題ではない。「なぜ働くのか」「何のために活動するのか」といった個人の価値観から、評価制度や人間関係といった組織の仕組みまで、さまざまな要因が影響する。

モチベーションに関する理論も紹介

モチベーションの理解には、心理学が役立つ。ここでは代表的な理論を2つ紹介する。

マズローの欲求5段階説

「マズローの欲求5段階説」は、心理学者アブラハム・マズローが提唱した理論で、人間の欲求は次の5段階に分かれるという考え方である。

  1. 生理的欲求(食事・睡眠など、生命維持に必要)
  2. 安全欲求(安心して暮らしたい)
  3. 社会的欲求(仲間や所属先がほしい)
  4. 承認欲求(認められたい)
  5. 自己実現欲求(自分の能力を発揮したい)

これらの階層は生理的欲求が最下位、自己実現欲求が最上位となるピラミッド状になっており、低い階層の欲求が満たされることによって次の段階の欲求を求めるようになるというものだ。

ビジネスでは従業員のモチベーション管理に活用されており、「働くうえでどの欲求が満たされているか」を把握するヒントになる。

ハーズバーグの二要因理論

ハーズバーグの二要因理論は、仕事の満足と不満足は別々の要因で起こることを明らかにしたモチベーション理論である。

人の欲求には動機付け要因と衛生要因の2種類があり、動機付け要因は達成感や承認、成長機会など「これらが満たされると高いモチベーションを引き出すもの」である。一方衛生要因は、給与や労働環境、人間関係などで「不十分だと不満を引き起こす要因となるもの」である。

動機付け要因は欠けていても大きな不満にはつながらず、衛生要因は満たされていても大きな満足感につながることはない。

この理論から、不満を消すための施策(衛生要因)と、モチベーションを上げる施策(動機付け要因)は別物であるといえる。まずは衛生要因を整えて不満をなくし、次に動機付け要因でモチベーションを高めるという段階的なアプローチが有効である。

モチベーションの種類

モチベーションは、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」という2種類に大きく分けられる。以下に詳しく説明する。

外発的動機付け

外発的動機付けとは、外部から与えられる報酬や評価、環境によって行動が促される動機を指す。「やりたいからやる」のではなく、「報酬がもらえるからやる」「評価につながるから頑張る」といった、外側の要因が中心となる。

外発的動機付けが生まれる要素としては、給与や賞与、インセンティブ、罰則、他者からの期待などが挙げられる。営業インセンティブによって目標達成への意欲が高まるように、短期的な集中力や成果創出には非常に効果的である。

一方で、外発的動機付けは持続性が低いという特徴がある。評価や報酬がなければ行動が止まりやすく、継続的な意欲の維持がしにくい。また、報酬が当然になると慣れてしまい効果が薄れやすく、さらに強いインセンティブを必要とするなど、コスト増加につながる可能性もある。

内発的動機付け

内発的動機付けとは、報酬や評価の有無にかかわらず、「自分の内側から自然と湧いてくる意欲」のことである。「仕事そのものが楽しい」「成長を実感できる」「得意なことを活かせている」といったポジティブな感情が行動の源になる。

これらは一時の意欲の高まりではないため、持続性が高く、燃え尽きにくい。また、主体性が高まり難易度の高い課題にも前向きに取り組んだり、成果が安定しやすかったりといったメリットもある

特に、知的労働やクリエイティブな仕事が増える現代において、内発的動機付けは企業がもっとも重視すべきモチベーションだといわれている。内発的動機付けは個人の心理に関連するため、組織が直接コントロールすることは難しい。しかし、適切なフィードバックや心理的安全性のある職場づくりなど環境面を整えることで高まりやすくなるといえる。

仕事でモチベーションが重視される背景

モチベーションは個人のやる気だけでなく、組織の成果全体に直結するものだ。ここでは仕事でモチベーションが重視される理由を整理する。

エンゲージメントと生産性の向上

仕事へのモチベーションが高い従業員は、主体性や責任感が強い傾向がある。そして企業との結びつきを示す「従業員エンゲージメント」が高まると、結果として生産性の向上にもつながる。

エンゲージメントについては、以下の記事で詳しく解説している。

エンゲージメントが高いと起きる行動の変化としては、「自ら業務改善に取り組む」「困難な業務にも前向きに挑戦する」「自分の仕事に誇りを持つ」などが挙げられる。こうした行動は、単に指示された仕事をこなす状態とは異なり、組織の価値創造を支える重要な要素にもなる。

周囲に好影響をもたらす

モチベーションの高い従業員は、周囲にもポジティブな影響を及ぼし、チーム全体の雰囲気を良くする。これは個人の感情だけでなく、職場の心理的安全性やコミュニケーション・協働意識の向上など、働く環境全体の改善に貢献する。

メンバー同士が自然に助け合ったり、情報共有が活発になったりというように、一人の従業員の高いモチベーションが周囲に波及し、前向きに働ける職場の雰囲気を作り上げていく。その結果、ほかの従業員も「この職場で働き続けたい」「このチームに貢献したい」と感じやすくなり、定着率の向上・離職率の低下にもつながる。

採用コスト・教育コストの削減

前述したように働きやすい職場の雰囲気づくりに成功し離職が減れば、採用や教育にかかるコストも抑えられるため、組織としても大きなメリットがある。

離職が減るだけでなく、業務上のミスが減ったり、業務効率が上がったりというようにモチベーションが高い状態が維持されることによる恩恵は大きく、結果として経営コストの削減につながる。

従業員のモチベーションを上げる方法

それでは、従業員のモチベーションを上げるにはどうすればよいのか。人事施策や日常のマネジメントで取り組みやすい方法を紹介していく。

納得感のある人事評価制度

モチベーションを高めるうえで、「自分の努力が正当に評価されている」という感覚は非常に重要である。曖昧な評価基準や、何が評価されているのかがわからない状態では、不満や不信感が生まれやすく、業務への意欲低下につながりやすい。

納得感のある評価制度を実現するためには、まずは評価基準を明確化することが重要となる。行動指針・成果指標・スキル要件などを具体的に言語化し、「どのような行動が高評価につながるのか」を明示する。

そのうえで、ゴール設定や評価時期、査定プロセスを共有し、従業員が自分の成長を見通せる状態にすることが望ましい。また、フィードバックの際は、単に評価を通知するだけでなく、「なぜその評価になったのか」「今後期待されること」もあわせて伝えることも重要となる。

評価制度は、ハーズバーグの二要因理論でいう「衛生要因」にも「動機付け要因」にもつながる部分である。整備されているだけでモチベーション低下を防ぐ“土台”になり、運用次第で高い動機付けを生み出せる仕組みになるため、丁寧な制度設計が必要といえる。

定期的なフィードバック

従業員の成長意欲を保つためには、継続的なフィードバックが欠かせない。特に近年は、1on1ミーティングを導入する企業が増えており、上司と業務の方向性をすり合わせたり、フィードバックを受けることで成長を実感したりできる場として機能する。

1on1については、以下の記事で詳しく解説している。

また、評価ではない対話の機会を設けることで、気軽に相談や提案がしやすい環境になる。日常の中でこまめにコミュニケーションを取り、成果や努力を言語化して伝えることが、従業員のモチベーション維持に大きく役立つ

適切な人員配置

人は自分の強みや興味を生かせる業務に取り組むと、自然と内発的なモチベーションが高まりやすくなる。反対に、不向きな業務が続くとストレスが溜まり、成果も出にくくなるため、適切な人員配置はモチベーション管理の観点でも重要である。

そのためには、従業員一人ひとりの強みや志向性を把握し、本人の成長につながる機会提供としての役割も考慮しながら人員配置を行う必要がある。適切な配置ができれば、内発的動機付けが高まり、業務への主体性向上やパフォーマンス向上につながる。

心理的安全性の高い職場づくり

モチベーションの高い組織をつくるためには、従業員が「安心して働ける環境」を整えることも不可欠である。

心理的安全性のある職場では、それぞれの意見やアイデアが尊重されるため自由に発言でき、失敗があっても改善に向けた建設的な対話が行われる。

心理的安全性については、以下の記事で詳しく解説している。

何事にも安心して挑戦できる環境では、自発的な行動や改善提案が生まれ、学習意欲が高まるという好循環になる。結果としてモチベーションも上がり、パフォーマンスが向上する。

多様な働き方・福利厚生の充実

多様な働き方の推進や福利厚生の充実は、従業員の生活と働く環境を支える重要な要素である。給与や評価制度だけでは補いきれない「安心感」や「働きやすさ」を提供し、モチベーションを保つ土台づくりに貢献する。

従業員が多様な働き方ができる環境整備については、テレワーク制度やフレックス制度、副業の解禁などが挙げられる。

マイナビが行った「中途採用実態調査2025年版」では、副業・兼業を導入している企業にその理由を聞いており、もっとも多かった回答が「社員のモチベーションを上げるため(39.3%)」であった。このことからも、従業員のモチベーションアップのために取り組みを行う企業が少なくないことが見て取れる。

また、福利厚生の内容としては、住宅手当などの生活面のサポートや、フィットネス補助などの健康面のサポート、資格取得補助などのキャリア支援が代表的である。特に、キャリア支援系の福利厚生は「成長したい」という内発的動機付けを高める効果があり、昨今注目が高まっている。

多様な働き方や福利厚生を充実させることは、従業員が安心して長く働ける環境づくりに直結するため、モチベーション向上の観点でも大きな意味を持つ。

仕事のモチベーションを高めて生産性向上を目指そう

従業員のモチベーションは個人の努力だけでなく、組織の制度や文化にも大きく左右されるものだ。従業員一人ひとりが前向きに働ける環境をつくることは、結果的に組織全体の成果向上にもつながる。

外発的・内発的モチベーションの特徴を理解し、組織として適切な制度や環境を整えていくことが、持続的な成長には不可欠である。ぜひ自社の施策を見直し、モチベーションアップのための参考にしてほしい。

矢部栞
担当者
キャリアリサーチLab編集部
SHIORI YABE

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