組織風土改革で生まれるチーム力とは?三菱電機の実践例から学ぶ

キャリアリサーチLab編集部
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近年、働き方が多様化する中で、職場では個人のチームや組織への関わり方がこれまで以上に重要になってきました。そこで、チームや組織で働くことで得られるメリットや効果について、連載企画を通して実例を紹介していく本企画の第1回では、日本大学大学院の田中先生に組織市民行動について伺いました。第2回は株式会社ヤマップの実践例を紹介し、第3回となる今回は、組織風土改革に取り組む三菱電機のカルチャー変革室にお話を伺います。

組織改革の中で、チームワークや組織力がどのように醸成され、どんな効果を生むのか―。三菱電機は、2021年に発覚した品質不適切行為問題以降、全社プロジェクト「チーム創生」を立ち上げ、コミュニケーション改革や心理的安全性の浸透など、多様な取り組みを進めてきました。その中心となる「カルチャー変革室」に、改革を始めた背景、現場にもたらした変化、そしてこれから目指す組織の姿を伺いました。

組織風土改革で生まれるチーム力とは?三菱電機の実践例から学ぶ

■小野田 桂吾 ※画像左
カルチャー変革室 企画グループ グループマネージャー
東北大学文学部卒業。2004年に三菱電機に入社し、調達部門にて半導体や電気電子部品、素材などの契約・価格交渉を担当。タイやシンガポールなど海外赴任も経験。2022年に経営企画室へ異動し全社的な戦略的意思決定に携わりながら、組織風土改革を推進する全社変革プロジェクト「チーム創生」メンバーとして活動。現在は、2025年度に新設された「カルチャー変革室」の企画マネージャーとして方針策定や施策立案を担当。

■石山 鮎子 ※画像中央
カルチャー変革室 推進グループ グループマネージャー
慶應義塾大学文学部卒業。2016年、三菱電機へ経験者採用入社。海外向け新規インフラ設備の市場開拓・顧客提案・入札対応など、主に営業業務を担当。2021年に発足した全社変革プロジェクト「チーム創生」のメンバーとなり、2022年からはその専属メンバーとして3年間の活動に携わる。2025年度からは、新設された「カルチャー変革室」の推進マネージャーとして、各組織の自走化に向けたボトムアップ活動を伴走・支援する。

■佐藤 智文 ※画像右
カルチャー変革室 マイパーパスグループ Associate Expert
上智大学法学部卒業。東京理科大学大学院総合科学技術経営研究科修了。2010年に三菱電機に入社し、知的財産渉外部にて、主に通信分野の特許権に関する契約・交渉・訴訟対応に従事。2020年、経済安全保障統括室マネージャーとして、新規リスク探索・制御業務を担当。2021年からは全社的な組織風土改革プロジェクトに参加し、社内外に向けた情報発信やワークショップ企画を通じた活動の活性化に努める。

ボトムアップとトップダウンで挑んだ全社変革のはじまり

ボトムアップとトップダウンで挑んだ全社変革のはじまり

質問:「カルチャー変革室」が立ち上がったきっかけや立ち上げた時の課題がありましたら教えてください。

社内公募で生まれた『チーム創生』プロジェクト

小野田:私たちが組織風土改革の取り組みを始めたのが2021年です。2021年6月に判明した品質不適切行為問題を受け、三菱電機グループ一体となって「品質風土」「組織風土」「ガバナンス」の3つの改革をスタートしました。

現在の社長である漆間自身がプロジェクトリーダーとして陣頭指揮を執り、プロジェクトメンバーを公募したところ、465人の応募があり、その中の45人がコアメンバーとなって全社変革プロジェクト「チーム創生」が誕生しました。

その後、アンケートやインタビューを通じて幅広く従業員の生の声を集めながら、約半年をかけて議論を重ね、当社グループの新たな組織風土の創生に向けた「三菱電機グループ風土改革『骨太の方針』」をとりまとめ、2022年4月に発表しました。

「骨太の方針」に込められた6つの改革軸

小野田:この「骨太の方針」は6つの柱で構成されています。まず、問題を引き起こしてしまった原因の一つである「劣化した風土」を改善する方針(マイナスからゼロへ)として、

  1. 前向きで双方向なコミュニケーションを活性化し、グループ全体に広げます
  2. 形骸化した過度な業務を改め、本質的な業務に注力します
  3. お互いを信頼し、広く分かり易く情報を共有します

を掲げました。

そして、新しい風土を築く施策(ゼロからもっと素晴らしい明日へ)として、

  1. 役割・権限・責任を適切に付与することで、人・組織の自走を促します
  2. 部門を越えて繋がりあうことで、三菱電機グループの強みを認識し、活かします
  3. お互いに学びあい、自発的に成長しあえる機会を増やします

という3つの方針を策定しました。

これら6つの基本方針を基に3年半、取り組んできたわけですが、特徴は、トップダウンとボトムアップの両輪で改革を推進したことです。経営陣が積極的にタウンホールミーティングに参加し従業員と直接対話を重ね方針の実現に向けて行動し、また、従業員側も、自分たちの職場は自分たちの手で良くしていこうと「自分ごと」としていろいろな施策に取り組んできました。

主要施策と現場への浸透施策

小野田:「チーム創生」が推進した主要な施策は、

  1. コミュニケーション改革
  2. 業務負荷軽減
  3. 情報共有・発信
  4. タテ・ヨコの壁を打破する取り組み
  5. 人事処遇制度の刷新
  6. 学びあい、教えあい、繋がりあう場の設置

となります。

たとえば、コミュニケーション改革では、社内でのやり取りの際に相手を役職で呼ぶのをやめて「さん付け」を推奨したり、1on1ミーティングの浸透を図ったり、心理的安全性を向上させる取り組みを促進したりしました。

また、業務負荷軽減に関しては、会議を活性化するためのガイドラインの策定や、過度な点検項目の削減。情報の共有に関しては、会社や部門の方針・決定などについて、より丁寧に従業員に伝える機会を設けたり、検討過程を開示する情報を増やしたりするなど、一人ひとりの納得感を高める取り組みを進めました。

従業員のエンゲージメントスコアを活動のKPIの一つとして測定しており、活動当初は目立った改善傾向が見られませんでしたが、プロジェクトの最終年度である2024年度に大きく向上し、3年かけて取り組んできたことが実を結び、組織風土が良くなってきたという実感が得られています。

2025年4月には、これまでの取り組みを引き継ぎながら進化させ、「よりよい組織風土」を継続的にアップデートしていくため、時限的な組織であったプロジェクト体制を改め、常設組織である「カルチャー変革室」を設立しました。

カルチャー変革室のミッションと役割

小野田:カルチャー変革室のミッションは、会社の中に「ボトムアップで自走できるカルチャー」を築くことです。具体的には、従業員一人ひとりが課題について主体的に考え、周囲と対話し、協働し、新たな挑戦につなげ、そこから学び、成長する。

こうした自走のサイクルを回していく風土を醸成し、当社の文化=カルチャーとすることです。その土台には、このようなカルチャーを各職場で醸成することこそが未来への大切な投資であるという考え方も根付かせたいと思っています。

カルチャー変革室の機能は「ビジョンの浸透」「推進施策の企画・実行」「コミュニケーション・連携」「教育・研修」「フィードバックと改善」の5つに大別されます。経営層との対話をもとに目指すべきカルチャーのビジョンを示し、その達成度をKPI(重要目標達成指標)で見える化しながら、ボトルネックとなっている領域に適切な施策を実行する。

また、各職場でカルチャー変革を推進するメンバーとコミュニケーションを深め一体となり、人事総務部門とも管理職・リーダー向け研修プログラムで密に連携するなど、多面的に活動を進めています。

情報発信がもたらした社内外への効果

情報発信がもたらした社内外への効果

質問:自社の取り組みを社内への発信だけでなく、なぜnoteで社外にも発信しようと思ったのでしょうか。また、取り組みを通じて、得られたものがありましたら教えてください。
ミツビシデンキ ヘンカクの音|note

従業員の取り組みを可視化し、モチベーションを高める

佐藤:前提として、「情報は発信する者のところにこそ、新しい情報や機会、チャンスをもたらす」という考えが基盤にあります。

社外への発信を企画した当時、社内各所で多くの人が組織風土変革に向けて素晴らしい取り組みを展開しているのに、社内でもあまり認知されておらず、正しく評価されていないという課題感を持っていました。また、社外に対しても、当社の本当の姿を伝えられていないと思っていました。

そこで、せっかく社内で良い取り組みをしているのだから、社内外に積極的に情報を発信することで、三菱電機が変わろうとしていることや、三菱電機で働く人たちの実態を広く知っていただきたい。そして、それを受けた社外の声や評価が社内に伝わることで、改めて従業員にも、「自分たちは素晴らしい取り組みをしているんだ」と実感してもらい、活動へのモチベーションをより一層高めたい、と考えました。

また、「三菱電機って面白いことしてるな」「自分もこういう会社に入りたい」「自分たちも一緒に取り組みたい」と、noteの記事を読んだ人に新しい活動のサポーターやパートナーになっていただけたら…という期待も込めて、社内に限らず社外でも読める形で発信することとしました。

言語化による自己認識と前向きな変化

佐藤:取り組みについてインタビューを依頼すると、「自分はそんな大したことやってないんで⋯」と謙遜されることが多いのですが、実際にお話を聞いて記事にすると、自分たちの取り組みの重要さをあらためて認識してもらえますし、社内外の多くの人に知ってもらえることでモチベーションアップにもつながるようです。

また、自分たちの取り組みや、その背景にある想いが記事になることで、「自分でも言語化できていなかったことがすごくクリアになった」「改めて気付く部分もあったので、もうちょっと頑張ろうと思う」といった感想をもらえることがあり、良い効果が出ているように感じています。

noteで情報発信していることを知っている人は社内でも限られていたのですが、さまざまな拠点での活動を継続して取り上げてきたことで、徐々に認知度も上がり、逆に「うちの部署の取り組みを記事にしてくれないか」とオファーが来るようになりました。

また、こうした発信をきっかけに社外からも当社の活動に興味を持っていただき、アワードで表彰いただいたり、メディアからの取材にもつながったりして、それがまた社内で取り組む人たちのモチベーションを向上させるなど、良いサイクルが生まれ始めていると感じています。

他社からの問い合わせと情報共有の姿勢

石山:私たちの情報発信をきっかけに、同様の取り組みをされているいろいろな会社から「取り組み内容を教えてほしい」というご要望をいただくことも増えてきました。

私たち自身、この活動を始めた当初は先行して取り組まれている企業さまにアドバイスをいただきましたので、こうした情報交換を通して、当社だけでなく日本企業として相乗効果を生みだせたらと期待しています。

また、施策を展開したり、発信したりする際には、受け手に少しでも興味を持っていただけるように、施策のネーミングにもこだわっています。“雑相(ざっそう)”もその中の一つです。

以前の当社は、社内で気軽な雑談がしづらい雰囲気が漂っており、業務時間内で気軽に雑談や相談ができる職場にしていきたいという思いから、「雑相(雑談×相談)」という言葉をつかって、社内のコミュニケーションを活性化させる取り組みを進めています。おかげさまで、「雑相」という言葉や考え方、その効果も社内で認知され、従業員同士の距離を縮めることにつながっていると思います。

改革を進めるうえで直面した課題と工夫

改革を進めるうえで直面した課題と工夫

質問:組織風土改革の取り組みを進めるにあたり、課題などがありましたら教えてください。

ガイドラインだけでは浸透しない現実

佐藤:たとえば先ほど、会議を活性化させる「会議改革」のお話をさせていただきましたが、会議を開催する際のガイドラインやエチケットマニュアルを策定したものの、当初はなかなか浸透しませんでした。そこで、会議中にありがちな行動や起きがちな光景、参加者の心の声をユーモラスにまとめた「会議あるある川柳」を掲載した卓上ポップを作成して設置したところ、大きな反響がありました。

石山:「会議あるある川柳」を掲載した卓上ポップは、工場を含めて社内用会議室に必ず置いてあります。

小野田:「ガイドラインを作成して社内に展開したら終わり」「従業員に通知メールを発信したら終わり」だけでは行動変容に結びつかないので、実践してもらえるように、また、効果を実感してもらえるように、みんなで知恵を絞ってあの手この手をつかってアプローチしてきました。会議改革のガイドラインの浸透にあたっては、プロジェクトメンバーとともに楽しみながら学べるような説明動画を撮影し、社内研修で活用しました。

会議のエチケットについては、「まず目的とゴールをシェアしよう」「議題と時間配分をクリアにしよう」「発言した人にはリスペクト&リアクションしよう」「とりあえず出席するっていうのはやめよう」と、意識すればすぐに実践できることを4つに絞り、社内展開しました。

コミュニケーション改革と心理的安全性の普及

石山:私の場合は、コミュニケーション改革を重点施策として担当し、「さん付け」の推奨、1on1ミーティングの浸透、心理的安全性の浸透などに3年間取り組んできました。

社内サイトにテーマごとの特設ページを作成して普及に努めてきましたが、心理的安全性については活動当初、その概念はおろか言葉そのものがあまり認知されていなかったので、「会議改革」と同じようにガイドラインを作成して、外部の第一人者を講師として招いて講座を開いたり、チームのメンバーと拠点を巡回してワークショップを実施したりして推進しました。

取り組みを進めるにあたり、特に気を配ったのは、トップ(経営層)をいかに巻き込むかです。まずは社長の共感をしっかり得たうえで、役員や幹部層に対して書籍の配布や研修を実施するなど浸透施策を行いました。幹部研修においては自身のコミットメントとしてメッセージを発信頂くような場作りも行いました。

半年、一年と発信し続けた結果、徐々に心理的安全性に関する認知も広がりました。一方で、それぞれの拠点や職種におけるコミュニケーションのあり方が異なることから、各職場・従業員に浸透する方法を並行して探っていきました。

こうした取り組みを成功させるには、経営層自身が実践することがとても重要だと思います。トップが率先して実践しないと、それぞれの現場の従業員は自分ごと化できず、ボトムアップの活動だけでは、取り組みが全社に浸透しなかった可能性があったのではないかと思います。

佐藤:どの取り組みも本当にトライアンドエラーの繰り返しで、やってみたもののうまくいかなかった施策もたくさんありましたし、現時点では役目を終えた施策もあります。とにかく試行錯誤の3年半でした。

組織横断の連携で生まれた成果と残されたテーマ

組織横断の連携で生まれた成果と残されたテーマ

質問:これまでの活動を通して組織やチームとして得られた効果やメリット、課題などがありましたら教えてください。

個人の優秀さをチーム力に変えるために

石山:みなさん個々人は非常に優秀で真面目な方が多いのですが、それがチームの単位になると個別最適思考になってしまいがちで、1+1が、2以上にならないケースがあるように感じていました。

これが掛け算になるのが理想的なチームの姿だなと思った時に、私の中では、それを実現するための一つのピースが心理的安全性という概念なのではないかと考え、取り組みを進めてきました。その結果、社内で部署の垣根を越えてコミュニケーションを取る機会が増えたことで、交流会などの開催が活発になり、さまざまな機会創出に繋がりましたし、コミュニケーションの取りやすさは確実に高まったと感じています。

また、実際に、社内でコミュニケーションが取りやすくなった、連携がしやすくなったということが、各種の社内アンケート等を通じても確認できています。

一方で、チームの力を掛け算にして最大限に発揮するところまでは、まだ到達できていない印象です。心理的安全性の面でも、共通の目的に向けて意見を率直にぶつけ合い、より良いアイデアを導く点に関しては、まだ途上だと感じています。ただ、その前提となる“チームとしての基盤づくり”は大きく前進したと思います。

佐藤:プロジェクトを推進するメンバーや取り組みに参加した人たちから多く聞かれるのが、「視野が広がった」という声です。各職場の風土を改善する活動を通して、今まで以上に多様な部門・職種の人たちと接するようになり、それぞれの立場や視点を知ることで、自身や自身の属する部門の視点だけではなく、業務の工程全体や会社全体について考えながら行動することができるようになった、というものです。

周りのことを知ることで、関係の質が向上し、考え方や価値観が変わり、行動にも変化が起き、職場全体に良いサイクルが生まれているという話は、社内のいろいろなところで耳にします。少しずつでもそういうことが増えていけば、会社全体に良い結果がもたらされると思っています。

もちろん課題はあります。私たちは、一人ひとりが課題について主体的に考え行動する「自走する組織」を築くことをこの活動の目標に掲げていますが、私たちのような「変革推進部門」ができてしまうと、「そこが変えてくれるんだよね」という考えを持ってしまう人もいます。会社全体を変革し、さらに前進するためには、そうした変革推進メンバーだけではなく、従業員一人ひとりが考えて行動することが必要です。この点はまだできることが残されていると考えています。

石山:「なんのために「変革」しなければならないのか?」と問われることがありますが、組織風土改革はあくまでも手段であり、何でもかんでも変えることを目的としているわけではありません。当社は今、リスクを恐れず新たな発想で価値を創出する「イノベーティブカンパニーへの変革」を掲げていますが、それを実現するためには、企業カルチャーの変革が不可欠な領域があります。この変革の本来の目的をしっかりと伝え、理解していただく必要があると感じています。

モチベーションを維持するための評価制度

小野田:何のために組織風土を変えるのか、何のためにコミュニケーションの活性化が必要なのか、それが事業競争力の強化や、経営が向かう方向性とどう結びついているのか、そこの意識を従業員一人ひとりが持てるようになることが重要と思っています。働きやすくなったねとか、周囲と話しやすくなったね、という感想のみにとどまらず、より「強い組織」を築くという次のステージに一緒に進んでいく、そうした機運をどのように高めていくか、日々悩みながら活動を進めています。

そのためには、やはり各職場の管理職にカルチャー醸成の必要性をしっかり理解してもらい、一緒に進めていくことが重要だと考えています。ただそうは言っても、それぞれの職場はいろいろな仕事を抱えているので、「理解はしているけれど、なかなか手がつけられない」というのが本音だと思います。彼らが何に困っているか、非効率なプロセスや本質ではない業務にどれだけ時間を取られているのかなどをヒアリングし、目指すカルチャー醸成に取り組む余裕を創出できるような施策も並行して進めていきたいですね。

佐藤:今はカルチャー変革に対する強い想いを持った人たちが、その想いを原動力に動いていますが、これを継続させていくためには、想いの力だけでは不十分です。主体的な取り組みを評価したり、称えたりする機会やシステムを、ハード・ソフト両面で整備していく必要があると思います。

組織風土から社会風土へ―広がる連携の視点

質問:これから目指す組織の姿など、実現しようと思っている目標がありましたら教えてください。

全従業員が主体的に考え、行動する組織へ

小野田:従業員一人ひとりが主体的に考え、行動する。これが出発点だと思います。そして、垣根を越えて対話・協働して、共に挑戦し、学んで成長していくというサイクルを回す、これをいかに実現するかが重要です。このようなカルチャーが強化されると、既存の事業はより進化するでしょうし、新しい事業の探索にもつながると思います。

これまでは事業や部門の縦軸で強みを発揮してきましたが、それらに横軸を通して、当社が持つ事業や知的資産の多様性を掛け合わせていく。そうすることで、グループ全体として総合力が最大限に発揮され、強くなっていくのではないかと思います。そのためにも、まずは出発点として、私個人としても主体的に行動を起こすことを普段から心がけていきたいと考えています。

企業間のつながりが社会全体を変える可能性

佐藤:情報発信を続ける中で、さまざまな企業さまとつながるようになりました。そうした交流を通して、「組織風土の変革は、最終的に社会全体の風土変革にもつながっていく」という考えを持つようになりました。

近年では多くの企業が組織風土向上に向けた取り組みを展開していますが、自社だけが良くなればいいというものではなく、同じ想いを持つ企業が交流しながら、それぞれ良い方向に変わることで、その輪が拡がり、日本社会全体の風土もアップデートされ、結果として日本企業が抱えるさまざまな課題も徐々に解消されていくのではないか、と。

なので、組織風土改革は企業間で「競争」するものではなく、互いに協力し「協創」すべき領域であり、各職場、各企業・組織における活動の積み重ねが、いずれ日本全体を元気にしていく――。とても壮大な未来図ですが、そんな思いも抱きつつ活動しています。

石山:先にもお話したとおり、私たちが目指す「組織のありたい姿」は「一人ひとりが主体的に考え、垣根を越えて協力し、挑戦する組織」です。自部門に閉じた個別最適の考え方ではなく、会社全体、さらには社外も含めた全体最適の発想で連携できる、そんなカルチャーを築くことが重要だと考えています。こうしたカルチャーが定着すれば、競合する他社とも競合するのみではなく協働し、新しいシナジーを生み出すことで「もっと素晴らしい明日」を切り拓くことにもつながるのではないかと思います。

こうした風土の土台の上で、事業の面でも多様な人が混じり合い、新しい価値を生みだす、そんな世界観を日本社会や日本企業で実現できるのではないかと思っています。とはいえ、そのためには、まずは自社内での協働からです。課題に向かって協働し挑戦できる文化をしっかり築いていきたいと考えています。

片山久也
担当者
キャリアリサーチLab編集部
HISANARI KATAYAMA

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