若手社員の“飲み会離れ”は本当か?「人間関係」による離職を防げ! ~節度あるインフォーマルなコミュニケーションの可能性について~ 

嘉嶋麻友美
著者
キャリアリサーチLab研究員
MAYUMI KASHIMA

これからの時期は年末にかけて忘年会シーズンに突入し、企業内の部署やチームなど、さまざまなコミュニティで忘年会が行われることも多い。昨今、Z世代などの若手社員における会社の飲み会離れが話題にあがるが、実際に飲み会への参加率は低いのだろうか?

今回は、若手社員の何気ない雑談や飲み会などの業務外でのコミュニケーション意識を紐解き、インフォーマルなコミュニケーション(業務に直接関係しない雑談ややり取り)を取り入れることが社内での「良好な人間関係を築くヒント」や「離職抑制に繋がる可能性」について考察する。

20代・30代の忘年会参加頻度

20代・30代の正社員に「会社の忘年会・飲み会に参加頻度」について聞いたところ、20代で忘年会の参加頻度が高い(いつもある+よくある)と回答した割合は、34.9%だった。30代(34.4%)と比べて、大きく差はみられなかった。

Z世代と呼ばれる20代は、“飲み会離れ”の傾向にあると言われているが、会社の忘年会や飲み会においては、ときどき参加する人も含めると、約6割が参加しており、30代と同程度であることが分かる。

【図1】(20代・30代)会社の忘年会・飲み会の参加頻度について/インフォーマルコミュニケーションがロールモデル形成に与える影響
【図1】(20代・30代)会社の忘年会・飲み会の参加頻度について/インフォーマルコミュニケーションがロールモデル形成に与える影響

大学生が考える忘年会の価値観

2026年卒の大学生に対して、業務外での職場の人との関わり方についての意識を聞いたところ、「同期とは友人のように仲良くしたい(74.6%)」「職場の人とLINEなどの連絡先を交換することに抵抗がない(66.7%)」の次に「忘年会や決起会などの節目のイベントには参加したい(55.6%)」が上位にあがっている。【図2】

【図2】職場の人との業務外での関わり方への意識/2026年卒 大学生キャリア意向調査3月<就活生のワークライフバランス意識>
【図2】職場の人との業務外での関わり方への意識/2026年卒 大学生キャリア意向調査3月<就活生のワークライフバランス意識>

また、この調査では大学生の考える職場の人との関わり方の理想についても自由回答で尋ねており、「プライベートを分けたい」「仲のいい人ができたら遊びに行ってみたりはしたい」などの声もみられ、仕事とプライベートを分けつつ、親しい人とは関わりたいといった意識もあるようだ。【図3】

【図3】学生が考える理想的な業務外での関わり方(自由回答)/2026年 卒大学生キャリア意向調査3月<就活生のワークライフバランス意識>
【図3】学生が考える理想的な業務外での関わり方(自由回答)/2026年 卒大学生キャリア意向調査3月<就活生のワークライフバランス意識>

20代社会人がインフォーマルコミュニケーションによって得たいもの

20代正社員に対して、「業務と直接関係のない、何気ない会話ややり取りなどのインフォーマルコミュニケーションを取りたいと思うか」と聞くと、63.4%がそういったコミュニケーションを取りたいと思っていると回答した。

取りたい理由では「相談や助け合いがしやすくなるから(50.5%)」「組織内の雰囲気を良くしたいから(49.1%)」「雑談があると安心感があるから(42.7%)」が上位にあがっていることから、職場において良い人間関係の構築や雰囲気づくりをしたいと考えており、業務外の何気ない会話が安心感に繋がるという意識もあるようだ。【図4】

【図4】(20代)職場でのインフォーマルコミュニケーション意向と取りたい理由/インフォーマルコミュニケーションがロールモデル形成に与える影響
【図4】(20代)職場でのインフォーマルコミュニケーション意向と取りたい理由/インフォーマルコミュニケーションがロールモデル形成に与える影響

忘年会や飲み会などのイベントへの参加頻度には、「職場を自身にとって安全で安心なものにしたい」という意識の強さが影響を与えている可能性が考えられる。

30代役職者のジレンマ

一方で、30代の役職者に対して「部下とのインフォーマルコミュニケーションが取りづらいと感じるか」を聞いたところ、22.2%が取りづらさを感じていることが分かった。

取りづらいと感じる理由では、「話題選択の難しさがある(35.2%)」「プライベートの話題に触れることにためらいがある(34.2%)」が上位にあがり、インフォーマルコミュニケーションが取りづらいと感じる背景には話題選択のハードルがあると考えられる。【図5】

【図5】(部下がいる30代役職者)部下とのインフォーマルコミュニケーションについて/インフォーマルコミュニケーションがロールモデル形成に与える影響
【図5】(部下がいる30代役職者)部下とのインフォーマルコミュニケーションについて/インフォーマルコミュニケーションがロールモデル形成に与える影響

若手社員は半数以上が業務外の何気ない会話などを取りたいと思っている中、役職者は部下に対してどういった会話をすればいいのかわからないといったジレンマがあるようだ。

20代の転職理由

しかし、コミュニケーションを取ることにためらう気持ちがあるからといって、アクションを避けることはおすすめできない。なぜなら、職場の人間関係は20代の離職意識にも影響する可能性があるからだ。

20代正社員の転職理由では、1位が「給与が低かった(27.1%)」、2位が「職場の人間関係が悪かった(21.5%)」となっており、Z世代は必ずしも給与への不満だけではなく、職場における人間関係の状況によっても転職を検討しはじめることがみて取れる。【図6】

【図6】(20代)転職した理由/転職動向調査2025年版(2024年実績)
【図6】(20代)転職した理由/転職動向調査2025年版(2024年実績)

少子高齢化により、若年層の人口が減少している中で、どのように自社からの離職という選択を回避していくか、今後ますます重要なテーマとなる。

役職者がインフォーマルコミュニケーションを取るヒント

30代の役職者の中には、部下とのコミュニケーションにおいて話題選択が難しいと感じている人もみられたが、若年層はどういった話題であれば、抵抗感が少ないのだろうか。

20代正社員に、職場で話すことに抵抗感が少ない話題を聞いたところ、「食事や飲み物に関する話題(61.7%)」「天候や季節の話題(61.4%)」など、プライベートに踏み込まない話題が上位にあがった。さらに、「趣味や娯楽に関する話題(56.5%)」「健康や体調に関する話題(50.1%)」など、プライベートな話題も半数以上が抵抗感がないと回答した。【図7】

【図7】(20代)職場で抵抗感なく話しやすい話題/インフォーマルコミュニケーションがロールモデル形成に与える影響
【図7】(20代)職場で抵抗感なく話しやすい話題/インフォーマルコミュニケーションがロールモデル形成に与える影響

若手の部下とのインフォーマルコミュニケーションが取りづらいと感じている管理職においては、まずは流行りの食べ物や天候などの話題からコミュニケーションを取りはじめるのがいいのではないだろうか。

相手を尊重した節度あるインフォーマルコミュニケーションを

近年、Z世代の飲み会離れが話題になる一方で、実際には20代の正社員が職場でインフォーマルコミュニケーション(業務に直接関係しない、自由な会話や雑談)を取り入れ、良好な人間関係を築きたいという意識を6割以上がもっていることが明らかになった。

インフォーマルコミュニケーションは職場で業務と直接関係のない何気ない会話なども含まれており、むしろこうした日常的なやり取りの方が、若者のロールモデル形成を促すことも分かっている。また、インフォーマルコミュニケーションを取る機会が多い人は、より職場に対する安心感やキャリア満足度が高い傾向にあり、現在の職場での継続就労意向も高い。

飲み会や忘年会はインフォーマルコミュニケーションの一形態と言えるものの、こうした場は、参加を強制するものではない。一人ひとりの嗜好や家庭状況の違いに配慮しながら、相手を尊重したコミュニケーションを心がけることが大切である。節度のあるインフォーマルコミュニケーションが活性化することは、職場内の雰囲気や人間関係を良好にし、離職リスクの緩和や若手人材の定着の一助になるだろう。


インフォーマルコミュニケーション量による意識の違いは下記レポートでまとめている。

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