- 2024年の正社員の転職率は7.2%で高水準を維持し、40-50代で増加
- 転職後の平均年収は509.3万円で、転職前より22.0万円増
- 転職時に応募意欲が上がる制度は「退職金」が42.8%で最多
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、現在正社員として働いており、2024年に転職した20代~50代の男女1500名を対象に、転職者の傾向や変化を調査した『転職動向調査2025年版』を発表した。
トピックス
- 2024年の正社員転職率は7.2%
2024年の正社員の転職率は7.2%で高水準を維持。年代別では20-30代が減少し、40-50代が増加【図1・2】
- 転職理由・転職先企業の決定理由は「給与」が最多
転職理由・転職先企業の決定理由、ともに「給与」が影響。実際に、転職によって年収は平均22.0万円増加【図3・4】
- 「退職金制度」で応募意欲が上がる転職者は4割以上
応募意欲が上がる制度は、「退職金」が42.8%で最多。退職金の使い道は66.7%が「貯蓄」と回答【図5・6・7】
- 「働かないといけないと思う年齢」が「働きたい年齢」を上回る
「働きたい年齢」の平均は62.8歳。一方で「働かないといけないと思う年齢」の平均は65.6歳で2.8歳の差【図8】
調査詳細
転職率の推移
- 2024年の正社員の転職率(※)は7.2%で高水準を維持
- 年代別では20-30代が減少し、40-50代が増加
正社員の転職率推移
2024年の正社員の転職率(※)は、7.2%となり、前年(7.5%)から0.3pt減少しつつも、コロナウイルス発生前の2019年よりも高い状態を維持している。【図1】
【図1】正社員の転職率推移/転職動向調査2025年版(2024年実績)
性年代別の正社員の転職率
性年代別では、20代男性が13.4%で最も高く、20代女性が11.3%と続いたが、前年比では20代男性(-0.2pt)、20代女性(-1.4pt)が減少した。一方で、40代女性(+0.9pt)、50代女性(+0.5pt)、40代男性(+0.3pt)は前年より増加しており、40-50代の転職活動が活発化していることがわかる。【図2】
【図2】(性年代別)正社員の転職率/転職動向調査2025年版(2024年実績)
※国勢調査における正規雇用者の構成比に合わせた抽出した母集団のうち、直近1年間の転職者の出現率。
転職理由と転職先企業の決定理由
- 転職理由・転職先企業の決定理由、ともに「給与」が影響
- 実際に、転職によって年収は平均22.0万円増加
2024年に転職した人に転職理由を聞くと、「給与が低かった(25.5%)」が最も多い結果となった。転職先の決定理由でも、「給与が良い(25.9%)」が全体と男性で最多だった。
一方女性は「希望の勤務地である(29.4%)」が最多となり、転職先の決定理由には男女差がみられた。【図3】
【図3】転職理由と転職先企業の決定理由(複数回答・上位抜粋)/転職動向調査2025年版(2024年実績)
転職前後での平均年収額
転職後に年収が上がった割合は39.4%で、特に30代男性(49.5%)、40代男性(47.9%)の割合が高かった。
また、転職後の平均年収は509.3万円で、転職前の平均年収487.3万円よりも22.0万円高く、50代男性を除くすべての性年代で転職前よりも平均年収が増加している。転職によって一番年収が上がったのは40代男性で増加額は34.4万円、次いで30代男性で32.7万円となった。【図4】
【図4】転職前後での平均年収額/転職動向調査2025年版(2024年実績)
退職金制度
- 応募意欲が上がる制度は「退職金」が42.8%で最多
- 退職金の使い道は66.7%が「貯蓄」と回答
応募意欲が高まる制度・人事施策
2024年に転職した人に、応募意欲が上がる施策・制度を調査したところ、「退職金制度がある」が42.8%で最多となった。【図5】
【図5】応募意欲が高まる制度・人事施策(複数回答・上位抜粋)/転職動向調査2025年版(2024年実績)
退職金の受給有無
退職金制度を取り入れている企業は、勤続年数3年以上から退職金支給している企業が多い。
前職で3年以上勤務した転職者のうち、退職金を受け取った割合は54.4%となり、約半数は退職金を受け取っていないことがわかった。退職金の平均金額は221.4万円で、勤務年数に比例して平均金額は高い傾向にある。【図6】
【図6】退職金の受給有無/転職動向調査2025年版(2024年実績)
退職金の最も大きい使い道
また、退職金の最も大きい使い道としては「貯蓄」が66.7%となり、年代別では50代の「貯蓄」割合が74.6%で最も高い結果となった。
退職金制度がある企業に魅力を感じ、退職金を貯蓄に回す割合が高いことから、将来に備えて経済的な安心材料を求めているのではないかと考えられる。【図7】
【図7】退職金の最も大きい使い道(単一回答)/転職動向調査2025年版(2024年実績)
「働きたい年齢」と「働かないといけないと思う年齢」
- 「働きたい年齢」の平均は62.8歳
- 一方で、「働かないといけないと思う年齢」の平均は65.6歳で2.8歳の差
転職者が希望する「働きたい年齢」は、平均62.8歳で、2023年(平均62.3歳)から0.5歳あがり、4年連続で上昇している。年代別では、年代が高くなるほど平均年齢は上がっており、50代が平均67.1歳で、20代の平均59.9歳と比べて7.2歳高かった。
一方で、「働かないといけないと思う年齢」では、平均65.6歳となり、「働きたい年齢」よりも2.8歳高い結果となった。全年代で「働かないといけないと思う年齢」が「働きたい年齢」を上回る結果となったが、特に20代では「働かないといけないと思う年齢」が「働きたい年齢」より3.3歳高かった。
若い世代ほど勤労への義務感が強い傾向があり、老後の経済状況やキャリアについて、具体的なイメージを持ちにくいがゆえの不安があると考えられる。【図8】
![【図8】働きたい年齢と働かないといけないと思う年齢/転職動向調査2025年版(2024年実績)]()
【図8】働きたい年齢と働かないといけないと思う年齢/転職動向調査2025年版(2024年実績)
調査担当者のコメント
今年の調査でも、全年代で転職率が高い結果となり、特に40-50代の転職活動が活発化していることがわかりました。40代男性では、転職による平均年収の増加額が最も高く、従来の「35歳転職限界説」が解消されつつあると考えられます。
また働きたい年齢の上限も年々上昇しており、50代では働きたい年齢が67歳を超えました。2025年4月には「高年齢者雇用安定法」が改正され、雇用延長を望む場合、65歳までの雇用確保が企業に義務づけられるようになり、より長く働きたいと望む労働者の希望を叶えやすくなるのではないでしょうか。
働きたいという意欲が上昇する一方で、働かなければならないという意識も高く、「退職金」や「貯蓄」への関心から将来や老後に対しての経済的不安も見受けられました。「人生100年時代」といわれる中、企業は社員が不安を払拭できるように、将来的な安心材料を提供し続けることで優秀な人材の確保と定着につながると推測します。
マイナビキャリアリサーチラボ 研究員 嘉嶋 麻友美
調査概要
調査期間 | スクリーニング調査:2024年12月16日(月)~12月19日(木) 本調査:12月18日(水)~12月25日(水) |
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調査方法 | インターネット調査 |
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調査対象 | 正社員として働いている20代~50代の男女のうち、2024年に転職した方 |
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有効回答数 | 1,500名(男性20代292名、男性30代313名、男性40代261名、男性50代130名、女性20代210名、女性30代117名、女性40代123名、女性50代54名) ※調査結果は、端数四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります。 |
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レポート内目次
1.【2024年転職】の実態
2.前職から現職への変化
3.現職の状況
4.前職の状況
5.これまでの転職経験
6.仕事や転職に対する意識・関連
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