今更聞けない!?休暇制度とは?~働く上での有給休暇や取得しやすい職場環境について解説~

キャリアリサーチLab編集部
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就職活動や転職活動の際、求人内容や企業の説明会などでは、よく「休暇制度」について紹介されていることが多い。働く上で、働き方を考えるための一つの観点でもあるだろう。

キャリアリサーチLabでは、2022年に「休暇制度と職場環境」に焦点をあてたレポートを公開している。

今回のコラムでは、このレポート内のキーワードになっている「休暇制度」について、主な休暇制度を中心にわかりやすく制度の概要を解説する。なお、休暇制度の詳細は各企業で違うことが前提になるため、各制度の概要ポイントのみを中心に解説する。

そもそも休暇制度とは?

従業員一人ひとりの心身の健康と生産性向上、ワークライフバランスの実現を目的として、休暇制度を設計し、労働環境の整備につなげることを目的としている。

ここからは、主な休暇の定義と制度のポイントを解説する。

年次有給休暇

法令および就業規則に基づき付与される、賃金支給ありの休暇。取得の用途は私用・リフレッシュ・家族行事・通院等、原則自由に取得できる休暇である。企業側には、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年5日の有給休暇を確実に取得させる義務がある。

近年では、「1日ごと」「半日ごと」「1時間ごと」など就業規則に従って、従業員が自分の取得目的に合わせて、柔軟に利用できるようになっている。また上限設定があるものの、年ごとで「繰り越し」の制度も導入されていることが多い。

厚生労働省の2025年の「就労条件総合調査」によれば、年次有給休暇の平均取得率は66.9%である。平均取得日数は12.1日、平均付与日数は18日という調査結果が報告されている。

一方で年次有給休暇の取得がしにくい職場環境も課題であると、「休暇制度と「休める職場―男性育休、介護休暇、生理休暇も取りやすい環境とは」でのレポート内容では報告 している。

特別休暇

会社が定めるライフイベント等を対象とする休暇である。たとえば、慶弔休暇、配偶者出産休暇、裁判員休暇、ボランティア休暇 などが該当する。ただし、給与支給の有無や取得可能な日数は、企業ごとの就業規則や制度により異なる。

結婚、配偶者の出産、入学式・卒業式、介護に関わる手続き等は、特別休暇や子の看護等休暇や介護休暇を優先的に活用して、長く安心して会社生活を過ごせるように活用することが目的である。

産前・産後休業、育児休業

出産・育児を目的とした中長期の休業制度である。冒頭で紹介したキャリアリサーチLab研究員の研究内容での主なキーワードでもある。

特徴としては、半年以上の休業を前提にしており、DE&Iの視点からは育児休業は性別に関わらず取得が推奨されている。ただし、研究内容でも報告されている通り、職場内での推進が重要になる。

厚生労働省の令和6年雇用均等基本調査によれば、男性の取得率は40.5% 女性は86.6%であると報告されている。男性の取得率は高まっているものの、まだまだ取得日数の期間に男女間の大きな差があるのが今後の課題と考えられる。

また企業からの給与支給ではなく、健康保険組合などの給付制度から就業規則に従って、給与に充当される給付金が支給されるのが特徴である。

介護休暇

介護休暇制度は、家族の介護が必要となった労働者が、仕事と介護を両立しやすくするための制度である。育児・介護休業法に基づき、短時間勤務措置や残業免除などと並び、仕事と介護の両立支援において中心的な役割を果たしている。

しかし、制度が十分に整備されているにもかかわらず、実際の利用は依然として低い現状にとどまっている。

厚生労働省の令和6年雇用均等基本調査によれば、介護休業の取得率は性別ごとの詳細は公表されていないものの、女性のみ介護休業者がいた事業所72.9%、男性のみ介護休業者がいた事業所23.8%であると報告されている。このことから、男性の取得率はまだ低いということが示唆される。

その他の休暇

企業の制度によるが、その他の休暇制度としては勤続年数に合わせた「リフレッシュ休暇」の付与や「創立記念日」での独自の休日設定やGW・年末年始休暇としての休日を設定している企業が増えている。これも、ワークライフバランスをしっかりと実現できるようにするための施策として浸透していると考えられる。

マイナビの記事でみる休暇制度

マイナビが2023年に公開した「新卒採用における待遇・福利厚生の注目度の高まり―企 業の取り組みと求められる情報発信とは?」の調査報告によればこの調査の中で学生が就職先にあったら嬉しい福利厚生を質問しており、「休暇制度」と回答している人が77.5%である。

休暇制度の課題はなにか?

運用上の課題

利用目的によってさまざまな休暇制度がある。しかし、これは、制度内容・取得条件・申請手順が明確に理解されていないことから、「使い方がわからない」「該当する制度があるか判断できない」といったことがビジネス現場ではよく起こっている。また、職場内で心理的安全性が確立されていないことも、休暇取得をためらう大きな要因となっている。

キャリアリサーチLabのレポート「休暇制度と「休める職場―男性育休、介護休暇、生理休暇も取りやすい環境とは」によれば、例えば「有給休暇を取得したかった日に休まなかった理由として「自分が休むと業務が回らない(30.4%)」が最も高く、また「他の人に負担がかかる(19.7%)」という声も見られた。

このように休暇を申し出ることで、周囲に迷惑をかけるのではないかという不安や、評価・キャリアへの影響を懸念する風土が残っているため、制度自体が存在していても積極的に活用されない状況が続いていると明らかにされている。

働きやすく、休暇制度を取得しやすい職場環境に向けて

ここからは、休暇制度を使いやすくするための解決策を解説したい。

制度情報の可視化・発信強化

制度別の概要・利用条件・申請フローを整理したわかりやすいガイドを作成し、社内ポータル等で常時閲覧可能にすることやPCで出退勤管理をする操作時に休暇制度についての案内が出るようにするなど自然に休暇に目を向けられる環境整備が重要である。

また新入社員・異動者向けの説明機会を設けるなど、継続的に周知を図ることも重要になる。

管理職向けの研修実施

キャリアリサーチLabのレポート「休暇制度と「休める職場―男性育休、介護休暇、生理休暇も取りやすい環境とは」によれば、有給休暇を取りやすくなった理由として「会社や上司などからの積極的な働きかけ(44.4%)」が上位に挙げられている。

このように、メンバーが休暇を取得できるか否かに関して、会社や上司がどのような態度を示しているかが重要だと考えられる。休暇取得に対する適切な対応方法や心理的安全性を高めるマネジメント手法を学ぶ研修を実施したり、メンバーの休暇取得を積極的に後押しする振る舞い(声かけ・スケジュール調整など)を標準化することで心理的安全性を高めるだろう。

またこの際に、1on1でのコミュニケーションも効果的な場面もあるだろう。

取得実績の見える化と支援

人事・労務部門の担当者は、長時間労働管理に加えて部署ごとの取得率を定期的に共有し、状況を把握できるようにすることも重要である。必要に応じて、取得率が低い部署へのサポートや人材開発を行っている部門などとも改善提案を行い、組織間の格差を解消していくことが重要になるだろう。

誰もが遠慮なく休暇を取れる職場文化の醸成

取得を「特別なこと」ではなく「当たり前のこと」とする組織文化をつくるため、成功事例の共有やポジティブなフィードバックを促すこと、さらに休暇取得を推奨するメッセージを経営層や管理職から積極的に発信すること、取得し体現することも重要になるだろう。

働きやすい職場環境の構築に向けて

先述の通り、休暇取得をするためにはさまざまな課題解決があるが、共通することとして「職場内で自然に休みの過ごし方」や「普段から職場で同僚や上司と密なコミュニケーションを普段からすること」が、ワークライフバランスが取れた職場環境の重要なポイントになるだろう。明日からの職場内のコミュニケーションや休暇取得のときに、キャリアリサーチLabでの研究内容と本コラムを参考に役立ててほしい。


【参考文献】
厚生労働省「令和6年度 雇用均等基本調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r06.html
厚生労働省「就労条件総合調査2025年」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/25/dl/houdou.pdf

穂刈顕一
担当者
キャリアリサーチLab編集部
KENICHI HOKARI

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