
【年代別】転職前後の変化を解説|年収、業種、職種の変化は?20代・30代・40代・50代それぞれ解説
転職は、人生の大きな転機となり得る。特に年代によってその変化はさまざまだ。このコラムでは、マイナビが実施した「転職動向調査2024年版」をもとに、20代から50代までの各年代における転職前後の具体的な変化を、年収、業種、職種、労働時間の観点から詳細に解説する。
また、年代別の転職率や転職理由の推移については以下のコラムで解説している。
正社員全体の傾向
- 年収は「上がった」割合が39.1%で多数派
- 転職前の平均年収は「472.5万円」、転職後の平均年収は「489.6万円」で+17.1万円
- 業種は「変えた」割合が45.6%、職種は「変えた」割合が35.7%。「業種・職種共に同一」がもっとも多い
- 労働時間は「減った」割合が44.2%で多数派
年収の変化
2023年の1年間で転職した20代~50代の正社員1,500人について、転職前後の年収変化をみていく。
転職後に年収アップした割合
転職で「年収は上がった」が39.1%で「年収は下がった」の20.5%を上回った。「答えたくない」も約1割いることに留意する必要があるものの、全体でみると、転職後に年収が増加した人の方が多数派であるようだ。【図1】

年収額の変化
転職者全体の転職前と転職後の年収を比較する。転職前の年収でもっとも多いのは「350~399万円」、転職後の年収でもっとも多いのも「350~399万円」と変化はみられなかった。しかし、転職後の年収では「200~249万円」「250~299万円」の割合が下がっており、300万円以上の複数の選択肢で割合が増加している。
年収の平均額をみると、転職前は「472.5万円」、転職後は「489.6万円」と17.1万円の差があり、図1で示した通り、年収額が増加した人が多かったことがうかがえる。【図2】

業種の変化
転職者全体の業種の変化については、「業種を変えた」が45.6%、「業種を変えなかった」が54.4%と業種を変えなかった人の方がやや多い結果となった。【図3】

転職前後の業種分布の変化についてみていく。転職前、転職後ともに、もっとも多かったのは「医療・福祉・介護」だった。一方で、転職後の増加が大きかったのは「IT・通信・インターネット」「不動産・建設・設備」、転職後の減少が大きかったのは「機械・電気・電子」だった。【図4】

職種の変化
転職者全体の職種の変化については、「職種を変えた」が35.7%、「職種を変えなかった」が64.3%と職種を変えなかった人の方が多い結果となった。業種と比較すると職種の方が「転職で変えなかった」割合が高いようだ。【図5】

転職前後の職種分布の変化についてみていく。転職前もっとも多かったのは「医療・福祉」、転職後もっとも多かったのは「管理・事務」だった。
転職後の増加が大きかったのは「管理・事務」、転職後の減少が大きかったのは「販売・フード・アミューズメント」だった。【図6】

業種・職種をあわせた変化
転職者全体の業種と職種を掛け合わせた変化については、「業種・職種共に同一」がもっとも多く45.9%、次いで「業種・職種共に異なる」が27.1%となった。業種か職種のどちらか一方を変える割合は比較的少ないことがわかり、業種・職種はどちらも変えないまたはどちらも変える傾向があるようだ。【図7】

労働時間の変化
転職者全体の労働時間の変化については、「1日あたりの労働時間が減った」がもっとも多く44.2%となった。「変わらない」35.7%とあわせて、約8割が労働時間は減った・変わらないと回答しており、2023年の転職で労働時間が増えた人は少数派だったようだ。【図8】

業種・職種変化別にみた年収の変化
転職者全体の年収変化について、業種と職種の変化状況別にみていく。「年収が上がった」と回答した人がもっとも多かったのは『業種異なる・職種同一』で46.9%だった。平均年収の差を見ても『業種異なる・職種同一』が+32.8万円ともっとも大きく、年収額についても大幅な増加をしている人が多い傾向にあるようだ。
一方で「年収は下がった」がもっとも多かったのは『業種・職種ともに異なる』で30.5%だった。平均年収の差をみると、唯一転職前後の平均年収差がマイナスとなっている。
今回の調査では、職種の経験を活かしながらも別の業種にチャレンジをしている人は、年収の増加が多い傾向にあることがわかった。【図9】

業種・職種変化別にみた労働時間の変化
転職者全体の労働時間の変化について、業種と職種の変化状況別にみていく。「1日あたりの労働時間が減った」がもっとも多かったのは『業種同一・職種異なる』で48.4%となった。「変わらない」がもっとも多かったのは『業種・職種共に同一』で40.0%となっている。「1日あたりの労働時間が増えた」がもっとも多かったのは『業種・職種共に異なる』で22.4%となった。
業種と職種が同じであれば、労働時間は「変わらない」が多く、業種と職種が変われば、労働時間は「変わらない」が少ない傾向にあることがわかる。【図10】

転職による業種・職種の変化だけが転職後の年収や労働時間の差につながるわけではないことには注意が必要であるが、今回抽出した軸でみると上記のような結果となっている。
20代の転職前後の変化
- 年収は「上がった」割合が37.6%で多数派
- 転職前の平均年収は「414.8万円」、転職後の平均年収は「432.1万円」で+17.3万円
- 業種は「変えた」割合が53.4%、職種は「変えた」割合が47.0%。「業種・職種共に異なる」がもっとも多い
- 労働時間は「減った」割合が50.5%で多数派
20代の年収の変化
2023年の1年間で転職した20代正社員511人について、転職前後の年収変化をみていく。
20代の転職後に年収アップした割合
20代において、転職で「年収は上がった」が37.6%で「年収は下がった」の20.9%を上回った。全体と比較すると「年収は上がった」は低い傾向にあるものの、20代においても転職後に年収が増加した人の方が多数派であるようだ。【図11】

20代の年収額の変化
20代転職者の転職前と転職後の年収を比較する。転職前の年収でもっとも多いのは「300~349万円」、転職後の年収でもっとも多いのは「350~399万円」と、転職後の方が年収が増額している傾向にあることがわかる。
年収の平均額をみると、転職前は「414.8万円」、転職後は「432.1万円」と17.3万円の差があった。【図12】

20代の業種の変化
業種の変化について、20代は「業種を変えた」が53.4%、「業種を変えなかった」が46.6%と業種を変えた人の方が多い結果となった。全体と比べて「業種を変えた」の割合が5pt以上高く、20代は業種を変えた割合が比較的高かったことがうかがえる。【図13】

転職前後の業種分布の変化についてみていく。転職前、転職後ともに、もっとも多かったのは「医療・福祉・介護」だった。一方で、転職後の増加が大きかったのは「IT・通信・インターネット」、転職後の減少が大きかったのは「機械・電気・電子」だった。【図14】

20代の職種の変化
職種の変化について、20代は「職種を変えた」が47.0%、「職種を変えなかった」が53.0%と職種を変えなかった人の方がやや多い結果となった。全体と比較すると20代は「職種を変えた」が10pt以上高く、転職で職種を変えた人が多い傾向にあることがわかる。【図15】

転職前後の職種分布の変化についてみていく。転職前もっとも多かったのは「営業」、転職後もっとも多かったのは「管理・事務」だった。
転職後の増加が大きかったのは「管理・事務」、転職後の減少が大きかったのは「営業」だった。【図16】

業種・職種をあわせた変化
業種と職種を掛け合わせた変化については、20代は「業種・職種共に異なる」がもっとも多く36.0%、次いで「業種・職種共に同一」が35.6%となった。全体と比べて「業種・職種共に異なる」が約10pt高く、年代の特徴がみられた。【図17】

20代の労働時間の変化
20代転職者の労働時間の変化については、「1日あたりの労働時間が減った」がもっとも多く50.5%となった。「1日あたりの労働時間が増えた」は16.8%となっており、全体と比べて20代は転職で労働時間が減った人が多かったようだ。【図18】

30代の転職前後の変化
- 年収は「上がった」割合が42.1%で多数派
- 転職前の平均年収は「485.6万円」、転職後の平均年収は「504.6万円」で+19.0万円
- 業種は「変えた」割合が43.1%、職種は「変えた」割合が32.3%。「業種・職種共に同一」がもっとも多い
- 労働時間は「減った」割合が45.2%で多数派
30代の年収の変化
2023年の1年間で転職した30代正社員480人について、転職前後の年収変化をみていく。
30代の転職後に年収アップした割合
30代において、転職で「年収は上がった」が42.1%で「年収は下がった」の20.4%を上回った。全体と比較すると「年収は上がった」が高い傾向にあり、30代は転職後に年収が増加した人が比較的多い傾向にあるようだ。【図19】

30代の年収額の変化
30代転職者の転職前と転職後の年収を比較する。転職前の年収でもっとも多いのは「400~449万円」、転職後の年収でもっとも多いのは「450~499万円」と、転職後の方が年収が増額している傾向にあることがわかる。
年収の平均額をみると、転職前は「485.6万円」、転職後は「504.6万円」と19.0万円の差があった。【図20】

30代の業種の変化
業種の変化について、30代は「業種を変えた」が43.1%、「業種を変えなかった」が56.9%と業種を変えなかった人の方が多い結果となった。全体と比べて「業種を変えた」の割合がやや低く、30代は業種を変えなかった割合が比較的高かったことがうかがえる。【図21】

転職前後の業種分布の変化についてみていく。転職前、転職後ともに、もっとも多かったのは「医療・福祉・介護」だった。一方で、転職後の増加が大きかったのは「不動産・建設・設備」、転職後の減少が大きかったのは「機械・電気・電子」だった。【図22】

30代の職種の変化
職種の変化について、30代は「職種を変えた」が32.3%、「職種を変えなかった」が67.7%となった。全体と比較すると30代は「職種を変えなかった」がやや高く、転職で職種を変えなかった人が多い傾向にあることがわかる。【図23】

転職前後の職種分布の変化についてみていく。転職前、転職後ともに、もっとも多かったのは「医療・福祉」だった。
転職後の増加が大きかったのは「管理・事務」、転職後の減少が大きかったのは「販売・フード・アミューズメント」だった。【図24】

30代の業種・職種をあわせた変化
業種と職種を掛け合わせた変化については、30代は「業種・職種共に同一」がもっとも多く49.6%、次いで「業種・職種共に異なる」が25.0%となった。全体と比べて「業種・職種共に同一」が約5pt高く、年代の特徴がみられた。【図25】

30代の労働時間の変化
30代転職者の労働時間の変化については、「1日あたりの労働時間が減った」がもっとも多く45.2%となった。「1日あたりの労働時間が増えた」は20.0%となっており、全体とほぼ同様の傾向となった。【図26】

40代の転職前後の変化
- 年収は「上がった」割合が40.5%で多数派
- 転職前の平均年収は「510.1万円」、転職後の平均年収は「535.5万円」で+25.4万円
- 業種は「変えた」割合が40.2%、職種は「変えた」割合が27.8%。「業種・職種共に同一」がもっとも多い
- 労働時間は「変わらない」割合が38.8%で多数派
40代の年収の変化
2023年の1年間で転職した40代正社員338人について、転職前後の年収変化をみていく。
40代の転職後に年収アップした割合
40代において、転職で「年収は上がった」が40.5%で「年収は下がった」の16.9%を上回った。全体と比較すると「年収は下がった」がやや低い傾向にあり、40代は転職後に年収が減少した人がやや少ない傾向にあるようだ。【図27】

40代の年収額の変化
40代転職者の転職前と転職後の年収を比較する。20代、30代と比較して分布がなだらかなのが見て取れ、役職のばらつきが大きいことが推察できる。
転職前の年収でもっとも多いのは「450~499万円」、転職後の年収でもっとも多いのは「500~549万円」と、転職後の方が年収が増額している傾向にあることがわかる。
年収の平均額をみると、転職前は「510.1万円」、転職後は「535.5万円」と25.4万円の差があった。すべての年代のうち差額がもっとも大きく、40代特有の特徴がみられた。【図28】

40代の業種の変化
業種の変化について、40代は「業種を変えた」が40.2%、「業種を変えなかった」が59.8%と業種を変えなかった人の方が多い結果となった。全体と比べて「業種を変えなかった」が5pt以上高く、40代は業種を変えなかった割合が高かったことがうかがえる。【図29】

転職前後の業種分布の変化についてみていく。転職前、転職後ともに、もっとも多かったのは「医療・福祉・介護」だった。一方で、転職後の増加が大きかったのは「流通・小売」、転職後の減少が大きかったのは「機械・電気・電子」だった。【図30】

40代の職種の変化
職種の変化について、40代は「職種を変えた」が27.8%、「職種を変えなかった」が72.2%となった。全体と比較すると40代は「職種を変えなかった」が5pt以上高く、転職で職種を変えなかった人が多い傾向にあることがわかる。【図31】

転職前後の職種分布の変化についてみていく。転職前、転職後ともに、もっとも多かったのは「管理・事務」だった。
転職後の増加が大きかったのは「医療・福祉」、転職後の減少が大きかったのは「販売・フード・アミューズメント」だった。【図32】

40代の業種・職種をあわせた変化
業種と職種を掛け合わせた変化については、40代は「業種・職種共に同一」がもっとも多く51.2%、次いで「業種異なる・職種同一」が21.0%となった。全体と比べて「業種・職種共に同一」が5pt以上高く過半数となっており、特に職種が同一である傾向が強くみられた。【図33】

40代の労働時間の変化
40代転職者の労働時間の変化については、「変わらない」がもっとも多く38.8%となった。全体と比べて「1日あたりの労働時間が減った」は5pt以上低い値となっており、40代は転職後も労働時間は変わらない、または増えたという人が多い傾向にあるようだ。【図34】

50代の転職前後の変化
- 年収は「変わらない」割合が32.7%で多数派
- 転職前の平均年収は「533.9万円」、転職後の平均年収は「526.4万円」で-7.5万円
- 業種は「変えた」割合が39.8%、職種は「変えた」割合が26.9%。「業種・職種共に同一」がもっとも多い
- 労働時間は「変わらない」割合が40.9%で多数派
50代の年収の変化
2023年の1年間で転職した50代正社員171人について、転職前後の年収変化をみていく。
50代の転職後に年収アップした割合
50代では、「年収は変わらない」がもっとも多く32.7%、次いで「年収は上がった」が32.2%となった。「年収は下がった」は26.9%と「年収は上がった」の値を下回るものの、「答えたくない」8.2%を考慮すると「年収は下がった」の割合は高い可能性がある。
全体と比較すると「年収は下がった」が5pt以上高い傾向にあり、40代は転職後に年収が減少した人が多い傾向にあるようだ。【図35】

50代の年収額の変化
50代転職者の転職前と転職後の年収を比較する。40代と同じく分布がなだらかなのが見て取れ、役職のばらつきが大きいことが推察できる。
転職前の年収でもっとも多いのは「300~349万円」、転職後の年収でもっとも多いのは「250~299万円」と、転職後に年収が減少している傾向にあることがわかる。
年収の平均額をみると、転職前は「533.9万円」、転職後は「526.4万円」と7.5万円の差があった。すべての年代のうち50代が、唯一転職後の平均額が転職前よりも少なくなっている。【図36】

50代の業種の変化
業種の変化について、50代は「業種を変えた」が39.8%、「業種を変えなかった」が60.2%と業種を変えなかった人の方が多い結果となった。全体と比べて「業種を変えなかった」が約5pt高く、50代は業種を変えなかった割合が高かったことがうかがえる。【図37】

転職前後の業種分布の変化についてみていく。転職前、転職後ともに、もっとも多かったのは「医療・福祉・介護」だった。一方で、転職後の増加が大きかったのは「医療・福祉・介護」「金融・保険」、転職後の減少が大きかったのは「IT・通信・インターネット」だった。【図38】

50代の職種の変化
職種の変化について、50代は「職種を変えた」が26.9%、「職種を変えなかった」が73.1%となった。全体と比較すると50代は「職種を変えなかった」が10pt近く高く、転職で職種を変えなかった人が多い傾向にあることがわかる。【図39】

転職前後の職種分布の変化についてみていく。転職前、転職後ともに、もっとも多かったのは「医療・福祉」だった。
転職後の増加が大きかったのは「管理・事務」、転職後の減少が大きかったのは「販売・フード・アミューズメント」だった。【図40】

50代の業種・職種をあわせた変化
業種と職種を掛け合わせた変化については、50代は「業種・職種共に同一」がもっとも多く55.6%、次いで「業種・職種共に異なる」が22.2%となった。全体と比べて「業種・職種共に同一」が約10pt高く、すべての年代でもっとも業種・職種共に同一の転職を行っている割合が高い。【図41】

50代の労働時間の変化
50代転職者の労働時間の変化については、「変わらない」がもっとも多く40.9%となった。全体と比べて「1日あたりの労働時間が減った」は約10pt低い値となっており、50代は転職後も労働時間は変わらない、または増えたという人が多い傾向にあるようだ。【図42】

まとめ
- 年収が「上がった」割合がもっとも多かった年代は『30代』で42.1%
- 転職前の平均年収がもっとも高かったのは『50代』で「533.9万円」、
転職後の平均年収がもっとも高かったのは『40代』で「535.5万円」 - 転職前後の年収額の差がもっとも大きかったのは『40代』で+25.4万円
- 業種・職種を共に「変えた」転職をもっともしている年代は『20代』、
業種・職種を共に「変えなかった」転職をもっともしている年代は『50代』 - 労働時間が「減った」割合がもっとも多かった年代は『20代』で50.5%

ここまで、年代別に転職前後の変化についてみてきた。
転職による年収の変化は、30代でもっとも顕著であり、42.1%の人が収入の増加を経験している。一方で、50代は転職前の平均年収がもっとも高く、40代は転職後の平均年収がもっとも高いことが明らかになった。
また、20代は業種・職種の変更に積極的であり、年代が上がるにつれてその逆の傾向を示すこともわかっている。労働時間の減少は20代にもっとも多くみらた。
これらのデータは、転職が私たちのキャリアや生活に与える影響の大きさを示している。転職は、新しいチャンスを掴むための一歩であり、自己実現への道を開く可能性を秘めている。私たち一人ひとりが、自分にとって最適な働き方を見つけ、より充実した生活を送るための選択をすることが重要だ。
キャリアリサーチラボ研究員 朝比奈 あかり
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