マイナビ キャリアリサーチLab

広報活動開始!2023年卒大学生の動向と新卒採用の行方を探る

2022年3月1日、コロナはいまだ収束しておらず、一部地域では「まん延防止重点措置」適用期限が延長される方向で調整が進み、また世界情勢はこれまでになく不穏な動きを見せている状況下で、23年卒を対象とした新卒採用の広報活動が開始された。一見すると、不安要素の多い環境だが、23年卒の新卒採用の見通しはむしろ明るくなりつつある。

本コラムはマイナビで実施している調査結果をもとに、23年卒の大学生の動向について報告するとともに新卒採用がどのように展開していくのか述べていきたい。

徐々に取り戻し始めている23年卒学生の学生生活

まず、23年卒の大学生がどのような生活を送っているのか確認する。マイナビが実施している「2023年卒大学生ライフスタイル調査(2021年11~12月実施)」によると、学校に通っている日数は前年に比べると若干ではあるが増加しており、地域によらず回復していることがわかった。【図1】

出所『2023年卒大学生ライフスタイル調査(2021年11~12月実施)』

また、2022年2月に実施した「2023年卒広報活動開始前調査」によると、2月までのインターンシップに参加した割合は82.6%(対前年1.9pt減)で、やや前年に比べると低下しているものの8割以上の学生がインターンシップに参加していたと回答した。【図2】

出所『2023年卒広報活動開始前調査』

一方、インターンシップに参加していなかった学生についても「学業」や「部活・サークル活動やアルバイト」を優先していたと回答しており【図3】、コロナ禍で一定の制限はあるものの、徐々に学生生活を取り戻しつつある様子がうかがえる結果となっていた。

出所『2023年卒広報活動開始前調査』

前年(22年卒)の就職活動においては、コロナ禍で活動が制限されたことでガクチカ(=学生時代に力を入れたこと)不足が懸念されていたが(※1)、23年卒においては、活動できる範囲が増えてきたこともあり、複数のエピソードを持っているという声もみられた。【図4】【図5】

(※1)コラム「新型コロナが2022年卒学生の就活に与えた影響を振り返る~ガクチカ不足、就活WEB化の影響と入社への不安とは~」

ただ、まん延防止重点措置の影響などで飲食店の営業が制限されている影響を受けてか、アルバイトの実施状況は回復していない【図6】。コロナ対策の状況にもよるが、23年卒にとっての「ガクチカ」はどちらかと言うと学業や部活・サークルといった大学生活に関わる内容になると予想される。

企業側の採用意欲は前年から回復、高い水準を維持

次に採用活動を行う企業側の採用意欲について確認する。2022年2月に実施した「2023年卒企業新卒採用予定調査」によると文理ともに「前年並み」が最多(文系:56.4%、理系:57.8%)、さらに「増やす」が文系で19.1%(対前年5.6pt増)、理系で22.9%(対前年5.6pt増)となっており、採用意欲は高い傾向がみられた。【図7】

出所『2023年卒 企業新卒採用予定調査(2022年2月実施)』

コロナ禍が始まった当初は、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令・延長による経済状況の悪化で、企業の採用意欲が減退するのではないかと懸念されたが、新卒採用に限って言えばその影響は限定的だったように思う。新卒採用はそもそも採用選考を実施してから約1年後の春に入社するというスケジュールをとるため、現在の景気状況だけでなく、数年後を見越した判断がなされるためだろう。

マイナビで実施している「企業人材ニーズ調査2021年版」で、「採用の理由」を聞いたところ、「専門能力や技術を持つ人材の確保」が最多で40.7%、次いで「事前の計画による定期的な採用」が38.4%となっており、この2つの理由がここ数年ずっと上位となっている【図8】。

正社員採用ということで比較されることの多い中途採用においては「専門能力や技術を持つ人材の確保(48.8%)」が最多である点は同じだが、次いで多いのは「慢性的な人手不足(36.7%)」となっており、「事前の計画による定期的な採用」は17.9%となっている【図9】。

これらの結果からわかるように、現在の状況から人手不足を補う(=ポストを埋める)ために実施されることが多いのが中途採用であるのに対して、新卒採用は状況に反応する形ではなく、将来の組織形成を念頭において「計画的に定期的」に実施されるというのが特徴と言える。こうした採用理由の違いからも、コロナ禍の影響を受けづらかったと思われる。

さらに、現在「2022年問題」(文献によっては「2021年問題」と言われている場合もある)と言われているように、大卒にあたる22歳人口が今後減少トレンドに入っている点も、採用意欲の高まりに寄与していると考えられる【図10】。今のうちに若い人材を採用しておかないと、後々採用しづらくなるためだ。

「22歳総人口・22歳日本人人口 」出所『人口推計(総務省統計局)の「年齢(各歳)、男女別人口及び人口比-総人口、日本人人口(各年「10月1日現在)」よりマイナビで作成」
「大学(学部)・短期大学(本科)への進学率(過年度高卒者等含む)」出所『文部科学省・学校基本調査

以上のことから、数年後を見越して未来志向で実施される新卒採用においては、採用意欲が高い水準で維持されるのも必然であろう。


また、こうした高い採用意欲を反映して、企業側は少しでも他社より早く選考し、内々定を出したいという気持ちが高まっているようだ。23年卒に採用活動において、各段階を「いつ始めるのか」について聞いたところ、3月の広報活動開始とともに、「個別企業セミナー」「面接」なども開始され、「内々定出し」についても4月に始めるという企業が最多になっている。選考開始は6月とされているが、それより前に内々定が出されるケースも増えてくるだろう。

出所『2023年卒 企業新卒採用予定調査(2022年2月実施)』

コロナ禍はまだ収束していないが、21年卒採用の後半から22年卒で対応してきた採用選考における「WEB活用」ならびに「対面で実施するにあたっての感染対策」のノウハウが蓄積され、ある程度の型ができているように感じる【図12】。そのため、おそらく23年卒の採用活動においても、コロナ禍の状況が原因で活動がストップしてしまうという状況は考えづらいだろう。

企業側の高い採用意欲と、中止・延期のない採用活動スケジュールから考えると、23年卒の内々定率の推移はスムーズに進捗するのではないかと予想している。

(参考)23年卒3月1~3日の内々定率はこちら「2023年卒大学生活動実態調査 (3月1日)」

ただ、誤解のないように「単純に、頭数が揃えば良い」と考えられているわけではないということを最後に付け加えたい。23年卒の新卒採用を予定している企業に対して「採用のゴールとして重視すること」として5項目を提示し、その順位をつけてもらった。

<採用のゴールとして重視すること>
●採用予定人数を達成すること
●自社の職務の適正が高い人を多く採用すること
●自社の社風にある人を多く採用すること
●自社のハイパフォーマーに似た要件を持つ人材を多く採用すること
●入社後の定着率を上げること

こうしてみると、採用担当者の方にとってはいずれも大事な項目だろう。強いて言うなら・・・ということで順位づけをしていただいた結果が以下のグラフだ。【図13】

「1位(もっとも重視)」としてあげられた項目で最多だったのは「自社の職務適性が高い人を多く採用すること」で38.8%となっており、「採用予定人数を達成すること」の19.6%よりも19.2pt高くなっている。一方で、「5位(もっとも重視しない)」では最多は「自社のハイパフォーマーに似た要件を持つ人材を多く採用すること」で38.6%、次いで「採用予定人数を達成すること」が37.2%となっている。これらからわかるように、目標人数を採用することも大切ではあるが、誰でも良いのではなく『自社の職務を遂行するうえで適性の高い人』を目標人数採用したいわけなのだ。

冒頭に述べたようにコロナ禍の行方、世界情勢ともに不透明な部分は否めないが、23年卒として就職活動をされる学生のみなさまを採用したいと待ちわびている企業は多い。ぜひ悔いのない活動をしていただきたいし、そのためにも適宜調査を通じて、状況把握ならびに発信をしていきたいと考えている。

主任研究員 東郷こずえ