非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年7-8月)
- [飲食・宿泊]において人手不足を感じている割合は52.0%
- 2022年10月の社会保険適用拡大を受けて非正規雇用の社会保険加入者が「増えた」割合は3割
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、従業員数10名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員で、自社の採用方針を把握している人(有効回答数:スクリーニング調査17,000名、本調査907名)を対象に実施した「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年7-8月)」の結果を発表しました。※非正規雇用:アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託
目次
調査詳細
2023年7-8月のアルバイトの人手不足感
人手不足を感じた割合
2023年7-8月の人手不足を感じた割合はアルバイトで39.7%(2022年7-8月比:+0.2pt)、となり、前年同期の2022年7-8月よりアルバイトの人手不足感は増加した。【図1】
【図1】アルバイト 人手不足を感じた割合
「不足」上位の業種
業種別で最も高かったのは、アルバイトでは[飲食・宿泊]で52.0%(2022年7-8月:-0.2pt)となった。【図2】
【図2】アルバイト 「不足」上位の業種
2023年7-8月のアルバイトの採用実施率
採用活動実施率の数値の推移
2023年7-8月のアルバイトの採用活動実施率は19.9%(2022年7-8月比:+1.5pt)となり、前年同期より増加した。【図3】
【図3】アルバイト 採用活動実施率の数値の推移
※回答数は最新の2023年7-8月のものを記載
業種別の採用活動実施率の上位
業種別で最も高かったのは、アルバイトでは[飲食・宿泊]で46.7%(2022年7-8月比:+0.8pt)で、前年同期の2022年7-8月と比べると飲食・宿泊の企業の採用ニーズは高まった。【図4】
【図4】アルバイト 業種別 採用活動実施率の上位
2022年10月の社会保険適用拡大前後の変化
2022年10月に、健康保険・厚生年金(社会保険)の加入対象者が拡大されたことを受けて、社会保険適用拡大対象企業において2022年9月と比べた2023年9月の非正規雇用の社会保険加入者が「増えた」割合は26.8%、就業調整実施者が「増えた」割合は16.3%となり、就業調整者が増えたとする回答より、社保加入者が増えたとする回答の方が10.5pt高い。【図5】
【図5】2022年10月の社会保険適用拡大を受けて、2022年9月と比べた2023年9月の変化(単一回答)※ベース:社会保険適用拡大対象企業(従業員数101人~500人)
社会保険適用拡大を受けて影響があったか
また、法改正の対象である企業に、社会保険適用拡大後の影響について聞いたところ、良い影響があった割合(「良い影響があった」+「やや良い影響があった」)は31.5%で、悪い影響があった割合(「悪い影響があった」+「やや悪い影響があった」)は6.5%となり、良い影響があった割合が悪い影響があった割合より25.0pt高く、良い影響があったとする企業が多い。【図6】
【図6】2022年10月の社会保険適用拡大を受けて、影響があったか(単一回答)回答数:92
※ベース:社会保険適用拡大対象企業(従業員数101人~500人)
良い影響があった内容
良い影響があった内容としては、「従業員のモチベーション向上」で48.3%と最も高く、次いで[定着率の向上]で44.8%、「応募数の増加」「より長い労働時間働いてもらえるようになった」で同率の41.4%となった。【図7】
【図7】良い影響があった内容(複数回答)
※ベース:社会保険適用拡大対象企業(従業員数101人~500人)※n=30未満のため参考値とする
社会保険適用拡大から1年が経過したが、社会保険加入が従業員のモチベーション向上や定着率の向上など良い影響になることもあるようだ。
年収の壁と政府の検討施策への賛否
年収の壁の存在が就労促進の妨げとなり人手不足の一因になっていると感じることがある企業は60.0%で、[就業調整をしている非正規社員がいる]企業では73.2%と全体より13.2pt高い。特に就業調整を行っている人がいる企業で年収の壁の影響を感じている企業が多い様子がみられる。【図8】
【図8】年収の壁の存在が就労促進の妨げとなり人手不足の一因になっていると感じることがあるか
(単一回答)
賛成か反対か
政府は2023年10月より社会保険負担が発生する現行の106万円の壁を解消するため、企業助成を導入することとなったが、この政府施策についての賛否を聞くと賛成の割合(「賛成」+「どちらかといえば賛成」)は74.3%、反対の割合(「反対」+「どちらかといえば反対」)は25.7%となり、賛成派が多かった。【図9】
【図9】現行制度では従業員101人以上の企業で月収が8万8,000円(年収換算でおよそ106万円)以上になった場合、社会保険料の負担が生じるが、政府は、一定の年収を超えると社会保険料などの負担が生じて手取りが減る「年収の壁」問題を解消するための企業助成を2023年度の最低賃金が発効する10月から適用すべく調整している。あなたは政府のこの施策に賛成ですか、反対ですか。(単一回答)
企業助成の効果や影響
賛成の理由を自由回答で聞いたところ、「賃金や物価の上昇の影響を踏まえて見直すべき」「労働意欲に応じて働ける環境づくりが必要」「1人あたりの労働時間が増えることで人手不足の解消につながる」などのコメントがみられた。一方で、反対の理由としては、「そもそも企業の助成を行うという対処についての疑問や他の施策についての提案」などのコメントがみられた。【図10】
【図10】政府の検討施策について賛否の理由について、現時点であなたの考える企業助成の効果や影響とあわせて教えてください(自由回答)
調査概要
内容 | 非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年7-8月) |
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調査期間 | 2023年9月1日~9月3日 |
調査対象 | 自社の非正規雇用労働者の採用方針を把握している会社員/会社役員/経営者、かつ、従業員数10名以上の企業に所属している者 |
調査方法 | インターネット調査 |
有効回答数 | スクリーニング調査:17,000名 本調査:907名 |
レポート内目次
- 採用活動の実施状況
- 新規採用の状況
- 過不足感
- 雇用調整状況
- 就業調整をしている非正規社員の有無・社会保険適用対象となる従業員数と雇用状況
- 2022年10月の社会保険適用拡大を受けて、2022年9月と比べた2023年9月の変化
- 2022年10月の社会保険適用拡大の影響
- 年収の壁と政府の検討施策への賛否
- エリア別・企業規模別集計
- 業種・職種区分
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