非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年5-6月)
- [飲食・宿泊]において人手不足を感じている割合は53.5%
- 採用活動実施率はアルバイト・派遣社員ともに過去最高、派遣社員で[ソフトウェア・通信]が前年同期比+7.7ptと伸長
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、従業員数10名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員で、自社の採用方針を把握している人(有効回答数:スクリーニング調査17,000名、本調査1,038名)を対象に実施した「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年5-6月)」の結果を発表しました。※非正規雇用:アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託
目次
トピックス
- 2023年5-6月では、飲食・宿泊業の約5割がアルバイトの人手不足を感じていた【図1、2】
- 2023年5-6月の採用活動実施率はアルバイト・派遣社員ともに過去最高。派遣社員では[ソフトウェア・通信]で前年同期比+7.7ptと伸長【図3、4】
- 飲食・フード系のアルバイトで働く4人に1人は、現在の最低賃金に近い金額で働いている結果に【図5】
- 2023年10月に最低賃金の引上げが行われた場合に、必要だと思う施策は「正社員のスキル向上を図り、生産性の向上」がトップ【図6、7】
調査詳細
2023年5-6月のアルバイト・派遣社員の人手不足感
人手不足を感じた割合
2023年5-6月の人手不足を感じた割合はアルバイトで38.2%(2023年3-4月比:+0.5pt、2022年5-6月比:横ばい)、派遣社員で30.4%(2023年3-4月比:+1.0pt、2022年5-6月比:+3.3pt)となり、アルバイト・派遣社員ともに、2023年3‐4月比は増加となった。【図1】
【図1】アルバイト・派遣社員 人手不足を感じた割合
「不足」上位の業種
業種別で最も高かったのは、アルバイトでは[飲食・宿泊]で53.5%(2023年3-4月比:-1.5pt、2022年5-6月比:-7.1pt)、派遣社員で[飲食・宿泊]で44.7%(2023年3-4月比:-1.0pt、2022年5-6月:+20.3pt)となり、飲食・宿泊業ではアルバイトの人手不足感が緩和傾向にある一方で、派遣社員の人手不足感は増加傾向にある。【図2】
【図2】アルバイト・派遣社員 「不足」上位の業種
2023年5-6月のアルバイト・派遣社員の採用実施率
採用活動実施率の数値の推移
2023年5-6月の採用活動実施率はアルバイトで20.9%(2023年3-4月比:1.9pt増、2022年5-6月比:3.1pt増)、派遣社員で8.0%(2023年3-4月比:0.3pt増、2022年5-6月比:2.2pt増)となり、アルバイト・派遣社員ともに2020年9‐10月の調査開始以来で過去最高となった。【図3】
【図3】アルバイト・派遣社員 採用活動実施率の数値の推移
※回答数は最新の2023年5-6月のものを記載
業種別の採用活動実施率の上位
業種別で最も高かったのは、アルバイトで[飲食・宿泊]が52.0%(2023年3-4月比:-5.6pt、2022年5-6月:+2.8pt)、派遣社員で[ソフトウェア・通信]が12.0%(2023年3-4月比:+3.5pt、2022年5-6月:+7.7pt)となった。【図4】
【図4】アルバイト・派遣社員 業種別 採用活動実施率の上位
※回答数は最新の2023年3-4月のものを記載
ソフトウェア・通信では業務のDX化などの対応もあり、技術者派遣のニーズが高まっていることから、採用活動が活発化したと考えられる。
現在最低賃金に近い金額で働くアルバイトがいるか
アルバイト従業員がいる企業に対し、職種別に現在の最低賃金に近い金額で働くアルバイトがいるか聞いたところ、「最低賃金との差額10円以下のアルバイトがいる」が最も高い職種は[ホール・調理、その他飲食・フード]で28.4%となり、一方で「最低賃金との差額101円以上のアルバイトしかいない」では[事務・データ入力]で27.5%と最も高くなった。【図5】
【図5】 職種別 アルバイト従業員がいる都道府県ごとに、現在の最低賃金額で働くアルバイト従業員はいますか(単一回答)※ベース:「その職種のアルバイトはいない」除く
昨年の改定では、2021年から31円引き上げられ、全国平均961円と過去最大の上げ幅となったが、今年は政府が全国加重平均1,000円達成目標を明示しており、前年比39円以上の増額見込みであるため、4人に1人が現在最低賃金との差額10円以下で働いている飲食・フードの職種への影響が大きいと考えられる。
最低賃金が引き上げ時に必要な施策
会社で実際行われた施策
2022年の最低賃金の引上げに伴い、企業に実際に行った施策を聞いたところ、「人件費が増大しても、対応策は必要なかった(31.0%)」を除くと、「正社員のスキル向上を図り、生産性の向上」が14.4%と最も高く、次いで「正社員の労働時間の短縮」が14.3%となった。【図6】
【図6】2022年の最低賃金の引上げに伴い、あなたの会社で実際行われた施策(複数回答)
※ベース:「2022年10月は採用担当者ではなく、わからない」除く、回答数40以上の業種を抜粋
必要だと思う施策
一方で、2023年に最低賃金の引上げが行われた場合に、必要だと思う施策を聞いたところ、「人件費が増大しても、対応策は必要ない(29.1%)」を除くと、「正社員のスキル向上を図り、生産性の向上」が15.9%と最も高く、次いで「正社員の労働時間の短縮」が13.8%となり、2022年の最低賃金の引上げに伴い実施した施策と同様の項目が上位となった。【図7】
【図7】2023年に最低賃金の引上げが行われた場合に必要だと思う施策(複数回答)
※ベース:「2022年10月は採用担当者ではなく、わからない」除く、回答数40以上の業種を抜粋
今後、企業主体で正社員のスキル向上を図るための職場環境の整備やリスキリングが進められるとみられる。
調査概要
内容 | 非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2023年5-6月) |
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調査期間 | 2023年7月1日~7月3日 |
調査対象 | 自社の非正規雇用労働者の採用方針を把握している会社員/会社役員/経営者、かつ、従業員数10名以上の企業に所属している者 |
調査方法 | インターネット調査 |
有効回答数 | スクリーニング調査:17,000名 本調査:1,038名 |
レポート内目次
- 採用活動の実施状況
- 新規採用の状況
- 過不足感
- 雇用調整状況
- 直近5年間の職場での服装や身だしなみの規定について緩和状況
- 今後の職場での服装や身だしなみの規定について緩和予定
- 職場での服装や身だしなみについての自由を認めることのメリットと懸念点
- 最低賃金額で働くアルバイト従業員の有無
- 最低賃金引上げ後の実施施策と必要だと思う施策
- エリア別・企業規模別集計
- 業種・職種区分
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