非正規雇用に関する企業の採用状況調査(2022年7-8月)
[小売]において人手不足を感じている割合は54.5%。2022年10月から実施される短時間労働者の社会保険の適用拡大が行われることで企業の採用数を「増やす」は約4割、勤務時間を「増やす」は28.1%
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、従業員数10名以上の企業に所属している全国の経営者・役員または会社員で、自社の採用方針を把握している人(有効回答数:スクリーニング調査16,500名、本調査934名)を対象に実施した「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(22年7-8月)」の結果を発表しました。※非正規雇用:アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託
調査概要
内容 | 非正規雇用に関する企業の採用状況調査(22年7-8月) |
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調査期間 | 2022年9月1日~9月2日 |
調査対象 | 自社の非正規雇用労働者の採用方針を把握している会社員/会社役員/経営者、かつ、従業員数10名以上の企業に所属している者 |
調査方法 | インターネット調査 |
有効回答数 | スクリーニング調査:16,500名 本調査:934名 |
TOPICS
<2022年7-8月のアルバイト人手不足感と採用実施率>
22年7-8月のアルバイト人手不足の割合が上位の業種は[小売]が54.5%と最も高くなった。【図1】
【図1】業種別 アルバイト 過不足感 ※グラフの業種は一部抜粋
アルバイトでは22年3月に緊急事態宣言が解除されてから企業の人手不足を感じている割合が増加しており、調査を開始した20年7-8月以降で最も不足の割合が高くなった。【図2】
【図2】[小売]アルバイト 不足の数値※( )内は回答数
[小売]の採用活動の実施率は37.5%で前年同期の21年7-8月比13.7pt増と伸長した。【図3】
3年ぶりに行動制限がない中で、百貨店では7月のクリアランスセールによる来店者の増加や帰省客向けのお土産需要の高まりに対応するために、採用活動を強化したと考えられる。
【図3】[小売]アルバイト 採用活動実施率※( )内は回答数
<短時間労働者に対する社会保険適用拡大(法改正)後の採用数・勤務時間の増減意向と企業の負担>
2022年10月より、これまで健康保険・厚生年金(社会保険)の加入対象外であった一部の短時間労働者も加入対象者として適用されるが、法改正の対象企業では「法改正内容を知っており、適用準備を進めている」は39.7%、「法改正内容は知っていたが、適用準備はこれから」は46.2%、「法改正内容を知らなかった」は14.1%となった。【図4】
【図4】 2022年10月に社会保険適用拡大が行われる法改正の認知度(単一回答)※回答数:78
※ベース:健康保険・厚生年金(社会保険)の適用対象者となる従業員数が「101~500人」
従業員数101~500名の企業に対して、社会保険適用拡大後の非正規雇用者の採用数・勤務時間の増減について聞くと、採用数を増やすと回答したのは41.5%で、勤務時間を増やすとしたのは28.1%となった。【図5】
【図5】 2022年10月に社会保険適用拡大が行われる法改正による
非正規雇用者の採用数と勤務時間への影響(単一回答)※回答数:65
※ベース:健康保険・厚生年金(社会保険)の適用対象者となる従業員数が「101~500人」
また、法改正後の企業の負担感は、「増える(計)」は47.7%、「減る(計)」は12.3%となった。【図6】
【図6】 2022年10月に社会保険適用拡大が行われる法改正による企業の負担感(単一回答)
※回答数:65
※ベース:健康保険・厚生年金(社会保険)の適用対象者となる従業員数が「101~500人」
企業としての負担が「増えると思う」理由には、「社会保険料や求人費の増加」といったコスト面や「シフト調整のための人材確保が必要となる」などという声が上がった。一方で「減ると思う」理由には「法改正により応募者の増加」に繋がるという意見や「人件費や研修費のコスト削減」などがあった。【図7】
【図7】 企業としての負担についての意見(自由回答)※一部抜粋
<資産形成に関する援助制度の必要性と今後の意向>
企業からの資産形成援助制度について、非正規雇用者に対する必要性と今後の方針を聞いたところ、「必要性を感じており、今後積極的に行う予定」が33.1%と最も高くなった。「必要性を感じている(計)」は64.7%となったが、「今後積極的に行う(計)」は43.3%と半数以下にとどまった。【図8】
【図8】 非正規雇用者に対して資産形成に関する企業からの援助制度の必要性と今後の意向
(単一回答)※回答数:934
現在福利厚生として使える資産形成の制度として設けているものを聞いたところ、非正規社員に設けている制度では「社内保険援助制度」が17.8%と最も高く、次いで「財形住宅貯蓄」が16.6%となったが、正社員と比べるといずれの項目においても10pt以上低くなった。また、現在福利厚生として使える資産形成の制度として正社員と非正規社員に設けている割合の差が大きかった制度は「一般財形貯蓄」で正社員では39.8%、非正規社員では15.2%となり、非正規社員は正社員より24.6pt低くなり、待遇差の中でも特に大きいことがわかった。【図9】
【図9】現在実施している資産形成の制度(単一回答)※わからない除く
今後積極的に資産形成の援助を行う企業では、非正規社員に設ける予定の制度として「社内保険援助制度」が40.8%と最も高く、今後積極的に行わない予定の企業より30.9pt高くなった。企業によって資産形成の援助制度への取り組み状況に差がある様子がうかがえる。【図10】
【図10】 今後の意向別 資産形成の制度について今後の方針(単一回答)※わからない除く
INDEX
1,採用活動の実施状況 2,新規採用の状況 3,過不足感 4,雇用調整状況 5,社会保険適用拡大の法改正の認知度と影響 6,資産形成に関する企業からの援助制度 7,エリア別・企業規模別集計 8,業種・職種区分について