学生・企業・大学それぞれから見る学業とインターンシップ等のキャリア形成活動の両立課題

服部幸佑
著者
キャリアリサーチLab研究員
KOUSUKE HATTORI

はじめに

インターンシップ等のキャリア形成活動と学業をどのように両立していくかは、大学生にとって重要な課題となっている。両者はいずれも重要なものでありながら、それぞれが独自のスケジュールや要件のもとで運営されているため、その調整は必ずしも容易ではない。企業側も、学生が参加しやすいよう日程の複数化やオンライン形式の導入など、さまざまな配慮を行っている。

しかし実態としては、学生の多くがキャリア形成活動と学業の両立に苦慮しており、授業と活動の日程が重なることで、それに伴う欠席といった問題が発生している。さらに、企業側においても人的リソースや運営体制の制約があり、配慮を行いたくても十分に対応しきれない場面が存在している。

本稿では、企業と学生それぞれの実態をデータから整理することで、両立に関する課題がどのように生じているのかを明らかにし、その背景にある要因について考察する。

学生の状況について

学業とキャリア形成活動の両立については、多くの学生が負担を感じていると考えられる。その実態を把握するには、単なる大変さだけでなく、具体的に何について困っているのか、企業の配慮をどのように受け止めているのか、さらにどのような支援を求めているのかをあわせて捉える必要がある。

以下では、両立に対する負担感から具体的な困りごと、企業の配慮への評価、そして学生が求める配慮内容までを順に整理し、学生側から見た両立の実態を明らかにする。

学業とキャリア形成活動の両立に対する負担感について

学業とキャリア形成活動の両立に対する負担感は、多くの学生が感じていることがうかがえる。「2027年卒 大学生キャリア意向調査(1月)<インターンシップ・キャリア形成活動>」によると、両立がどの程度大変だと感じているかについて、「とても大変」が40.9%、「やや大変」が38.9%となり、合わせて79.8%と約8割が「大変」と回答している。

この結果からは、学業とキャリア形成活動の両立における負担が一部の学生に特有のものではなく、広く共有された認識であることがうかがえる。【図1】

【図1】学業とインターンシップ等のキャリア形成活動の両立はどの程度大変だと感じているか/2027年卒 大学生キャリア意向調査(1月)<インターンシップ・キャリア形成活動>
【図1】学業とインターンシップ等のキャリア形成活動の両立はどの程度大変だと感じているか/2027年卒 大学生キャリア意向調査(1月)<インターンシップ・キャリア形成活動>

両立において実際に困っていること

学業とキャリア形成活動の両立に対する負担感は高い水準にあるが、その背景には具体的なスケジュール上の制約や調整の難しさが存在している。同調査によると、両立において困ったこととしてもっとも多く挙げられたのは、「授業とインターンシップ等のキャリア形成活動が重なって参加できないことがあった」(52.0%)であり、半数以上の学生が実際に日程の重複による機会損失を経験している。

また、「テスト期間と就活準備が重なり負担が大きかった」(36.9%)や「日程の選択肢があっても、実質的に選べる日が限られていた」(36.9%)といった回答も多く、単にスケジュールが存在しているだけではなく、学業側の制約の中で選択の自由度が限定されている実態があることがうかがえる。

さらに、「休暇期間だけでは就活準備が追いつかなかった」(23.8%)、「平日にも就活準備に使える時間がほしかった」(23.6%)といった回答からは、活動のための時間確保そのものが難しい状況も確認される。【図2】

【図2】学業とインターンシップ等のキャリア形成活動の両立について困ったこと/2027年卒 大学生キャリア意向調査(1月)<インターンシップ・キャリア形成活動>
【図2】学業とインターンシップ等のキャリア形成活動の両立について困ったこと/2027年卒 大学生キャリア意向調査(1月)<インターンシップ・キャリア形成活動>

企業の配慮に対する学生の受け止め

学生は企業からの配慮に対してどのように思っているのだろうか。同調査によると、企業の配慮について「とても配慮されている」と感じている学生は8.8%、「ある程度配慮されている」が53.3%となり、あわせて62.1%と約6割の学生は配慮されていると認識している。

この結果からは、多くの企業が学生の学業とインターンシップ等のキャリア形成活動との両立を意識した取り組みを行っており、その姿勢自体は学生にも一定程度伝わっていることがわかる。【図3】

【図3】学業とインターンシップ参加等の活動の両立を図れるような企業側の配慮について、どのように感じているか/2027年卒 大学生キャリア意向調査(1月)<インターンシップ・キャリア形成活動>

【図3】学業とインターンシップ参加等の活動の両立を図れるような企業側の配慮について、どのように感じているか/2027年卒 大学生キャリア意向調査(1月)<インターンシップ・キャリア形成活動>

学生が助かると感じる配慮内容

では、学生は具体的にどのような配慮を求めているのだろうか。同調査によると、もっとも多く挙げられたのは「複数日程を用意される」(74.8%)であり、約4人に3人の学生が日程の選択肢があることを重視している。次いで「大学の休暇期間に実施される」(54.4%)が続き、学業と直接重ならない時期での実施を求める声も半数を超えている。

さらに、「配慮は必要ない」とする回答は1.8%にとどまっており、ほぼすべての学生が何らかの配慮を必要としている状況が明らかとなっている。このことは、学業とキャリア形成活動を両立させる上で、企業側の配慮が強く求められていることを示す結果といえる。【図4】

【図4】学業とインターンシップ等のキャリア形成活動の両立について企業がどのように配慮してくれると助かるか/2027年卒 大学生キャリア意向調査(1月)<インターンシップ・キャリア形成活動>
【図4】学業とインターンシップ等のキャリア形成活動の両立について企業がどのように配慮してくれると助かるか/2027年卒 大学生キャリア意向調査(1月)<インターンシップ・キャリア形成活動>

企業の状況について

前章で見てきたように、学生は学業とキャリア形成活動の両立においてさまざまな制約に直面しており、日程の柔軟性や参加機会の選択肢といった企業側の配慮が強く求められている。一方で、こうしたニーズに対して、企業側もすでにさまざまな取り組みを行っていることがうかがえる。

実際に多くの企業が学業との両立を意識し、さまざまな配慮を行っているがこうした対応は必ずしも容易なものではない。企業側の運営体制や人的リソース、さらには業務上の制約といった要因によって、対応の幅には一定の限界が存在している。学生のニーズに応えようとしながらも、すべてを満たすことが難しい状況に置かれているといえるだろう。

この章では、企業が実際に行っている配慮の内容を確認するとともに、その対応に制約が生じる背景について整理していく。

企業が実際に行っている配慮

「2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査<インターンシップ・キャリア形成支援活動について>」によると、インターンシップ・仕事体験の実施時期に関して学業への配慮を行っている企業は94.6%にのぼっており、大多数の企業が両立を意識した運用を行っていることがわかる。【図5】

【図4】インターンシップ・仕事体験実施時期に関する学業への配慮を行っているか(n=883)/2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査<インターンシップ・キャリア形成支援活動について>
【図5】インターンシップ・仕事体験実施時期に関する学業への配慮を行っているか(n=883)/2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査<インターンシップ・キャリア形成支援活動について>

その具体的な内容としては、「複数日程を用意している」(72.4%)や「大学の休暇期間に実施している」(70.9%)がいずれも7割超えとなっており、多くの企業が学生の参加しやすさを考慮し、日程面での調整を行っている。

また、「土日に開催している」(26.0%)といった取り組みもみられ、学業との重複を避けるための工夫が一定程度進められている。【図6】

【図6】インターンシップ・仕事体験実施時期に関する学業への配慮の内容/2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査<インターンシップ・キャリア形成支援活動について>
【図6】インターンシップ・仕事体験実施時期に関する学業への配慮の内容/2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査<インターンシップ・キャリア形成支援活動について>

しかし、それでも学生が学業とキャリア形成活動の両立が大変だと感じているのは、単に日程数を増やすだけでは、学業との関係の中で実際に参加可能な機会が十分に確保されているとは言い切れない状況もうかがえる。

すなわち、企業側は学生のニーズに対応する形で配慮を行っているものの、その配慮が必ずしも学生一人ひとりのスケジュールと適合する形で機能しているとは限らない。こうした状況が生じる背景として、どのようなことが影響しているのだろうか。

日程を増やしきれない理由

企業は学業との両立を意識し、複数日程の設定や実施時期の調整などさまざまな配慮を行っているものの、こうした対応を無制限に拡張することは現実的には難しい。同調査によると、企業は複数日程の実施などを通じて柔軟な参加機会の提供を進めているが、その一方で運用面での制約も多く指摘されている。

実際の企業の声をみると、「土日出社を増やせないため休日開催が難しい」「残業ができず業務時間外での実施も難しい」といった、働き方に関する制約が挙げられている。加えて、「他業務や施設利用の調整などの兼ね合いで、土曜日開催の日程調整が平日よりも手間がかかる。」といった意見もあり、単純に日程を増やすことがそのまま実現可能であるとは限らない。

さらに、インターンシップの実施には制度上の要件も影響している。以下がインターンシップ実施にあたり政府が企業に要請している要件である。

  • 就業体験要件(実施期間の半分を超える日数を就業体験に充当)
  • 指導要件(職場の社員が学生を指導し、学生にフィードバックを行う)
  • 実施期間要件(汎用能力活用型は5日間以上。専門活用型は2週間以上)
  • 実施時期要件(卒業・修了前年度以降の長期休暇期間中)
  • 情報開示要件(学生情報を活用する旨等を募集要項等に明示)

ここで着目するのは、実施期間要件(5daysなどのインターンシップといった汎用能力活用型は5日間以上。専門活用型は2週間以上)についてと、実施時期要件(卒業・修了前年度以降の長期休暇期間中)についてである。

たとえば、汎用能力活用型では5日間以上、専門活用型では2週間以上といった一定期間の実施が求められており、1回あたりのプログラム自体にまとまった日数を確保する必要がある。これに加えて、実施時期についても卒業・修了前年度以降の長期休暇期間中とされているため、限られた期間の中で長期間のプログラムを複数回運用する必要が生じる。

また、学生のニーズが高い大学の休暇期間についても、「大学が夏休み期間に設定すると学生の希望に応じて、盆明けから9月末までフルに埋まってしまい、社員の余裕がなくなったこと」「夏休み期間は限られているため実施回数を増やせない」といった課題がみられる。さらに、「他社と実施時期が重なることで日程がかぶり、参加率が下がる」といった声もあり、個社の工夫だけでは調整しきれない環境要因も存在している。【図7】

【図7】学業への配慮について、対応に難しさを感じること/2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査<インターンシップ・キャリア形成支援活動について>
【図7】学業への配慮について、対応に難しさを感じること/2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査<インターンシップ・キャリア形成支援活動について>

このように、日程調整に関する制約は、単に企業の努力不足によるものではなく、働き方のルールや業務運営、さらには市場全体の動きといった複数の要因が重なり合う中で生じている。その結果、企業は学生のニーズに応じて柔軟な日程設計を行おうとしつつも、実際に提供できる選択肢の数や幅には一定の限界が生じていると考えられる。

新卒採用担当者体制の現状(ワンオペ人事について)

今回は学業とインターンシップ等のキャリア形成活動との両立についてをテーマとしており、就職活動との両立について議論するものではないが、新卒採用の担当者がインターンシップ等の企画・運営を担当するケースが多いことから、採用担当者の体制についても見ていきたい。

日程調整の難しさの背景には、企業の採用体制そのものが持つ制約も大きく影響している。「2026年卒企業新卒内定状況調査」によると、新卒採用担当部署の人数は「1人」が22.9%、「2人」が34.0%、「3人」が23.0%となっており、3人以下の体制が全体の79.9%を占めている。多くの企業において、新卒採用は少人数で運用されている実態がうかがえる。【図8】

【図8】新卒採用担当部署の人数/2026年卒企業新卒内定状況調査
【図8】新卒採用担当部署の人数/2026年卒企業新卒内定状況調査

さらに、専任で新卒採用を担当している人材についてみると、「専任担当はいない」とする企業が56.1%と過半数を占めている。専任担当がいる場合でも「1人」が24.6%ともっとも多く、平均すると専任担当者数は1.1人にとどまる。すなわち、採用業務の多くは他業務との兼務によって支えられており、専任で十分な人員が配置されているケースは限られている。【図9】

【図9】新卒採用を”専任で”担当している人数/2026年卒企業新卒内定状況調査
【図9】新卒採用を”専任で”担当している人数/2026年卒企業新卒内定状況調査


こうした体制のもとで、担当者が感じている負荷の大きさも明らかとなっている。同調査によると、新卒採用担当のマンパワー不足について「非常に感じる」が37.6%、「やや感じる」が30.3%となり、あわせて67.9%と約7割の企業が人手不足を実感している。一方で、「あまり感じない」(7.7%)、「全く感じない」(1.2%)を含めても、余力があると感じている層は1割未満にとどまる。【図10】

【図10】新卒採用担当のマンパワー不足を感じるか/2026年卒企業新卒内定状況調査
【図10】新卒採用担当のマンパワー不足を感じるか/2026年卒企業新卒内定状況調査

このように、多くの企業では少人数かつ兼務前提の体制で採用業務が運営されている上に、実際の現場でも人的余裕が乏しいと認識されている。したがって、インターンシップの日程を増やしたり、個別のスケジュール調整に柔軟に対応したりすることは、担当者の負荷増大を伴う取り組みであり、その拡張には自ずと限界が生じる。

このことから、企業側の配慮が一定程度行われているにもかかわらず、学生のニーズすべてに応じきれない状況は、採用体制そのものに内在する構造的な制約とも結びついていると考えられる。

大学の状況について

ここまで見てきたように、学生は学業とキャリア形成活動の両立においてさまざまな制約に直面しており、企業側もその状況に配慮しながら対応を行っている。こうした状況は、学生個人の中にとどまるものではなく、大学の現場にも影響を及ぼしている。特に、授業やゼミと採用日程の重複に関する相談や、それに伴う授業欠席といった形で現れている。

この章では、大学側に寄せられている相談の状況と、実際に生じている授業・ゼミ欠席の実態を見ていく。

授業・ゼミと採用日程の重複に関する相談、授業・ゼミ欠席の実態 

文部科学省が出した「令和7年度就職・採用活動に関する調査結果・速報(大学)」によると、授業時間と採用面接などの日程の重複に関する相談があったかを尋ねたところ、「ある」と回答した割合は64.2%にのぼる。【図11】

【図11】授業時間と採用面接の日程等の重複に対する相談があったか/令和7年度就職・採用活動に関する調査結果・速報(大学)
【図11】授業時間と採用面接の日程等の重複に対する相談があったか/令和7年度就職・採用活動に関する調査結果・速報(大学)

さらに、就職活動によって授業・ゼミを欠席したことがあったかについては、「しばしばあった」が37.3%、「まれにあった」が50.4%となり、あわせて87.7%となっている。【図12】

【図12】就職活動により授業・ゼミを欠席したことがあったか/令和7年度就職・採用活動に関する調査結果・速報(大学)
【図12】就職活動により授業・ゼミを欠席したことがあったか/令和7年度就職・採用活動に関する調査結果・速報(大学)

これらの結果からは、実際に学業への影響が大学への相談や授業欠席といった形で現れていると考えられる。本来、大学における学業は学生生活の基盤となるものであり、キャリア形成活動の重要性が高まる一方で、学業に十分に取り組む機会が損なわれる可能性があるという点については、慎重に捉える必要があるだろう。

おわりに

これまで見てきたように、学業とキャリア形成活動の両立をめぐっては、学生・企業のいずれの側でも相当の工夫と労力が見られている。学生は学業との調整を図りながら活動への参加機会を確保しようとし、企業も日程の複数化や実施時期の工夫、オンライン化などを通じて、参加しやすい環境づくりを進めている。しかし一方で、学生の多くは依然として両立に強い負担を感じており、授業やゼミと活動日程の重複、時間確保の難しさといった課題は解消されていない。

本来、学業とキャリア形成活動はどちらか一方がうまくいけばよいというものではなく、双方が適切に両立されることによってはじめて、学生にとって充実した大学生活やキャリア形成につながるものといえる。その意味で、現状のように一方の調整が他方の機会を圧迫するような状況は、持続可能な状態とは言い難い。

こうした中で、近年では2029年卒以降を見据えた就職活動のルール見直しに関する動きも報じられており、今後は現在の枠組みそのものが変化していく可能性もある。こうした変化は、単に活動時期やルールを調整するだけでなく、学業とキャリア形成活動の関係をどのように捉え直すのかという観点から検討されることが重要になるだろう。

学生・企業・大学のそれぞれが無理なく関わり合いながら、学業とキャリア形成活動の両立を実現できる環境をどのように設計していくか。個別の工夫や努力に依存するだけではなく、よりよい関係性のもとで成り立つ新たな枠組みについて、あらためて考えていく必要があるのではないだろうか。

マイナビキャリアリサーチLab研究員 服部幸佑

関連記事

2027年卒 大学生キャリア意向調査(1月)<インターンシップ・キャリア形成活動>

調査・データ

2027年卒 大学生キャリア意向調査(1月)<インターンシップ・キャリア形成活動>

2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査<インターンシップ・キャリア形成支援活動について>

調査・データ

2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査<インターンシップ・キャリア形成支援活動について>

インターンシップにおける効果的なフィードバック

コラム

インターンシップにおける効果的なフィードバック