マイナビ キャリアリサーチLab

2023年卒企業新卒内定状況調査

SUMMARY

2023年卒の採用充足率は81.3%で、3年ぶりに減少しコロナ禍前の水準に
採用活動について「前年より厳しかった」企業が49.6%で前年比21.6pt増加

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、2023年卒採用の内定状況と2024年卒採用の見通しなどをまとめた「マイナビ 2023年卒企業新卒内定状況調査」の結果を発表しました。

調査概要

内容 マイナビ2023年卒企業新卒内定状況調査
調査期間 2022年9月6日~10月5日
調査対象 マイナビ2023利用企業担当者
調査方法 WEB上のアンケートフォームより入力
有効回答数 のべ2,008社

23年卒の採用状況

23年卒の採用充足率は81.3%で、3年ぶりに減少しコロナ禍前の水準に。
採用活動については49.6%の企業が「前年より厳しかった」と回答

23年卒の採用充足率(内定者数/募集人数)は前年比2.3pt減の81.3%で3年ぶりに減少し、コロナ禍前の20年卒の数値(80.4%)に近い水準となった。内定者満足度は、「量・質ともに満足」が26.2%で前年比10.3ptの減少、「質は満足・量は不満」は前年比6.2pt増の43.4%となっており、内定者の質は担保できているものの、内定者の人数に関して満足がいく採用ができなかった企業が多いことが分かる。採用活動の印象は、「前年より厳しかった」が前年比21.6pt増の49.6%と大幅に増加した。「前年並みに厳しかった」の回答と合わせると「厳しかった」と回答した割合は87.6%となり、多くの企業が採用人数確保の難しさを実感しているようだ。

「採用充足率」と「内定者満足度」の年次推移/2023年卒企業新卒内定状況調査
「採用充足率」と「内定者満足度」の年次推移/2023年卒企業新卒内定状況調査
今年の採用活動の印象/2023年卒企業新卒内定状況調査
今年の採用活動の印象/2023年卒企業新卒内定状況調査

採用難度の背景

採用意欲の高まりにより、難しさが増した「母集団の確保」や「選考への動員」

「今年の採用活動の印象」に関して「厳しかった(前年並み+前年より)」と回答した企業に対して、その理由を聞いたところ、 20年卒以降2年連続で減少していた「母集団の確保」の割合が増加し、約7割となったほか、「採用選考への動員」が大幅に増加し、51.4%となった。また、「内定辞退の増加」も39.5%で3位となっており、母集団の確保が難しくなっている上に内定に至った学生の繋ぎ止めにも苦戦していることが分かる。

「採用活動が厳しかった」と回答した理由/2023年卒企業新卒内定状況調査
「採用活動が厳しかった」と回答した理由/2023年卒企業新卒内定状況調査

2023年卒企業新卒採用活動調査』で調査した、採用予定数の対前年比較を見ると、「(前年より)増やした」の割合は21年卒以降2年連続で増加していたことから、採用難度の要因の一つとしては採用意欲の回復が挙げられる。

採用予定数の対前年比較/2023年卒企業新卒採用活動調査
採用予定数の対前年比較/2023年卒企業新卒採用活動調査

一方で、学生の活動量は22年卒と比べて減少している。応募者数の前年比を見ると、「(前年より)減った」という割合が22年卒の2倍以上の48.4%となっていることが分かるほか、『学生就職モニター調査』の結果を見ると、実際に3~7月の平均エントリー数の合計値は20年卒以降徐々に減少しており、23年卒は前年と比較して平均値が3.9社減少している。23年卒では経済状況がやや回復してきたこともあり、21年卒や22年卒と比べると危機感が緩和したことや、インターンシップなどの準備段階においてエントリーする企業を絞り込んで活動していた学生が多いと推察される。

応募者数(エントリー数)の前年比/2023年卒企業新卒内定状況調査
応募者数(エントリー数)の前年比/2023年卒企業新卒内定状況調査
平均エントリー数/学生就職モニター調査(20~23年卒3~7月の活動状況)
平均エントリー数/学生就職モニター調査(20~23年卒3~7月の活動状況)

 企業の採用意欲は回復して人材獲得の競争が激しくなっている一方で、学生の活動量は減少していることが、23年卒の採用活動がコロナ禍以前並みの採用難度になった背景と考えられる。

応募者の印象

「熱意を感じられない」「WEB/対面で印象が変わる学生が多かった」という声も。学生の志望度を高める取り組みや見極めの工夫が重要に

23年卒学生の印象について聞いてみると、志望度や熱意が高い学生が多かったという意見がある一方で、「気軽に応募した学生もいた」「説明会にとりあえず参加している学生が増えた」というコメントも見られた。

23年卒学生の印象(志望度の高さや入社への熱意に関して)
業種 23年卒学生の印象
サービス・インフラ 当法人について予め情報を収集するなど理解を深めてある意味覚悟をもって応募してくれており、熱意を感じた。
サービス・インフラ 非常に高い学生もいれば、気軽に応募した学生もいて様々だった。
商社 必ず弊社でなければならない、という熱意をアピールする学生が少ない印象でした。多くの選択肢の中の1つとして選考を受けている学生が多く、建前として「御社が第一志望です」という学生も少なかったように感じました。
商社 WEB説明会に慣れたためか、「とりあえず様子見」参加が増えた。事前の企業研究や業界分析が不十分なまま参加しても、内容を他社と比較できるのか?→説明会の雰囲気で決めがちでは?
製造
※建設除く
志望理由や履歴書の内容を見て、志望度が高くなく、どこでもいい雰囲気を感じた。

特にセミナーなどではWEBでの開催が定着したことで参加へのハードルが低くなったことは事実ではあるが、前述のように、学生の行動量は前年よりも低下しており、多くの学生は説明会の時点である程度志望度が高い企業に絞って参加していると考えられる。説明会や選考に参加している時点で志望度は低くないという考え方で、より志望度を高めていくための工夫をしていくことが必要となりそうだ。
また、実際に「とりあえず」という意識で説明会や選考に参加している学生がいるのであれば、これまで選考に参加していなかった潜在層の学生である可能性もある。そのような学生との接点をつくることに成功しているという前向きな捉え方で、学生の志望度を高めていくための情報提供を行っていくことが学生と企業双方のよりよい就職活動に繋がると考えられる。

 面接での印象について聞いてみると、WEB面接と対面面接とで印象が変わる学生が多かったという意見が見られた。対面面接では緊張して上手く話せなくなる学生が多かったように感じたようだ。 学生自身の対面面接の練習不足に加えて、画面越しと対面とでは伝わりやすい情報に違いがあることも影響していると考えられる。

23年卒学生の印象(面接での様子や内容について)
業種 23年卒学生の印象
ソフトウエア・通信 1次面接(WEB)と2次面接(対面)とで印象がまるで違う方がいました。1次面接ではスラスラ話せていたのに、2次面接ではしどろもどろな回答になってしまったりなど。
官公庁・公社・団体 WEBと対面で全く印象が異なる学生が多かった。特にWEBではやる気を前面に押し出している学生が多かったが、実際会うと同じ人物かと思うほどやる気がない学生も少なくなかった。
商社 書類は上手く書けていても、対面での面接に不慣れな印象。役員相手ではなく、担当者レベルの面接でも緊張で上手く話せておらず、勿体なさを感じた。面接の練習不足感がある。
マスコミ ガクチカに自信のある学生とそうではない学生との差が大きいと感じた。
製造※建設除く コロナ禍で学生生活が制限されたこともあり、ガクチカが語れない学生が多かった。

WEB面接で面接官を担当した社員と対面面接で面接官を担当した社員とで学生の評価が変わってしまうことのないよう、面接の行い方や評価基準の見直しをすることや、評価したいポイントによってそれに適した実施形式をとるなど、面接の仕方の見直しも必要と考えられる。
また、コロナ禍で学生生活が制限されていたために、ガクチカが答えられない学生がいたというコメントも見られた。22年卒に引き続き、コロナ禍で就職活動前の大学生活に影響を受けている学年であるため、学生の人となりを引き出す質問の仕方にも工夫が求められる。

24年卒採用について

24年卒採用は78.6%が実施予定で、採用数を「増やす」企業がさらに増加。
採用活動の見通しは「厳しくなる」が前年から18.8pt増の67.8%

24年卒向け採用計画の策定状況を聞いたところ、採用予定数が決まっていない状態も含めると78.6%が実施すると回答した。採用予定数については前年同様「増やす」が増加、「減らす」が減少している。【図13】それを受けて24年卒の採用活動に関する見通しは、「厳しくなる(+非常に)」の回答が18.8pt増加して67.8%と、「今年度並み」を上回る結果となった。
23年卒の採用活動の厳しさを経験し、24年卒はさらに人材獲得の競争が激しくなると予想していることが見てとれる。

2024年卒採用計画の策定状況/2023年卒企業新卒内定状況調査
2024年卒採用計画の策定状況/2023年卒企業新卒内定状況調査
次年度の採用数について/2023年卒企業新卒内定状況調査
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次年度の採用活動について/2023年卒企業新卒内定状況調査
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調査担当者コメント

23年卒の採用活動は、企業の採用意欲の高まりに伴ってコロナ禍前並みの採用難度となりました。24年卒も引き続き採用意欲は高く、上場企業では約2割が今年度よりも採用予定数を増やす見込みとなっており、さらなる採用競争の激化が予想されます。
いかに学生との接点をつくり、自社のことを知ってもらった上で志望度を高め、内定後も入社意思を維持できるようフォローしていくかがより重要になります。今年改正されたインターンシップの考え方については認知度が高くないことが分かりましたが、このような情報も踏まえながら、より丁寧に採用計画を練っていくことが求められます。

【11月10日 数値訂正のお知らせ】
P101 24年卒のインターンシップの実施タイプについての数値に誤りがございました。
ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが最新版をご利用ください。

【12月27日 訂正のお知らせ】
P85 外国人留学生の採用予定についての設問表記に誤りがございました。
誤)23年卒採用で外国人留学生の採用予定があるか
正)24年卒採用で外国人留学生の採用予定があるか
ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが最新版をご利用ください。

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