マイナビ キャリアリサーチLab

2017年卒 企業新卒内定状況調査

内定者数は前年入社実績数にほぼ到達するも目標には届かず。採用充足率は87.7%

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中川信行)は、国内企業を対象に2017年卒採用の内定状況と2018年卒の採用の見通しなどをまとめた「2017年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」の結果を発表した(2,238社回答)。

調査概要

内容 マイナビ2017年卒企業新卒内定状況調査
調査期間 2016年10月3日(月)告知、11月2日(水)受付締切
調査方法 ・新卒採用実績のある国内8,000社に回答用紙を郵送
・新卒採用支援情報サイト「新卒採用サポネット」会員にメールマガジンにて案内
回答方法 回答用紙、WEBフォームより回答
有効回答数 2,572社

TOPICS

採用充足率 / 内定者数対前年入社実績比

内定者数は前年入社実績数にほぼ到達するも目標には届かず。採用充足率は87.7%

今年(17年卒)の募集人数及び調査時点の内定者数と、前年(16年卒)の入社実績数を比較すると、全体の平均で前年実績比13.9%増の採用数を目指して募集を行ったが、内定者数は前年実績数にほぼ到達したところ(前年実績比0.2%増)だったことがわかった。前年並みの採用数は確保したが採用増の目標を達成するのは難しい状況だ。採用充足率は87.7%(対前年1.4pt増)だった。

業界別で見ると、マスコミは13.5%の採用増を目指してすでに10.3%の採用増を達成しているが、製造は4.1%の採用増と低めの目標設定に対し内定者数は前年実績数に2.2%足りていない状況だ。採用増の目標設定が高かった小売(前年実績比21.9%増を目指して現状0.8%増)、サービス・インフラ(前年実績比20.8%増を目指して現状0.6%減)、ソフトウエア・通信(前年実績比19.8%増を目指して現状0.9%減)は、それぞれ前年実績数に届くか届かないかという状況だ。

<内定者への満足度>「質・量ともに満足」の割合は7年ぶりに増加するも、ここ10年で3番目に低い数字

内定者への満足度では、「質・量ともに満足」の割合は総合評価で31.6%(対前年1.9pt増)と10年卒以来7年ぶりに増加したが、ここ10年で3番目に低い数字だった。業界別で「質・量ともに満足」の割合を見ると、他に比べて特に低いのは小売(17.1%)、建設(21.3%)となっている。従業員規模別の「質・量ともに満足」の割合は、100人未満(30.9%)から1,000~2,999人(32.1%)までは30%前後だが、3,000~4,999人と5,000人以上はともに50.0%で、大きく差がついている。

採用活動の印象 / 採用活動が厳しかったと回答した理由>ほぼ9割が「厳しかった」と回答
厳しかった理由は「母集団の確保」「セミナー動員」「辞退の増加」

採用活動の印象は、総合評価で「前年より厳しかった」が41.9%(対前年19.5pt減)と4割を超え、「前年より楽だった」が8.4%(対前年4.8pt増)であることを踏まえると、年々厳しさを増している状況に変わりはない。「前年並みに厳しかった」が47.0%(対前年14.2pt増)で、「厳しかった(=前年より+前年並みに)」という回答は88.9%(対前年5.3pt減)とほぼ9割だった。厳しかった理由は「母集団の確保」が65.6%(対前年2.6pt増)で最も高く、「セミナー動員」(39.1%、対前年3.3pt増)、「辞退の増加」(37.3%、対前年11.0pt減)が続いた。「採用活動スケジュール変更への対応」は18.5%(対前年38.2pt減)だった。業界別でも、すべての業界で「母集団の確保」が最も高く、商社と金融は他業界より「辞退の増加」が高い(商社44.8%、金融41.5%)。

<内定を出す基準>内定を出す基準は3年連続で「前年より緩くした」が「前年より厳しくした」を上回る

「前年より基準を緩くした」が9.8%(対前年1.9pt減)で、3年連続で「前年より基準を厳しくした」(7.2%、対前年0.2pt増)を上回った。業界別で見ると、特に小売(18.0%)、建設(12.7%)、サービス・インフラ(12.2%)で「緩くした」の割合が高い。従業員規模別では5,000人以上で「緩くした(12.0%)」が「厳しくした(2.7%)」を大きく上回った。

応募学生数 / ES提出学生数 / 説明会参加学生数 / 1次面接受験学生数>約半数の企業で応募学生数が減少、すべての段階で前年同様「減った」が「増えた」を上回る

応募学生数(エントリー数)は「減った※」(51.7%、対前年5.4pt減)が半数を超え、前年同様「増えた※」(25.3%、対前年2.6pt増)を大きく上回った(※「減った」「増えた」は、それぞれ「大幅に」と「やや」の合計。以下同様)。業界別でもすべて「減った」が「増えた」を上回った。
エントリーシート提出学生数と説明会参加学生数も、前年同様「減った」が「増えた」を大きく上回った(エントリーシート提出:「減った」37.9%>「増えた」20.5%、説明会参加:「減った」48.0%>「増えた」26.4%)。
1次面接受験学生数も、前年同様「減った」(43.5%)が「増えた」(26.3%)を大きく上回った。
採用フェーズのすべての段階で前年より減る傾向が強く、今年の採用活動の厳しさが浮き彫りとなった。

<平均選考回数 – 平均選考日数 – 内々定までの期間>平均選考日数は2.4日短縮し、内々定までの期間は8割近くが短くなったと回答

一次選考から内々定までの平均選考回数は2.9回(対前年0.1pt減)だった。選考回数別の割合で最も多かったのは前年同様「3回」(42.4%、対前年0.1pt増)だった。平均選考日数は前年から2.4日短縮し32.8日だった。内々定までの期間は全体の8割近くが短くなった(78.9%)と回答した。企業にとって厳しい状況の中、採用活動は前年より速いペースで進んだようだ。

<選考途中の辞退率 – 内々定辞退率 / 内々定辞退の方法 / 内定後の対応>選考途中の辞退率は前年に引き続き「前年より高かった」が「前年より低かった」を上回る、内々定後の辞退率は「前年より高かった」と「前年より低かった」がほぼ同じ程度

選考途中の辞退率は「前年より高かった」が減少し(28.4%、対前年4.2pt減)、「前年より低かった」がやや増加した(19.0%、対前年1.1pt増)。前年に引き続き「高かった」が「低かった」を上回っている。選考活動開始が前年の8月から6月になったことで、企業の面接実施時期が集中し、選考途中の辞退の増加につながったと考えられる。

内々定後の辞退率は「前年より高かった」が31.4%(対前年14.8pt増)、「前年より低かった」が29.7%(対前年9.8pt増)で、「高かった」と「低かった」がほぼ同じ程度だった。業界別の内々定辞退率の変化を見ると、金融は「前年より低かった」(38.8%)が「前年より高かった」(19.4%)を大きく上回った。前年(17年卒)は金融の内々定出しが8月に集中したが、今年の6月は前年ほどは集中しなかったため、内々定辞退率が改善したようだ。一方「高かった」が「低かった」を上回ったのは、建設(「高かった」34.5%>「低かった」26.2%)、商社(「高かった」34.0%>「低かった」27.6%)、サービス・インフラ(「高かった」33.7%>「低かった」27.3%)だった。

学生からの内々定辞退の方法は「電話で」(89.7%)が圧倒的に多かった。「突然連絡が付かなくなった(無視された)」という経験がある企業は17.3%で、上場企業では26.5%と4社に1社以上という結果となった。
内定承諾書の提出を求めている割合はほぼ前年並みだったが(91.7%、対前年0.2pt増)、返送期間の設定をしている割合が増加した(74.9%、対前年5.9pt増)。
実施している内定者フォローでは、今年から選択肢に追加した「社内行事への招待(24.2%)」「レポートや課題を課す(24.1%)」「内定者向け教材の配布(20.8%)」がそれぞれ2割以上の企業で実施されていた。

<採用活動進捗状況 / 採用活動を終了した(する)時期 – 採用活動期間>「短期化した」が「長期化した」を上回り、採用活動の長期化傾向に歯止めがかかる

調査時点で「採用活動を継続する」割合は42.6%(対前年3.2pt減)で、調査時期が前年より半月早かったにもかかわらず減少した。業界別で採用活動継続が半数を超えていたのは、小売(58.4%)、建設(57.0%)、サービス・インフラ(53.3%)だった。

採用活動を終了した(する)時期は前年同様9月が最も多かったが(14.8%、対前年6.1pt減)、9月までに採用活動を終えた企業は53.7%(対前年12.7pt増)と増加した。しかし、15年卒(9月までに63.6%が活動終了)以前に比べると、10pt以上活動終了割合が低い。

「前年に比べて短期化した(する)」は32.8%で、「長期化する(した)」の22.3%を上回り、14年卒以降3年続いた採用活動の長期化傾向に歯止めがかかった。業界別では金融(「短期化」53.8%>「長期化」13.3%)、ソフトウエア・通信(「短期化」37.8%>「長期化」19.9%)、マスコミ(「短期化」36.6%>「長期化」20.4%)、製造(「短期化」39.3%>「長期化」24.2%)で「短期化」が「長期化」を大きく上回った。

<17年卒採用スケジュール変更の影響>「主に悪い影響があった」は約3割。「影響はない」+「よく分からない」が半数を超える

選考活動開始時期が前年の8月から6月になった17年卒の採用スケジュール変更の影響について聞いたところ「主に悪い影響があった」は32.2%で、「主に良い影響があった」の12.6%を上回った。ただし、「影響はない」(22.5%)+「よく分からない」(32.7%)が合わせて半数を超えた。「どのような点で影響があったか」は、「主に良い影響があった」企業では「採用にかかる期間(61.3%)」が最も多く、「主に悪い影響があった」企業では「学生の量(54.2%)」が最も多かった。

<次年度(18年卒)の採用活動について>次年度も「厳しくなる」が半数超。採用数を「増やす」は18.4%

次年度(18年卒)の採用活動については、「非常に厳しくなる」と「厳しくなる」の合計が56.8%(対前年3.8pt減)で、「厳しかった17年卒よりさらに厳しくなる」という予想が半数を超えた。
次年度の採用数では、「増やす(大幅+多少)」(18.4%、対前年0.6pt増)が「減らす(大幅+多少)」(9.9%、対前年2.8pt増)を前年同様上回った。業界別でも軒並み「増やす」が「減らす」を上回り、特に建設(「増やす」24.8%>「減らす」9.5%)、小売(「増やす」25.0%>「減らす」10.3%)で「増やす」が「減らす」を大きく上回ったが、金融は「減らす」(12.9%)が「増やす」(6.2%)を上回っている。

<次年度(18年卒)重点を置くこと>インターンシップの受け入れに重点を置く企業が4割を超える

次年度重点を置く採用手法では前年同様最多が「学内セミナー」(52.7%、対前年2.3pt減)、次に多いのが「特定の学校への訪問」(42.7%、対前年0.9pt増)だったが、それらに続く「インターンシップの受け入れ」が大きく増加した(41.5%、対前年7.4pt増)。

<インターンシップ>「インターンシップを実施」は51.7%と半数を超える、11月、12月、1月の開催が大きく増加

この夏もしくは秋以降にインターンシップを実施・実施予定の企業は51.7%(対前年4.8pt増)と半数を超えた。インターンシップを行う企業の「行った、または行う可能性のある月」は前年同様最多が2月(55.3%、対前年3.9pt減)で、次に多いのが8月(47.6%、対前年3.1pt減)だが、大きく増加したのは11月(20.5%、対前年7.3pt増)、12月(30.3%、対前年8.9pt増)、1月(35.6%、対前年10.9pt増)だった。インターンシップのプログラム1回あたりの実施期間は「1日」が最も多いが(58.0%)、比較的長期の「1週間程度」は27.1%、「2週間程度」は14.4%の企業が実施している。「1週間程度」のインターンシップを実施している割合は、業界別では建設(37.6%)、金融(37.4%)、官公庁・公社・団体(36.4%)が比較的高い。

<グローバル人材の採用>グローバル人材を募集・採用する企業は16.4%。上場企業では36.2%

新卒・中途を問わずグローバル人材を「定期的に採用している」企業は13.3%で、「これから採用することが決定している」企業(3.1%)と合わせて16.4%が採用すると回答した。上場企業では36.2%がグローバル人材を採用する。グローバル人材を採用する企業に採用したい人材について聞いたところ、日本人交換留学生は59.6%、日本人正規留学生は55.2%、外国人留学生は68.8%だった。日本人のグローバル人材に求める言語能力は英語が最も多かったが(交換留学生55.4%、正規留学生54.3%)、中国語も2割~3割の企業が求めている(交換留学生28.5%、正規留学生24.7%)。
外国人留学生に精通していてほしい国では中国が58.3%と抜きん出て最も高い割合となり、ベトナム(35.2%)、タイ(31.7%)、アメリカ(30.4%)、韓国(29.1%)、インドネシア(28.7%)、台湾(28.3%)がそれぞれ3割前後となっている。上場企業ではタイ(39.3%)、ベトナム(38.3%)、インドネシア(34.6%)の割合が比較的高かった。製造業より非製造業の方が割合が高いのは中国(製造52.8%<非製造62.9%)、台湾(製造24.5%<非製造31.5%)、韓国(製造25.5%<非製造32.3%)などで、非製造業より製造業の方が割合が高いのはインドネシア(製造34.9%>非製造23.4%)、ドイツ(製造19.8%>非製造9.7%)、タイ(製造36.8%>非製造27.4%)などだった。

<今年度・次年度採用スケジュール>18年卒では会社説明会開始がさらに3月に集中、3月・4月の面接・内々定出し開始がやや増加

選考活動開始時期が6月となった今年度(17年卒)の採用スケジュールと、前年同様となる次年度(18年卒)の採用スケジュール予定について、エントリー受付開始月、会社説明会の開催開始月、面接開始月、内々定出し開始月を1つのグラフにまとめて比較した。

全体の今年度(17年卒)のスケジュールを振り返ると、3月にエントリー受付開始(78.1%)、会社説明会の開催開始(65.2%)が集中し、面接は4月(32.1%)をピークに3月(15.7%)から6月(20.5%)にかけて開始し、内々定出しは選考活動開始月の6月(36.2%)をピークに4月(20.4%)から6月にかけて開始していた。広報活動開始の3月1日から3、4ヶ月の短い期間にほとんどの企業が内々定出しまで採用活動を進めたことになる。

これを受けて次年度(18年卒)の予定では、エントリー受付開始が3月に集中する割合は変わらないが(78.0%、対前年0.1pt減)、会社説明会の開催開始はさらに3月に集中する状況となり(71.8%、対前年6.6pt増)、より会社説明会への動員が難しくなることが予想される。面接は3月開始(20.4%、対前年4.7pt増)・4月開始(35.3%、対前年3.2pt増)の割合がやや増加し、説明会参加者を少しでも早く面接に誘導しようという意図がうかがえる。内々定出し開始は6月(34.4%、対前年1.8pt減)が最多で変わりないが、3月開始(6.7%、対前年3.0pt増)・4月開始(20.4%、対前年4.1pt増)がやや増加し、今年早めに内々定出しを開始した企業の一部がさらに時期を早めようとしているようだ。

上場企業・非上場企業のそれぞれについて今年度(17年卒)と次年度(18年卒)の採用スケジュールを比較したが、ともに大きな変化はないようだ。面接開始は17年卒・18年卒とも4月が最多で、上場では3月開始(20.1%、対前年4.7pt増)、非上場では3月開始(20.5%、対前年4.7pt増)と4月開始(36.0%、対前年4.3pt増)がやや増加する。内々定出し開始は17年卒・18年卒とも6月が最多で、上場・非上場ともに3月・4月がやや増加し、上場では6月(45.0%、対前年3.7pt減)がやや減少する。

製造業・非製造業のそれぞれについて従業員数が1,000人未満か1,000人以上かで分けてスケジュールを比較したところ、会社説明会については従業員1,000人未満の企業で製造・非製造とも3月開始が増加する。面接や内々定出しの開始について3月・4月が増加する傾向はどの分類でも同様に見られた。

有効回答数内訳 上場 非上場 製造 非製造 総計
人数 488 2,084 870 1,702 2,572

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