内々定とは、主に新卒採用の場合に出される、内定よりも一段階前の採用予定通知のことである。経団連の指針により、新卒者の採用においては「正式な内定日は、卒業・修了年度の10月以降とする」とされており、10月よりも前に新卒者の採用が事実上決まっても、企業側は内定を正式に出すことができない。そのため、企業側は、採用を決めた学生の確保を目的として、「10月に内定を出す」という事前の予告を行っており、これが内々定と呼ばれている。

内定と内々定の大きな違いは、前者が一種の労働契約であるのに対し、後者が口約束に過ぎない点にある。内定は、法的には「始期付解約権留保付労働契約」とみなされており、これを取り消すことは「解雇」と同義になるため、企業側は、経営状態の著しい悪化や、内定者の健康状態の悪化など、やむを得ない事情がない限り、取り消しを行うことができない。

一方、内々定はあくまで内定の予告であり、労働契約とはみなされないため、企業側は法的なリスクなく取り消しを行うことができる。中途採用においては、新卒採用とは異なり、内定日に関する経団連の指針がないので、企業は選考の結果に応じていつでも内定を出すことが可能であり、内々定が出されることはない。