12月22日の労働組合法制定記念日に労働組合の役割と今後を考える-専修大学経済学部 兵頭淳史教授

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12月22日は「労働組合法制定記念日」。戦後日本の民主化を支えたこの法律は、労働者と使用者(雇用する側)が対等に交渉できる関係をつくることを目的として制定された。高度経済成長を経て、今や労働組合を取り巻く環境は大きく変化している。

労働組合の組織率の低下、非正規雇用の拡大、賃金の停滞が続く中で、近年はストライキの動きや最低賃金の引き上げなどを通じて、労働組合の存在意義が再び注目されつつある。戦後の出発点に立ち返りながら、労働組合はこれからどのような役割を果たすべきなのか。専修大学経済学部の兵頭淳史教授に伺った。

専修大学経済学部 教授 兵頭淳史氏

兵頭 淳史(専修大学経済学部 教授)
九州大学大学院法学研究科博士課程単位取得。法政大学大原社会問題研究所嘱託研究員、専修大学経済学部講師・准教授、東京大学日本経済国際共同研究センター客員講師、ハーバード大学ライシャワー日本研究所客員研究員などを経て、2011年から専修大学教授。専門は、労使関係論、労働史、社会政策論など。神奈川県の川崎エリアを中心に労働者支援・ワークルール教育などの活動を展開するNPO法人「ワーカーズネットかわさき」の代表を務める。共著書に『図説・労働の論点』(旬報社、2016年)、『労働組合をどうする』(本の泉社、2020年)『川崎の研究―産業・労働・くらしの諸相』(専修大学出版局、2024年)他

労働組合とは?意義や役割

質問:12月22日は「労働組合法制定記念日」です。労働組合とは、そもそもどのような存在なのでしょうか。基本的な意義や役割について教えてください

兵頭:労働者と使用者の関係というのは、資本主義経済の中では基本的に取引関係にあります。つまり、労働市場において労働者は労働力を提供する売り手、使用者はそれを購入する買い手という関係です。本来であれば、市場における売り手と買い手は対等な立場で自由に取引を行うはずなのですが、現実としてそうではありません。

実際には、使用者と労働者の間には対等でない要素が存在しています。労働者は労働力しか売るものがない一方で、使用者は生産手段を持つ立場にあります。また、技術革新や経済の変化の中では、労働力が常に過剰な状態になりやすい。政治経済学の言葉でいうと「相対的過剰人口」が生まれるということですね。つまり、資本主義の発展の過程では、どうしても労働者が相対的に弱い立場に置かれる仕組みが働いているのです。

さらに、実際の雇用関係の中では、使用者が労働者に対して指揮命令を行うという関係が存在します。そうした要素を踏まえると、労働市場における労働者と使用者の関係は、形式上は対等であっても、実際には力の不均衡があり、労働条件は一方的に切り下げられていく可能性があります。

この対等な関係を実質的に確保するために存在するのが、労働組合です。もちろん、労働基準法のような労働者を個別に保護する法制度もありますが、それだけではなく労働者が自らの力で、集団として交渉し、使用者との間で実質的な対等性を実現・維持していくための仕組み――それが労働組合の根本的な意義だと思います。要するに、労働組合とは、労働者が集まって、使用者と対等な立場で労働条件をめぐって交渉するための組織ということです。

そこから、もう一つ重要な機能として、労働者同士の相互扶助という側面もあります。共済事業などを通じてお互いに助け合う活動です。さらに、労働組合は、労働者の利害を代表する立場から、労働者保護のための法制度の制定や改正、政策の改善を求めるといった役割も担っています。

労働組合は「対立」ではなく「対等」のため

兵頭:労使関係論に「フリーマン・メドフ理論」というものがあります。これはごく簡単に言えば、労働者が労働条件に不満を持ったときに取る行動として、「会社を辞める(Exit)」か「発言する(Voice)」かの選択肢があり、労働条件を全体として改善し、企業の生産性を高めるうえでは「発言(Voice)」のほうが効果的であるという理論です。

つまり、企業が労働組合と交渉の回路を持って、労働者の発言によって労働条件を改善していく仕組みがあることは、離職を防ぎ、企業の生産性を高めることにもつながる。これは学問的にも古くから知られていました。

ただ、現実には経営者の方々の中には、そうした論理について頭で理解できても、なかなか実践できないという面もあるかもしれません。労働組合が結成されたとか、交渉を申し入れてきたというときに、どうしても「対立的なもの」として捉えてしまう傾向があります。しかし、長期的に見れば、そうした労使の対話は企業にとっても好ましいものなのだということは、やはり理解されるべきだと思います。

また、日本ではなかなか理解されにくいことですが、労使のコミュニケーションにはストライキのような争議行為も含まれるということも重要です。労使交渉の中では、話し合いで解決しない場合には、労働者側が持つ正当な権利として争議行為を行使する。それも含めて、労使のコミュニケーションが成り立っているということなんですね。そのことを社会全体で共通了解として持つことが、労働組合を機能させていくうえで非常に重要なことだと考えています。

戦後民主化の出発点として制定された労働組合法

インタビュー中の風景

質問:労働組合法について、どういう法律でなぜ制定されたのか、歴史的な背景を含めて教えていただけますか

兵頭:労働組合法が制定されたのは1945年のこと。労働組合法は、簡単にいうと労働者に「労働三権」と呼ばれる権利(団結権、団体交渉権、団体行動権)を保障する法律です。これにより、労働組合を結成したりストライキなどの団体行動をとったりする権利が法により守られたことになります。

これは、第二次世界大戦で日本が敗北した結果、占領下で進められた民主化改革の一環として生まれました。10月にGHQ(連合国軍総司令部)が「五大改革指令」を出し、その中に「労働組合の結成の奨励」が盛り込まれていました。これが、労働組合法制定の直接の契機と言えます。

戦前の日本にも労働組合は存在していましたが、戦時中にはすべて解散に追い込まれました。戦前の組織率も非常に低く、しかも労働組合の存在や活動を法的に認める枠組みはありませんでした。1920年代から30年代初めにかけて、労働組合法制定の動きが何度かありましたが、結局成立には至りませんでした。

そのため、労働組合は一応存在してはいたものの、非常に厳しい制約のもとに置かれていたのです。こうした「労働者の団結権や争議権が認められていない」という日本社会の非民主的な構造こそが、軍国主義や戦争を生み出した一因だとGHQは考えました。

こうした考え方を背景として、戦後の民主化改革のプロセスにおいては、労働組合法はきわめて早い段階で整備されました。1945年中にはすでに労働組合法が成立しており、これは日本国憲法よりも前のことです。このことは、日本の民主化には労働組合の存在が重要であると考えられていたことの表れだといえます。

労働組合の基本機能は「交渉」と「協約」

質問:労働組合の実際の動きやどういった取り組みをしているのかについてもお聞かせください

兵頭:労働組合の取り組みというのは、組合ごとにかなり違いがあります。ですから、あくまで一般論としてお話しすることになりますが、基本的にもっとも重要な活動は「団体交渉」です。

団体交渉というのは、交渉がまとまらなければストライキを行うという権利を背景に、使用者と交渉を進めていくものです。つまり、労働組合にとってもっとも基本的な機能の一つということになります。日本の場合は特に、団体交渉は年1回の春闘の時期に集中することが多く、中には数年に1回しか団体交渉をしないという組合もあります。

しかし、交渉をしない期間に何もしていないわけではありません。団体交渉ではなく「労使協議」という形で、経営や労働環境、働き方などをテーマに、労使がコミュニケーションを取ることがあります。これは「まとまらなければストライキだ」というような強い姿勢ではなく、もう少しマイルドなやり取りです。

日本では、このような労使協議を中心に活動している組合も数多くあります。ただし、基本的に労働組合の中心的機能はやはり団体交渉です。そして、交渉がまとまらなければ、ストライキなどの争議行為に踏み切ることになります。これも労働組合にとって非常に重要な役割です。

日本と海外の労働組合はどう違う?

【図1】労働争議による労働損失日数の国際比較(2020年)/労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2022」をもとにマイナビ作成
【図1】労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2022」をもとにマイナビ作成

兵頭:ここで、日本の労働組合のあり方を国際的に比べてみると、かなり特徴的な面が見えてきます。労働争議による労働損失日数(ストライキに参加した人数×日数)を比較すると、アメリカやフランス、韓国などは非常に多く、イギリスやドイツも数十万日単位で発生していますが、日本はこの20~30年ほどほとんど変化がなく、グラフに表れないほど少ない。つまり、日本ではストライキがほとんど発生しない国となっています。

一方で、世界的には交渉がまとまらなければストライキを打つのはごく普通の行動で、それも無期限で行うのが基本。合意に至るまで何週間も続けることも珍しくありません。日本のように「朝1時間だけ」といった短時間のストライキは、ドイツなどでは「警告スト」といって、法的にはストとして扱われないほどです。

このように、労働組合の争議行為という面から見ると日本は世界的に見て異例な状態ですが、「労働協約」という面から見ても日本は特徴的です。団体交渉の結果は、集団的な労働契約である労働協約として締結されます。この協約の締結によって、交渉は完結するわけです。言い換えれば、団体交渉は労働協約を結ぶためのプロセスであり、協約の存在こそが労働組合のもう一つの基本的な機能といえます。

【図2】労働組合組織率の国際比較(2015年)/労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2022」をもとにマイナビ作成
【図2】労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2022」をもとにマイナビ作成

労働組合の組織率の国際比較について触れますと、日本は組織率だけで見ると特別低いわけではありません。先進国の多くで組織率は下がっており、これは共通の傾向です。

【図3】労働協約適用率の国国際比較(2014-15年)/OECDデータをもとにマイナビ作成
【図3】OECDデータをもとにマイナビ作成

ただし、「労働協約の適用率」で見ると、日本はかなり低いグループに入ります。フランスやイタリア、ドイツなどでは、産業別の労働組合と使用者団体が交渉をし、産業全体で協約を締結します。そのため、組合員以外の労働者にも協約内容が拡張適用され、結果として適用率が80%、90%といった高い水準になるのです。

一方、日本では企業単位で労使が交渉をするため、協約の適用範囲はその企業の組合員に限られます。この構造上の違いが、日本の適用率の低さにつながっています。アメリカや韓国も同様で、企業ごとに交渉をする仕組みのため、協約の適用率は低い水準にとどまっています。

とはいえ、アメリカや韓国ではストライキが非常に多く行われている。つまり、交渉の単位が企業か産業かという違いがあっても、労働組合がどれほど活発に活動しているかということとは必ずしも比例しない、ということが言えるでしょう。

いずれにしても、労働組合の基本的な機能は、交渉をして協約を結ぶこと。そして、交渉がまとまらなければ争議を行うことです。日本では春闘期に交渉が集中する傾向がありますが、春や秋に複数回行う組合もあります。

組織率だけでは見えない日本の労働組合の実態

質問:労働組合の組織率の低下が課題となっています。このことからどのようなことがいえるか、見解を教えてください

兵頭:「若者の組合離れ」とはよく言われるものの、世代間で大きな差はないと思われます。組織率の低下そのものはこの40年ほどずっと続いている傾向だからです。

現在、労働組合が組織されているのは主に大企業や公共部門といったセクターに集中しており、逆に中小企業では極めて低く、非正規雇用の組織率も低くなっています。たとえば組合のある大企業に入社した若年労働者が組合に入らないということは、あまりありません。多くの場合は自動的に組合に加入する仕組みになっているからです。

これは「ユニオンショップ制」と呼ばれるもので、入社したら必ず組合員になる、組合員であることが雇用関係の前提になっているという仕組みです。実際には多くの人がそれを特に意識していないと思いますが、入社すれば自動的に組合に入るというケースは多い。そういうことから、とくに大企業では、若い人が組合を避けて入らないということはあまりありません。

むしろ、早い段階で管理職になる人が増えており、課長や、会社によっては係長といった職位に就いても、労使の取り決めによって組合員資格を失うというケースが多いのです。したがって、年齢別に見ると、むしろ若い層のほうが組合員比率は高いといえるかもしれません。

ただ、非正規雇用が増加していることは、組織率低下の大きな要因になっています。非正規労働者の組織化は非常に少ないため、若年層の非正規率が上がれば、その分、全体の組織率が下がるということは当然あり得ます。ただ、非正規化は特定の世代だけでなく、すでに全世代的に進んでいる傾向です。

また、注目するべきなのはジェンダーの側面です。女性の非正規率は依然として高く、これは現在でも変わっていません。非正規雇用といっても、アルバイトやパート、派遣などさまざまな形がありますが、その中で比較的組織化が進んでいるのは流通業や外食産業などの分野です。こういった業界では、主力が非正規雇用の女性労働者であり、そうした職場では女性を中心に組織化が進んでいます。

ですから、非正規の中ではむしろ女性のほうが組織化が進んでいるといえます。そう考えると、若年層と中高年層で大きな違いがあるとは思えません。ただ、関心の持ち方や組合活動への参加の度合いについては、世代によって少しずつ差が出てきているかもしれません。じわじわとですが、そうした意識の違いは見えてきているように思います。

労働組合の意義を示した近年の取り組み

質問:日本各地の労働組合の活動の中で、近年で成果のあった取り組み事例があれば教えてください

大手百貨店のストライキ

兵頭:印象的だった事例として、まず挙げられるのが2年前に大手百貨店で行われたストライキです。このストライキは、賃上げなどの通常の労働条件をめぐる争議ではなく、投資ファンドへの企業売却の是非をめぐって行われたものでした。結果的に売却そのものを止めることはできませんでしたが、労働組合がストライキという形で意思を示したことによって、雇用確保の目的はある程度達成されました。

背景には、グローバル経済の中で企業買収が進み、「買収後に人員削減や資産の切り売りが進むのではないか」という不安があったわけです。そうした中で、労働組合が声を上げ、雇用を守る取り組みを行ったことは、労働組合の存在意義をあらためて社会に示した例といえるでしょう。

カスタマーハラスメント(カスハラ)への対応

兵頭:もう一つ、注目すべき動きとしてカスタマーハラスメント(顧客によるハラスメント)への対応があります。この問題は、朝日新聞記者の藤崎麻里氏が書かれた『なぜ今、労働組合なのか 働く場所を整えるために必要なこと』(朝日新書)でも指摘されていますが、労働組合が中心となってこのカスタマーハラスメントの問題を社会的な課題として提起し、企業や行政に対応を促したことが大きな成果でした。

従来、「お客様は神様」という意識のもとで、従業員が理不尽な要求や暴言に耐えることが当然とされてきました。しかし、労働組合が「顧客による不当な言動も、労働者の権利を侵害する問題である」と訴え、企業側にもその防止義務を意識させたことで、今では「カスタマーハラスメント防止」という考え方が定着しつつあります。これは、労使双方が協力して職場環境を改善する取り組みの好例だと思います。

最低賃金の引き上げ

兵頭:また、もう少し広い視点から見れば、最低賃金の引き上げに対する労働組合の継続的な働きかけも成果の一つといえるでしょう。日本の最低賃金は長らく国際的に見て低水準にとどまってきましたが、近年ようやく全国平均で1,000円を超えるまでに引き上げられました。

最低賃金制度そのものの制定段階から、そして引き上げの議論においても、労働組合は早い時期から積極的に関わってきました。1980年代以降はそうした動きが一時的に鈍った時期もありましたが、21世紀に入って再び最低賃金のあり方が注目されるようになり、労働組合の地域組織の中にはこの問題に粘り強く取り組む動きが再び現れます。そうした地道な活動が、現在の政府による最低賃金引き上げ政策にも少なからず影響を与えてきたという面は無視できません。

非正規公務員の雇用安定

兵頭:さらに、私の研究室の院生が取り組んでいるテーマでもあるのですが、最近大きな注目を集めている非正規公務員問題にも労働組合は積極的な取り組みを行っています。近年、公務員の世界では「会計年度任用職員」という新しい制度が導入されました。もともと、非正規雇用の公務員というのは本来あってはならないものとされてきましたが、実際には多くの自治体で非正規の職員が存在しており、そうした曖昧さや矛盾を整理するために、国が法的に位置づけたのがこの制度です。

ただし、「会計年度任用職員」はその名の通り、1年ごとに任用が更新される仕組みになっており、結果として、これまで法的に曖昧な立場ながら継続的に雇用されてきた非正規公務員の方々が、かえって不安定な立場に置かれるという状況も生まれました。

こうした中で、自治体の労働組合の中には、非正規公務員の組織化を積極的に進めたり、この制度導入に伴って生じたさまざまな課題の解決に向けて交渉をしたりする動きが見られました。その結果、非正規公務員の雇用の安定化を実現した自治体労働組合もあります。このような取り組みも、近年の労働組合の活動の中で非常に重要なものの一つだと考えています。

労働組合を再評価する動きが広がる

インタビュー中の風景

質問:労働組合の今後についてお伺いします。これからどうなっていくと予想されますか。また、どうしていくべきかお考えをお聞かせください

兵頭:もちろん、組織率は高いほうが望ましいと思いますし、もっと積極的に労働者の権利を主張して、より活発な活動を行うべきだとは思いますが、現実にはなかなか難しい面もあります。

ただ、最近感じるのは、ストライキなどの労働争議をめぐる社会的な雰囲気が、かつてとは少し変わってきたのではないかということです。たとえば、以前に大きく報道された大手百貨店でのストライキなどを見ても、1990年代ごろに比べると、世論の受け止め方がずいぶん違ってきている印象があります。

1990年代は、労働組合やストライキなどの争議行為に対する世間の見方は非常に厳しい時代でした。90年代にもたとえば航空業界などで時折ストライキが行われることがありましたが、「激しいグローバル競争の中で労働組合は何をバカなことをやっているのか」というような批判的な論調が普通でした。

それに比べると、現在はストライキをめぐる世論の風向きが明らかに変わってきています。動画投稿サイトやSNS上の言説を見てもそうですし、新聞報道などでも、「それは労働者の大切な権利だ」という理解が広がっているように感じます

「ブラック企業」という言葉が社会的に浸透したことが示すように、労働者の立場や権利があまりに弱くなりすぎたことが、経済全体の停滞の一因になっているのではないか、という見方がかなり一般的になってきました。そうした中で、労働者による集団的な行動への理解が以前より深まってきているように思います。

動画投稿サイトの「日本経済の不況の原因は何か」「復活の鍵は何か」といったテーマのものを見ていると、その多くで労働組合に関する話題が登場します。賃金が上がらず、実質的には長期的に下がり続けているという現状を、生産性の問題だけでは説明できない。そこには労使関係のあり方、そして労働組合の機能の問題があるのではないかという議論が増えています。

これまで労働組合には比較的関心の薄かった研究者やエコノミストの中にも、そうした視点を持つ人が現れてきているわけで、そこには大きな変化が感じられます。このような動きをうまく捉えながら、労働組合の必要性や、労使が対等な立場で交渉し労働条件を引き上げていくことの重要性を、企業や産業の中で働く人たちや、すでに組織されている組合に対してもきちんと発信していくことが、今後の組織率や活動の活性化につながるのではないかと思います。

ただ、その一方で、労働組合が社会的にあまり好意的に見られなくなってきた要因として、非正規雇用の拡大についても触れないわけにはいきません。非正規雇用の労働者の多くが組織されないままで置かれてきた結果、「労働組合は正社員だけのもので、恵まれない人たちに無関心ではないか」といった見方をされるようになったことは否めません。それが、社会の中で労働組合に対する目を厳しくし、結果として組合の活力低下にもつながっていったと思います。

しかし近年では、産業別・地域別の組織を中心に、「非正規雇用の労働者を組織していかなければならない」「仲間としてともに活動していくべきだ」という考え方が強まってきています。まだ取り組みとして十分とは言えませんが、そうした動きを進めていくことが、労働組合に対する社会的な信頼や期待を高め、労働組合の力を全体として強めることにもつながるのではないでしょうか。

矢部栞
担当者
キャリアリサーチLab編集部
SHIORI YABE

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