マイナビ キャリアリサーチLab

2026年卒夏インターンシップ前の学生を振り返る~キャリア形成活動の第一歩を踏み出した学生の心情と期待~

服部幸佑
著者
キャリアリサーチLab研究員
KOUSUKE HATTORI

はじめに

大学3年生の4~6月はキャリア形成活動を開始したばかり、もしくはまだ開始していない学生がほとんどだろう。これからの活動の中で自身のキャリアパスを探求し、将来に向けて一歩を踏み出す大事な時期といえる。

インターンシップ・仕事体験などのキャリア形成活動でよりリアルに近い形で仕事を体験し、自分に合ったファーストキャリアをイメージし選ぶ手段として非常に注目されている。実際、2026卒の学生は例年と比べても3年生になる前から何かしらの形でキャリア形成活動に参加している割合が高くなっており、それだけ自身のキャリアに対して非常に関心が高いといえる。【図1】

【図1】3年生より前にキャリア形成活動に参加経験のある学生の割合
引用元: 22~26年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(6月)
※26年卒は4月調査のデータを引用

そんな中で学生はどんなことを思って活動 自身のキャリアと向き合い始めるのだろうか。昨今、早期離職 が話題になっているが、そうした問題を解決する上でも、学生が低学年時から自身のキャリアを考え、自身の適性を見つけるための活動は非常に有益だと考えている。

今回のコラムでは、4月~6月で実施した2026年卒インターンシップ・就職活動準備実態調査 の結果をもとにキャリア形成活動初期段階での学生の心情に着目してみた。

どんな目的でインターンシップ・仕事体験に参加するのか

2026年卒の学生はどのような目的をもってインターンシップ・仕事体験に参加するのだろうか。2026年卒の6月に実施した調査によると、学生がインターンシップ・仕事体験に参加する目的としてもっとも多かったのは「どの業界を志望するか明確にするため」が64.1%、次いで「どの職種を志望するか明確にするため」61.1%などがある。【図2】

【図2】インターンシップ・仕事体験に参加する目的(上位5項目抜粋)
引用元: 2026年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(6月)

キャリア形成活動を開始したばかりでどの仕事が自分に合っているのかを知るために、はじめはどんな仕事があるのかを探すために参加し、学業だけでは得られない経験を積むことで自身の適性や興味を具体的にしたいと考えている学生が多いことがわかる。

どんなインターンシップ・仕事体験のプログラムに参加したいと思うか

学生が参加したいと思うインターンシップ・仕事体験のプログラム内容でもっとも多かったのは「現場の社員に交じって業務を体験する実際の現場での仕事体験」となっており68.7%であった。【図3】

【図3】参加したいと思うインターンシップ・仕事体験のプログラム内容(上位5項目抜粋)
引用元: 2026年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(6月)

また、プログラムの日数で人気のものでは6月段階だと2~3日のものがもっとも人気であった。次いで人気なのが半日~1日であり、初期段階では短期間のものが人気であるといえる。長期間(5日以上)のプログラムもあるが、まずは短期のプログラムから参加してキャリア形成活動の初期段階ではより広く知見を広げたい と考える学生が多いことが予想できる。【図4】

【図4】インターンシップ・仕事体験や、オープン・カンパニー、キャリア教育について、どのような方針で活動するか(関連項目抜粋)
引用元: 2026年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(6月)

インターンシップに関して不安に思うこと

応募時に不安に思うことを聞いたところ、「スケジュールの調整ができるかどうか」がもっとも多く、58.4%となった。学業のスケジュールが非常にタイトな学生も存在し、これに加えてインターンシップをこなすことに不安を覚える学生が多いことがうかがえる。【図5】

【図5】インターンシップ・仕事体験応募時に感じる不安で当てはまるもの(上位5項目抜粋)
引用元: 2026年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(6月)

また、学生は学業以外にも部活動やサークル、アルバイトといった活動も多くあり 、インターンシップ・仕事体験に参加することでプライベートの活動に割く時間が減ることを懸念する学生が多いことも想像できる。

こうしたスケジュール調整への不安に対しては、企業側がとれる対応として、学生の所在地が開催地から遠方で参加が難しい学生に対してはWEB形式などでの開催を行うといった開催形式を柔軟に選べるようにする ことで学生のスケジュール調整の不安を払拭できるのではないだろうか。

インターンシップ・仕事体験への参加時 に期待していること

学生自身の成長に着目してみると、インターンシップ・仕事体験の参加により伸ばしたい社会人基礎力を聞いたところ、もっとも回答が多かったのは「主体性:物事に進んで取り組む力」で58.5%となり、次いで「課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力」 で38.7%となった。【図6】

【図6】インターンシップ・仕事体験の参加により伸ばしたい社会人基礎力(上位5項目抜粋)
引用元: 2026年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(5月)

学校教育でも主体性やロジカルシンキングなどを育む教育カリキュラムが進められているが、こちらの回答結果から読み取れるのは学生が自身の主体性や物事の本質をとらえ、何が課題なのかを考え解決する力に懸念をもっており、インターンシップ・仕事体験を通じてその主体性を身に着けたいと考えていることが推測できる。

さいごに

今回は、4~6月にかけての調査結果をもとに2026年卒の学生がどんな期待をもってキャリア形成活動に取り組んでいるのかをまとめた 。最初でも少し触れたが、2026年卒の学生は3年生になる前にキャリア形成活動に参加したことのある学生の割合が高く、自信のキャリアに対して関心が例年よりも高いことが特徴といえるだろう。

インターンシップ等のプログラムを通して、さまざまな職種の経験を得ることができ、その経験をもとに学生自身が早い段階で将来の仕事を考えるヒントを得ることは、より大きなメリットとなるだろう。

大学3年生の4~6月にキャリア形成活動を開始する学生がほとんどだが、これからの活動の中で自身のキャリアパスを探求し、将来に向けた一歩を踏み出す大事な時期といえる。学業との両立はもちろん大切だが 、インターンシップ・仕事体験を通して職業理解だけでなく職場でのコミュニケーションや社会人としてのプロフェッショナルを体験してほしいと考える。

また、インターンシップで得られる経験は必ずしも社会人になってからではなく、学生生活でも役に立つことがたくさんあるため、積極的な参加を期待したい。また、インターンシップ・仕事体験を実施する企業は学生が抱える不安や、知識と経験を踏まえ、できる限り同じ目線に立ってコミュニケーションをとることで、インターンシップ・仕事体験がより良い企業と学生の出会いの場となるのではないだろうか。

マイナビキャリアリサーチラボ 研究員 服部 幸佑

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