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リスキリングとは?言葉の意味やリカレント教育などとの違い、調査・コラムの紹介!

キャリアリサーチLab編集部
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リスキリングとは?

リスキリングの定義

リスキリングとは、「学びなおし」を指す言葉である。DX化やAIの発達など、変化の多い現代において、必要なスキルや知識を学習することを意味する。人生100年時代といわれ、定年延長など長く働くことが求められるなかで、近年では日本政府も推進している考え方である。

経済産業省では、「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を立ち上げてリスキリング支援に力を入れており、企業にとっても個人にとっても重要であるとされる。

リカレント教育との違い

リスキリングとあわせて語られることの多い「リカレント教育」は、学びなおしという意味では同様である。しかし、「リカレント」には「循環する」という意味があるように、自身が必要なタイミングで教育を受け、その後仕事に戻るというプロセスを繰り返すことを指す。

リスキリングは仕事と並行しながらスキルや知識を学んでいくのに対し、リカレント教育は休職などで一度仕事から離れ、学びに集中するというのが大きな違いである。

また、リカレント教育は大学などの教育機関で学びなおすことが多いため、個人の学びという側面が強いが、リスキリングは仕事と並行して行うため、企業が介入して学びを促す場合も多い。

アンラーニングとの違い

アンラーニング(アンラーン)」とは、「学習棄却」ともいわれるように、すでに持っている知識や思考、習慣などを見つめなおし、必要があれば手放すことで凝り固まった思考や習慣をリセットする学習法である。

そうすることで、新しい考え方を柔軟に取り入れやすくすることができる。変化の多い時代に必要な取り組みであることはリスキリングと同様であるが、アンラーニングは「捨てる」、もしくは「一旦封印する」ことを起点に新たな学びをするため、ここにリスキリングとの違いがある。

越境学習との違い

「越境学習」とは、所属する組織の垣根を越えて学ぶことで、スキルアップや自身のキャリアの見直しなどが期待できるものである。また、越境学習によって組織外で得たアイデアや価値観を組織内に持ち込むこともできる。

越境学習とリスキリングはセットで考えられることが多く、それぞれ別々のものではなく、越境先でもリスキリングが重要となる。

リスキリングが注目されている理由

DX人材の不足、働き方の変化

政府の推進などで注目が高まっているリスキリングであるが、なぜ必要なのか。その背景には、近年急速に進むDX化がある。DX人材が不足しているなかで、限られた人員で変化に対応していくため、また新たなビジネスモデルを創出していくために、経営層や管理職、一般社員それぞれが新しいスキルを獲得していく必要があるのだ。

また、新型コロナウイルス感染症の流行により、テレワークなどの働き方が一般的となり、それまでとは働き方が変化したことも理由に挙げられる。

ただし、リスキリングはDX化への対応のみを指すわけではない。キャリアを見直し、自身の状況と取らし合わせることが重要である。

政府による支援

経済産業省は、企業に対して「人的資本経営」を求めている。これは、変化の多い時代において、企業が持続的に企業価値を向上していくために、人材を資本として捉える考え方である。

2020年9月に発表された「人材版伊藤レポート2.0」では、「リスキル・学びなおしのための取組」という項目でリスキリングの重要性が説かれている。

また、岸田政権ではリスキリング事業に対して補助金を出すなどの支援を行っており、こうした流れもリスキリングが注目される一因となっている。

リスキリングを導入するメリット

企業がリスキリングを導入するメリットは、人材不足の解消や業務効率化、従業員のエンゲージメント向上などが挙げられる。

まず、これから不足するDX人材を社内の従業員がリスキリングすることでまかなうことができれば、人材不足を解消できるだけでなく、採用コストの削減も期待できる。既存社員のリスキリングにより、リソースはそのままに新たなビジネスを創出できたり、既存の業務を効率化できたりといったメリットもある。

また、企業が従業員の学びを後押しすることで、従業員のエンゲージメント向上にもつながる。会社への帰属意識が上がることで、定着率が上がるなどの副次的な効果も期待できる。

リスキリングに関する調査を紹介

マイナビキャリアリサーチLabでは、各調査のなかでリスキリングにまつわる質問をしている。ここでは、その調査結果を紹介する。

企業の雇用施策に関するレポート(2023年版)

  • 調査対象:全国の民間企業
  • 内容:賃上げ・教育訓練(リスキリング)費の増減予定/リスキリングの実施、リスキリング内容

ミドルシニア・シニア層のアルバイト調査(2023年)

  • 調査対象:40~70代男女
  • 内容:リスキリング(学びなおし)について

転職活動における行動特性調査 2023年版

  • 調査対象:正社員の20代~50代男女
  • 内容:転職活動においてこだわった点/働きやすさの要素と働きがいの要素/企業の施策に対する印象と転職選択軸への影響

リスキリングに関するコラムを紹介

マイナビキャリアリサーチLabでは、リスキリングに関するコラムも掲載している。

企業がこれからのシニアに求める能力と、ミドルシニアのリスキリング意向

人生100年時代においては、定年退職後にいかに働くかは個人にとって重要であり、また人口減少社会でシニアにいかに働いてもらうかは企業にとっても重要な課題である。採用業務の企業担当者を対象としたマイナビの非正規雇用の外国人・シニア採用に関する企業調査(2022年)では65歳以上のシニアの今後採用意向は伸び、6割を超えている………

リスキリングにおける企業と個人の意識の差

マイナビが実施した最新の調査「企業の雇用施策に関するレポート(2023年版)」「転職動向調査2023年版(2022年実績)」をみると、企業と個人ではリスキリングが必要だと考えている職種や、その職種に必要とされる能力が異なっていた。この差から生まれる問題や問題解決案について考察していきたい。………

リスキリングしている人・していない人の年収差は本当にあるのか

AI 等の技術革新が世界的に速いスピードで進み、産業構造が変化し続けていることを背景に、昨今リスキリングの重要性が高まっている。政府は「人への投資」のため、リスキリングを進める個人や企業へ補助を行っており、今後も拡充が予想される。しかし労力をかけてリスキリングを行うメリットはあるのか検討している人も………

最低賃金改定後の全国平均時給1,004円は、アルバイト就業者の満足感につながるのか?

2023年10月に行われる地域別最低賃金額改定は、全国過重平均1,004円と決まった。最低賃金改定により、待遇改善を図ることは、労働者の生活安定や労働の質向上に影響するため、定期的な引き上げが求められている。2022年の改定では、2021年から31円引き上げられ、全国平均961円と過去最大の上げ幅となったが、………

企業事例のインタビュー記事

大切なのは最終学歴ではなく“最終学習歴”の更新【株式会社ナンゴー】

厚生労働省は、従業員の自律的なキャリア形成支援について模範的な取り組みを行っている企業等を表彰する「グッドキャリア企業アワード」を実施しています。今回は、グッドキャリア企業アワード2022で大賞を受賞した京都府宇治市のはん用機械器具メーカー・株式会社ナンゴーを訪問し、取り組みの理念、具体的な取り組み内容、効果についてお話を………

メリットや目的を意識した取り組みを

「リスキリング」という言葉の意味から、注目されている理由やメリットなどとともに、調査結果やコラムを紹介した。変化の多い時代にスキルや知識のアップデートが必要といわれても、なにから始めればいいのかわからないという企業担当者やビジネスパーソンも多いだろう。リスキリングのメリットや目的を意識しながら、少しずつ取り組み始めてほしい。

今後も注目されるであろうリスキリングについて、マイナビキャリアリサーチLabでは引き続き調査や研究を行っていく。

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