インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか

石田 力
著者
キャリアリサーチLab研究員
CHIKARA ISHIDA

はじめに

インターンシップ等のキャリア形成プログラムについて

2022年4月の「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」により、それまで主にインターンシップと呼ばれて実施されてきたプログラムは、次の4つの類型に整理された。

  • タイプ1 オープン・カンパニー
  • タイプ2 キャリア教育
  • タイプ3 汎用型能力・専門活用型インターンシップ
  • タイプ4 高度専門型インターンシップ

これにより「インターンシップ」と呼ぶことができるのはタイプ3とタイプ4に該当するものに限られることとなり、「5日間以上」で「就業体験を含む」ことが必須となった。

このタイプ3およびタイプ4に該当するものについて本稿では「インターンシップ(5日間以上)」とする。また、「5日間以上」の条件を満たさないため「就業体験を含む」にもかかわらず「インターンシップ」と呼ぶことができなくなったプログラムについて、本稿では「仕事体験」とし、「就業体験ができる短期間プログラム」と定義する。

一方、タイプ1「オープン・カンパニー」については「個社や業界に関する情報提供・PR」とされ、「就業体験は含まない」とされた。この「オープン・カンパニー」などのキャリア形成プログラムについて、本稿では「オープン・カンパニー&キャリア教育等」とする。そして、これら3つのプログラムを総称して「インターンシップ等のキャリア形成プログラム」とする。

インターンシップ等への参加経験がその後の就職活動に与える影響

2027年卒におけるインターンシップ等のキャリア形成プログラムの参加状況

2027年卒大学生広報活動開始前の活動調査(以下、広報活動開始前調査)によると、2027年卒の学生の「インターンシップ等のキャリア形成プログラム」への参加率は85.6%で、ほとんどの学生が参加したことがあるという状況だった。

参加したプログラムの種類は「インターンシップ(5日間以上)」が32.6%、「仕事体験」が60.5%、「オープン・カンパニー&キャリア教育等」が65.6%で、「オープン・カンパニー&キャリア教育等」の参加率がもっとも高かった。【図1】

これまでに参加したインターンシップ等のキャリア形成プログラム/マイナビ2027年卒大学生広報活動開始前の活動調査
【図1】これまでに参加したインターンシップ等のキャリア形成プログラム/マイナビ2027年卒大学生広報活動開始前の活動調査

参加したことが内々定率にどう影響したか

「インターンシップ等のキャリア形成プログラム」への参加はその後の内々定の獲得に影響したのだろうか。そこで、「広報活動開始前調査」と「2027年卒大学生キャリア意向調査5月<就職活動・進路決定>」(以下、キャリア意向調査5月)の両方の調査に回答した423名の学生について、5月末時点の内々定率を算出した。なお、5月末時点の全体の内々定率は76.4%である。【図2】【図3】

ここでの分析対象/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか
【図2】ここでの分析対象/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか
2月までに参加したインターンシップ等ごとに集計した27年卒5月内々定率/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか
【図3】2月までに参加したインターンシップ等ごとに集計した27年卒5月末内々定率/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか

「インターンシップ(5日間以上)」参加経験のある学生の5月末時点の内々定率は89.3%で、全体の内々定率76.4%に比べ、その差は+12.9ptと明らかに高かった。

「仕事体験」に参加経験のある学生の内々定率は87.4%(全体との差+11.0pt)、「オープン・カンパニー&キャリア教育等」に参加経験のある学生の内々定率は84.7%(全体との差+8.3pt)で、それぞれ全体よりも高い割合となった。一方、「これらの活動には参加していない」学生の内々定率は46.6%(全体との差-29.8pt)と明らかに低かった。

参加したことが内々定を得たのちの活動にどう影響したか

次に、内々定を得ている学生の今後の活動について、活動を終了する割合を見てみよう。なお、5月末時点で内々定を獲得している学生全体の活動を終了する割合は64.9%である。【図4】

2月までに参加したインターンシップ等ごとに集計した27年卒5月末内々定を得たのち活動を終了する割合/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか
【図4】2月までに参加したインターンシップ等ごとに集計した27年卒5月末内々定を得たのち活動を終了する割合/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか

「インターンシップ(5日間以上)」参加経験のある内々定保有者の5月末時点の活動を終了する割合は67.1%だった。「仕事体験」参加経験者は64.8%、「オープン・カンパニー&キャリア教育等」参加経験者は59.3%だった。「インターンシップ(5日間以上)」参加経験者と「オープン・カンパニー&キャリア教育等」参加経験者で比較すると、「インターンシップ(5日間以上)」の方が7.8pt高かった。

「インターンシップ(5日間以上)」や「仕事体験」など、就業体験のあるプログラムの参加経験者と、就業体験のない「オープン・カンパニー&キャリア教育等」参加経験者で比較すると、就業体験のあるプログラムの参加経験者のほうが内々定率も内々定を得たのち活動を終了する割合も高いという結果となった。

内々定先のインターンシップ等への参加が就職活動に与える影響

内々定先のインターンシップ等のキャリア形成プログラムの参加状況

続いて、「キャリア意向調査5月」において5月末時点で内々定を得ている学生に着目し、彼らが「現在入社意思のもっとも高い企業のインターンシップ等のキャリア形成プログラム」に参加していたか、参加していなかったか、およびどの種類のプログラムに参加していたかが、就職活動に与える影響について見ていく。【図5】

ここからの分析対象/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか
【図5】ここからの分析対象/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか

5月末時点で内々定を得ている学生が「現在入社意思のもっとも高い企業のインターンシップ等のキャリア形成プログラム」に参加していた割合は61.4%だった。

そのうち「インターンシップ(5日間以上)」に参加していた割合は25.0%、「仕事体験」に参加していた割合は44.5%、「オープン・カンパニー&キャリア教育等」に参加していた割合は57.3%だった。「オープン・カンパニー&キャリア教育等」に参加していた割合がもっとも高いという結果になっている。【図6】

現在入社意思の最も高い企業の参加したインターンシップ等のキャリア形成プログラムの種類/マイナビ2027年卒大学生キャリア意向調査5月<就職活動・進路決定>
【図6】現在入社意思の最も高い企業の参加したインターンシップ等のキャリア形成プログラムの種類/マイナビ2027年卒大学生キャリア意向調査5月<就職活動・進路決定>

参加したことが内々定を得た時期にどう影響したか

現在入社意思のもっとも高い企業の「インターンシップ(5日間以上)」「仕事体験」「オープン・カンパニー&キャリア教育等」のそれぞれに参加していた学生と、いずれにも参加していなかった学生(「不参加」)について、それぞれいつまでに何%の学生がその内々定先から内々定を獲得していたかをグラフ化したのが下図である。【図7】

現在入社意思の最も高い企業の参加したインターンシップ等の種類別いつまでに内々定を得たか/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか
【図7】現在入社意思の最も高い企業の参加したインターンシップ等の種類別いつまでに内々定を得たか/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか

もっとも早い時期にその内々定先から内々定を得ていたのは「インターンシップ(5日間以上)」に参加していた学生で、2月までにその内々定先から内々定を得ていた割合が6割を超えている。

次に早いのが「仕事体験」に参加していた学生で、その次が「オープン・カンパニー&キャリア教育等」に参加していた学生となった。「不参加」の学生は4月までの時点でも58.4%で、他の学生に比べてその内々定先から内々定を得た時期が遅かったことが明確に示された。

参加したことが内々定後の活動継続にどう影響したか

現在入社意思のもっとも高い企業の、どのインターンシップ等のキャリア形成プログラムに参加していたかが、内々定後の活動継続状況に与える影響について分析したのが下図である。【図8】

現在入社意思の最も高い企業の参加したインターンシップ等の種類別内々定を得たのち活動を終了する割合/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか
【図8】現在入社意思の最も高い企業の参加したインターンシップ等の種類別内々定を得たのち活動を終了する割合/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか

もっとも活動を終了する割合が高いのは「インターンシップ(5日間以上)」に参加していた学生の76.9%で、「仕事体験」に参加していた学生(74.7%)とともに、7割を超える学生が活動を終了していた。「オープン・カンパニー&キャリア教育等」に参加していた学生の活動終了割合は65.3%でやや差があった。

「不参加」の学生は56.9%でもっとも低い割合となった。「インターンシップ(5日間以上)」や「仕事体験」など、就業体験のあるプログラムに参加していた学生の方が、その企業に入社を決定し、活動を終了する割合が高いと考えられる。

参加したことが内々定後の不安にどう影響したか

5月末時点で「就職活動に対して不安がある」学生は全体で43.1%だったが、内々定を保有している学生に限ると30.5%だった。内々定後の不安の内容では「現在の内々定先企業に入社してよいのか」が51.8%ともっとも高い。この「内々定後の不安」に対して、現在入社意思のもっとも高い企業のどのインターンシップ等のキャリア形成プログラムに参加していたかが与える影響を見てみよう。【図9】

現在入社意思の最も高い企業の参加したインターンシップ等の種類別現時点で就職活動に不安がある割合/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか
【図9】現在入社意思の最も高い企業の参加したインターンシップ等の種類別現時点で就職活動に不安がある割合/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか

もっとも「内々定後の不安」がある割合が高かったのは「オープン・カンパニー&キャリア教育等」に参加していた学生で34.7%だった。この割合はインターンシップ等のキャリア形成プログラムに「不参加」だった学生の33.4%よりやや高い。

一方、「インターンシップ(5日間以上)」に参加していた学生では20.0%で、「オープン・カンパニー&キャリア教育等」に参加していた学生との差は14.7ptだった。「仕事体験」に参加していた学生は26.6%だった。これにより内々定先の「インターンシップ(5日間以上)」に参加することが「内々定後の不安」の割合を低くする効果があったと考えられる。

参加したことが内々定先の志望度にどう影響したか

最後に現在入社意思のもっとも高い企業のどのインターンシップ等のキャリア形成プログラムに参加したことが、内々定先の志望度にどう影響したのかを見ていこう。【図10】

現在入社意思の最も高い企業の参加したインターンシップ等の種類別その参加で入社予定先企業に対する志望度が特に高まった割合/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか
【図10】現在入社意思の最も高い企業の参加したインターンシップ等の種類別その参加で入社予定先企業に対する志望度が特に高まった割合/キャリアリサーチLab・インターンシップ等のキャリア形成プログラムへの参加は就職活動にどんな影響をもたらすのか

入社予定先企業に対する志望度が特に高まったのはどのタイミングかを聞いたところ、「インターンシップ(5日間以上)」に参加していた学生がその「インターンシップ(5日間以上)」参加時に志望度が特に高まった割合は57.3%と非常に高かった。「仕事体験」に参加していた学生が「仕事体験」参加時に志望度が特に高まった割合は34.1%だった。

一方、「オープン・カンパニー&キャリア教育等」に参加していた学生が「オープン・カンパニー&キャリア教育等」参加時に志望度が特に高まった割合は7.0%だった。これにより特に「インターンシップ(5日間以上)」の参加は志望度の向上に大きな効果があると言える。

まとめ

ここまで見てきた通り、インターンシップ等のキャリア形成プログラムの中でも、「インターンシップ(5日間以上)」「仕事体験」「オープン・カンパニー&キャリア教育等」のうち、どのプログラムに参加するかによって、その後の就職活動や内々定後の不安、内々定先に対する志望度への影響に差があることが分かった。

インターンシップ等のキャリア形成プログラムを検討している企業は、学生の志望度への影響や内々定後の就職活動継続への影響を考えるのであれば、「オープン・カンパニー&キャリア教育等」よりも、就業体験のある「インターンシップ(5日間以上)」や「仕事体験」の実施を検討した方がよいと言える。本稿が今後の採用計画策定の参考になれば幸いである。

キャリアリサーチLab研究員 石田 力

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