2024年1-3月総評
「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員の求人件数・応募数推移レポート」
- 2024年1-3月の平均初年度年収は459.9万円で過去最高
- 2024年問題への対応もあり「運輸・交通・物流・倉庫」業界では「未経験者求人」の割合が業種別で最も高く約9割
本調査は、総合転職情報サイト『マイナビ転職』(https://tenshoku.mynavi.jp/)に掲載された求人の「平均初年度年収(未経験・経験者求人別)」「求人件数・応募数」の推移を調査したものである。
目次
トピックス
- 2024年1-3月の平均初年度年収は459.9万円で、調査開始以来過去最高。求人件数はコロナ禍前の2019年平均比153.6%と、引き続き企業の中途採用意向は高い【図1、2、3】
- 業種別の平均初年度年収は「IT・通信・インターネット」が最も高く537.6万円となり、2019年平均から約40万円増。未経験者求人の平均年収も481.1万円でトップ【図4、5】
- 未経験者求人の割合が最も高かったのは「運輸・交通・物流・倉庫」で約9割。2024年問題への対応のため未経験者の積極採用を行っている様子がうかがえる【図6】
調査詳細
2024年1-3月 全体の傾向
正社員の平均初年度年収推移
正社員の平均初年度年収は459.9万円(未経験者求人:428.0万円、経験者求人:530.7万円)で、それぞれ調査開始以来、最高額となった。
コロナ影響前の2019年平均と比較すると、全体では22.3万円増、未経験者求人は8.9万円増、経験者求人は34.4万円増。2023年10-12月平均と比較すると、全体では2.6万円増、未経験者求人は2.0万円増、経験者求人は7.4万円増となっており、正社員の求人における初年度年収は引き続き増加傾向にある。【図1】
【図1】正社員の平均初年度年収推移
正社員の求人件数推移
求人件数は2019年平均比153.6%と、2023年10-12月平均から1.6pt減少した。2023年は年間を通して求人件数が増加し続けたが、2024年に入り微減傾向となっている。しかし2023年平均よりも5pt以上多いことからも、企業の中途採用意欲の高さは未だ継続している。【図2】
【図2】正社員の求人件数推移(2019年基準)
正社員の募集条件比率推移
求人の経験者と未経験者の募集比率は、未経験者求人が68.8%、経験者求人が31.2%だった。2023年10‐12月平均と比べ、未経験者求人の比率が微増している。【図3】
【図3】正社員の募集条件比率推移
2024年1-3月平均 初年度年収が高い業種
業種別の平均初年度年収
正社員の平均初年度年収が高い業種は、1位が「IT・通信・インターネット」で537.6万円(2019年差40.4万円増)、2位が「金融・保険」で526.7万円(2019年差61.6万円増)、3位が「コンサルティング」で505.9万円(2019年差3.7万円増)となった。【図4】
【図4】業種別の平均初年度年収
業種別の平均初年度年収(未経験者求人)
未経験者求人(職種・業種ともに未経験OKの求人)のみに絞ると、「IT・通信・インターネット」が481.1万円(2019年差17.1万円増)で全体平均同様に最も高く、次いで「コンサルティング」で473.0万円(2019年差10.8万円減)、「不動産・建設・設備」で469.3万円(2019年差15.2万円増)と続いた。
「IT・通信・インターネット」は、全体平均・未経験求人いずれにおいても平均初年度年収が最も高く、採用意欲の高さがうかがえる。【図5】
【図5】未経験者求人における業種別の平均初年度年収
2024年1-3月平均 業種別の経験者・未経験者求人比率
未経験者求人の比率が高かった業種は、1位が「運輸・交通・物流・倉庫」の87.4%、2位が「環境・エネルギー」で82.9%、3位が「サービス・レジャー」で82.2%だった。
運輸・物流業界では2024年4月から時間外労働の上限が960時間に制限され、「物流の2024年問題」として労働力不足が予想されていた。そのため、「運輸・交通・物流・倉庫」では、未経験者を積極的に募集しており、問題への対応を続けている企業が多いのではないかと考えられる。
一方で、経験者募集求人の比率が高かった業種は、1位が「IT・通信・インターネット」53.7%、2位が「金融・保険」40.9%、3位が「メーカー」36.7%だった。経験者募集求人の比率が高い業種上位は調査開始から大きな入れ替わりがなく、IT業界は引き続き高い報酬設定で経験者を募集しているようだ。【図5、図6】
【図6】業種別募集条件比率
担当者コメント
正社員求人の平均初年度年収は、コロナ禍前の2019年から増加傾向にある。物価高などの影響もあり、賃上げを行う企業が増加しているが、中途採用における初年度年収についても増加傾向が続いていることがわかった。
求人件数も2019年と比較して約1.5倍となり、高い水準を保っている。前回調査の2023年10‐12月平均からは微減となっているが、2023年平均より5pt以上高いことから、企業の中途採用意欲の高さは未だ継続しているのではないかと推察する。
また、「運輸・交通・物流・倉庫」業界では、2023年平均から引き続き、2024年1-3月においても未経験者募集の求人比率がもっとも高い結果となった。「2024年問題」の影響で、「運輸・交通・物流・倉庫」は幅広い条件で求人を行っていたと考えられる。2024年4月に残業時間の上限規制が適用されたが、人材の獲得は十分であるのか、どのような影響が出ているのか、今後も調査を続けていく。
調査概要
調査期間 | 2024年1月1日~2024年3月31日 |
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集計対象 | 該当月における、総合転職情報サイト「マイナビ転職」に掲載開始された求人情報から、下記除外対象データを除き集計 ※除外対象:雇用形態が正社員以外 ※厚生労働省「国民生活基礎調査 所得の分布状況」を元に、所得金額上側1%を本レポートでは外れ値として設定 |
計算方法 | マイナビ転職では、初年度年収は各求人ごとに幅をもって記載されている。当レポートでは各求人に掲載されている初年度年収の下限と上限の中間の値を平均値として「初年度年収」を算出した。(例:マイナビ転職上で初年度年収が400万~550万円だった場合、当レポート上の1案件あたりの初年度年収は475万円と計算) |
未経験者・ 経験者募集求人 の区分方法 |
マイナビ転職内で設定されたコードに基づいて、以下のように区分した。 未経験者募集求人:職種・業種ともに未経験OKの求人 経験者募集求人:職種・業種いずれか、または両方の経験を問う求人 |
本社所在地 設定方法 |
マイナビ転職の求人内において、本社窓口として設定された県をもとにエリア区分を行った(不明分を除く)。 |
エリア区分 | 全国47都道府県 関東:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、茨城県、群馬県 近畿:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県 東海:愛知県、静岡県、岐阜県、三重県 北海道・東北:北海道、宮城県、青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県 甲信越・北陸:新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県 中国・四国:広島県、岡山県、鳥取県、島根県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、高知県 九州・沖縄:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |