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2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査

SUMMARY

地元(Uターン含む)就職を希望する学生は前年同率の62.6%
Uターン就職希望者の57.9%がセミナー実施形式が参加申し込みに影響したと回答

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、「マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」の結果を発表しました。

調査概要

内容 マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査
調査期間 2023年3月20日~4月5日
調査対象 マイナビ2024会員
調査方法 WEB上のアンケートフォームより入力
有効回答数 3,924名

24年卒のUターン・地元就職意向

地元(Uターン含む)就職を希望する学生は23年卒と同率

2024年3月卒業予定の全国の大学生、大学院生が地元(Uターン含む)就職を希望する割合は62.6%で前年同率となった。【図1】

経済状況の指標の一つとして有効求人倍率の推移と比較したところ、地元就職希望者の割合との緩やかな相関が見られる。景気が上昇傾向で求人倍率が比較的高いころには、都市部の大手企業などへの就職意向が高まり地元就職希望者は減少していたが、コロナ禍以降は、求人倍率が低下する等、経済状況が不透明であることなどから地元就職意向が高まっていると推察される。24年卒については経済状況は回復しつつあるものの、物価高などによって学生にとっては景気回復の実感が薄いことや、引き続き採用活動にWEBが取り入れられていることで地元を離れていても情報収集や選考参加がしやすいことなどが、地元就職意向が高く維持されている背景にあると考えられる。

【図1】地元(Uターン含む)就職希望者「希望する(していた)」+「どちらかというと希望する(していた)」の割合/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査
【図1】地元(Uターン含む)就職希望者「希望する(していた)」+「どちらかというと希望する(していた)」の割合
/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査

地元就職希望の理由は「両親や祖父母の近くで生活したいから 」
「実家から通えて経済的に楽だから」「地元での生活に慣れているから」。
背景にあるのは、経済面・生活面で安心感を持ちたいという意識

地元就職希望の理由の1位は、例年同様「(自分の意思から)両親や祖父母の近くで生活したいから 」(50.6%)、次いで「実家から通えて経済的に楽だから(41.0%)」、「地元(Uターン先)での生活に慣れているから(38.1%)」が続いた。理由は「新卒で一人暮らしは経済的負担が大きい」「まずは実家で暮らして仕事に慣れたい」「ライフスタイルの変化があった時にも頼れる人が近くにいる環境がいい」などが挙がった。一人暮らしで経済的な不安を抱えたくないという気持ちや、社会人になる時や将来家庭を持った時などライフスタイルが変化する時期は、家族や友人などがいる環境で生活したいという意識があると推察される。【図2、3】

24年卒は大学・大学院進学時点の地元就職希望割合も57.6%と高い数値になっているが、この学年は大学入学直前からコロナ禍で過ごしており、地元や親元を離れたタイミングでコロナ禍での移動制限などを経験したことによって、地元や親元の安心感を再認識していた学生もいたと推察される。また、大学で交友関係を築く時期にオンラインで授業を受けていたために、大学入学を機に地元を離れた学生でも、地元の交友関係の方が結びつきが強く、より安心感を持っていることも考えられる。

【図2】地元就職を希望する理由(上位抜粋)(複数回答)/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査
【図2】地元就職を希望する理由(上位抜粋)(複数回答)
/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査
【図3】最も働きたい勤務地を選んだ理由(地元就職希望者のコメントを抜粋)/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査
【図3】最も働きたい勤務地を選んだ理由(地元就職希望者のコメントを抜粋)
/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査

地元就職を希望する理由、
「地元の風土が好き」「地元に貢献したい」の割合が高い地域も

地元就職を希望する理由を地域別に見たところ、関東以外のすべての地域で「(自分の意思から)両親や祖父母の近くで生活したいから 」が1位であり、全体数値で上位の「実家から通えて経済的に楽だから」「地元(Uターン先)での生活に慣れているから」の項目も多くの地域で一定の割合を集めているが、2位以降の順位は地域ごとに異なる傾向が見られた。【図4】

【図4】<卒業高校エリア別>地元就職を希望する理由(複数回答)/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査
【図4】<卒業高校エリア別>地元就職を希望する理由(複数回答)
/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査

北海道、東北や四国、九州では「地元の風土が好きだから」が2位になっており、学生のコメントでは「生まれ育った町が好き」「上京して改めて地元の魅力を感じた」などの声が見られた。また、北海道、東北や北陸、四国では「地元に貢献したいから」という割合も3割を超えており、「これまで育ててくれた環境に恩返し、貢献したい」などの意見があった。【図5】

【図5】最も働きたい勤務地を選んだ理由(地元就職希望者のコメントを抜粋)/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査
【図5】最も働きたい勤務地を選んだ理由(地元就職希望者のコメントを抜粋)
/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査

学生全体で見ると経済的な理由や生活を安定させたいという意図で地元就職を希望する学生が多いが、地元に対しての愛着や貢献したいという思いから地元就職を希望する学生も地域によっては多いことが分かる。

地元への就職活動と情報収集

地元を離れているUターン就職希望者のうち、
セミナー実施形式が参加申し込みに影響したことがある学生は57.9%

企業セミナーの実施形式が、参加申し込みするかどうかに影響したか聞いたところ、地元外に進学していて、Uターン就職を希望する学生の57.9%が、「影響したことがある」と回答した。詳細を見ると、「WEB参加可能だったのでエントリーすることにしたセミナーがある」学生は45.0%、「WEB参加不可(対面のみ)だったためエントリーしなかったセミナーがある」と回答した学生は24.6%だった。【図6、7】

【図6、7】<地元外進学でUターン就職を希望する学生>セミナーの実施形式が参加申し込みに影響したことがあるか/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査
【図6、7】<地元外進学でUターン就職を希望する学生>セミナーの実施形式が参加申し込みに影響したことがあるか
/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査

地元外に進学した学生にとって、地元企業への就職活動でもっとも障害に感じていることでは例年「交通費」と「距離や時間」が上位となっており、Uターン就職希望者が就職活動で利用する交通手段を見ると、新幹線を利用する学生が東北地方では52.3%、中国地方では38.4%、長距離バスを利用する学生は東北地方や四国地方で3割以上、飛行機(JAL・ANA)を利用する学生は九州・沖縄地方で17.4%など、地域によっては移動費用の高い交通手段を用いて就職活動している学生が少なくないことが分かる。【図8、9】

【図8】<地元以外に進学している学生限定>地元企業への就職活動においてもっとも障害に感じていること/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査
【図8】<地元以外に進学している学生限定>地元企業への就職活動においてもっとも障害に感じていること
/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査
【図9】<Uターン就職希望者限定>卒業高校エリア×就職活動の際、利用する交通手段(複数回答)/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査
【図9】<Uターン就職希望者限定>卒業高校エリア×就職活動の際、利用する交通手段(複数回答)
/マイナビ2024年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査

調査担当者コメント

Uターン就職希望者の57.9%が「セミナー実施形式が参加申し込みに影響したことがある」と回答し、約4人に1人はWEB参加不可だったので参加申し込みしなかったセミナーがあると答えています。Uターン就職を希望する学生にとってオンライン形式はセミナー申し込みの後押しになり情報収集において重要な手段になっていることが分かります。コロナ禍での移動制限や感染対策を踏まえて普及したオンライン化ですが、コロナ禍が沈静化したあとにおいても情報収集のしやすさという観点で重宝されているようです。今後も対面・オンライン両方で情報発信するなど、学生が企業情報を知る手段を複数用意しておくことで、企業がより多くのUターン希望学生と接点を持つ機会に繋がりそうです。

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