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中途採用状況調査2024年版(2023年実績)

2023年の中途採用人数は年間平均21.8人、コロナ禍に比べ8人増で過去最高に
中途採用費は年間平均629.7万円。IT・通信・インターネッでは1,000万円に迫る

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、直近1年間(2023年1月~12月)に中途採用活動実績のある企業の人事担当者1,400名を対象に、2023年の採用結果と2024年の見通しを調査した「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」の結果を発表しました。本調査は、今回で11回目となります。

調査概要

調査期間 2023年12月15日~12月18日
調査方法 インターネット調査
調査対象 従業員数3名以上の企業において、直近(2023年1~12月)に中途採用業務を担当し、
「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者
有効回答数 1,400件

※調査結果は、端数四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります。
※n=30以下は参考値としております。

TOPICS

  • 2023年の中途採用人数は年間平均21.8人で過去最高に。コロナ禍の20年に比べ、年間平均8人増。一方、退職者数も前年比3人増となり人材流動性が高まる結果に
  • 2023年の中途採用費用は前年比55.8万円増の629.7万円。IT・通信・インターネットでは1,000万円に迫る
  • 2024年の中途採用に積極的な企業は91.8%(前年比1.0pt増)。業種別では「IT・通信・インターネット」が95.5%で最多に
  • 昇進・昇格のスピード、38.8%が「新卒優位」、11.6%「中途優位」と回答

調査詳細

企業の中途採用人数

2023年の中途採用人数は年間平均21.8人で過去最高に。コロナ禍の2020年に比べ、年間平均8人増。一方、退職者数も前年比3人増となり人材流動性が高まる結果

2023年に中途採用活動を行った企業の、年間平均採用人数は21.8人(2022年比2.6人増、2021年比5.5人増、2020年比8.1人増)となり、年々増加し、調査開始以来、過去最高となった。
また、2023年の退職者数の平均人数は15.6人(2022年比3.1人増)で、退職者数に対する採用人数の割合を欠員充足率として算出すると、2023年は139.2%となり、中途採用による欠員の充足ができていることがわかる。【図1】

2023年の中途採用人数と退職者数
【図1】2023年の中途採用人数と退職者数

企業の中途採用費用

2023年の中途採用費用は前年比55.8万円増の629.7万円
IT・通信・インターネットでは1,000万円に迫る

2023年の中途採用費用の年間平均は629.7万円(22年比55.8万円増)となり、業種別では、「IT・通信・インターネット」が998.5万円で最も高かった。【図2】

2023年の中途採用費用の実績
【図2】2023年の中途採用費用の実績

また、2023年に採用した人数と採用費用をみると、採用人数が多く、採用費用が低い業種は、「医療・福祉・介護」など。一方で採用人数が多く、採用費用が高いのは「IT・通信・インターネット」などとなった。
中途採用費用が増加傾向にある中、中途採用の費用感や採用人数には業種間でギャップがある。【図3】

<業種別>中途採用人数と中途採用費用の実績
【図3】<業種別>中途採用人数と中途採用費用の実績

今後2024年の中途採用の見通し

2024年の中途採用に積極的な企業は91.8%(前年比1.0pt増)
業種別では「IT・通信・インターネット」が95.5%で最多に

2024年の中途採用に積極的と答えた企業は91.8%(2022年比1.0pt増)となった。
業種別では、「IT・通信・インターネット」が「採用に積極的」が95.5%と最も高く、そのうち「経験者採用は積極的だが、未経験者採用は消極的」が54.3%で他の業種に比べ高いことから、経験者を採用ターゲットとする動きが予想される。
一方で、「経験者採用・未経験者採用ともに積極的」が最も高い業種は、「サービス・レジャー」で45.7%となった。
2024年の中途採用も積極的に行われることが考えられると同時に、業種間における採用ターゲットの違いも見受けられる。【図4】

今後2024年の中途採用の見通し
【図4】今後2024年の中途採用の見通し

昇進・昇格スピードの優位性

昇進・昇格のスピード、38.8%が「新卒優位」、11.6%「中途優位」と回答

中途採用担当者に昇進・昇格のスピードについて新卒採用者と中途採用者で差があるかを聞くと、「優位性に違いはない」が43.3%と最も高くなった。しかし「新卒採用者の方が優位」は38.8%、「中途採用者の方が優位」が11.6%で、双方を比べると新卒採用者が中途採用者を大きく上回った。
従業員数別にみると、「301名以上」の大手企業では「新卒優位」が最も高く、反対に「300名以下」となる中小企業では「優位性に違いはない」が最も高い。【図5】

昇進・昇格スピードの優位性(新卒採用者と中途採用者の比較)
【図5】昇進・昇格スピードの優位性(新卒採用者と中途採用者の比較)

昇進・昇格のスピードで新卒優位とする理由を自由回答で聞くと「会社の古い体質で新卒社員の方が、出世をする傾向が習慣として残っているから」など、「慣習」「慣例」といった言葉が見受けられる。
反対に中途優位とした理由は、「経験やスキルのある中途採用者の方が、即戦力になるため」など、経験や能力を重視する言葉が目立った。
中途採用においては管理職として採用することも多々ある。ただ、転職も一般的となる中で、入社方法により昇進・昇格のスピードに差があることで、優秀人材獲得の難度を上げる一因になることも考えられる。【図6】

昇進・昇格スピードの優位性-その理由
【図6】昇進・昇格スピードの優位性-その理由

調査担当者コメント

企業の中途採用活動の活発化や人材流動性の高まりが引き続きうかがえる調査結果となりました。
欠員充足率は130%以上となっているにも関わらず、今後の中途採用の見通しに積極的な姿勢があることから慢性的な人手不足感がさらに強まっていることもわかります。さらに、中途採用費用も増加しており、今後は企業の人材獲得競争がより激化するでしょう。
一方で、昇進・昇格スピードの優位性は、新卒・中途で違いはないが最多ではありますが、中途採用者より新卒採用者が優位であるとする企業も見受けられます。
昇進・昇格だけが、労働者のキャリアアップ、スキルアップとなるわけではありませんが、企業も終身雇用が難しくなり、転職が一般的となるなかで、会社の制度や昔からの慣習だけで、中途採用者の昇進・昇格に影響があることが、優秀な人材の獲得難を招く一因となることも考えられます。
人材の流動性の高まりなど、時代の変化を考えれば、日本特有の終身雇用制度が変化する中、昇進・昇格は慣習に従うとなると、今後の人材定着にも影響がでるのではないでしょうか。

マイナビキャリアリサーチLab 主任研究員 関根 貴広

レポート内目次

  1. 2023年の中途採用状況
  2. 2023年の中途採用の選考状況
  3. 2023年の中途採用数・退職者人数
  4. 中途採用活動の満足度
  5. 2023年の中途採用の印象
  6. 今後2024年の中途採用の見通し
  7. 利用した転職サービス・手法
  8. 2023年の中途採用費用

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