- 最高の満足度のまま働くことができている新入社員の職場環境では「将来の理想の自分像」が見えている!?
新卒学生向け就職サイト「マイナビ」の運営をはじめ、各種就職・転職情報サービスを行う株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、2022年卒業予定として就職活動を行い、その状況をモニター調査で回答した方を対象に、入社半年後の状況の追跡調査を実施。
「2022年卒 入社半年後調査 ~ コロナ禍2年目での就活を乗り越えた新入社員たちの現在地とは ~」として、調査結果を発表した。
コンセプト
この調査の主な目的は「就職活動をした人の『その後』の状況」を知ることにある。もともとの発想は「就職活動がうまくいったかどうかは『入社して良かった』と思えたかどうかで決まる」というものだ。
つまり「良い就職活動とはどういうものか」を知るためには「入社後」を調査する必要があると考えたのである。19年卒を対象に開始したこの調査も4年目を迎え、今回は「将来のキャリアプラン実現のための環境」、「勤務先の環境がどのように自分と合っているか」、「社長、経営者の印象」について、勤務先満足度との関係のより深い分析を試みた。
調査詳細
就職している割合
- 2022年卒の就活生のうち就職している割合は89.7%
- 就活はしたが現在「学校に通学」がやや増加
2022年春卒業予定として就職活動を行った人を対象に、2022年10月時点の状況を聞いたところ「企業(法人含む)に勤務している」は83.8%、「公務員として勤務している」は5.8%で、その2つの合計である「就職している」人の割合は89.7%だった。
前年は92.8%だったのでわずかに減少した。「大学・大学院・専門学校等に通学」している人は6.1%(前年比1.9pt増)で前年よりやや増加した。
今、企業に勤務しているか、もしくは公務員として働いているか
勤務先のインターンシップに参加していた割合
- 勤務先のインターンシップに参加していた割合は前年並みの約4割
- 理系のほうが文系より割合が高い
現在の勤務先のインターンシップ(※ワンデー仕事体験を含む、以下同じ)に参加していた割合は39.7%(前年比0.2pt減)でほぼ前年並みだった。理系(45.4%、前年比2.8pt減)は文系(36.3%、前年比1.9pt増)に比べてかなり割合が高い。
現在の勤務先のインターンシップのプログラム内容を聞いたところ、文理とも多かったのは「若手社員・職員との交流会」「グループワーク」の2つで、文系では「人事や社員・職員からの講義・レクチャー」も多かった。
現在の勤務先のインターンシップ※に参加していた割合・前年比 n=760
勤務先の満足度
- 就活時の入社予定先満足度5(最高)は約5割だが、入社半年後の勤務先満足度5は約3割に減少
勤務先の満足度を5段階で聞き、就職活動時の入社予定先の満足度と比較したところ、前年に引き続き、満足度5(高い)の割合は就職活動時から現在(入社半年後)にかけて減少し、満足度3以下(低い)の割合は増加した。
3年連続で就職活動時より満足度が下がっていることが分かる。今年の入社半年後勤務先満足度5の割合は30.8%(前年比4.6pt増)と前年より高く、就職活動時の満足度5の割合(51.1%)から約6割に減ったことになる。
就活時の入社予定先の満足度と現在の勤務先の総合満足度比較 n=622
勤務先満足度の減少に強く影響したもの
- 勤務先満足度の減少に強く影響したのは「将来のキャリア展望」と「経営者の印象」
勤務先満足度が下がった現象について以下の6つの側面から見ていきたい。これら6つの側面はそれぞれ勤務先(入社予定先)の満足度に影響していることが、すでに前年までの分析結果から分かっている。
- 労働条件満足度(給与、福利厚生等についてどの程度満足しているか)
- 能力を活かせるか(大学で学んだこと、資格など、能力を活かせそうか)
- 社員の印象と帰属感(その企業が自分に合っていると思えるか)
- 経営者の印象(社長、役員、経営者の印象について)
- 将来のキャリア展望(理想とする将来のキャリアプランを実現できそうか)
- 比較検討(十分な選択肢の中から選べたか)
それぞれの側面について以下の2つの点に着目して分析していく。
A)レベル5(最高評価)の割合の減少
B)レベル3以下(低評価)の割合の増加
これらはいずれも勤務先満足度が下がることにつながっている。
6つの側面の中で、就職活動時から入社半年後にかけて、最も変化が大きかったのは「将来のキャリア展望(理想とする将来のキャリアプランを実現できそうか)」だった(レベル5(最高評価)12.3pt減少、レベル3以下(低評価)25.0pt増加)。特に低評価の割合が大きく増加している。就職活動時に「理想とする将来の自分が実現できそう」と思って入社を決めたが、入社して半年後には「実現できるのか疑問」になった、というようなことが起こっている思われる。
満足度の側面比較・就活時と現在 n=622
次に変化が大きかったのは「経営者の印象(社長、役員、経営者の印象について)」だった(レベル5(最高評価)14.6pt減少、レベル3以下(低評価)16.6pt増加)。就職活動時に「入社予定先のトップ」として漠然と良いイメージを持っていたのが、入社してその人となりに触れる機会があった際、「思っていたより○○だった」と多少落胆するようなことがあったと推察される。
満足度の側面比較・就活時と現在 n=622
なお、「社員の印象と帰属感(その企業が自分に合っていると思えるか)」についても同様に変化しているが(レベル5(最高評価)7.3pt減少、レベル3以下(低評価)15.0pt増加)前述の2つの側面ほど大きな変化ではなかった。これについては後ほど詳細に述べることにする。
満足度の側面比較・就活時と現在 n=622
理想とする将来のキャリアプランを実現するための環境が整っているか
- 満足度が高い新入社員の職場は、将来のキャリアプラン実現のための環境が、より多くの面で整っている
勤務先の満足度と、理想とする将来のキャリアプランの実現可能性との関係を調べるため「実現するための職場環境がどの程度整っているか」に着目して調査を行った。12項目の「職場環境」は以下の4つの側面を想定して設定している。
- 具体的なスキルアップを支援する制度
研修・学習支援、資格取得支援、語学教育支援、学び直し支援
- 能力向上のためのモチベーションを向上させる仕組み
評価の仕組みと昇進制度、ロールモデルの存在、具体的なキャリアパスの提示
将来のキャリアプランと自分自身との適性の確認
- 能力向上につながる職場環境
仕事を覚えるための環境、意見やアイデアを活かせる環境
- 能力向上に注力できる環境やその環境を整える支援
働きながら学べる環境、子育て支援制度
それぞれの項目について、自分の職場が「まったく整っていない・わからない」から「十分整っている」まで5つの段階のどれにあてはまるか回答してもらった。そのうち「十分整っている」または「ある程度整っている」と回答した割合と、勤務先満足度との関係を分析した。
理想とする将来のキャリアプランを実現するための環境が整っているか n=763
その結果、勤務先満足度が5の人(高い人)は平均8.0個の環境が整っており、満足度が3以下の人(低い人)の平均3.1個と比べ、大きな差がついた。より多くの面で職場の環境が整うことにより、理想とする将来のキャリアプラン実現可能性が高いことを自覚し、それが勤務先の満足度の高さにつながっていると言える。
将来のキャリアプランを実現するための環境が
「(十分+ある程度は)整っている」数・平均 n=763
項目別に見ると、勤務先満足度5と満足度3以下で特に大きな差がついたのは「自分の意見やアイデアを活かせる環境」「ロールモデル・キャリアモデルとなる人の存在」「将来のキャリアプランと自分自身との適性の確認」などだった。
職場において、自ら創意工夫し、提案し、実現していくことや、理想の将来像(ロールモデルやキャリアプラン)に向けて日々成長を実感できることが、勤務先満足度の高さにつながると思われる。
勤務先満足度と将来のキャリアプラン実現のための環境が
(十分+ある程度は)整っている割合の関係
満足度5と満足度3以下の差が大きい順 n=763
勤務先満足度と社長・経営者の印象
- 勤務先満足度が高い人は、勤務先の社長・経営者にあてはまる好印象の数が多い
社長や経営者について、勤務先満足度が高い場合はどのような印象を持つ割合が高く、逆に勤務先満足度が低い場合はどのような印象が持つ割合が高いのだろうか。そこで、社長や経営者にあてはまる「好印象」を12個、「悪印象」を9個挙げて、それぞれあてはまるものを選んでもらい、あてはまる割合と勤務先満足度の関係を分析した。
その結果、勤務先満足度が5の人(高い人)は勤務先満足度が3以下の人(低い人)に比べ、平均で、あてはまる「好印象」の数が多く、あてはまる「悪印象」の数が少なかった。なお、個別の「好印象」で、勤務先満足度5のあてはまる割合のほうが高く、勤務先満足度3以下の割合と差がついたのは「尊敬している(18.5pt差)」で、次が「人間的魅力がある(17.2pt差)」だった。
また、そもそも評価をしようにも「どんな人なのかよくわからない」という割合は、勤務先満足度3以下の人(低い人)では32.6%と高く、満足度5の人(高い人)の18.0%と比べ大きな差がついた。
勤務先満足度と「勤務先の社長、経営者にあてはまるもの」との関係
(複数回答)※一部抜粋 ※好印象・悪印象それぞれで満足度5と満足度3以下の差が大きい順 n=763
勤務先満足度の重要な要素
- 勤務先満足度が高いと環境が自分に合っている数が多いが、合っていても満足度につながらない場合も
「自分に合っているかどうか」は勤務先満足度の重要な要素の1つで、「自分に合っていると思えるほど勤務先満足度は高い」という関係がある。例えば、勤務先満足度5の人(高い人)は勤務先のインターンシップに参加した際、「自分に合っている」と思った割合が高い。
では「満足度につながる『自分に合っている』状態」とは具体的にどういったものを指すのだろうか。そこで様々な「職場の環境」の側面について、12パターンの「A/B・正反対の状況」を想定し、「あなたの職場はどのどちらに該当するか」および「その環境が自分に合っていると思うか」を回答してもらった。なお「自分に合っていない」場合は「どちらにもあてはまらない」を選ぶこととした。
勤務先の環境と、その環境が自分に合っているかどうか・項目一覧 n=763
<A>にあてはまる |
どちらにも あてはまらない |
<B>にあてはまる |
仕事のやり方を任せて もらえるのでやりがいがある |
⇔ |
仕事をする上で細かく アドバイスがもらえるので助かる |
同僚や上司と仕事以外のことでも 話が合うので楽しい |
⇔ |
職場で必要以上に 話しかけられないので助かる |
飲み会やサークルなどで 職場の人たちとの交流が多く楽しい |
⇔ |
勤務外で上司や同僚から 誘われることがないので助かる |
適度に忙しく仕事上の目標に 追われていてやりがいがある |
⇔ |
マイペースで地道にコツコツ仕事を 進められるので助かる |
制服またはスーツを着て 仕事をするのがうれしい |
⇔ |
自由な服装で 仕事ができるのがうれしい |
自分と似たタイプの人が多くて 居心地がいい |
⇔ |
いろんな性格の人がいて 刺激があってよい |
自分と近い年代の 若い人が多くて居心地がいい |
⇔ |
経験の豊富な年上の人が 何人かいて勉強になる |
始業や休憩の時間がきっちり 決まっていて切り替えがしやすい |
⇔ |
始業時間や休憩のタイミングが 融通が利いて助かる |
職場で席を並べて仕事をすることが 多く一体感があってよい |
⇔ |
在宅やフリースペースで ひとりで集中して仕事ができてよい |
職場のルールがきちんとしており 安心感がある |
⇔ |
堅苦しいルールがないので 居心地がいい |
積極的に意見を言える雰囲気があり 活気があってよい |
⇔ |
意見を求められることが あまりないので楽だ |
今より上を目指す必要があり 成長できてよい |
⇔ |
今の能力で十分仕事が こなせるのがよい |
まずは勤務先の満足度と、12パターンのうち「自分に合っている」数の関係についてだが、AまたはBにあてはまる場合を自分に合っているとした場合、勤務先満足度5の人(高い人)の「自分に合っている」数は平均10.4個であるのに対し、満足度3以下の人(低い人)は平均6.9個と差がついた。
よって勤務先満足度が高い人は、より多くの面で「自分に合っている」と感じられる職場にいることがわかった。
職場の環境が「自分に合っている」数・平均 n=763
続いて個々の「自分に合っている」環境について見ていくと、満足度5(高い)と満足度3以下(低い)で最も大きな差がついたのは「今より上を目指す必要があり成長できてよい(43.4pt差)」で、勤務先満足度5の人の7割以上が、これに該当する環境にあり、かつ、それが「自分に合っている」と感じていることが分かった。ちなみにこれとは反対の環境である「今の能力で十分仕事をこなせるのがよい(-4.2pt差)」が自分に合っているという人の割合は、勤務先満足度3以下の人(低い人)では24.0%、勤務先満足度5の人(高い人)では19.8%で、満足度が低い人ほうが割合が高い。
よってこのケースでは「自分に合っている」ことが勤務先満足度の高さにつながらないことになる。同様に「積極的に意見を言える雰囲気(41.0pt差)」が自分に合っている割合は、勤務先満足度5の人(高い人)のほうが高いが、その反対の「意見を求められることがあまりない(-11.5pt差)」が自分に合っている割合は、勤務先満足度が3以下の人(低い人)のほうが高くなっている。
勤務先満足度と環境が自分に合っているかどうかの関係
満足度5のほうが満足度3以下より割合が高い順 n=763
これらの結果から考えると「仕事の上で自分の成長につながる環境」や「コミュニケーションが密な環境」が「自分に合っている」ケースは、勤務先満足度の高さにつながっているのだが、「仕事の上で現状維持な環境」や「コミュニケーションが少ない環境」が「自分に合っている場合」は、勤務先満足度の高さにつながらないと言えそうだ。
あなたの「新入社員生活」を漢字一文字で表すと
2022年卒で入社して半年の社会人に、これまでの「新入社員生活」を漢字一文字で表してもらったところ、最も多かったのは「忙」だった。2位には「楽」、3位には「学」が入り、彼らが就活生だった時に「就職活動」を表す漢字として最も多く選んだ「苦」は4位だった。
「苦しく楽しい就職活動に耐えたのち」→「忙しく、楽しく、はたらきながら、さらに学ぶ新入社員生活」ということのようだ。同率の9位に入った「波」は、就職活動の漢字TOP10に入ったことがない文字で、入社半年で早くも「波」のように変化にとんだ新入社員生活を送っている人もいるようだ。
文理男女別に見ると、文系は男女ともそれぞれ「忙」が1位だが、理系男子の1位は「学」、理系女子の1位は「楽」だった。
あなたの「新入社員生活」を漢字一文字で表すと
22卒 順位 |
21 卒 |
漢字 |
就活時 順位 |
理 由 |
1 |
2 |
忙 |
– |
- とにかく時間がない。仕事の上でも遊ぶにしても、どこかへ行くにしても、とにかく時間がなく、いつも忙しい思いをしている。(クレジット・信販・リース)
- 建設現場は状況がめまぐるしく変わり、常に先を見据え、複数のことを考えつつ仕事をしなければならないので。(建設・設備工事)
|
2 |
1 |
楽 |
2 |
- 学生時代はコロナもあり一人で過ごしがちだったが、社会人になって様々な土地の様々な人と出会えて楽しい。また、研修中は苦労したが、配属後は甘やかされて楽。(ソフトウエア・ネット関連)
- 仕事は自分の能力に合っているので割と楽だし、社員と話すと楽しいから。(総合商社)
|
3 |
3 |
学 |
– |
- 分からないことばかりで毎日勉強の繰り返しだから。(電気・電子機器)
- 入社してから現在まで、業務上の技術からコミュニケーションなど多くのことを学んだから。(ソフトウエア・ネット関連)
|
4 |
3 |
苦 |
1 |
- 思っていたよりも忙しく、責任のある仕事を任されたため苦しかった。(繊維・化学・石油)
- もがいているから。(教育・学校法人)
|
5 |
5 |
変 |
– |
- 大変・今までの生活から変わったことが多い・変なルール、マナーが多いと感じたから。(広告・芸能)
- いろんな価値観の人がおり考えを改めるきっかけになった。想像と違うこともありイメージが変わった。(医療・調剤薬局)
|
6 |
7 |
辛 |
6 |
- 業務が多岐に渡り、慣れないことが多いから。(官公庁・公社・団体)
|
7 |
9 |
新 |
– |
- 知らなかったこと、知らなかった場所、初めて合う人、様々な新しいことがあったから。(人材サービス(派遣・紹介))
|
8 |
10 |
難 |
4 |
- 大学時代習ったこととは全く違う新しいことを叩き込まれ、勉強しつつ仕事をしているが、難しいことばかりでまだまだ先輩に追いつくことは難しいと感じている。(ソフトウエア・ネット関連)
|
9 |
– |
波 |
– |
- 楽しいことも辛いことも、成長したことも苦手だと発覚したこともあり、いろんな面で波があったと思うから。(薬品・化粧品)
|
6 |
疲 |
10 |
- 慣れないことばかりで、しんどいことが多かったから。(その他サービス)
|
8 |
無 |
– |
- まだ未熟で何も手にいれてないため無であり、無限の可能性があると考えている。(薬品・化粧品)
|
回答者の属性データ
有効回答数内訳 |
文系男子 |
文系女子 |
理系男子 |
理系女子 |
総計 |
人数 |
142 |
254 |
196 |
259 |
851 |
有効回答数内訳(理系) |
就活時理系学部生 |
就活時理系院生 |
人数 |
258 |
197 |
調査概要
内容 |
マイナビ 2022年卒 入社半年後調査 |
調査期間 |
2022年10月25日(火)~2022年10月31日(月) ※就職活動時のデータの調査期間「マイナビ 2022年卒 学生就職モニター調査」 「6月の活動状況」:2021年6月24日(木)~2021年6月30日(水) 「7月の活動状況」:2021年7月26日(月)~2021年7月31日(土) 「8月の活動状況」:2021年8月25日(水)~2021年8月31日(火) ※前年データの調査期間 「マイナビ 2021年卒 入社半年後調査」:2021年10月25日(月)~2021年11月1日(月) |
調査対象 |
2022年卒業予定として就職活動を行い、その状況をモニター調査で回答した方を対象とした追跡調査 |
調査方法 |
WEB上のアンケートフォームより入力 |
有効回答数 |
851名 |
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