2020年卒 入社半年後調査~就活生の「その後を」知る/ with コロナ下の新入社員の実態~
新卒学生向け就職サイト「マイナビ」の運営をはじめ、各種就職・転職情報サービスを行う株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:中川信行)は、2020年卒業予定として就職活動を行い、その状況をモニター調査で回答した方を対象に、入社半年後の状況の追跡調査を実施。
「マイナビ 2020年卒 入社半年後調査 ~ 就活生の「その後を」知る/ with コロナ下の新入社員の実態 ~」として、調査結果を発表した。
目次
コンセプト
この調査の主な目的は「就職活動をした人の『その後』の状況」を知ることにある。もともとの発想は「就職活動がうまくいったかどうかは『入社して良かった』と思えたかどうかで決まるのではないか」と言うものだ。つまり「良い就職活動」を知るためには「入社後」を調査する必要があると考えたのである。
また、調査対象は「新入社員の時期に新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けた人」にも該当するため、その具体的な影響についても見ていきたい。
トピックス
- 現在の勤務先の満足度が、就活時に入社予定先だった時より下がるという現象を分析する
- 就活時に参加した勤務先のインターンシップに満足していた場合、勤務先の満足度が高く保たれる割合が高い
- 勤務先の満足度が低い人は「実際の仕事内容に関する社員の話」を知っておけばよかったと思う
- 入社してから半年間に在宅勤務日があったのは約7割
- 在宅勤務があった場合のほうが、在宅勤務がなかった場合より、勤務先の満足度は高い
- 新入社員研修がオンラインだった割合は研修を受けた人の60.3%、内定者研修では24.8%
調査詳細
就活時の入社予定先の満足度と現在の勤務先の満足度
調査回答者のうち、就職活動時の7月末時点で入社予定先を決めていた人(691名)限定で、就職活動時の入社予定先の満足度※と現在の勤務先の満足度を比較した。就活時の入社予定先が決まった段階で、その入社予定先企業の総合的な満足度を聞くと、5段階で最も高い「満足度5」を選ぶ学生が全体で53.7%もいた。
この満足度が高い状態が入社後も継続するのであれば、新卒で入社した人材がその企業に定着することにつながり、新卒採用は概ね成功していると言えるだろう。しかし、実際に入社半年後の段階で、現在の勤務先の総合的な満足度を聞くと、「満足度5」を選んだのは26.6%と約半分に減っていた。明らかに満足度が下がっているケースが多いことが分かる。
もし、この「満足度が下がる」という現象が、どういった側面に関連して起こるのか、あるいは、どういったケースでは満足度が下がらないのかがわかったら、新卒で入社した社員の離職を防ぎ、就職活動時の高いモチベーションを入社後も維持できるだろう。
そこでまず、「満足度が下がる」ということには、どういった側面がより強く影響しているのかを分析し、さらに業種別・従業員規模別の「満足度の下がり方」を見ていくことにする。そして最後に、企業の学生に対する活動において、年々その重要度が高くなっている「インターンシップ」に関して、「勤務先のインターンシップに参加したかどうか」及び「どのように参加し、どのように満足したか」を分析し、最終的に「勤務先のインターーシップに参加して、満足したこと」が「現在の勤務先の満足度」の高さに大きく関連していることを明らかにしていく。
まず、就活時に入社予定先だった時と、現在勤務先となった時で、さまざまな側面からの企業の評価を比較した。すると、「労働条件満足度」(給与、福利厚生、休日休暇等についてどの程度満足しているか)は、下がってはいるが総合満足度ほどではないのに対し、「能力を活かせるか」(大学、大学院で学んだこと、資格など、能力を活かせそうか)や「将来のキャリア展望」(理想とする将来のキャリアプランを実現できそうか)は下がり方がかなり大きかった。
「入社半年後の総合満足度」が下がる原因としては、「入社してみたら、思っていた労働条件と違った」ということもあるが、それよりも「入社してみたら、思っていたより自分の能力を活かすことができなさそうだった」や、「入社してみたら、思っていたより、将来描いていたキャリア展望が実現できなさそうだった」ということの方が多いと思われる。
※業種別・従業員規模別の満足度の下がり方については詳細資料参照
就活時に勤務先のインターンシップに参加した影響
- 就活時に参加した勤務先のインターンシップに満足していた場合、勤務先の満足度が高く保たれる割合が高い
就職活動時、勤務先のインターンシップに参加したかどうかや、その参加状況の勤務先の総合満足度への影響を検証した。まず、勤務先のインターンシップに参加していた人と参加していなかった人で、「入社予定先の総合満足度」から「勤務先の総合満足度」への変化を比較したところ、同じように下がっており大きな差はなかった。
次にインターンシップの参加日数別で比較したところ、すべて満足度が下がっていたが、「2日または3日参加」の場合、就活時は高かった満足度が現在では大きく下がり、「6日以上参加」では、比較的下がる幅が少なかった。
最後にインターンシップの満足度が「3以下」「4」「5(最も高い)」で比較したところ、「インターンシップ満足度3以下」「満足度4」では、満足度が大きく下がったのに対し、「インターンシップ満足度5」ではあまり下がらなかった。
インターンシップに参加したのが2018年夏~翌春だとすると、その時の満足度が約2年を経て入社半年後の満足度に影響していることになる。側面から見たところ、「インターンシップ満足度5」では特に「社員の印象と帰属感」が高いまま保たれていることが分かった。
就職先決定で重要だった情報と知っておけばよかった情報
- 勤務先の満足度が低い人は「実際の仕事内容に関する社員の話」を知っておけばよかったと思う
就職活動時を振り返って「就職先決定で重要だった情報」と「就職活動時に知っておけばよかった情報」を、同じ選択肢で聞いた。「就職先決定で重要だった情報」は、それぞれ「労働条件」に関わる情報である「給与や賞与に関する情報」(59.0%)「福利厚生制度に関する情報」(55.5%)「勤務地に関する情報」(54.7%)がいずれも5割を超え高い割合だった。
一方の「就職活動時に知っておけばよかった情報」でも、「就職先決定で重要だった情報」で高い割合だった「給与や賞与に関する情報」(23.9%)「福利厚生制度に関する情報」(24.3%)が高い割合だった。ただし、最も高い割合だったのは「実際の仕事内容に関する社員の話」(26.0%)で、「社員の人間関係に関する情報」(23.0%)も高い割合だった。「労働条件」に加え「人に関わる情報」について、知っておけばよかったと思うことが多いようだ。
これらの結果について、「現在の勤務先総合満足度」が高い人とそうでない人では差が出るだろうか。ここでは「現在の勤務先総合満足度」が最高の「満足度5」である人と「満足度3以下」の人で比較してみた。
その結果、「就職先決定で重要だった情報」では大きな差は出なかったが、「就職活動時に知っておけばよかった情報」では明確な差が現れた。特に「実際の仕事内容に関する社員の話」を「知っておけばよかった」とする割合は、「満足度5」では16.0%だが、「満足度3以下」では36.3%で、20.3ptの差がついた。
また、「自分が成長できる環境があるか」は、「満足度5」では5.6%だが、「満足度3以下」では22.9%と、17.3ptの差がついた。これらの情報を就職活動時に得ておけば、入社後の勤務先総合満足度を高く保てる可能性が高いと思われる。
入社してから半年間の在宅勤務状況
- 入社してから半年間に在宅勤務日があったのは約7割
入社してから半年の間に在宅勤務の日(在宅でのオンライン研修含む)があったか聞いたところ、「あった」と回答したのは71.0%だった。在宅勤務日があった割合は勤務先の業種により差があり、「ソフトウエア・通信」では9割を超えていた。
在宅勤務があった人の在宅勤務日数の平均は54.6日だった。業種別では「ソフトウエア・通信」が平均86.5日で突出して多い。
在宅勤務の満足度
- 在宅勤務があった場合のほうが、在宅勤務がなかった場合より、勤務先の満足度は高い
在宅勤務はあったが入社初日は出社したのは全体の39.5%、入社初日から在宅勤務だったのは31.5%だった。入社初日から在宅勤務だった人の初出社は、5月末までは少しずつ行われていたが、5月25日の緊急事態宣言解除を受けて、6月1日にやや多く行われた。その後も徐々に初出社が行われ、調査時点でまだ一度も職場に出社していなかったのは0.7%だった。
在宅勤務の有無が「現在の勤務先総合満足度」に影響するか調べたところ、「満足度5」の割合は、在宅勤務ありの場合は29.6%、在宅勤務なしの場合は16.5%だった。
集合研修かオンライン研修か
- 新入社員研修がオンラインだった割合は研修を受けた人の60.3%
- 内定者研修では24.8%
2020年卒として就職活動をした人は、入社を決めて、内定者として研修を受けた時期(2019年10月~2020年3月)は緊急事態宣言発出前、新入社員として研修を受けた時期(2020年4月~)は緊急事態宣言(発出 4/7、全国拡大 4/16、解除 5/25)が出ていた時期と重なっている。
そういった中、内定者研修を受けた割合は56.5%、新入社員研修を受けた割合は93.0%だった。それぞれの研修が、集合研修だったのか、オンライン研修だったのか聞いたところ、内定者研修ではオンライン研修が24.8%だったのに対し、新入社員研修では60.3%で、緊急事態宣言が研修のオンライン化に影響したようだ。
なお、60.3%の内訳では、オンライン研修のみが34.8%、オンライン研修と集合研修の両方があったが25.6%となっている*。
*合計数が合わないのは、小数点以下第2位で四捨五入しているため
研修の満足度
研修の満足度について、集合研修、オンライン研修それぞれについて聞いたところ、内定者研修では「満足度1または2」(満足度が低い)の割合はオンライン研修の方がかなり高くなった(集合研修 8.9%、オンライン研修 29.5%)。
しかし、新入社員研修では、集合研修とオンライン研修で満足度の差はそれほど大きくなかった。
回答者の属性データ
有効回答数内訳 | 文系男子 | 文系女子 | 理系男子 | 理系女子 | 総計 |
人数 | 170 | 253 | 220 | 250 | 893 |
調査概要
内容 | マイナビ 2020年卒 入社半年後調査 |
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調査期間 | 2020年10月12日(月)~2020年10月18日(日) (就職活動時のデータの調査期間:2019年7月25日(木)~2019年7月31日(水) 「2020年卒 学生就職モニター調査 7月の活動状況」) |
調査対象 | 2020年卒業予定として就職活動を行い、その状況をモニター調査で回答した方を対象とした追跡調査 (「2020年卒 学生就職モニター調査 7月の活動状況」回答時点で大学4年生及び院2年生だった方) |
調査方法 | WEB上のアンケートフォームより入力 |
有効回答数 | 893名 |
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