マイナビ キャリアリサーチLab

夏休み到来、2023年卒学生向けインターンシップ事情

東郷 こずえ
著者
キャリアリサーチLab主任研究員
KOZUE TOGO

8月も終盤に差し掛かっているが、この時期、多くの大学では「夏休み」期間となっている。夏休みといえば、サークルの合宿やアルバイト、旅行など本来であれば学生ならではのイベントが盛りだくさんとなる期間だが、ここ2年は新型コロナウイルスの影響で思い切り楽しめないという方も多いかもしれない。そんな夏休み期間だが、実は例年「初めてインターンシップに参加した時期」として最も多く選ばれる時期でもある。昨年はコロナ禍の影響で22年卒の夏のインターンシップ参加割合が減少してしまったのだが(図1)、今年の夏はどういう状況なのだろうか。来年(2022年)の3月から就職活動を始める23年卒学生に注目して、インターンシップ事情を明らかにしていきたい。

初めてインターンシップに参加した時期/マイナビ2022年卒大学生広報活動開始前の活動調査
(図1)

出所:マイナビ2022年卒大学生広報活動開始前の活動調査

コロナ禍でのインターンシップ2年目、昨年の夏と大きく異なる点は?

結論からいうと、コロナ禍でも実施可能なWEB開催のインターンシップがスタートから市民権を得ている状態である、という点が昨年の夏とは大きく異なる点だろう。22年卒学生の多くがインターンシップに参加した昨年の夏を思い返すと、感染者数こそ今より少なかったが、今よりも不確実なことが多く、「どうしていいかわからない」という心境だったように思う。

21年卒学生の選考活動では徐々にWEBの活用が広がりつつあったが、「WEB上でのインターンシップ実施」については否定的な意見を持つ企業も多かった(図2)。前例のない状況下で、筆者自身も「就業体験が必要なインターンシップをWEBで実現することなんてできるのだろうか」とかなり懐疑的に見ていたと記憶している。

WEBで実施するインターンシップへの考え方/マイナビ2021年卒企業新卒採用活動調査
(図2)

出所:マイナビ2021年卒企業新卒採用活動調査

ところが、秋以降になると、上場企業を中心に「WEB上でのインターンシップ」の実施が広がっていき、全体でも半数以上はなんらかの段階でWEBを活用するまでになった(図3)。また、学生については最終的に95%がなんらかの機会にWEB開催のインターンシップを経験するまでになっており、当初の予想よりも市民権を得たと言える結果となった(図4)。

インターンシップはどの程度WEB化したか/マイナビ2022年卒企業新卒採用活動調査
(図3)

出所:マイナビ2022年卒企業新卒採用活動調査

参加したインターンシップの開催形式(WEBと対面)/マイナビ2022年卒大学生広報活動開始前の活動調査
(図4)

出所:マイナビ2022年卒大学生広報活動開始前の活動調査

23卒からWEBインターンシップ実施企業が増加

上記のように昨年の経験を経て知見やノウハウが蓄積され、23年卒においては最初からWEBでのインターンシップを実施する企業が増えている。また、昨年よりも出社制限が解除されている企業も増えおり、必ずしも「対面は中止」というのではなく、感染予防対策をしながら対面で実施することも許容されているという状況もインターンシップ実施の後押しになっていると思われる。

昨年も見られたが「プログラムをWEBで実施するようには変換しづらい」「現場に入らないと実務体験は困難だ」という意見もあり、23年卒においてはその内容によってWEBと対面を使い分ける傾向がみられるようになった。22年卒は対面でのインターンシップが中止されることも多かったため、WEBで実施しやすいワークや講義、社員との交流が主流だったが、23年卒ではWEBで実施しやすいプログラムが残った状態で、現場で実施する対面でのプログラムも増えていることがわかる。また、WEB、対面いずれも「こちらの形式では実施しない」が1割に満たない点にもその傾向が反映されていると言えるだろう(図5)。

開催形式別インターンシップの内容(対面・WEB)/マイナビ2022年卒企業新卒採用活動調査
(図5)

出所:マイナビ2022年卒企業新卒採用活動調査

学生のインターンシップ参加率は前年よりも10.2ptアップの44.4%(7月時点)

企業側が実施できている、ということは学生の参加機会が増えているということであり、7月のインターンシップ参加率は昨年よりも10.2pt増加の44.4%となった(図6)。インターンシップに応募したことのある割合はすでに90.5%となっており、8月は参加率がより高くなるだろうと予想される(図7)。

インターンシップの参加率/マイナビ 2023年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(7月)
(図6)
インターンシップに応募した割合/マイナビ 2023年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(7月)
(図7)

先ほど、WEB開催のインターンシップが市民権を得たことが、コロナ禍でのインターンシップ実施を容易にした、と述べたが、実際に学生が参加したインターンシップもWEB形式のものが多かったようだ(図8)。しかしながら、学生は対面開催を望む割合も高く(図9)、またその内容に応じて、適した開催形式があると考えているようだ。(図10)。

参加したインターンシップの形式/マイナビ 2023年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(7月)
(図8)
インターンシップの形式、WEBと対面どちらがいいか/マイナビ 2023年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(7月)
(図9)
インターンシップで参加したいプログラム/マイナビ 2023年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(7月)
(図10)

(図6)~(図10)
出所:マイナビ 2023年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(7月)

先ほど、企業の予定に関して「WEBと対面を使い分ける予定だ」と述べたが、学生側の希望も同じような状況だと言える。現在、全国的に新型コロナウイルスの感染者が増加している状況ではあるが、大学の夏休みは8~9月となるのが一般的だ。夏休みも半分が過ぎたところではあるが、今後、感染予防対策を行いながら、学生が「職場体験」という貴重な経験ができることを祈るばかりだ。

キャリアリサーチLab主任研究員 東郷こずえ

関連記事

コラム

インターンシップに参加しまくっている大学生と
ほとんど参加していない大学生でライフスタイルに違いはあるのか

コラム

問われたのはオンラインとリアル双方のインターンシップの在り方(第4回学生が選ぶインターンシップアワード開催報告)

研究レポート

インターンシップを行う企業側・学生側双方のメリット
—3つのポイントを解説