2025年卒企業新卒採用活動調査
- 学部卒生の総合職採用で、初任給を引き上げた企業は84.4%で、前年比14.4pt増加
- 就職活動での学生の生成AIの活用については約6割の企業が前向きな反応
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、「マイナビ2025年卒 企業新卒採用活動調査」を発表しました。
目次
トピックス
- 学部卒生の総合職採用について初任給の引き上げを行った企業が84.4%で、前年より14.4pt増加。引き上げ幅は「1万円~2万円未満」が最多。
- 学生が就職活動に生成系AIを利用している実感がある企業は、前年の約3倍の12.3%に。
- 就職活動における生成系AIの活用について前向きな企業は約6割で、前年より増加。
- 「学生を通じて保護者の意向を確認している」という企業は13.5%。
調査詳細
2025年卒のインターンシップ・仕事体験実施状況について
- 2025年卒向けのインターンシップ・仕事体験の実施率は61.3%。コロナ禍前を上回り過去最高の割合に
インターンシップの実施率は61.3%で3年連続の増加となり、コロナ禍の影響を受ける前の21年卒(56.9%)を前年に引き続き上回り、調査開始以来もっとも高い実施率となった。【図1】
インターンシップの問題点は前年同様に「母集団(エントリー数)の不足」がもっとも多く65.9%で、前年より3.6 pt増加した。【図2】
学生の参加状況をみると応募・参加割合ともに高い水準を保っているが【図3】、企業の実施率も増えているために依然として参加学生の獲得競争が激しくなっていると考えられる。
採用活動における問題点
- 6月時点での採用充足率「5割以上」の企業は40.0%
6月時点の採用充足率(=採用予定数に対して現在採用が確定している割合)を聞いたところ、採用予定数の半数以上採用が確定している割合は40.0%(前年比0.5pt増)で、23年卒以降2年連続で減少していたが増加に転じた。【図4】
詳細を見ると「8割以上」が24年卒の19.0%から0.5pt増加している一方で「0割」も0.5pt増となっており、採用充足に差が広がっている様子がうかがえる。
採用予定数については22年卒から24年卒にかけて2年連続で「増やす」が増加していたが25年卒は前年比減となった(文系:前年比4.4pt減、理系:前年比4.7pt減)。【図5】
採用充足率が年々低くなるなか、採用予定目標数はこれ以上増やせない状態まで達したことで、これを前年並みとした企業が増加し、採用目標数が据え置かれたと推測される。その結果として採用目標数に対する期待値の調整が働き、採用充足率が改善した可能性がある。
初任給引き上げについて
- 学部卒生の総合職採用について、初任給の引き上げを行った企業が84.4%で、前年より14.4pt増加
- 引き上げ幅は「1万円~2万円未満」が最多
初任給の引き上げについて聞いたところ、学部卒生の総合職採用について初任給の引き上げを行った企業は84.4%で、前年の70.0%から14.4pt増加した。【図6】
上場企業・非上場企業ともに8割を超える企業が初任給の増額を行ったと回答した。
引き上げ額でもっとも多かったのは前年は「5,000~1万円未満」(36.0%)だったが今年は「1万円~2万円未満(35.9%)」となり、引き上げ率とともに引き上げ幅も前年よりも大きくなっている。特に上場企業では「1万円~2万円未満」の割合が前年の約2倍となった。【図7】
採用活動におけるAI活用について
- 学生が就職活動に生成系AIを利用している実感がある企業は、前年の約3倍の12.3%に
新卒採用におけるAI活用について聞いたところ、学生が就職活動にAIを利用している実感がある企業は前年4.6%で、今年は12.3%となった。【図8】
学生調査では、就職活動で生成AIの利用経験がある学生は37.2%であり、学生の利用経験と企業の利用実感にはまだ差があることが分かる。【図9】
就活での生成系AI活用への意見
- 就職活動における生成系AIの活用について前向きな企業は約6割で、前年より増加
就職活動において学生が生成AIを利用することについてどう思うか聞いたところ、もっとも多かったのは「使い方を慎重に検討したうえで活用してほしいと思う」の52.7%で、「積極的に活用してほしいと思う(5.0%)」とあわせて57.7%となり、半数以上の企業が活用に前向きな回答となった。【図10】
学生が生成AIを就職活動で活用することに対して、対応として何か検討していることがあるかを答えてもらったところ、もっとも多かったのは「対応の必要性を感じていないので対応する予定もない」(44.3%)であった。
学生の利用に対して約6割の企業が好意的であることもあり、これといった対応・対策を講じる必要性を感じていないという企業が多いようだが、「対応の必要性を感じているが、どう対応すべきか検討中」が24.3%で次いで多い回答であり、対応を検討している企業も一定数いる。【図11】
検討している対応としてもっとも多かったのは「面接での質問内容を工夫する(エントリーシートの内容とは異なる質問をする・深掘り質問をする等)」(21.3%)で、生成AIでエントリーシートを作成することを想定し、面接ではエントリーシートとは異なる角度から質問をしたり、深掘り質問をすることによって学生の反応を確認しようと考えている企業もあるようだ。
学生の保護者向けのアプローチ(いわゆる「オヤカク」)
- 「学生を通じて保護者の意向を確認している」という企業は13.5%
学生の保護者に対して現在行っているアプローチがあるかを聞いたところ、「行っていない」という回答が72.5%となった。【図12】
行っているアプローチとしてもっとも多かったのは「学生を通じて保護者の意向を確認している」(13.5%)で、「学生を通じて保護者の内定同意を取り付ける」(2.9%)、「学生を通じて保護者の承諾書の提出を求める」(7.6%)、「保護者に直接連絡して意向を確認している」(0.4%)など、いわゆる「オヤカク」と言われるアプローチを行っているという回答も見られた。
保護者向けアプローチを行っていると回答した企業に対して、実施している意図や背景を聞いたところ、もっとも多かったのは「内定辞退対策として」(47.2%)で、「保護者の意見を重視する学生が多いと感じるから」(44.0%)が続いた。【図13】
保護者の意見を重視する学生が多いと感じるエピソードとしては「『両親から全国転勤のある会社への入社を反対された』という理由で内々定辞退へとつながった」や「地元に就職してほしいという親御さんの意見を汲み、泣きながら辞退の電話をしてきた学生がいた」のように保護者が学生の勤務地に関して意向があるケースや、「親からは公務員を勧められているが自分がやりたい仕事とは違うので迷っているという相談を受けた」のように子どもの就職先に公務員を希望するケース、「退職金が無いことに対して、ストップがかかった。
今やそういう会社は増えているが、親世代には浸透していない」のように保護者が会社の制度面に不安を抱いているというケースなどがコメントで寄せられた。【表1】
一方で「学生本人に聞くと、親からは自分の意志に任せられていると大抵答えるが、実際に理解を得るコミュニケーションがどれほど取れているかは中々見えてこない」や「本人の意志と反して親に反対されたので辞退しますと言われたことがある。
辞退の理由に親が使われているだけかもしれないが、最終決定権が親にある学生も珍しくない」のように、学生と保護者間のコミュニケーションが果たして十分なのか、内定辞退の理由が果たして本当に保護者の反対なのか、といった疑問を抱く声もあり、保護者向けアプローチの実施にはそうした疑問や懸念があることも推測できる。
調査担当者コメント
2025年卒は前年に引き続き激しい人材獲得競争が続いており、企業のインターンシップの実施率が過去最高値を更新したほか、8割超の企業が初任給を引き上げるなど、様々な取り組みが行われています。
採用充足率の微増は、こうした取り組みが功を奏した成果とみることができる一方で、採用難から多くの企業が採用予定目標数を据え置きしていることも想定されます。本来の採用目標に達していない可能性も考えられ、企業・学生ともに夏以降も引き続き活動が続く見込みです。
また学生の保護者に対してアプローチするなかで、保護者の意向や価値観とのすり合わせに難しさを感じる企業もあるようです。学生の意思決定に際して、催促ではなく寄り添う姿勢を示し、適切に情報提供することが求められているのかもしれません。
調査概要
内容 | 2025年卒マイナビ企業新卒採用活動調査 |
---|---|
調査期間 | 2024年6月3日~6月20日 |
調査方法 | 採用・育成・組織戦略に関するマイナビの情報メディア「HUMAN CAPITALサポネット」掲載のWEBフォームへ入力 |
有効回答数 | 3,157社(上場 255社・非上場 2,902社|製造 1,300社・非製造 1,857 社) |
※修正・更新
2024.10.04
pdfの132ページ「※参考※2024年卒の内々定者に対して実施予定の内定者辞退対策(2024年卒採用活動調査より)」に誤りがありましたので修正いたしました。ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございませんでした。
レポート内目次
PDFデータ内の主なトピックを記載しています。(一部抜粋)
- インターンシップ実施率/実施時期/内容【2025年卒】
- インターンシップ参加者の個別企業セミナー参加率
- インターンシップの問題点
- インターンシップ実施予定の有無/実施予定時期/実施予定内容【26年卒】
- インターンシップ実施日数/実施時期別の実施日数【25年卒・26年卒】
- 改正されたインターンシップの考え方について
- インターンシップ以外の広報活動前企業認知施策
- 採用予定数前年比較 エントリー数前年比較 応募状況の前年比較
- エントリーのあった学生の印象
- 3、4、5月に実施した採用に関する内容
- 個別企業セミナー開催月(今後の予定含む)/【対面】【WEB】
- 個別企業セミナー事前申込者の参加率/【対面】【WEB】
- 個別企業セミナー事前申込者の参加率前年比較
- 個別企業セミナーの参加者を増やすための工夫(実施したこと・実施してよかったこと)
- 個別企業セミナーで話した内容
- 面接以外の接触回数平均 (選考前、選考中、内々定出し後)
- 面接回数平均
- 個別企業セミナー参加者の選考参加率前年比較
- 内々定者1人当たりの面接時間
- 面接実施にあたり特に工夫していること
- 面接時に特に注視するところ
- 採用数確保に向けての感触
- 採用予定数に対して現在採用が確定している割合
- 採用活動終了予定時期
- 選考途中の辞退率/辞退が最も多かった時期
- 内々定承諾保留の希望割合
- 内々定辞退率/内々定の辞退が最も多かった時期
- 今年の採用活動において【企業認知】のために実施したこと
- 今年の採用活動において実施した【採用手法】/交通費の支給
- 現在の問題点
- 追加の選考機会を設けるか
- WEB活用について
- 採用活動のフェーズ別満足度
- 内々定者フォローについて
- 人事制度・採用広報について
- 新卒採用における「優秀さ」について
- 入社予定者の配属
- 書類・テストの利用目的
- 2026年卒の採用計画について
- 今後の新卒採用の在り方について(採用活動への学業成績の利用、地方学生の採用など)
- 採用活動におけるAI活用について
- 初任給について
- 採用業務への参画内容(人事・採用担当/社長/役員/現場社員)
- 入社後の長期定着を見据えた取り組み/効果を感じた取り組み
- 保護者向けアプローチ
詳しくは「PDFデータをダウンロードする」をご覧ください