2023年卒 入社半年後調査
- 勤務先の満足度が就活時より下降したのは、新社会人の40.1%
- 満足度には、インターンシップ参加有無や将来のキャリア展望が影響か
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、2023年卒業予定として就職活動を行い、その状況をモニター調査で回答した方を対象に、入社半年後の状況の追跡調査を実施し、「2023年卒 入社半年後調査 」を発表した。
目次
コンセプト
この調査の主な目的は「就職活動をした人の『その後』の状況」を知ることにある。入社半年後の新社会人の満足度やキャリア観についての調査を行い、さらに就職活動時の調査結果と比較することで、どのような変化があったのかを分析した。
本調査は19年卒を対象とした初回の調査から5回目となる。今回はZ世代と呼ばれる新社会人の価値観や、上司・社長についての印象について、さらに掘り下げている。
調査詳細
就活時から入社半年後の総合満足度の変化
- 勤務先の満足度が就活時より下降したのは、新社会人の40.1%
2023年卒社会人が就活時の入社予定先企業の満足度と、入社半年後現在の勤務先満足度を、それぞれ5段階で聞き比較。満足度が下降したのは40.1pt。【図1】
また満足度が高い4・5の回答は就活時入社予定先94.3%(対前年4.9pt増)から、入社半年後現在勤務先79.1%(対前年5.2pt増)と、15.2pt減少した。【図2】
現在の勤務先のインターンシップに参加したか
- 勤務先満足度が高い層・低い層の特徴1.インターンシップ・仕事体験
インターンシップ・仕事体験の参加有無別に入社半年後の勤務先満足度を見ると、勤務先満足度4・5の回答者割合はインターンシップ参加者層は80.2%、不参加者層は71.2%と、9.0ptの差があることが分かった。【図3】
現在の勤務先のインターンシップ・仕事体験の参加回数、参加日数で比較すると、いずれも多い方が満足度が高い回答が多い結果となった。参加回数について、勤務先満足度の高い4・5の回答率は、「1回だけ参加(75.8%)」では「不参加(71.2%)」と比較して+4.6ptの微増にとどまるが、「2回以上参加(85.4%)」では+14.2ptと大きく増加する。【図4】
また、参加日数では、「1日(76.7%)」は「不参加(71.2%)」と比較して+5.5ptの微増となり、「2日以上(82.6%)」では+11.4ptと大きく増加する。【図5】
インターンシップ・仕事体験の参加有無によって入社後の満足度に差がでること自体は想像に難くない結果であるが、インターンシップ・仕事体験の参加が1回・1日のみでは大きな差がつかないことがわかった。
労働条件・職場環境の満足度・能力を活かせるか・社員の印象と帰属感・経営者の印象・将来のキャリア展望・比較検討
- 勤務先満足度が高い層・低い層の特徴2.キャリア展望とロールモデル
入社半年後現在の勤務先の総合的な満足度に加え、「労働条件、職場環境の満足度」「能力を活かせるか」「社員の印象と帰属感」「経営者の印象」「将来のキャリア展望」「比較検討」の6つについて5段階で聞いた。【図6~11】
総合的な満足度と最も相関があったのは、「将来のキャリア展望」の項目となった。「将来のキャリア展望」を実現できそう(4・5)と回答したうちの総合満足度が高いグループは95.0%だった一方、実現できそうにない(1・2)と回答したうちの総合満足度が高いグループは23.2%と、回答者割合に差がついた。
※グラフでは1・2の低グループ、4・5の高グループにまとめて集計
「人生100年時代」に向けた今後の働き方
「人生100年時代」に向けた今後の働き方として、2023年卒社会人の考えに近いものを聞いたところ、44.7%(対前年1.9pt増)が「ワークライフバランスを重視してそこそこ働ければいい」と回答。昇進意欲を聞いた「ある程度昇進して、管理職として仕事をしていきたい」は21.7%(対前年2.4pt増)であった。
また「お金を貯めて早期退職し悠々自適に暮らしたい」31.2%(対前年3.7pt増)、「早期リタイア・FIREしたい」12.5%(新設)など、新しいキャリア観を持つ新社会人も一定数存在していることがわかった。【図12】
新社会人からみた上司の印象
現在の配属先での上司について、まず印象を聞いてみると、「良い上司だ」という回答が69.7%という結果となった。(※本配属の都合などで上司との接点がほとんどなくわからない人を除く)【図13】
新社会人からみた上司の印象は概ね良好であることがわかった。また上司のスキル・資質など、11の項目について聞くと、うち10の項目で7割以上がポジティブな回答となった。
特に多かったのは、【能力】「仕事ができる」(88.4% )、【リーダーシップ】「決断力・判断力がある」(87.4% )、【指導方法】「適切な指導をしてくれる」(83.0% )などである。最も低かったのは【キャリア】「キャリアの相談に乗ってくれる」(59.9%)で、唯一7割を下回る結果となった。【図14】
入社後のギャップ
現在の勤務先で働いてみて思ったこと(入社を決めた時とのギャップ)を21のネガティブな項目について聞いたところ、上位の回答は昨年と順位が変わらず、[思ったより給料が少ない]26.2%(対前年5.6pt減)、[体質が古い]23.4% (対前年4.9pt減)、[残業が多い]19.6%(対前年1.0pt減)などが挙がった。【図15】
ただし19の項目で昨年よりも回答率が減少しており、ネガティブなギャップが改善されていることが分かる。特に大きく改善したのは[思ったより給料が少ない]26.2%(対前年5.6pt減)で、初任給の引き上げを行った企業も多かったことも一因であろう。
一方で増加した2項目は[業績が悪い]9.3%(対前年4.5pt増)、[女性が活躍するための環境が整っていない]5.6%(対前年1.7%増)である。業績については、2023年度上半期は物価高や円高、人件費の高騰や不安定化した国際情勢などを受けた企業もあり、新入社員もその影響を感じとっていることがうかがえる。
女性が活躍するための環境については大幅な増加ではないものの、経年での改善は見られず、引き続き環境整備が必要であると言えるだろう。
※[今後のキャリアイメージが湧かない]13.7%は2023年卒で追加した選択肢
転職意向
転職について今どのように考えているかを聞くと、[1年以内の転職を考えている]4.0%、[3年以内の転職を考えている]11.2% 、[10年以内の転職を考えている]12.3% 、[いつかはイメージできていないがいずれ転職をしたいと考えている]29.7%と、順に回答率が高くなる結果となった。 【図16】これらをまとめると、「転職を考えている」のは、57.2%と約6割に上る。【図17】
入社半年後現在の勤務先の総合満足度別に、転職意向を調べた。満足度が低い1・2の回答者のうち、「転職を考えている」のは95.9%であった。一方で満足度が高い4・5の回答者についても、「転職を考えている」のは48.8%と約半数に及び、十分多い割合であると言えるだろう。【図18】
勤務先の満足度が低ければ当然転職も考えるし、満足度が低くなくても転職を考えないわけではないようだ。新社会人があくまで現在の勤務先をファーストキャリアとして、次のステップを考えていることがうかがえる。
あなたの「新社会人生活」(勤務先に入社してから今まで)を漢字一文字で表すと
2023年卒新社会人に、今の勤務先に入社してから現在までの社会人生活を漢字一文字で表すと何かを聞くと、最も多かった漢字は「楽」(昨年2位)となった。次いで「学」「忙」が同率2位、「苦」が4位となった。
ポジティブな意味の漢字が昨年よりもランクアップしていることから、今年の新社会人が今の生活に前向きな様子がうかがえる。また昨年はBEST10になかった「充」「激」も新たにランクインしている。「今まで生きてきた中で最も充実した生活を送れているため」といった回答もあり、コロナ禍を経ての社会人生活となったためか、学生時代以上の変化を感じている人もいるようだ。
また彼らの就活時に、自分の就職活動を漢字一文字で表すと何か聞いた際にも、1位となった漢字は「楽」だった。その漢字を選んだ理由として、「就職先で働くのが楽しみ」といった回答もあり、実際に就職して半年が経ち、その前向きな気持ちが継続されているのであれば喜ばしい。
23卒 順位 |
22 卒 |
漢字 | 理 由 |
1 | 2 | 楽 |
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2 | 3 | 学 |
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2 | 1 | 忙 |
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4 | 4 | 苦 |
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5 | 5 | 変 |
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6 | 6 | 辛 |
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7 | 7 | 新 |
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8 | – | 充 |
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9 | 9 | 疲 |
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10 | – | 激 |
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10 | 8 | 難 |
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調査者担当者のコメント
2023年卒新社会人のキャリア観として、ワークライフバランスを重視する傾向や早期離職の希望など、Z世代の特徴がみられる結果となりました。ただ、今の仕事に対しては前向きに考えている印象です。
新入社員の生活を表す漢字一文字としては「楽」が1位となり、また上司に対してポジティブな印象を持っている人も多いようです。勤務先で働いてみて思ったネガティブなギャップについては、昨年より改善がみられました。新社会人のポジティブなエネルギーを、組織や社会に還元してくれることを期待したいと思います。
有効回答数内訳 | 文系男子 | 文系女子 | 理系男子 | 理系女子 | 総計 |
人数 | 128 | 206 | 185 | 208 | 727 |
有効回答数内訳(理系) | 就活時理系学部生 | 就活時理系院生 |
人数 | 201 | 192 |
調査概要
内容 | マイナビ 2023年卒 入社半年後調査 |
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調査期間 | 2023年10月25日(水)~2023年10月31日(火) ※就職活動時のデータの調査期間「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査」 「5月の活動状況」:2022年5月25日(水)~2022年5月31日(火) 「6月の活動状況」:2022年6月27日(月)~2022年6月30日(木) 「7月の活動状況」:2022年7月25日(月)~2022年7月31日(日) 「8月の活動状況」:2022年8月25日(木)~2022年8月31日(水) ※前年データの調査期間 「マイナビ 2022年卒 入社半年後調査」:2022年10月25日(火)~2022年10月31日(月) |
調査対象 | 2023年卒業予定として就職活動を行い、その状況をモニター調査で回答した方を対象とした追跡調査 |
調査方法 | WEB上のアンケートフォームより入力 |
有効回答数 | 727名 |
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