2022年度 就職活動に対する保護者の意識調査
- 就職活動で話題になる言葉への認知度では、「お祈り」「終活」に続き「勤務地ガチャ・配属ガチャ」も上位に
- 教育資金への補助としてあったよかったものとして「所得制限なしの国からの支援」や「返済不要の奨学金」などの声
株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、「大学4年/大学院2年以上で今年就職活動を終えた、もしくは現在活動中」の子供を持つ保護者1,000名を対象に「就職活動に対する意識調査」を行いました。
目次
調査詳細
子供の就職活動環境への知識
- 子供の就職活動について「知っていた」と答え割合は約6割
子どもの就職活動環境への知識について「知っていた」(「よく知っていた」と「そこそこ知っていた」の合計は59.7%で、前年比0.7pt減ながらほぼ前年と同水準となった。【図1】
就職活動で話題になる言葉について知っているもの
- 就職活動で話題になる言葉への認知度では「勤務地ガチャ・配属ガチャ」も上位に
また、就職活動で話題になる言葉をいくつか提示し、知っているものを選んでもらったところ、最も多かった「知っているものはない」を除くと、「お祈り」「終活」「勤務地ガチャ・配属ガチャ」が上位になった。【図2】
「お祈り」は、選考に落ち企業から不採用通知がくること、「終活」は就職活動を終えるための活動、特に入社予定先以外の企業に対して内定辞退の連絡をすること、といった意味として使われる。「勤務地ガチャ・配属ガチャ」(今年から追加した選択肢)は、入社後の勤務地や所属部署、配属先が自身の希望通りになるかどうかを不安視する学生の心情を表す言葉である。
「マイナビ 2023年卒大学生活動実態調査(6月)」(2022年6月実施)にて、半数以上の学生が「勤務地・職種ともに自分で適性を判断して選びたい」と回答したという結果もあるが、学生のそうした志向を背景に生まれたとされる言葉が、保護者側にも一定の知名度を得ていることがわかる。
子供が全国転勤のある会社に就職を希望した場合に賛成か反対か
- 子供が全国転勤のある会社に就職を希望したと仮定した場合「反対」する保護者が約3割
子供が全国転勤のある会社に就職を希望したと仮定した場合、賛成したと思うか、あるいは反対したと思うかを聞いたところ、最も多かったのは「どちらともいえない」(55.3%)であったが、「反対」と回答した保護者は29.6%と約3割に上り、「賛成」は15.1%にとどまった。【図3】
就職先の全国転勤の有無は、学生本人(子ども)のライフプランにとっても非常に重要だが、保護者にとっても懸念となっていることがわかる。子供の男女別(息子か娘か)で見ると、娘を持つ保護者の方が反対と回答する割合が高い。
子供が入社する企業について良いと思う特徴は?
- 子供の入社する企業に求める特徴は「経営が安定している」が前年同様最多に
子供が入社する企業についてどのような特徴があると良いかを聞いたところ、最も回答が多かったのは前年度と同様「経営が安定している」(48.8%)であった。【図4】
項目の順位は前年から大きな変化はないが、「福利厚生が充実している」(16.4%/前年比3.2pt増)、「給与や賞与が高い」(12.8%/前年比2.7pt増)の増え幅が他の項目と比較して大きく、福利厚生や収入・待遇といった面での充実を望んでいることがわかる。
学生の企業選択のポイント
なお「マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査」(2021年12月~2022年3月調査)によると、学生(子供)側が企業選択にあたって重視するポイントも「安定している会社」であることが1位であり、「勤務制度、住宅など福利厚生の良い会社」(11.4%)や「給料の良い会社」(19.1%)など、保護者側の希望と共通している項目が上位に入っている。【図5】
子供に働いてほしい企業
- 子供に入ってほしい企業1位は「公務員」
- 民間企業では「トヨタ自動車」「ソニー」「NTT」などが上位に
子供に入社してほしい企業を自由記入してもらったところ(有効回答515)、最も回答が多かったのは「公務員」(※官公庁、地方自治体など)であった。【図6】
民間企業としての1位は「トヨタ自動車」であり、その他「ソニー」「NTT」「パナソニック」などが続いた。業種としては、IT・通信業(NTT、グーグル)、製造業(ソニー、パナソニック、サントリー、味の素、武田薬品工業)、総合商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事)などに集中した。
航空業(全日本空輸)の人気も根強い。学生(子供)側の就職企業人気ランキングと共通する企業名もあるが、学生側にランクインしている生命保険・損害保険業や出版業などが保護者側のランキングにはないなど、人気企業について保護者と子供の間で違いが見て取れる。
子供の大学選びで重視したこと
- 子供の大学選びで重視したことは「子どもの関心に合うかどうか」が最多
- 「進学に懸かる費用」などは前年比より増加
子供の大学選びで重視したことを回答してもらったところ、「大学選びは子供に任せていた/特に重視したことはない」を除くと最も多かった回答は前年同様で「子供の興味や関心に合うかどうか」(29.0%)で前年比0.5pt増であった。
その他、「就職に強い大学や学部であること」(16.1%/前年比1.5pt増)、「資格が取得できる大学や学部であること」(15.9%/0.2pt増)、「子供が就きたい職業に直結した勉強ができるか」(12.8%/前年比0.9pt増)などが前年比で増加している。
今年より選択肢に追加した「専攻・学部(専門性が身に付くかどうか)」も11.0%の回答があり、就職や職業との関りを意識した項目が目立つ。【図7】
また、「進学にかかる費用すべて」(12.9%/前年比3.2pt増)、「大学の授業料」(9.8%/前年比0.1pt増)といった進学費用、授業料といった支出に関する項目も増加している。
教育資金についてどのような補助があればよかったか
- 教育資金への補助としてあったよかったものとしては「大学の授業料の減免」や「所得制限なしの国からの支援」「返済不要の奨学金」といった意見が多数
進学費用や授業料などの教育資金について、どのような補助があればよかったと思うか自由回答してもらったところ、「授業料の無償化」「授業料がとても高いので、真面目に学業に励んである学生に対しては、もっと国の支援があれば助かったのですが…今後は、もっと将来の日本を支えてくれる若者に、投資して欲しいですね」のように、授業料の無償化や国による支援を求める声も見られた。
また「国からの支援。所得制限なし。平等均一な支援」や「家族の収入に左右されない一律の大学授業料の補助」のように、所得制限のない補助や支援を求める意見もあった。また奨学金に関する意見も多く見られ、「返済不要の奨学金」「給付型奨学金の対象拡充」を求めるもの、「返還する負担が、大きいのではないかと将来に不安がある」と奨学金返済への不安についてのものなどがあった。【表1】
保護者性別 | 内容 |
---|---|
男性 | 授業料の無償化 |
女性 | 教材の無償化 |
女性 | 大学で学びたいという事が贅沢ではないような世の中になって欲しい。とにかく入学金、授業料をもう少し安くして欲しい。 |
女性 | 授業料がとても高いので、真面目に学業に励んである学生に対しては、もっと国の支援があれば助かったのですが…今後は、もっと将来の日本を支えてくれる若者に、投資して欲しいですね。 |
男性 | 国からの支援。所得制限なし。平等均一な支援。 |
女性 | 家族の収入に左右されない一律の大学授業料の補助 |
男性 | 返済不要の奨学金 |
女性 | 給付型奨学金の対象拡充 |
奨学金に関する状況・考え方
- 奨学金の返済は「子供の将来に大きな負担になると思う」という回答が85.0%
子供の教育資金を準備する際、貸与型の奨学金を利用したと回答した保護者に対し、奨学金に関する状況・考え方を聞いた。「奨学金の返済は、子どもの将来に大きな負担になると思うか、そう思わないか」を聞いたところ、「負担になると思う」(「A.負担になると思う」と「どちらかというとA」の合計)は85.0%となった。【図8】
教育資金への補助金に関するコメントにでも奨学金に関するものが多く見られたが、多くの保護者が、奨学金の返済が子供の将来に対して負担としてのしかかることを懸念していることがわかった。
就活や日頃のコミュニケーションにおいてZ世代らしさを感じたエピソード
- 「キャリアセンターともSNSでやりとりして無駄なく就活」や「足を使って説明会に赴くのは最小限」「出世よりも休みを重視」などの声
子供がいわゆる「Z世代」という年代に属することに関連して、子供の就職活動や日頃のコミュニケーションにおいて「Z世代らしさ」を感じることがあったかを聞いた。【表2】
【表2】就職活動や日頃のコミュニケーションを通じて、Z世代らしさを子供から感じたエピソード(自由回答)保護者性別 | 内容 |
---|---|
女性 | 何でもスマホでさっと調べ、行動する |
女性 | キャリアセンターともSNSでやりとりして、無駄なく就職活動していた |
女性 | 情報収集がインスタやTikTokであること |
女性 | 最後まで会社に行かない活動が多かったのですが、オンラインの方が楽でいいと本人が言っていた。私なら不安になるかもと思いました |
女性 | 足を使って説明会などに赴くのは最小限で、オンラインや先輩OB等との懇親会も、ネットを通じて行っていた所が、世代を感じました |
女性 | 出世ややりがいを1番には考えず、休みがある程度保証される職場を選んだこと。 |
女性 | 長時間労働や休日出勤は古くてダサいと断言している |
男性 | 給与水準のあまり固執していないように見える |
Z世代の特徴の1つとしてインターンシップやSNSを通じて大量の情報と接しているデジタルネイティブ、SNSネイティブであることがあげられるが、「何でもスマホでさっと調べ、行動する」や「情報収集がインスタやTikTokであること」「キャリアセンターともSNSでやりとりして、無駄なく就職活動していた。」のように、スマートフォンやSNSを駆使して情報収集している様子が寄せられた。
その中で「日頃からLINEなど非対面で、短い文章ばかりのやりとりをしているので、エントリーシートの文章や面接の受け答えが、平坦で抑揚がなく、下手だなと思った」と表現力について心配するコメントもあった。
オンラインツールを使いこなす様子についてもコメントがあり、「面接がほぼオンラインでも問題なく、逆にその方が良い印象」「足を使って説明会などに赴くのは最小限で、オンラインや先輩OB等との懇親会も、ネットを通じて行っていた所が、世代を感じました」といった声もあった。
また、就職への意識については「出世ややりがいを1番には考えず、休みがある程度保証される職場を選んだこと」や「長時間労働や休日出勤は古くてダサいと断言している」のように、ワークライフバランスを重視する様子がうかがえるコメントも寄せられた。
調査概要
内容 | 就職活動に対する保護者の意識調査 |
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調査期間 | 2023年1月18日~2023年1月19日 |
調査対象 |
株式会社クロス・マーケティングのモニターで、大学4年/大学院2年以上で今年就職活動を終えた、もしくは現在活動中の子供を持つ保護者を対象 |
調査方法 | Web上のアンケートフォームより入力 |
有効回答数 | 1,000名 |
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