2024年卒企業新卒採用活動調査

  • 学部卒生の総合職採用で、初任給を引き上げた企業は70.0%
  • 就職活動での生成系AIの活用については「使い方を慎重に検討し、活用してほしい」企業が41.2%

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、「マイナビ2024年卒 企業新卒採用活動調査」を発表しました。

トピックス

  • 6月時点で採用充足率が「5割以上」の企業は39.5%で、コロナ禍初年度の2021年卒を下回る結果に
  • 現時点での企業の問題点について、7割が「母集団(エントリー数)の不足」と回答
  • 学部卒生の総合職採用について、初任給の引き上げを行った企業が7割。理由は「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため」が53.0%で最多
  • 学生が就職活動に生成系AIを利用している実感がある企業は4.6%と少数派に
  • 就職活動における生成系AIの活用について「使い方を慎重に検討した上で活用してほしいと思う」企業が41.2%

調査詳細

2024年卒の採用活動状況について

  • 6月時点で採用充足率が「5割以上」の企業は39.5%で、コロナ禍初年度の2021年卒を下回る結果に

採用充足率

企業の2024年卒採用について、6月時点の採用充足率が「5割以上」は前年比4.8pt減の39.5%で、新型コロナウイルスの影響が大きかった2021年卒の40.9%を下回った。

インターンシップの実施有無別に見ると、インターンシップを実施した企業で採用充足率が「5割以上」は50.1%たったが、実施しなかった企業は「0割」が53.5%となった。就職活動の準備期間に学生と十分な接点を持てたかどうかが採用充足率に影響する一つの要素となっているようだ。【図1】

【図1】 採用充足率/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査
【図1】 採用充足率/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査

採用活動における問題点

  • 現時点での企業の問題点について、7割が「母集団(エントリー数)の不足」と回答

採用活動における現時点での問題点を聞いたところ、「母集団(エントリー数)の不足(70.0%)」が2年連続で増加した。2022年卒(34.4%)と比較するとの2倍以上増加しており、直近2年で「母集団の不足」が企業にとって深刻な課題となっていることが分かる。【図2】

【図2】採用活動における現時点での問題点(複数回答、上位抜粋)/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査
【図2】採用活動における現時点での問題点(複数回答、上位抜粋)/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査

エントリー社数とインターンシップ参加社数

学生のインターンシップの平均参加社数は増加傾向で、学生は就職活動の準備期間から既に応募する企業を絞り込んでいる。そのため、エントリー平均社数は年々減少して、企業にとっては母集団の不足に繋がっていると推察できる。【図3】

【図3】エントリー社数とインターンシップ参加社数の平均/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査
【図3】エントリー社数とインターンシップ参加社数の平均/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査
平均エントリー社数:マイナビ学生就職モニター調査 3月の活動状況(2020年卒~2024年卒のデータを元に作成)
インターンシップ平均参加社数:マイナビ2024年卒大学生広報活動開始前の活動調査
     

初任給引き上げについて

  • 学部卒生の総合職採用について、初任給の引き上げを行った企業が7割
  • 理由は「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため」が53.0%で最多

初任給の引き上げ実施有無と引き上げ額

学部卒生の総合職採用で初任給の引き上げを行った企業は70.0%、引き上げ額が最も多かったのは5,000円~1万円未満で36.0%だった。【図4、5】

【図4】<総合職・学卒生について>初任給の引き上げ実施有無/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査
【図4】<総合職・学卒生について>初任給の引き上げ実施有無/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査
【図4】<総合職・学卒生について>初任給の引き上げ実施有無/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査
【図5】<初任給の引き上げを行った企業限定>初任給の引き上げ額/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査

初任給の引き上げを行った理由

引き上げの理由は「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため(53.0%)」が最多で、次いで「求職者へのアピールのため(48.8%)」となった。また、上場企業では全体と同じく「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため(63.0%)」が最も多いが、2位は「定着率を高める・離職を防ぐため(44.1%)」となっている。

採用競争が激しくなっている就活生へのアピールはもちろん、従業員全体の定着率向上・離職防止も意識しながら給与制度の見直しを行った企業が多かったようだ。【図6】

【図6】<初任給の引き上げを実施した企業限定>初任給の引き上げを行った理由(複数回答) /マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査
 
【図6】<初任給の引き上げを実施した企業限定>初任給の引き上げを行った理由(複数回答) /マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査
 

採用活動におけるAI活用について

  • 学生が就職活動に生成系AIを利用している実感がある企業は4.6%と少数派に

新卒採用におけるAI活用について聞いたところ、学生が就職活動に生成系AIを利用している実感がある企業は4.6%にとどまった。学生調査※1では、就職活動で生成系AIの利用経験がある学生は18.4%だったため、学生の利用経験と企業の利用実感には差があることが分かる。

学生の活用方法については「文章の添削・校正に使っている」「ひな形になる文章を作成してもらう」などが挙がり※2、学生はあくまで補助的なツールとして活用しており、利用実態と企業の実感に差があることがうかがえる。【図7】

【図7】学生がAIを活用して就職活動している実感はあるか/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査
【図7】学生がAIを活用して就職活動している実感はあるか/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査

※1:2024年卒大学生活動実態調査 (5月)より
※2:2024年卒 学生就職モニター調査 5月の活動状況より

就活での生成系AI活用への意見

  • 就職活動における生成系AIの活用について「使い方を慎重に検討した上で活用してほしいと思う」企業が41.2%

企業に就職活動で学生が生成系AIを利用することについて聞いたところ、最多の回答は「使い方を慎重に検討したうえで活用してほしいと思う」の41.2%だった。【図8】

【図8】学生が就職活動において生成系AIを活用することについて/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査
【図8】学生が就職活動において生成系AIを活用することについて/マイナビ2024年卒企業新卒採用活動調査

学生が就職活動にAIを利用することについてどう思うか

自由回答をみると、「面白い使い方をした学生がいれば評価したい」「効率化のために上手に使用することは推奨する」など、AIを使いこなすスキルとして好意的捉えるコメントも挙がった。

一方で、「面接等で実際に話した際に齟齬のある発言をしてしまう可能性がある」「入社がゴールではないので自分を誇張しないように配慮して使用してほしい」など、“選考に通過できそうな選考書類の作成”を目的としたAI活用をすることで、就活生本人の意見と乖離した内容にならないように注意してほしいという旨のコメントが見られた。【図9】

【図9】学生が就職活動にAIを利用することについてどう思うか(自由記述)
業種   AI利用について 学生が就職活動に生成系AIを利用することについて思うこと
サービス・インフラ 積極的に活用してほしいと思う 企業も使っているので学生も積極的に使ってよいと思う。むしろ、面白い使い方をした学生がいたら、スキルを評価したい
製造(建設除く) 使い方を慎重に検討したうえで活用してほしいと思う クリエイティブな職種ではないため、生成系AIを用いて自己PRや志望動機を作成することに対して抵抗はないが、余程対策していないと面接等で実際に話した際にESの内容と齟齬がある発言をしてしまう可能性があるので、その点には注意して欲しい。あくまで補助的なツールとして使用するのにとどめて欲しいとは感じる。
サービス・インフラ 使い方を慎重に検討したうえで活用してほしいと思う 効率化のために上手に使用することは推奨しますが、本人の文書作成能力を確認する何かしらのフェーズを選考フローに追加する必要もあるように感じます。(入社後に機密情報などを含む文書をAI作成させる訳にはいかないため、本人の文書作成能力も確認したい)
製造(建設除く) 使い方を慎重に検討したうえで活用してほしいと思う 各企業に対して同じ内容(ゼミナールや部活動)の入力には向いていると思う。しかし、企業に対しての感情や熱意を伝える場合は、拙い文章でいいので自分で考えてほしい。
サービス・インフラ 使い方を慎重に検討したうえで活用してほしいと思う 入社がゴールではないので、自分を誇張しないよう十分に配慮をして使用してもらいたい。
製造(建設除く) 就職活動には利用しない方がよいと思う 生成系を含め、就活を完全にAIに委ねることには反対。部分的な利用(自己分析などに使う)なら、必ずしも悪いとは言い切れないかもしれない。

調査担当者コメント

2023年卒に引き続き、多くの企業でエントリー数不足が問題となっていることが分かりました。企業の採用意欲は高まる一方で確実に若者の人口減少は進み、“なるべく多くの母集団を確保して、入社してほしい学生を見極める”という選考方法には変革が求められているのかもしれません。

また、学生はエントリーする企業を絞り込む傾向が強くなっていますが、準備期間中の限られた情報のみで受験企業を選定してしまうことにより、視野が狭くなってしまわないように注意が必要です。企業は今まで以上に一人の学生との出会いを大事にしていくことが求められていると思います。

調査概要

内容 2024年卒マイナビ企業新卒採用活動調査
調査期間 2023年6月2日~6月20日
調査方法 採用・育成・組織戦略に関するマイナビの情報メディア「HUMAN CAPITALサポネット」掲載のWEBフォームへ入力
有効回答数 3,113社(上場 265社・非上場 2,848社|製造 1,223社・非製造 1,890 社)

レポート内目次

PDFデータ内の主なトピックを記載しています。

  • インターンシップ実施率/実施時期/内容【2024年卒】
  • インターンシップ参加者の個別企業セミナー参加率
  • インターンシップの問題点
  • インターンシップ実施予定の有無/実施予定時期/実施予定内容【2024年卒】
  • インターンシップ実施日数/実施時期別の実施日数【2024年卒・2025年卒】
  • 改正されたインターンシップの考え方について
  • インターンシップ以外の広報活動前企業認知施策
  • 採用予定数前年比較
  • エントリー数前年比較
  • 応募状況の前年比較
  • エントリーのあった学生の印象
  • 3、4、5月に実施した採用に関する内容
  • 個別企業セミナー開催月(今後の予定含む)/【対面】【WEB】
  • 個別企業セミナー事前申込者の参加率3、4、5月/【対面】【WEB】
  • 個別企業セミナー事前申込者の参加率前年比較
  • 個別企業セミナーの参加者を増やすための工夫(実施したこと・実施してよかったこと)
  • 登壇者別の個別企業セミナーで話した内容
  • 個別企業セミナー1回あたりの所要時間
  • 面接以外の接触回数平均 (選考前、選考中、内々定出し後)
  • 面接回数平均 
  • 個別企業セミナー参加者の選考参加率前年比較
  • 内々定者1人当たりの面接時間
  • 面接実施にあたり特に工夫していること
  • 面接時に特に注視するところ
  • 採用数確保に向けての感触
  • 採用予定数に対して現在採用が確定している割合
  • 採用活動終了予定時期
  • 選考途中の辞退率/辞退が最も多かった時期
  • 内々定承諾保留の希望割合
  • 内々定辞退率/内々定の辞退が最も多かった時期 
  • 今年の採用活動において【企業認知】のために実施したこと
  • 今年の採用活動において実施した【採用手法】
  • 現在の問題点
  • 追加の選考機会を設けるか
  • WEB活用について
  • 採用活動のフェーズ別満足度
  • 新型コロナウイルスによる影響
  • 内々定者フォローについて
  • 人事制度・採用広報について
  • 新卒採用における「優秀さ」について
  • 入社予定者の配属
  • 書類・テストの利用目的
  • 2025年卒の採用計画について
  • 今後の新卒採用の在り方について(採用活動への学業成績の利用、地方学生の採用など)
  • 採用活動におけるAI活用について
  • 初任給について

詳しくは「PDFデータをダウンロードする」をご覧ください

同一調査一覧

同カテゴリの調査一覧

最新調査更新日:2024.09.30

調査対象:
  • 企業
  • 個人
  • 学生
新卒採用 総括レポート

新卒採用について状況や見通しをまとめた総括
【主な項目】
新卒採用を取り巻く環境/広報活動開始前の活動状況/採用活動の予定と実際/内々定後のフォローと入社予定先の決定/今後の採用に向けて

最新調査更新日:2025.02.26

調査対象:
  • 企業
企業新卒採用予定調査

採用広報活動開始直前に行う採用予定の調査
【主な項目】
採用予定数(前年より増やす・減らす)/採用活動の見通し(前年より採用が厳しくなる・楽になる)/低学年向けキャリア形成支援活動の実施状況

最新調査更新日:2024.07.19

調査対象:
  • 企業
企業新卒採用活動調査

採用選考開始後に行う状況把握に関する調査
【主な項目】
応募状況の前年比較/個別企業セミナー参加者の選考参加率前年比較/内々定辞退率/内々定の辞退が最も多かった時期

最新調査更新日:2024.11.07

調査対象:
  • 企業
企業新卒内定状況調査

新卒採用の内定状況・次年度予定を聞いた調査
【主な項目】
採用充足率/内定者への満足度/今年度の採用スケジュールの振り返り/次年度の採用スケジュールの予定

最新調査更新日:2025.02.20

調査対象:
  • 学生
インターンシップ・就職活動準備実態調査

就職活動準備・インターンシップ等のキャリア形成活動に関する調査
【主な項目】
インターンシップ・仕事体験参加率/どのようなプログラムに参加したか/参加したインターンシップ・仕事体験先の業種

最新調査更新日:2025.03.11

調査対象:
  • 学生
大学生キャリア意向調査<就職活動・進路決定>

大学生の内々定状況や就職活動全般、進路決定に関する調査
【主な項目】
内々定率/内々定保有社数/就職活動継続率/月別の活動状況/エントリー・セミナー参加状況/内々定保有者の活動状況

最新調査更新日:2024.10.22

調査対象:
  • 学生
大学生活動実態調査

大学生の内々定状況を聞いた調査
【主な項目】
内定率/今後の活動方法/生成AI/内定式参加状況/収入と生活

最新調査更新日:2024.09.27

調査対象:
  • 学生
学生就職モニター調査

大学生モニターに就職活動の状況について聞いた調査
【主な項目】
月別の活動状況/エントリー・セミナー参加状況/理系の活動/就活費用/内々定保有者の活動状況/就活用語/就職活動を表す漢字一文字

最新調査更新日:2025.01.21

調査対象:
  • 学生
大学生低学年のキャリア意識調査

大学1、2年生のキャリア観や志向に関する調査
【主な項目】
キャリアの方向性/将来の不安/キャリア学習の効果/インターンシップ・仕事体験の経験

最新調査更新日:2025.01.27

調査対象:
  • 学生
大学生のライフスタイル調査

大学生のライフスタイルに関する調査
【主な項目】
アルバイト(仕事内容やアルバイト代平均額)/大学生活(キャリア教育履修状況や登校日数)/キャリア観(共働き希望や産休・育休取得希望)

最新調査更新日:2025.03.14

調査対象:
  • 学生
大学生就職企業人気ランキング

大学生に聞いた就職先企業の人気ランキング
【主な項目】
文系総合・理系総合ランキング/文理男女別ランキング/理系系統別ランキング/業種別ランキング/地域別ランキング

最新調査更新日:2024.04.16

調査対象:
  • 学生
大学生就職意識調査

大学生の就職観を聞いた調査
【主な項目】
就職観(楽しく働きたい、収入さえあれば良い…等)/企業志向(大手か中小か)/企業選択のポイント/行きたくない会社/海外志向

最新調査更新日:2024.05.09

調査対象:
  • 学生
Uターン・地元就職に関する調査

大学生に地元就職(Uターン就職含む)に対する考えを聞いた調査
【主な項目】
地元意識の違い/活動時期/交通手段/親・親族の影響/どうすれば地元で就職したいと思うか/地元以外の地域での就職

最新調査更新日:2024.05.16

調査対象:
  • 学生
大学生業界イメージ調査

大学生に業界イメージを聞いた調査
【主な項目】
インターンシップに参加したことのある業界/就職先として検討したことのある業界/志望業界の変化/各業界のプラスイメージ・マイナスイメージ

最新調査更新日:2025.02.17

調査対象:
  • 学生
大学生公務員のイメージ調査

大学生に公務員に対するイメージを聞いた調査
【主な項目】
公務員を志望する割合(国家公務員、地方公務員(都道府県、市区町村)、教員、警察官、消防官、自衛官)/試験対策/どうすれば公務員を志望するか

最新調査更新日:2024.11.26

調査対象:
  • 個人
既卒者の就職活動に関する調査

既卒者に就職活動について聞いた調査
【主な項目】
在学中の就職活動およびインターンシップ等の参加状況/在学中・卒業後での活動の変化/既卒者としての活動への悩み・苦労/内定状況

最新調査更新日:2024.09.30

調査対象:
  • その他
キャリア・就職支援への取り組み調査

大学におけるキャリア支援の実態に関する調査
【主な項目】
キャリア・就職ガイダンス/低学年次からのキャリア教育やインターンシップ等について/採用広報を目的とした学内企業説明会

最新調査更新日:2025.02.07

調査対象:
  • 個人
  • その他
就職活動に対する保護者の意識調査

就活生を子にもつ保護者に対する意識調査
【主な項目】
子供の就職活動への関心度/子供の行った支援・サポート/入社してほしい会社の特徴・業種・企業名/子供の内定企業から受けた連絡

最新調査更新日:2024.07.31

調査対象:
  • 学生
内定者意識調査

内定を保有している学生を対象に実施した意識調査
【主な項目】
内々定保有社数/入社意欲の高まるPR/インターンシップ・仕事体験の影響

最新調査更新日:2024.12.11

調査対象:
  • 個人
入社半年後調査

学生就職モニターのその後(卒業・入社半年後)を調査
【主な項目】
入社先への就活時満足度と現在の満足度/勤務先のインターンシップ参加状況/入社前後のギャップ/転職意向/新入社員生活を表す漢字一文字