マイナビ キャリアリサーチLab

Vol.4 自分らしさを大事にするZ世代の「身だしなみ」と仕事
—Z世代のリアル

はたらきかたラボ
著者
マイナビ転職「はたらきかたラボ」コラム担当
HATARAKIKATA LAB

はじめに

Z世代とは一般的に1996~2010年ごろに生まれた若者を指す言葉だ。今後、経済や文化、社会などさまざまな分野において中心になっていく世代ということで世界的に注目を集めている。

本シリーズではマイナビ転職Z総研の共同活動体である「はたらきかたラボ」で行った調査と座談会をもとに、さまざまなテーマから”等身大のZ世代”を明らかにしていきたい。第4回目となる今回は「身だしなみ」について取り上げる。アメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」によると、言葉に対して感情や態度が矛盾していた際に人が重視するポイントは上から順に視覚情報、聴覚情報、言語情報となり、見た目の重要度が高いことがわかる(※1)。そこで「個性」や「自分らしさ」を大切にすると言われている彼らは身だしなみについてどう考えているのか、調査してみた。
※1:1971年にアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した法則。ある言葉に対して感情や態度が矛盾していた場合に、人はそれをどう受け止めるのかを実験した。結果、言葉などの言語情報よりも声のトーンや大きさといった聴覚情報のほうが相手に伝わる影響力が大きく、さらに聴覚情報よりも仕草や表情といった視覚情報のほうが影響力が大きいことがわかった。伝わる割合は言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%となっていることから「7-38-55ルール」や、頭文字をとって「3Vの法則」と呼ばれることもある。

身だしなみを気にするのは自分のため? 相手のため?

はじめに「普段、職場や学校での”身だしなみ”でもっとも意識していることは何ですか?」と尋ねたところ、1位は「髪型」で37.1%、2位が「メイク」で28.6%、3位が「服装」で11.7%という結果となった。【図1】

【図1】職場や学校での”身だしなみ”でもっとも意識していること/はたらきかたラボ調査

以下、「肌」「ムダ毛」「体臭」と続く。逆に全く身だしなみを意識していない人は0.5%で、ほとんどの人が何らかの意識をしていることがわかる。
座談会メンバー6名にも同様の質問をしたところ、「服装」が4名、「髪型」「メイク」が1名ずつとなった。ニオイやムダ毛といった見えづらいものよりも、パッと見た時に視界に入るものに気を遣っている人が多いようだ。

過去にマイナビ転職で身だしなみについて調査した際、他の人の身だしなみについて気になるポイントとして挙げられたのは1位「髪(髪型)」2位「シャツ(服装)」3位「靴」となっていた。Z世代が意識している「メイク」は上位に入っていないものの、基本的に見た目に重きを置いているということに年代差はないことがわかる。座談会メンバーに「他の人の身だしなみで気になったことはあるか?」と尋ねると、2名が「ある」と回答。ポジティブな意味で気になったこととしては「服装のセンス」。ネガティブな意味で気になったこととしては「寝癖をそのままにしている」ことが挙げられた。寝癖に関しては「櫛で梳かすだけで直りそうなのに、(清潔感的にも)それをしないのが気になる」とのことで、他の参加者も頷いて同意している姿勢が見られた。特に人と会う用事がある場合には、身だしなみを整えていない姿は良くない、と感じているようで相手への配慮を意識すべきだと感じているということだろう。

続いて、身だしなみを気にしていると回答した人に「身だしなみを意識している理由」を自由記述で聞いたところ、大きく3つの意見に分かれた。1つ目は相手にどう見られるかを気にしている「他者視点」での理由。2つ目は自分の気持ちやモチベーションを上げる「自分視点」の理由。3つ目は社会人として最低限必要なマナーといった「必要不可欠なもの」としての理由。3つ目の理由については個人の考え方というよりは就業規則や職場環境に関連するものが多いため、今回は特に「他者視点」「自分視点」の相対する2つを中心にコメントを見ていく。

他者視点を意識している人は「少しでも周りに清潔な子、可愛いと思われたいから」「みんなにいいと思ってもらいたい」「周りからの信頼を得るため」など、どちらかというと特定の人というよりも不特定多数の視線を意識している回答が多く見られた。一方、自分視点を意識している人は「すべてにおける(自分の)モチベがかかっている」「自分自身の気持ちの切り替えやスイッチを入れるため」「身だしなみをきちんとしているとやる気が出て仕事の効率が良くなる気がする」とのこと。言い方はそれぞれ回答者によって異なるものの、プライベートと仕事の切り替えや、気分を変えるための手段として身だしなみを意識していることがわかる。

座談会メンバーも、他者視点の人は「直接人に会って話を聞くのが多い仕事だから、第一印象に気を遣って」と自分がどうしたいかというよりも、相手にどう思われるのかを優先して身だしなみを気にしているとのこと。一方の自分視点で身だしなみを考えているメンバーは「洋服が好きで、好きな服を着ることがモチベーションに繋がっている」とのことだった。メンバーの話を踏まえると、ファッションについて普段から関心が高いかどうかで視点は変わってきそうだ。 Z世代は「堅実さ」を持ちつつも「自分らしくいたい」をいう思いを持っている人が多い。「自分らしさ」の中でファッションが大きな割合を占めている場合は「自分視点」に、ファッションの割合がそこまで大きくない場合には堅実さが優先され「他者視点」で身だしなみを考えるということなのかもしれない。

コロナ禍で顔周りへの意識に変化が

次に「新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって”身だしなみ”に関して変化したポイントは?」と聞いたところ、上から「メイク」「スキンケア」「ヘアケア」という順位になった。【図2】

【図2】新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって”身だしなみ”に関して変化したポイント/はたらきかたラボ調査

いずれも顔周りのケアが上位に入っていることが確認できる。コロナ禍前と比較すると、オンラインでの会議や講義が増えたことで画面に映る部分への意識が高まったのではないだろうか。
実際、前問の「身だしなみを意識する理由」の自由回答でも「マスクで隠れている分髪型を意識している」「リモートの時は目元のメイクを特に気にする」などコロナ禍だからこそ、と捉えられる理由が複数確認できた。

また、座談会メンバーでも「メイク」「スキンケア」「ヘアケア」で変化があったという回答が多く見られた。理由を聞いてみると、「リモート会議で他人と自分の顔が画面に並ぶ状況が増えて身だしなみを気にする機会が増えた。対面だとマスクをしているのでヘアケアなど見える部分にはより気を遣うようになったし、メイクやスキンケアは逆にする部分としない部分ができた」とのこと。

経済産業省が発表している「経済産業省生産動態統計」のデータによると、コロナ禍前と比較して販売個数、販売金額ともに大幅に落ちているのは「ほお紅」や「口紅」といったマスクの下に隠れる部位のメイクアイテムで、2022年9月時点でも2019年と比較して半分程度しか販売されていない。なお、2019年と比較した際に2022年のほうが売れているアイテムもいくつかある。販売個数ではマッサージクリームやモイスチャークリーム、染毛料、眉毛化粧品。販売金額では香水・コロン、セットローション、美容液、眉毛化粧品がプラスとなっている。年齢を区切っていない調査でこういった結果が出ていることを踏まえると、Z世代に限らずコロナ禍により顔周りの身だしなみへの意識に変化が出ていると言えるだろう。

自分らしくいられる「服装・髪型が完全自由」な職場が理想

最後に「職場での服務規程を自由に選べるとしたらどれが良いですか?」と質問したところ、68.5%が「髪型・服装が完全自由」と回答。【図3】

【図3】職場での服装制度の希望/はたらきかたラボ調査

半数以上の人が服装や髪型に関して縛られることなく働きたいと思っているようだ。座談会メンバーも6人中5人が「服装・髪型が完全自由」を選択し、残る1名も「オフィスカジュアル指定」と回答するなど、Z世代の理想としては型が決まった制服や作業着よりも自分で考えられる服装が良いということがわかる。

座談会メンバーには理想の服務規程に加えて「服務規程の有無が企業選択の基準となるか?」と質問したところ、6人中4人が「なる」と回答。理由を聞くと「自己表現のひとつとして着る服にこだわりがあるので服務規程のある会社は候補にならない」「縛りがある社風よりも髪色やネイルも自由というような個人を尊重してくれる社風のほうが自分に合っている」との意見が挙がった。反対に「ならない」と回答した2名にも詳細を聞くと「特別ファッションに興味がないので毎日何を着るか考える時間が減るのはありがたい」「働くのにどんな服装でも良いと考えており、職探しの軸にはならない」とのこと。ファッションへの興味があるか、服務規程を通して社風を想像するかという点で意見が異なっているようだ。

なお、日本労働組合総連合会が20歳~59歳の有職者1000名を対象に2019年に行った「社内ルールにおける男女差に関する調査」によると、普段仕事をする際の身だしなみで何らかの決まりが「ある」と回答した人は57.1%。業界や職種によって身だしなみに関する規程の有無は変わってくるものの、実態として「髪型・服装が完全自由」という会社はまだ少なそうだ。ただ、一部の銀行や百貨店など従来制服の着用が多かった業界において制服を廃止する動きが出てきているとの報道もある。背景としては、男女で服務規程が異なっていたため男女平等やLGBTQ+を含むダイバーシティ(多様性)を意識して制服を廃止したとのこと。警備員や警察官のように服装に関する規則が法律で定められている職種もあるためすべての企業とはいかないが、服務規程の見直しを行う企業は今後増えてくるのかもしれない。

雰囲気に合わせた「自由」の範囲内で身だしなみを楽しむ

座談会メンバーに追加で「”服装・髪型が完全自由”と記載している場合、どこまでが”自由”の範囲内だと捉えていますか?」と尋ねたところ「文字面だけ見れば”指定はない”と捉えているが、細かい部分は実際に職場の雰囲気に合わせるようにしている」「その人が外出できる格好なら良いと思う。仕事だから、休日だからという理由ではなくTPOに合わせて服装を選んでいる」といった意見が多数派となった。ファッションが好きな人であっても、所属している職場の雰囲気に合わせて「自由」の範囲を模索していることがわかる。

前述のマイナビ転職が行った調査によると、20代の26.8%が職場の先輩や同僚の身だしなみを参考にしているという。「髪型・服装が完全自由」が理想ではあるものの、周囲の様子を観察し、その日の業務内容や打ち合わせの有無等を含めたTPOに合わせて身だしなみを選択しており、今までの調査でも見てきた「堅実さ」がうかがえた。

まとめ—他社への配慮と自分らしさのバランスがとれる身だしなみを—

今回の調査から、周囲への配慮を踏まえつつ”自分らしく”身だしなみを楽しむ姿を知ることができた。日々の髪型や服装を選ぶ上で「他者にどう思われたい(思われたくない)か」という他者視点を重視する人と「自分のモチベーションのため」という自分視点を重視する人には分けられるものの、自分視点の人が他者への配慮を持っていないというわけではない。むしろ職場においては「髪型・服装が完全自由」な場合でも、一緒に働く人の様子や雰囲気を見ながら、その中で許される「自由」の範囲で自己表現をしているようだ。

服務規程に関して、Z世代では完全自由を希望する人が多いが、実際には何らかの規定がある中で働いている人が半数を超えている。一部のZ世代の中には、服務規程があることによって「個性や個人が尊重されない社風なのではないか」という疑問を抱くこともあるとのこと。一般的にZ世代は社会課題に関心が高いと言われており、ダイバーシティ推進といった社会課題に対する感度の高低が企業への親近感や応募意欲に関わることもある。これからの採用では、身だしなみに関しても多様性を受け入れていくことが重要となりそうだ。

調査概要
<アンケート調査>
調査時期:2022年9月9日~9月14日
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国男女18~25歳 213名

<『はたらきかたラボ』オンライン座談会>
実施:2022年10月3日
参加者:マイナビ転職メンバー3名、Z総研コミュニティ所属メンバー3名、はたらきかたラボ所長 道満綾香(Z総研) 計7名(メンバー男女比 3:3)


著者情報
マイナビ転職「はたらきかたラボ」コラム担当

はたらきかたラボとは、Z世代のこれからの生き方や働き方について深く知るため、マイナビ転職とZ世代のシンクタンクである「Z総研」が手を組み、2022年3月に発足した運動体。毎月リアルZ世代コミュニティに所属する大学生~社会人(18~24歳)へのアンケートと、両社のZ世代社員がアンケート結果をもとに行う座談会からリアルなZ世代の声を拾い上げ、テーマごとに発信を行っている。

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