中途採用・転職 総括レポート 2024版(2023年実績)
- 2023年の求人件数はコロナ前2019年の約1.5倍
- 2023年に中途採用者の賃金を上げた企業は約8割。2024年に賃上げ予定の企業は約7割
株式会社マイナビは、2023年における中途採用・転職市場を3部構成でまとめた、「中途採用・転職総括 レポート2024年版(2023年実績)」を発表した。第1部は「雇用市場の概況」、第2部は「企業の中途採用状況」、第3部は「求職者の動向」についてまとめている。
目次
トピックス
雇用市場の概況
有効求人数、有効求職者数および有効求人倍率の推移
2023年の有効求人倍率は1.31倍(前年比0.03ptプラス)。前年と比べ求人数がやや増加し、求職者数が減少したことで有効求人倍率は上昇した。【図1】
【図1】有効求人数、有効求職者数および有効求人倍率の推移
雇用人員 判断D.I.
2023年は業種問わず「人材不足」の状態で推移している。2022年から不足感は変わらず高い様子が見られ、2023年は人材不足がさらに加速したといえるだろう。
業種別で見ると特に「運輸業、郵便業」で人材不足の傾向が強まっており、物流の2024年問題に向けて対策をとっている企業が多かったと推察される。【図2】
【図2】雇用人員 判断D.I.(「不足」-「過剰」)ー正社員等 5月時点の年推移
企業の中途採用状況
マイナビ転職の掲載求人件数推移
2023年の求人掲載数は前年を上回り、企業の正社員採用活動はさらに活発に実施されていた。【図3】
【図3】マイナビ転職 掲載求人件数推移(2019年平均を100%とした)
2024年の中途採用の見通し
今後の企業の中途採用活動はさらに活発化。未経験者採用にも力を入れ始める企業も徐々に増える見通し。【図4】
【図4】今後(2024年)の中途採用の見通し
中途採用の賃上げ予定
2023年に中途採用者の賃金を上げた企業は約8割。2024年に賃上げ予定の企業は約7割。業種別で見ると、「メーカー」が最も「上げる予定」の割合が高く、次いで「金融・保険・コンサルティング」「IT・通信・インターネット」と続いた。
「運輸・交通・物流・倉庫」では「前年より、10%以上の水準で上げる予定」が高めで、大幅な賃上げを予定している企業が多いことがうかがえる。【図5】
【図5】中途採用の賃上げ予定
転職者の動向
正社員の転職率
2023年の正社員の転職率は、2016年以降最も高かった前年とほぼ同水準。正社員の転職率は7.5%と、コロナ前と比較しても転職活動が積極的に行われていた様子がうかがえる。【図6】
【図6】正社員の転職率(20-50代)
施策・制度によって応募意欲はどのように影響するか
『プラスに働く』では「退職金制度がある」が最も高く、次いで「有給取得向上施策」「企業独自の休暇制度」となっており、お金や休暇に関する施策・制度は応募意欲に明確にプラスに働くと考えられているようだ。【図7】
【図7】以下の施策・制度がある企業に対して、応募意欲はどのように影響するか
2023年の中途採用のまとめ
企業
- 2023年の求人数はコロナ前を大きく上回って推移。前年よりさらに活発な採用活動が行われていた。
- 中途採用の印象が「厳しかった」と感じた割合は前年より減少している。採用費用の増加など工夫を行い、欲する人材を獲得できている企業が増加している可能性がある。
- 「退職者の増加」等の喫緊の課題解決の中途採用に加え、「組織の強化・活性化」「年齢など人員構成の適化」等の今後を見据えた採用活動が多く行われていた。
- 2024年以降の中途採用は、さらに活発化する予定。特に経験者に力を入れる企業が多い見通し。
- 中途採用の賃金をあげる企業は7割以上。優秀な人材を獲得するための賃上げする企業がさらに増加するだろう。
転職者
- 2023年の正社員の転職率は、調査開始以来最も高かった2022年と同等の水準に。コロナの影響を受けた2020年と比較し、企業の採用活動が活発化したことで、少ない活動量で転職できていた。
- 転職活動を始めた理由トップは「給与が低かった」。入社を決めた理由トップも「給与が良い」となっており、2022年から引き続き、物価高の上昇を受け給与を理由に転職活動や転職を決意した人が多かったようだ。
- 応募にプラスに働きやすい制度は「社内公募制度」。求職者は従業員が自律的にキャリア選択ができる制度にプラスの印象を抱いているようだ。2022年から引き続きお金・休暇に関する施策・制度も応募意欲への影響がありそうだ。
レポート内目次
第1部.雇用市場の概観 ・・・ P.4~7
第2部.企業の中途採用状況 ・・・ P.9~15
第3部.転職者の動向 ・・・ P.17~23
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